過去の職場&就職体験記 (3)失業保険の日々&派遣登録−02

第2話「現実逃避の日々」

(1998年12月執筆/1999年9月26日加筆)


 失業当初の1ヶ月を過ぎると、私にどういった変化が訪れるのか。──簡単です。段々現実から目を逸らし始めるんですね……。何事も起っていないかのように(いや、ある意味本当に何も起ってないんですけど)、無職状態であることを忘れているかのような態度に落ち着いちゃったり、そういう自分に気付いて、わざわざ自虐的なコトを言ったり。ま、平たく言うと追い詰められてくるんですね……。

 正直言って、この章はつまらないと思います。しかし、ここで注目すべき点は、「失業も2ヶ月目に突入すると、こんなつまらないメールをダラダラ遣り取りしながら日々が過ぎて行く」というトコロにあるのです。この点を充分に踏まえた上で読んでいただけると嬉しいです。

 今回も前回の方式に従って、職に関連している部分のみをピックアップしていますが、この頃になると職の話題さえあまり出なくなっているので、横道にそれたメールが充実しています……。本当はもっと色々なメールが飛び交っていたのですが(ホラ、暇だから……)、公開できるものは少なかったので、一応職絡みの部分と、公開しても支障のない部分のみをアップしています。今回も主に友人ZとQ社の同僚に宛てたメールですが、他にも大学院に残って勉強しているMちゃんや、ちょっと特殊な人生を送っている中高時代の友人T岡などに宛てたメールも登場しています。

 では、失業そのものに疲れ始めた私の生態記録、どうぞ。



 宛先:Z/件名:RE:親は選べない/送信日時:1998年12月1日 2:08 
よう。返事が早くて嬉しいよ。最近寂しくてね…。(←?!)
<略>

ウチの最近の「親は選べない」は可愛いもんかな…。いやさぁ、母さんが一緒に旅行行こうってゆーんだ。4泊5日で。そん時に「そうかー、そうだね。こんな機会も今しかないもんね…」って言ったら、父さん勝手に横から会話に参加して一言。

「『今しかない』か、『このままずっと』になるか、分かんねーぞ。わっはっはっはっは!(←最後ホントにこういう風に笑ってた…)

………………これは会話に入りたくてはしゃいじゃった結果? それとも旅行に誘ってもらえない悔しさの裏返し……??

> 私、よくこんなにまっすぐ育ったよなあ、と思う今日この頃。
以下同文。


 宛先:Mちゃん/件名:私ってヤツは…/送信日時:1998年12月1日 17:34 
ういっす。

> ひさしぶり。
本当に久しぶりよねー。なんだか嬉しかったわ…。

> 皆忙しいみたいでメールも久しいね。
私の場合は暇過ぎてメールも出す気力がないと言うか…。
家にいると本当にぷー太郎みたいなので(っつっても、本当にぷー太郎なんだけどさ…)、ふらふら宛てもなく出歩いているよ。普段の会話で「じゃ、ちょっくら暇潰しに職安行ってくるよ」って言うようになっちゃ、人間おしまいだよね…。
<略>

> この前Oさんに、「4年の子が『Mさんて本に一杯書き込みが
> あってなんか凄い勉強してるんですね』って言ってたよ」って
> 聞いたのさ。でもご存知の通りそんな訳ないじゃん。
ゆっとくけど、Mちゃんは凄く勉強してるのさ。他の人はもっと全然してないのさ。それに早く気付きなしゃれ。

> したらさー、確かにちょろちょろなんか書いてあったんだけど
> P115の例題6.2.1で、きっとタカちゃんだと思うんだけど
> 「ム・リ」と書いてあって、その口の表情(「ム」と「リ」)が書いて
> あったんだよね。それ見て笑い転げたさ。いやあ、驚いた。
いやー、私も↑読んで笑い転げた…。私って昔から…。どうしてこんなコトしかしてないんだろう…。見事なくらい我が身を削った受け狙いの人生…。まともになりたいよぅ…。

> でそれ、私の字で「15分でやれ」とも書いてあって、
> 多分授業を聞いてなかったであろうタカちゃんに教えて、
> 「無理だ」っつったんだろうな〜と思い出したよ。
いや〜、私、全然覚えてないよ…。でもそんなことしそう…とは思うわ。自分で。私ってヤツは…もう大学生の頃から今の人生の基礎を築き上げていたのね…。はは…「ム・リ」か。人生を凝縮した一言だね…。だめだ、こりゃ…。


 宛先:Q社/件名:まだまだ無職/送信日時:1998年12月5日 13:33 
早いもので、ワタクシが無職状態となりましてから早1ヶ月が経ちます。無職、無職と一口に申し上げても色々ございまして、ワタクシのように職も探さず布団に篭もっているような人間は「積極的無職状態」と言う分類に入れられてしまうのであります。

自分の状況を客観視してみましたが虚しいだけですね。シクシク。だって寒いんですもん。言い訳になってないのだって分かってますもん。あっちゅー間に師走…この調子であっちゅー間に睦月になるのかな。如月…いや、せめて弥生になる前に社会人になっていたい…。古風に一年を言い表してみても、私の状態は最先端のフリーター…。もういいの。くすんくすん。寒いよう…。心が。(嫌なオチ…)
<略>

昨日、ちゃんと立派な会社に就職している友人から(こんな形容詞を選ぶようになった私って卑屈…)電話があって、

自殺する気とかは全然ないんだけどさ、朝、電車待ってホームに立ってると、『ああ…こーゆー逃げ方もあるんだよなー…』って思うんだよね。………タカセ、どう思う?

と問い掛けられました…。なんで無職の私がこんな立派な社会人を慰めなきゃアカンのじゃ。しっかり生きてりゃイイコトありますよね?(←問い掛け) んでは、疑問を残したまま去ります。


 宛先:Q社/件名:ドラちゃんの紹介じゃね…/送信日時:1998年12月3日 22:14 
ういっす。ちゃんと夜に起きて朝に寝てます。アレ? それじゃ不味いのか…。

> よっ、さっさと布団からでるんだよね。
ギク…。だ、だって寒いんだもん…。羽根布団が恋人。今日なんか今年最低の温度ってゆーし…。寒いよー…。する事もないし、えーい寝ちゃおう…ってゆー行動パターン…。人として最低…。メソメソ。


 宛先:Q社/件名:じゃあ11ってことで/送信日時:1998年12月7日 0:24 
月曜日から出勤、ご苦労様です。こんなことは当たり前な筈なのに、月曜日という曜日感覚は属す場所があって初めて得られるものなのですね…くすん。私は毎日土曜日の世界に生きています…。
でも明日(正確には今日)、7(月)は私も職安から呼び出しを受けてて、9:30起きなのでした〜。社会人だった頃を思い出すなぁ…。ちゃんと起きられるかしら、えへ。


 宛先:Z/件名:「タッチ」を観て/送信日時:1998年12月12日 0:22 
昨日のTVでやってた映画「タッチ〜あれから君は…」を観てちょっと思ったんだけどさ。
南がさ、新田君にキスされそうになって言う台詞…。
「たっちゃん、助けて…」
………コレはないんじゃない? 南、自分から目ぇ閉じてなかったかっ?!? 襲った訳でも無理強いした訳でもなく、了解を得た上での共同の行動だったと思うのですが…。ケダモノ扱いされてしまった新田君の立場は?

――以上、「タッチ〜あれから君は…」の感想の要約でした。そんだけ。


 宛先:T岡/件名:どうしてるかなー/送信日時:1998年12月13日 1:11 
はろー、久しぶり。音沙汰なくてスマンスマン。別に「何々をしていた」と言う訳でもないんだけど…。強いて言うなら「失業してた」ってトコか??(うぅっ、虚しい…) どうしてるかなーと思ってメールしました。元気? 頑張ってる?
人間は「努力をすること=生きていることだ!」って、先日観た映画の登場人物が言ってて、「アイタたた…」と言う感じだったよ…。尤もだと承知している分、今の自分と照らし合わせて痛いお言葉…。

今日さー、久しぶりにJ校(注:高校)の連中計5名と会ったのよ。そうだね…要約するなら「社会人とは、と言う日本的道徳規範の中で真っ当に生きている人達」と会った…。(←全員じゃないよ。3人ほどの話……) なんだか話していて、何が正しいのか分からなくなったわ…。彼女たちの言うことは凄く正論だよなーと思う反面、それは非常に「今の日本の正論」だよなー、とも思う訳で、自分の意見は自分の意見として別に崩された訳でもなく持ち続けてるけど、「ああ、全く価値観が違うって、こんなにアッサリと成立するんだなー」って感じ。悪い意味ではなく。大学での「人種が違う!」とかいう感覚とはまた別物。そんなに構えている訳でもないのに、すんなりと「ああ、人種違うんだー…」って感じか? フィーリングで伝わった??
まぁ「こういう人もいるのね」と言うより、「こういう人が大多数なんだな」と思うと、少し自分と言う立場が危ういモノだと痛感させられるもんだね。悪いことではないと思うけど…。

ところで、T岡はどうよ? 夢に向かって頑張ってる?? やっぱどんなに正論っぽいものを聞かされても、どんなに一般常識を叩き込まれても、「夢を持ってそれを実現させる営み」というのは、問答無用に正しさを秘めているような気がするよ。それが一番理想の生き方なんだと私は思うね。食ってけなくても、社会的な自立をしていなくても、生きている意味は満たせるよな…。っつーことで頑張れよ。私もダメな人なりに頑張ってみるよ…。

んじゃ、またねー。


 宛先:Z/件名:お父様へのお礼mail/送信日時:1998年12月13日 1:41 
Z、悪いね。ちょい頼み事。件名の通りだから分かるよね。
G社(注:Zの父親の勤務する会社)に直接返信しようと思ったけど、会社にじゃやっぱマズイかなと思って、君に送るよ。このメール、くれぐれもお父様に渡す(見せる?)ように。くれぐれもね。くれぐれも。

これを機会にパピーとの触れ合いを大事にしな。まぁ、私に言われたくないってトコロか? 人の親だと冷静に物事が分析できるんだよ。裏を返せば自分の親じゃ冷静には対処できないだろう…ってコトか?? まぁさー、君もお茶目なパピーを大事におし。ワタクシ、自分の可愛げのないパピーは大事にしてるよ…。

今日も私と母さんが紅茶飲んでたら、パピー踏ん反り返って、
「俺の分も用意しろよなっ」
だって…。踏ん反り返るって本当に読んで字のごとしなんだね。両足80センチくらい開いて大地踏みしめて、腰に両手を当てて上半身は確実に10度は反ってたよ…。余りのボディ・ランゲージに目頭が熱くなった…。条件反射(こうなると脊髄反射か?←条件反射より速いんだよ)も相俟って、
「イヤだね」
って返事を返したら、やっぱり踏ん反り返って
「入れろッ!」
だって。あの根拠のない自信はどこから来るの??

結局、何となく雰囲気に負けて、私と母さんの分のお茶を入れた出がらしに魔法瓶のお湯を注ごうとしたら、母さんが慌てて自分の分の紅茶を父さんに差し出して、「ハイ、コレ」だって。甘やかす人間がいるから付け上がるんだよね…。そして板挟みになる人間がいるから家庭は上手く行くんだよね…。


 宛先:Q社/件名:今年最後のご挨拶、良いお年を…/送信日時:1998年12月28日 0:30 
ちわす。今年も最後ですねー。いよいよ今日で。まぁ最後っつったって約1週間後には…ですが。
'99年の年始は社長が山篭もりする訳でもないので、4日(or 5日)から会社も全開フルパワーなんでしょうねぇ…。新年早々の年始挨拶で「飛べなかったわ(by 社長、'98.1.16発言)」と言われるよりマシかも知れませんが…。

> すっかり波動にはまってのっているようですが、
(注:このちょっと前に、Q社に波動マークを広めたC先生の講演会のテープをダビングさせてもらった、という一件があったのです)
いやだなぁ、そんなに真剣には聞いてないですよ。ちょっと真剣に聞いただけで。うふ。だってあのテープ、面白いんだもん。えへ。

こういうの、馬鹿にするコメントまでセットで世に広めたら、そうそうオ●ムとかに引っ掛かる人も居なくなると思うんですけどね…。誰かやらないかなー。あ、でもそんなことしたらポアされちゃうのかな? 何にしても、純粋培養で育った人がコレ聞くと、コロリと参るのかしら…。(いや、それだけの問題でもないと思いますが…)

> 真剣に聞くものは他にもあるんじゃないんすか。
アイタタタ…。痛いっすよ…この言葉…。クリーンヒット…。
分かりました…。インド音楽を真剣に聞こうかな…。え? そんなこと言ってないって?? いーじゃないっすか…。許して…。今じゃ「ムトゥ」の挿入歌全5曲中、4曲はタミル語で歌えるんですよ。えっへん! あ、ますます「そんなことしてる場合じゃねーだろ!」って感じですか…。めそめそ…。寒い時期に職を失うと弱気になりますね…。
<略>

> 来年我々の運命は如何に?
私は職に就くぞーっ!!!!! ’99年の目標は「常に就職した状態で居ること!」もしくは「20日以上無職状態が続かないようにすること!」なのですっ!! ふっ!! どんなに最底辺の望みでも堂々と掲げて生きるのです。この目標が私にとってどんなにハイレベルな目標か…分かって頂けますよね…。でも最近発覚した事実ですが、パピー、私の生き様、面白くてしょうがないみたいです…。私が幸せになることを望むのは結構前に止めてしまったらしいです…。母さんだけがしつこく平凡な幸せを追って欲しいと願っているけど、娘はそのささやかな望みを叶えてあげられないのです…。めそめそ…。
<略>

んでは、今年もあと数日。来年こそは良い年になりますように…。
追記:今度会う時までには職に就いているといいなぁ…(←願望)




 如何でしたでしょうか……。人情の機微に聡い方なら、この散文めいたメール群を読んで、あることに気付くでしょう。そうです、ズバリ、「ああ、コイツはいよいよ本格的な現実逃避を始めようとして、でも小心者だから一応自分を奮起させるべく、新年と言う行事的な節目に合わせて頑張る素振りを他人に見せようと目論んでいるんだな」──ということに。

 一方現実は、と言うと、年が明けると気持ちも明けちゃったみたいで、’99年1月の前半は、新春から始まったドラマ「救命病棟24時」について熱く語り始めちゃってました……。友人Zも私も松嶋菜々子に対して色々思う所があったようで……。この時のメール交換の内容は下らなくもあり、情熱的でもあり……。興味のある方は番外編「『救命病棟24時』論議」をご覧ください。(注:別に理不尽な悪口を書いている訳ではありませんが、あまり好意的でないことは確かなので、松嶋菜々子ファンの方は読まない方が良いと思います……)

 話を戻して。こんなドラマ論議を熱く語るような現実逃避がいつまでも続く訳がありません。失業保険の給付は2月末までです。終われば就職しなければなりません。──さて、どうするのか。

 まず安易に考えたのが派遣という働き方です。私より先にQ社を辞めた28歳の女性が派遣で働いていて、ひょうひょうと仕事(というか人生)をこなしているようなので、「私も!」と思った訳です。──が、その女性は目前に結婚を控えて、それこそ「当面働いている」という状態……。私は「今後一人で食って行かなくてはならない」という状態……。そういう現実を考慮に入れずに、ちょっと参考にするにはデンジャラスな就職の仕方を私は思いっきり参考にしてしまいました……。選択を間違う人というのは、どんな場面でも、何回でも、選択を誤るものです……。

 と、言うことで次回の第3話「派遣登録という壁」では、実際にいくつかの派遣会社に登録をして仕事を紹介されるまでに、私が何度となく現実の壁にぶち当たる様をご紹介したいと思います。



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