過去の職場&就職体験記 (2)弱小企業での地獄−09

第9話「こんにちわ、アジャリ」

(1998年7月執筆)


 前回の「サヨウナラ、玉先生」を読んで頂いた方にはお分かりかと思いますが、玉先生は一時的に社長の世界から去って行ったのです〜。ちゃんちゃん。
 ──が! この社長が平穏無事に人生を過ごす訳が無いのよ。Q社に入れ替わるように現れたのが人物がまた1人……。

 事の始まりを詳しく書こう。まずは発端となった6月上旬の社長の言葉から。本当に社長が言った言葉をそのまま紹介します。(私にではなく他の社員に嬉々として話していたのを横で聞いて、それをそのままPCに打ち込んだので、かなり正確です)
「ちょっと! 聞いてよっ!! あの千日修行していたアジャリさんが会ってくれるのよっ!!! いやー、冗談で言ってたら本当にウチに来てくれるって! やっぱり私、今本当に何かに導かれてるわねッッ!
 ……………。導かれてるらしい。

 あ、多分気になってると思うから解説。「アジャリ」って日本人よ。「亜闍梨/仏教用語で梵語の音訳。弟子の師範となる高徳の僧。我が国では僧職の一つで和尚に次ぐ僧」だって。気になって仕事が手に付かなかったから辞書で調べた。千日修行ってのは本当に大変なもので、これを完遂した人は凄いんだって(by 社長)。

 そもそもこのアジャリと何処で会ったのか、誰に引き合わされたのか、とか、そんな基本的なことは聞かないでね。私も知りたいくらいなんだから……。
 とにかくアジャリは偉いんだよ。何てったって千日も修行しちゃったんだから。うん、そりゃ凄いよな。凄いんだよ。
 何てったって千日だもん。漢字で書いて千日、遠くから見たら4日……なーんて騙しのテクニックは使ってないよ。だって口頭で「せんにち」って聞いたもん。社長がそう言うんだから本当に千日なんだよ。
 なんでも千日続けりゃ凄いよ。それが「修行」なら尚更。いやー、そんなスゴイ人が冗談で「ウチに来て」っつったら「うん、行く」ってゆってくれたんだー。こりゃ本当にスゴイんでないかい……って、違うだろーッッ!?
 大体「千日修行した」って証明書とかある訳じゃないんだからすべて自己申告な訳よ。こんなん、私だって千日修行は出来なくても「千日修行したの」って言うことは出来るぞ。

 とにかく、そんなアジャリが何しに来るんだ?と思ったら、案の定占いに来るらしい。勿論お金は払う。それも半端な額じゃないよ。なんで怪しいと思わないんだよー……。もしかして社長、実はすっげーピュアな人なのか? 私が疑い深くて汚れてるだけなのっ?? もう、この会社にいると真実がよく分からなくなるのよね……(涙)

 でさぁ、7月3日(金)にね……また会社に社長宛てに宅急便が届いたのよ……。今度は差出人がアジャリでコレクト(代金引換)だった。社長は外出中だったもので社員の一人が立て替えたのよ。商品代金21,000円。
 宅急便屋さんが帰っちゃってからお金を立て替えた社員がいきなり
「ひ、ひえ〜……たっ、たっ、鷹瀬さーんっっっ!」
って私を呼ぶんだ。私、勿論何事っ!?って感じで駆けつけた。その人受取伝票握り締めて目ェ見開いてンのさ。何かあったのは一目瞭然。問題は何があったかだよな。
 「どーしたんですかっ?」って私が聞いたら、彼女無言で伝票の一個所を指し示すのよ。備考欄に商品名が書いてあったんだな、コレが。
 商品名………………………水晶だった。

 ねぇっ! マズイよねぇッッ!?! いくらなんでも、壷だけでも大したもんだと思ってたら今度は水晶だよっ?! 壷と水晶って何かセットっぽくないッ!? この調子で行ったら次は印鑑かっ?!
 アジャリ、明らかに悪者だろうッッ?!?! 何で千日修行したアジャリが水晶売るのっっ?! こんなんでいいのっっ? しかも21,000円って随分安物じゃないっ? いや、どうせ騙されてるんだから安いに越したことはないけど……でも21,000円はちょっと……。
 もうなんかここまで来ると馬鹿にする気も起きないわ……。勿論馬鹿にしてるけど、それ以前に可哀相。

 それにしてもお金、無尽蔵にあるよなぁ……。こんなに金持ちの癖にボーナスが夏冬合わせて2ヶ月って……。



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