日常エッセイ−37

「スタバ戦略にハマル」

(2008年1月21日執筆)


 このエッセイは日記として公開した文章をエッセイに簡単にまとめただけの流用エッセイです。イェイ!

 スターバックスが好きです。そして、私は飲食店のセットメニューで最後のドリンクを「コーヒー、紅茶、エスプレッソ、どちらになさいますか?」と聞かれればほぼ間違いなく「紅茶をストレートで!」と腹から答える完全な紅茶党です。
 紅茶党なのにスタバ好き――これは「白馬が黒い」などという単純な矛盾ではなく、充分に練られたスタバの戦略勝ちを証明した事実なのです。

 ……と、言うことで、なにやら空回り気味に熱く文章を書き始めてしまいましたが、そのくらいスタバに対する愛情が迸っていますよ最近。

 私の所属するオフィスビルの1階に、今時珍しくもなくスターバックスが入っています。そしてやはり珍しくもなくドトールも入っています。
 紅茶党の私からすれば、どちらもコーヒー屋という意味で同等に愛は希薄でこだわりもないのですが、それでも敢えてイイトコロを見出すならば、スタバは高いしフードメニューもぱっとしないけれど禁煙で雰囲気が落ち着いているので好き、ドトールは煙いしウルサイけれど安くてフードメニューが意外に美味しいので好き、と好きの方向性は真逆と言えます。
 ある意味、この2つのコーヒー屋は客層を完全分離し、喰い争いがないので同ビル内で上手く共存しているのでしょう。

 会社に取り立ててランチを共にしたい!と強く願うような方もいないので(さらっと孤独な現実を告白)、独りで(「1人」ではなくあえて「独り」)適当に時間を潰せる場所を選ぶと、寒いこの季節、大体オフィスと同ビル内のスタバかドトールに足が向くのですが、どちらを選ぶかの基準は「まずドトールに向かい、禁煙席に空きがなければスタバへ」と言うことで、「ドトール>スタバ」な図式がありました。コーヒー党でない私にとっては、どちらの店に行こうともどうせ紅茶を頼むので、ランチ利用であればフードメニューが美味しい方がいいのです。安ければ尚更。
 ちなみに、普通に「ちょっと一息つきたい」と思ったときには、考えるまでもなく空気の綺麗なスタバを選びます。紅茶党でも、たまに飲むスターバックスラテは大好きです。

 話を戻して。
 日々のランチ利用で「ドトール>スタバ」とドトールに軍配が上がるのは、安さとフードメニューの質によるところ。
 紅茶1杯、ドトール180円、スタバ330円。量に違いはあれど、味は同程度。紅茶を味わうためではなく、会社の人に会わずに本を読む場所を確保するために選んでいる店です。安けりゃ安いに越したことはない。
 フードメニューも、ドトールの(勝手に)目玉商品ジャーマンドックなんて190円ですよ! 意外に美味しいのに! しかもアツアツで出てくるし! 普通に小腹が減っている日のランチはドトールで紅茶+ジャーマンドック=370円で充分に満たされます。時々清水の舞台から飛び降りる気持ちでミラノサンドB(380円)なんか注文したり。そのときの幸福感たるや……っ!

 このように単に経済的な理由でドトールに足を運ぶことが多かった私ですが、満席率が高いことや、スモーカーたちの楽園であることが原因で、その足先をスタバに向けなくてはならない機会も不本意ながら増えてきました。

 370円で意外に美味しくお手軽に満たされるドトールに引き替え、スタバは……ぶっちゃけ、スタバのフードメニューはどうにもこうにもイケテない。高いクセに微妙なラインで美味しくない。あんなにこだわりが窺える店なのになぜ?と常々不思議に思っているのですが、関係者によると、実際素材やらコーヒーとのマッチングやら非常にこだわっているそうで、あの妙なマズさもこだわりの結果なのだとか。ホントカヨ。
 スタバで一番安くて腹持ちしそうなフードメニューはソーセージ&エッグマフィンサンドイッチ(280円)ですが、皆考えることは同じなようで、少し遅めのランチの時には必ず売り切れています。あとはどれもこれも400円前後で、味はどれもこれもイケてない。
 スタバは飲み物も300円以上なので、そうなるとたかだか軽食に700円以上も費やすことになります。今時美味しいイタリアンのランチコースが1000円以下で食べられることを考えると、この中途半端なメニューに700円払うのは非常に抵抗があり、「飲み物だけでイイヤ」という荒業な解決を求めることもしばしば。

 しかし、いくら私が軽い飢餓状態が好きとは言え(さらっと変態告白)、夕食まで紅茶1杯ではさすがに耐えられない時もあるわけで、そんな私にスタバでの意外な解決策を提示したのがレジ横に置かれたバナナでした。どの店舗にもあるのか不明ですが、私のスタバ(遂に所有格化!)の2ヶ所のレジ横でバナナが80円で販売されているのです!
 最初はバナナをレジにそっと差し出す行為にとてつもない恥ずかしさを感じたものですが、今では何の気負いもなくスマートにバナナをレジに差し出し、「コレと、紅茶のアールグレイで」と言いながら会計を聞く前に410円を用意しております。
 スタバの通常メニューには「ティー」としか書いていないのですが、紅茶を注文すると紅茶のみの小さな別メニューを出すんですよ、知ってましたか? イングリッシュ・ブレックファースト、タゾチャイ、アールグレイなど数種類から選べますが、もうメニューを見る前から「コレ(バナナ)と、紅茶、アールグレイで」と高らかに宣言。紅茶の種類は4回に1回くらいの割合でイングリッシュ・ブレックファーストに変更。10回に1回くらいの遊び心でタゾチャイに。

 我ながら意外に保守的なのか、同じ店で同じメニューを続けることが多いのですが、コーヒー屋でバナナと紅茶を毎回注文していたら、そりゃ客としての個性をぐいぐい確立することは簡単なんでしょうよ。しかも、客との関わり合いを積極的に大事にしているスタバでなら尚更。
 最近では私がバナナをそっとレジに差し出すと、メニューも出さずに「今日の紅茶は何になさいますか?(にこっ)」だって。初めてこの台詞を言われた時、物凄く驚いたのを今でも鮮明に覚えています。それまで自分が固体識別されていると思っていなかったので、この台詞により、私もスタバを、正確にはスタバのスタッフを固体識別するようになったのであります。

 ――これが、ただのスタバが「私のスタバ」になり、コーヒー屋としてではなく「私のスタバ(を構成するスタッフ)」に愛が芽生えた瞬間です……。


【ここで一息】
 コーヒー屋でバナナと紅茶しか注文しない客が日参してたら、私がスタッフだったら確実にアダ名をつけますね。「バナナマン」とか「バナ紅」とか「バナー茶」とか……。そんで絶対に注文する紅茶の種類を記録して、記録がたまった頃に推測始めて、推測に自信が持てるようになったら同僚と賭けを始めるな。
 ………………せめて変なアダ名つけられてないといいケド……。



 さて、再び話を戻して。
 確かに「私のスタバ」への特別にディープな愛は最近俄かに燃え上がったものですが、元々スターバックスはコーヒー屋の中でも群を抜いて好きでした。タリーズやらエクセルシオールやら、似たような店が後から後から湧いて出ても、根強くスタバに肩入れしており、「ふん、アンタ達なんてスタバのパクリじゃない! ぺっ!」という意味不明の敵愾心まで燃やす始末。
 元祖だろうがパクリだろうが、安くて美味しければ勝ちだよね〜と超第三者的に構える自分も確かにいるのですが、紅茶党の私には正直コーヒーの味の良し悪しは余りピンと来ず、スタバへのLOVEはスタバ経営理念の祖であるハワード・シュルツ会長の記事を読んで以来、何やらプラスαの熱い想いとして当初から存在しているようです。店舗立地の関係で仕方なくタリーズを利用した後でスタバを利用しようものなら、「やっぱスタバは格が違うね」などと、コーヒーの味に関係なく感じ入るほどに……。
 この長ったらしい文章を簡潔にまとめると、要するに私はスタバのファンなのです。

 スタバの何がこんなにも好きかというと、禁煙&落ち着いた雰囲気は基本として、スタッフが好きです。これは延いてはハワード・シュルツ会長の理念が好きということになるのですが、この話は後ほど。
 スタバのスタッフは総じてとても態度が良いのです。「スタッフの態度が良い」というのは、「礼儀正しい」とか「丁寧」とかそういう意味合いだけではなく、何と言うか「ああこの人たちは本当にコーヒーが好きなんだなぁ」という、スタッフの「ここで働くのって楽しい!」という雰囲気が伝わってくる気持ち良さから来る感想です。
 当然たくさんの店舗を持つチェーン店ですから、スタッフ全員がそうだとは言えませんが、ふらりと入る多くのスタバでこの雰囲気は感じられます。これは他のコーヒー屋では感じない雰囲気で、スタバ特有のものだと思っています。

 注文時のほんの少しの会話で楽しくなったり、コミュニケーションを取ったなぁと感じさせるのは、この手のファーストフードの中ではスターバックスだけです。
 新商品が出る度に、スタッフ独自の言葉でその商品の魅力を伝えようとする様は非常に微笑ましく、新商品発売時期になるとわざと商品説明に力を入れているらしいスタバを選んで訪れ、プレゼンの違いにスタッフの個性を見出したりしています。
 私はスタッフが行う一生懸命のプレゼンを一生懸命聞きはしますが、一通り聞くだけ聞いてから、「なるほど〜。じゃあ、スターバックスラテで!」などと全くマイペースな注文をする嫌な客なのですが、胸を打つプレゼンをされたときには素直に「非常に心打つ宣伝でした。是非それをトールサイズで!」などと偉そうに注文したこともあります。
 「ありがとうございます。そう言っていただけるとオススメした甲斐があります」――こんなふうに大なり小なり必ず反応が返って来るのもスタバ・スタッフのコミュニケーション能力の高さを物語る良い証拠です。まぁ今までの傾向からも、「商品プレゼンが上手い=コミュニケーション能力の高い」という図式があるからかもしれませんが。

 話は一般的なスタバに流れつつありますが、ここでぐぐっと話を戻して。「私のスタバ」のスタッフはここまで洗練されてはいないものの、それを補う初々しさと誠実さと人懐っこさがある(ような気がする)のです!

 ……もうお分かりの方も多いと思いますが、私は自分の好きなもの、好きな人を客観的に見ることも出来ますが、決してその他と平等には扱いません。
 アバタもエクボを地で行く、自覚あるTHE エコヒイキな人間の書くことですのでご了承ください。

 「私のスタバ」のスタッフ全員を把握しているわけではないのですが、私を、そして私が完全に固体識別しているスタッフは4人(男1人←多分店長、女3人)います。店長(多分)も相当爽やかで感じの良い青年ですが、もうね、この4人の内の1人の女の子がスッゴイ可愛いの。
 面がカワイイ女の子に使う表面的な「可愛い」じゃなくて、内から滲み出る人柄の良さと素朴さを表す「可愛い」ですよ。その辺り、勘違いする人多いから敢えてしつこく言いますが。

 人の顔を覚えるのが著しく苦手なので、まだ自分の会社の社員を完全に把握しておらず、とりあえずビル内で見かける見知った顔には反射的に「お疲れ様です」とお辞儀をしてしまうのですが、勘違いから1階のフロアで擦れ違った私服の彼女に何度か挨拶をしてしまいまして。
 そんな風にアプローチを最初に仕掛けたのは私だったのでありますが、それが原因なのか、私を完全に「バナー茶」として固体識別している彼女が、最近私との距離を一歩詰めるべく、注文時にぐいぐい視線を合わせるんですよっ(照笑←え?)

 その日はバナナも売り切れていたので、気分を変えてラテでも……とちょっと伏し目がちにメニューに視線を下げたまま、特に彼女と意識せずに注文したら、首を傾げて私を覗き込み、私の視線をガッチリ掴んでから「スターバックスラテのトールサイズでよろしいですか?」だって。どんな勘違いも許さない、「バナー茶さん! 私です! 気付いて!」オーラをムンムン出してニッコリ笑顔ですわ。
 ……ヤベェ、私が男だったら落とされる……とドギマギしながらも、「そうなの。バナナないからラテにする」と意味不明な会話のボールを投げると、「あ! あっちのレジにもないですね……すみません」としっかりキャッチ! 何この異様にテンションの高い無意味なコミュニケーションはっ?! でももう胸きゅん!!(どうしたの私???)

 そうやってジリジリ私との距離を縮めていた(?)彼女ですが、なんとつい先日、注文後にお釣りを私に渡す際に、「お仕事お疲れ様です」だって!!! 会社で誰も言ってくれないのにスタバの店員に労われちゃいましたよっ?!?! しかもナニその可愛い笑顔はっ!! ヤダもう鼻血噴きそう!!!
 「あははははは。ありがとう」とかなり動揺しつつ、ラテを受け取るべくランプ下に移動すると、今度はラテを手渡してくれるスタッフまでもがニッコリ笑顔で「お疲れ様です(はぁと)」、それに続いてレジ〜ランプ下の間にいるスタッフまでも次々に振り向いて「お疲れ様です!」って……やだ〜もう何この店〜〜ありえなくねっ?! 好きっ!!!

 ま、この時が異様に愛情MAXだっただけで、その後数日間ドトールに浮気して次にスタバを訪れた時には彼女もおらず、誰も労ってはくれませんでしたが……いやそれが当たり前。
 それでも一度「私のスタバ」と所有格が付いた対象には惜しみなく愛を注ぐタイプなので、既に私の中では「私のスタバ」最高! 「私のスタバ」万歳!

 接客業なんて、「誰でも出来るジャン。つまんねー」と思ったら、それはその程度の質で誰でも出来る仕事に成り下がり、つまらん仕事になってしまうでしょうが、個性を活かせる環境で独自のやり方を究められるなら、こんなに工夫し甲斐のある面白い仕事はないと思います。スタバはその辺りのこともちゃーんと分かっているようです。
 スタバの経営理念に則って、私はその戦術にまんまとハマっている訳ですが、いいの幸せで気分イイから。イェイ!


【追記】
 この辺りのスタバの舞台裏を非常に分かりやすく紹介しているサイトがありましたので、ご紹介いたします。
コーチング alldays > 企業研究 > スターバックス研究
 ハワード・シュルツ会長のファンになった直接の原因の記事は探せませんでしたが、上記で紹介しているコラム内にそれに近い記事がありました。
コーチング alldays > 企業研究 > スターバックス研究 > Chapt9 スタバ経営哲学の原点
 私が読んだ記事では、上記の内容に加えて、正社員ではなかった父の苦労を見ているので、働く人々に平等の誇りを!とのことで、アルバイトを正社員と同等に扱う雇用形式を採ったということも紹介されていました。
 他にもハワード・シュルツ会長関係のサイトをご紹介。
ハワード・シュルツ(プチ現代偉人物語)
ハワード・シュルツ名言集



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