日常エッセイ−35

「愛しのインド映画『DDLJ』」

(2002年2月2日執筆/2008年7月YouTube動画リンク追加・リンク切れの整理)



 1995年に映画超大国のインドにて放映され、同年の Filmfare Awards※注1にて賞という賞を総舐めにし、現在も放映され続けているというインド映画史上最大級のメガヒット作※注2「Dilwale Dulhania Le Jayenge(勇者が花嫁を連れて行く)」──通称「DDLJ」


インド版 菜の花畑で掴まえて
「Dilwale Dulhania Le Jayenge」


 インド映画後進国の日本では、1998年6月に渋谷シネマライズ※注3にて放映された「ムトゥ踊るマハラジャ(原題:MUTHU)」で火がついたことによって一時期インド映画ブームとなり、本場インドでのメガヒット作であるこの作品も、1998年11月の東京国際ファンタスティック映画祭※注4にて公開されるに至りました。
 それはいい。このこと自体は非常に喜ばしいことではありますが、この初公開から1年後、1999年秋に一般公開されることになった「DDLJ」、初公開時の邦題は「花嫁は僕の胸に」でしたが……なぜか一般公開時には「シャー・ルク・カーンのDDLJ ラブゲット大作戦」という痛い邦題をつけられる羽目に陥ってしまいました……。個人的には「花嫁は僕の胸に」もピンと来ませんでしたが、「ラブゲット大作戦」は酷すぎます……。

 別にこう思っているのは私だけでなく、この悲惨な邦題が発表されるやいなや、あらゆるボリウッド※注5映画ファンのWebサイトでブーイングの嵐が巻き起こっていました。そりゃ怒るでしょうて……。
 インド映画DVD&CDの通販でよく利用させていただいている、ヒンディー映画紹介サイトの草分け的存在であるWebサイトでも、この困ったチャンの邦題について以下のように言及されています。


あのヒンディー映画の大傑作、大々ヒット作、DDLJに「・・・大作戦」というタイトルをつけるということは、果たしてどーいうことかと言うと、「ローマの休日」に「オードリーヘップバーンのローマ市内観光極秘大作戦」というタイトルつけるようなものなのだ。ミーハーにもほどがあるっちゅうの。

……【Bergamo's Home Page】内 「DDLJの邦題」より


 以上のように痛々しい邦題を纏わされた「DDLJ」ですが、本場インドでは「ムトゥ」など足元にも及ばないほどのメガヒット作だったというのに、ハッキリ言って、日本公開ではコケました。そして私は、この失敗は邦題のせいだと確信しています……。
 日本でコケようが、インド人が愛するインド映画こそが、まさしく「キングフィルム・オブ・ボリウッド」な訳で、「DDLJ」の王者っぷりは「なかなか正規DVD化されない」という微妙な形にも現れていました。詳しいことは分かりませんが、その人気ゆえに版権争いが起きていたとかいないとか。

 とにもかくにも、ヒンディー映画ファンの長年の夢「DDLJのDVD化」が、なんと初公開から7年経った今年に入って漸く実現しまして、つい先日、私も「DDLJ」のDVDを手にしたのであります。


日本でのネット通販価格3,980円
「DDLJ」のDVD


 災い転じて福となすとでも言うのでしょうか……この7年の歳月の間に日本のインド映画に対する門戸は大幅な広がりを見せ、そうは言ってもなかなか思うようには上映されないこの現状に苛立った多くの日本人ヒンディー映画ファンが、インターネットを通じて直接通販に乗り出したせいでしょうか。「DDLJ」の製作元である Yash Raj Films は、この悲願のDVDになんと日本語の字幕を加えて下さったのです!※注6

 長年待った甲斐がありました……。本当に……本当に嬉しい……。いちいち一時停止して英語の辞書を調べることもしなくて済むのです。本当に素晴らしい!


 インド映画と言うのはその内容において、「色々あって……」と言えないこともないのですが、大抵の場合、一言で言ってしまうことが可能です。
 そして「DDLJ」を簡単に言ってしまうと、ヒーロー勇者 Raj と ヒロイン花嫁 Simran の恋愛モノ、もうちょっと詳しく言うと、略奪愛モノ。そして、更に詳しく内容をご紹介しますと、以下のようになります。


 インド伝統を重んじる頑固なチョウドリーを父に持つシムラン(Kajol)は、いつか王子様が現れるのを待ち焦がれている。しかし、ある日、父親が決めた許婚との結婚の知らせがインドから不意にやって来た。
 戸惑うシムランだが、父親の喜ぶ姿に逆らう事もできず、最後に友達と旅行をと一ヶ月のヨーロッパ旅行に出かける。
 旅行先で会ったラージ(Shah Rukh Khan)は口が上手なプレイボーイタイプの青年。最初は犬猿の二人だったが、次第に心を寄せ合うようになる。しかし結婚が決まっているシムランにラージは気持ちを告げる事もできず、旅行も終わりを迎える。
 シムランのラージへの気持ちを知った父は激怒し、シムラン一家はインドへと帰国する。追いかけるラージ。
 ──果たして二人の愛の行方は…?!

……【Indian Movies】内 「DDLJ」ストーリー紹介より

 どうせ最後はくっつくんでしょ?──と言われればその通りなのですが、約3時間あるこの映画、そうそう簡単にハッピーエンドになるようでは話になりません。
 また、インド映画の9割は先が読める単純なストーリー展開な訳ですが、逆に言えば、この映画も類に漏れずその単純なストーリー展開であるにも関わらず、7年間のロングランを続けるには、それなりの訳があるのです。

 ストーリー、歌、踊り、そして……役者! そう、この映画は何もかもが素晴らしいけれど、少なくとも私の心をガッチリ掴んだのは、主演男優と主演女優、並びに脇を固める脇役の魅力です。単に私がたまたま主演2人のファンだった、ということもありますが、インドでは名実共にNo.1の男優&女優ですので、ファンでなくても充分に楽しめること請け合いです。

 さて、そろそろ本題です。
 今回のこのコーナーはエッセイでも何でもなくて、ただ単に私の愛するインド映画の魅力を、煩悩の赴くままに書き連ねてみようというだけのものです。インド映画のファンサイトは世の中に数多くありますから、同じようなものを作っても仕方がない、と言う訳で、ウチはインド映画専門のサイトではないですし、ここを読んでいる方のほぼ100%がインド映画ファンではないでしょうから、広く浅く紹介するのではなく、一点集中型、自分の最も好きな映画のひとつ※注7を徹底的に紹介してみようかと……。
 完全にネタバレレベルでの紹介ですが、「DDLJ」ほどに有名な映画は、観るべき人は既に観ている映画ですし、インド映画と言うもの自体、ネタバレで魅力が半減することは余りないので問題ナシです。

 そうとなれば善(……かな?)は急げ。
 まずは、私の愛する2人の主役からご紹介しましょう。DVD版タイトルメニューに現れる、アニメ版の2人もイカシテルのでご紹介を。



実写版 勇者 Raj
右手にマンドリン、左手に帽子
Shah Rukh Khan
実写版 花嫁 Simran
目の前に勇者
Kajol


実写版の美男美女のヒーロー&ヒロインも、インド人がアニメ化すると……


アニメ版 勇者 らーじ
ちょっとそのエクボ酷くないか?
しゃー・るく・かーん
アニメ版 花嫁 しむらん
ちょっとその眉毛酷くないか?
かーじょる


何故かこうなります。
自らここまでせんでも……。




 大体、アニメという形態をとって各パーツをデフォルメするのは致し方ないにしても、見逃せないデフォルメがあります……。いくらなんでもカージョル※注8の眉毛 完全に繋がっとるやん! ……そこまで思いっきり繋げることないじゃないですかっ! カモメじゃないんだからっ!!


まぁ繋がってるんだけどさ……
実際問題、繋がってはいるのですが……


 カージョルの濃さ、特にその眉毛の繋がり具合は業界(?)でも有名で、ことある毎に囁かれるチャームポイント(←ファンの欲目的解釈)でもありますが、実際に完全に繋がったイラストで攻められると、ちょっとばっかり胸が疼く私は、真性のカージョルファンなのでしょう。
 インド映画ファン必見の1冊に、彼女の鮮烈な第一印象を的確に表している文章があったので、それを掲載しておきます。
 何故、眉毛が繋がっているのか?
 初めて彼女を見た時、そのことの意味ばかり気になって、画面の中の彼女の眉間ばかりを見続けていたのを覚えている。だから、その作品が何だったのかは、覚えていない。


…… 「インド映画にゾッコン」(野火杏子著/出帆新書発行)より抜粋


 眉毛が繋がっていようといまいと、レベルの高いインド映画界の女優陣の中では実はそんなに美人じゃないと囁かれようと、色黒だろうと、カージョルの魅力はそんなことでは全く損なわれません。質の高い演技力、表情や仕種、溢れ出るエネルギーが彼女を美しく可愛く見せているので、ノー・プロブレム! インドが誇るトップ女優のひとりであることは、ファンの欲目ではなく事実なのです。
 対するシャー・ルクですが、最初観たときは「ハンサムでもないし、大したコトないじゃん」と思っていたというのに、あーら不思議……いつの間にやら「どうしてこんなに魅力的なのっ?! 世界一カッコイイッ!!」状態です。そう、彼は映画の中でこそその輝きを存分に発揮する、真の役者。カージョルを「トップ女優のひとり」と評すこの私が、素直に「トップ男優」と言い切ってしまうことの出来る、正真正銘のキング・オブ・ボリウッド!※注9

 この2人が組めば、面白くならない訳がないのです。


激Love Kajol 激Love ShahRukh
私的最強コンビ


 さあ、脇役の紹介に移るためにも内容です。

 先ほどストーリー紹介を掲載しましたが、その続きから。
 ヒロインを追って、ヒロインの故郷に単身で乗り込むヒーロー。ヒロインの結婚の準備は着々と進んでいます。2週間後に迫る結婚式を前に、ヒロインはヒーローに駆け落ちを迫りますが、今まで散々詐欺師紛いの不誠実な行動を取っていたヒーローが、真剣な面持ちでヒロインを説得するのであります。
「駄目だよ、シムラン。僕は君と駆け落ちしに来たんじゃない。僕は正々堂々と、君のお父さんから認められた上で、君を花嫁として迎えに来たんだ」
 勿論、ヒーローは孤軍奮闘する訳ではありません。ヒーローのパパとヒロインのママ、そしてヒロインの妹が味方です。


味方たち
いかしたパパ Anupam
ヒーローのパパ
哀愁漂う Farida
ヒロインのママ
おしゃまな Pooja
ヒロインの妹


 ヒーローのママがご存命であればきっとヒーローの味方になってくれたことでしょうから、潜在的な味方の数は4名。本人たちも加えれば6名! ヒーローとヒロインの実質的な障害は、ヒロインのパパだけなのです。
 6対1の闘いが困難な闘いとして成立するためには、「6」に対する「1」にかなりの重みがなくてはなりません。そこはインド映画です。「これでもか!」というくらい分かり易い重みを用意しております。
 「インド伝統を重んじる頑固な父」と紹介されるヒロインのパパですが、重みと言うよりむしろ……


















障害物
恐いよ Amrish
ヒロインのパパ





 ……………………ぅ分かり易っ!
 ヒーローのパパも良い味出しておりまして、敵地に乗り込んで来たりと色々奮闘して下さるのですが、如何せんヒロインのパパの圧力(重力?)にはなかなか適いません。
 絵的に見ても、このような感じの闘いが繰り広げられるのです。



障害物
Amrish
障害物
Amrish
味方
Anupam
障害物
Amrish
障害物
Amrish
立ちはだかる壁、高いわ厚いわ……もー大変!の図



 この迫力のパパを説得し、認めてもらった上で、ヒロインを花嫁として連れ去りたいと考えるヒーローは、あの手この手を尽くすのですが、そんなに簡単に認められるようでは物語になりません。
 先が見え見えと言えば見え見えのシンプルなラブストーリーですが、ラストシーンでは多くのインド人が涙したと言われるこの感動大巨編には、それはそれは奥の深いマサラな味付けがなされているのであります。

 まず、どんなに字面と画像をもってして紹介しようとも、伝えられない魅力──それが、インド映画の最大の特色である、歌と踊りです。
 ヒーローとヒロインが出会ったとき、恋に落ちたとき、片恋の相手を想うとき、何の前触れもなくいきなり始まるミュージカル・シーンの数々。インド映画について行けないと思う人は、まずこのミュージカル・シーンで唖然呆然愕然とするのであり、はまる人はこのミュージカル・シーンでノックアウトされるのであります。
 従って、このミュージカル・シーンをどう受け止めるかで、その人のマサラ・ムービーとの相性を判断することが出来ると言っても過言ではありません。
 勿論、私はノックアウトされた口です。

 今回ご紹介している「DDLJ」は、まさに歌と踊りも完璧です。映画に挟まれる挿入歌7曲すべてが素晴らしい出来映えで、特に主題歌である「Tujhe Dekha To」は、歌い始めると鼻の奥がツンと熱くなります。
 今までにインド映画を1本でもご覧になった方は、あのミュージカル・シーンの唐突さを少しでも想像できるかと思いますが、そうでない方はなかなか想像しづらいかもしれません。そこで、取り敢えず1曲「Mere Khwabon Mein」の挿入前後を、出来る限り丁寧に紹介してみましょう。



いつか出会うであろう運命の人のことを書き連ねた日記を母親に見られ、
最初は照れながらも、いつしか自ら熱く語り出すヒロイン。
母親に、「で? それは一体誰のこと?」
と聞かれると、真剣な顔をしてこう答えるヒロイン。
「私は彼を待っているのよ。まだ出会ってもいないんだから」
「馬鹿な娘ね」と呆れて部屋を去る母を尻目に呟くヒロイン。
「違うわ、母さん。これは夢じゃないの。いつか私は彼と出会うの」

流れ出す音楽。

「まだ出会っていないだけなの……」

ヒロインの夢見るような囁きと共に、強くなる音楽。

そして……



Mere Khwabon Mein
「意味もなく」というには余りにも唐突にスクリーンに現れるヒーロー
衝撃的な初登場!の図



♪ 夢に出てくる人は私をからかって去って行く ♪
♪ 一度でいいから私の目の前に現れて ♪


Mere Khwabon Mein

歌い、踊り出すヒロイン

風邪引きそうな格好ではしゃぐヒロイン

激マブ!


♪ 誰なの? 何処にいるの? ♪
♪ もう出会っているの? それともまだ? ♪



歌詞に合わせてヒロインのカットに挟まれるヒーローのカット

恐らくヒーローの格好良さをアピールしているつもりのカットの数々


だけど中には……



いくらなんでもコレは……
余り格好良くないものや、



ジェット機と競争するなよ……
無茶なもの、
(注:ジェット機と競争していますこのヒーロー)


更には……



勿論ストライクなんだけど……
インド人の「格好良い」の定義が分からなくなるカットも盛り沢山で……
(なぜにボウリング???)


ほうら、とっても楽しい!!!



観る者の楽しさに拍車を掛けるように、
目映いばかりの魅力を振り撒くヒロイン!!

Mere Khwabon Mein

ああぁっ可愛いっっ!!


気分が盛り上がれば母親だって巻き込みます!
スコールだって呼び寄せます!!!


ずぶ濡れになったって平気っ!!!




 どうです? インド映画って素晴らしいでしょっ?!?!


 「なんで?」とか「どうして?」という疑問に振り回されて、本筋を見失ってはいけません。本筋を見失うのはヒーローだけで充分です。
 7曲の挿入歌の内、ダンスシーンが一番好きなものに「Mehndi Laga Ke」という曲があるのですが、これは、ヒロインの婚約式の宴会で披露される祝賀系の歌と踊りです。この曲が流れる時点で、ヒーロー、つまり「花嫁を連れて行く」はずの「勇者」は、まだヒロインの父親に気に入られてさえいません。(と、言うか、嫌われています)
 端から見たってかなりピンチの状態です。ピンチの状態だと言うのに……



Mehndi Laga Ke
他の男との婚約祝賀会で花嫁を前に自ら宴会を盛り上げる勇者の図

ハッキリ言って処置なしのお調子者!



 序盤、詐欺師紛いのプレイボーイ人格で颯爽と現れるヒーローですが、タイトルが「勇気ある者が花嫁を連れて行く」というくらいですから、それなりの誠実さと勇気を見せてもらわないと。
 詐欺師が「勇気ある者」に昇格するためには、やはり分かり易く……



泣かれたい男ナンバるワン俳優 SRK
大した必要性もなく血みどろ!の図

このくらいの目には遭っていただかないと!!



 どこまでも分かり易いぜ! だからインド映画って好きよっ!!
 このくらいの目に遭って、初めて障害であったヒロインのパパは許可を出すのであります。



美味しいトコ取り Amrish
障害物から許可が下りた瞬間!の図



 ブラボー! ブラボーーッ!! ブラボーーーッッ!!!



 ──コホン……。
 さて、「DDLJ」の魅力を余すことなく伝えたところで(……そうかぁ?)、今回のDVDのトホホ報告と行きましょうか。
 まず、最初から期待してはいませんでしたが、それでも喜んでしまった日本語訳……。しかし、見れば見るほどどっと疲れる出来映えでした。
 例えば、1ヶ月間のヨーロッパ旅行を終え、ヒーローとヒロインが別れた後、お互いがお互いを想い、お互いの幻影をちらつかせつつ突入する「Ho Gaya Hai」という素晴らしいミュージカル・シーンでの超訳……

Ho Gaya Hai


 「あなたは愛すなわち私の愛にある」……???※注10
 「翻訳ソフトに出力された文字を、そのままコピー&ペーストしたんだなぁ……」と思わせる、意味が分かりそうで分からない文章の数々……。
 別にいいんです。一応日本語ですし、ストーリーは至ってシンプルですから、言わんとすることはぼんやりと分かりますし。
 でもね……


Ho Gaya Hai Ho Gaya Hai
Ho Gaya Hai Ho Gaya Hai


 ……………………なんスか、その語尾に頻出する「キ」って。本当に翻訳ソフトがそういう日本語を弾き出したんですか?? 愛の歌を奏でているはずなのに、随分耳障りな金属音なんですが……。

 「あなたは回るために気遣わなかった」って言われても……ちょっと怯みます。※注11
 「私があなたを停止したかったまでに」って願われても……ちょっと困ります。※注12
 「来られた余分は何である」って問い掛けられても……ちょっと答えられません。※注13
 「オハイオ州の時間!タール停止は」って叫ばれても……ちょっと動揺します。※注14

 「キ」以外の日本語だって相も変わらず酷いモンですが、「キ」で文章を締められる衝撃に比べたら、小さい事のように思えて来るから不思議です。──はっ! これが狙いかっ?!?

 このように、日本語訳はあってないようなものなので、100%字幕に身を委ねる訳には行きませんが、やはりないとあるでは映画への没頭度も大分違ってきます。最低線、英語字幕があればストーリーは理解できますが、私の英語力もお粗末な物で、こんな日本語訳でも結構助かったりするのです。(まぁ2度目からは英語字幕で観ていましたが……)

 インド映画に日本語の字幕が付いた──英語がプアな者にとって、こんなに嬉しいことはありません。しかし、この日本語訳のお粗末さ加減も、そこはインド。並大抵ではありません。「何もこんなにシリアスなシーンでそんなカジュアルな意訳を披露しなくても……」というほどの妙な気の利かせ方が、切なくもあり、滑稽でもあり……。
 ここでひとつ気の利いた意訳の具体例を……。

 1ヶ月のヨーロッパ旅行を終え、家に戻ったヒロインが、旅先で運命の人との出会いを果たしたことを母親に告白するシリアスな場面です。
 字幕の日本語は余りに酷いので、私が意訳した序章からご紹介しましょう。


ヒロイン 「ねえ、母さん。私が以前、日記に書いてた夢のこと、覚えてる?」
   母 「ええ」
ヒロイン 「私が想像していた運命の人のことよ?」
   母 「……」
ヒロイン 「ずっとその人に会いたかった……」
   母 「……」
ヒロイン 「私、彼を見付けたわ」
   母 「……何ですって?」

 以上のような、暖炉の前での静かな、それでいて母にとっては衝撃の告白シーン。その想いを、インド人はこんな風に日本語訳して下さいました……。



はい、彼を見つけたんだ。
「はい、彼を見つけたんだ。」

何?まじで?
「何?まじで?」


 ……………………日本語訳、無い方がマシかも。とってもシリアスな場面も、翻訳ひとつでお笑いに……。
 でも、

本当にイイのかなぁ……
まあいいさ。


 こんなんでもそんなんでもあんなんでも、私がインド映画をオススメする心に揺らぎはなく、「何となく観てみたいなぁ……」などという魔法に掛かった方は、是非「DDLJ」をご覧下さい。
 下記のオススメWebサイトにて、通販ページも紹介しておりますので……。(別に関係者じゃないですよ、私)



注意書き説明
※注1 Filmfare Awards(フィルムフェア・アワード)とは、インドのアカデミー賞のようなもの。
※注2 インド映画史上最大のメガヒット作と勢い余って書きましたが、すみません……大袈裟に言ってます。正確には1990年代の大ヒット作。あ、やっぱり大袈裟でもないな。最大級のメガヒットだよな。ぶつぶつ……。
※注3 渋谷シネマライズとは、単館上映専門の先駆的映画館。ここでしか上映されない映画はたくさんあります。
※注4 東京国際ファンタスティック映画祭とは、東京・渋谷パンテオンにて毎年11月に開催される映画祭。
※注5 ボリウッドとは、インドのムンバイ(旧ボンベイ)を中心にした娯楽産業の拠点。ハリウッドを文字って付けられたネーミングらしい。
※注6 日本語以外にも、英語・フランス語・スペイン語・マライ語・アラビア語・ヘブライ語の全7ヶ国語に対応しているスペシャル版。このことからも「DDLJ」の著名度が窺い知れます。
※注7 最も好きな映画は、「DDLJ」と同じくシャールク&カージョルのコンビが主演の1998年に公開された「Kuch Kuch Hota Hai」。私のイチオシ!!!
※注8 「Kajol」の表記は「カジョール」「カジョル」「カージョール」「カージョル」など色々ありますが、ここでは一番メジャーな表記にしています。一番好きな表記は「カジョール」なんですが……。
※注9 実際問題シャールクは、1992年より毎年の Filmfare Awards で最優秀男優賞(新人賞・悪役賞を含む)を確実に獲り続け、以来現在に至るまで完全な首位独走状態!! ……でしたが、2000年1月に現れた新人リティック・ローシャン(Hrithik Roshan)の鮮烈なデヴューにより、少々翳りが……。リティックは正統派のハンサムだし身体もほどよくマッチョだし何よりも踊りがかなり上手いので、トップ男優になる要素を兼ね備えている新人です。(リティックがトップ男優に踊り出るのは時間の問題かと思われます……) しかしファンの欲目ですかね……どんなに端正な顔立ちでも、シャールクのあのくるくる変わる表情の底知れない魅力には及びも付かないのです。ほう。
※注10 日本語字幕では「あなたは愛すなわち私の愛にある」、英語字幕では「You're in love, my love.」、正確には「あなたは恋してしまったのよ」。ちなみに画面左のヒロインは、ヒーローの妄想。
※注11 日本語字幕では「あなたは回るために気遣わなかったキ」、英語字幕では「You didn't care to turn around, ...」、正確には「あなたは振り向いてくれなかった」。
※注12 日本語字幕では「私があなたを停止したかったまでにキ」、英語字幕では「By the time, I wanted to stop you, ...」、正確には「私があなたを止めようとしたとき」。
※注13 日本語字幕では「来られた余分は何であるキ」、英語字幕では「What's come over ... (my heart ?)」、正確には「(私の心は)どうなってしまったの?」。
※注14 日本語字幕では「オハイオ州の時間!タール停止はキ」、英語字幕では「Oh time! Stop, tarry, ...」、正確には「時間よ止まれ」。





DDLJ関係 簡易リンク&紹介一覧
(2008年7月現在リンク切れのサイトはリンクを外しました)

お勧め書籍
 ・「インド映画にゾッコン」 (野火杏子著、出帆新書発行)
 ・「マサラムービー物語」 (野火杏子著、出帆新書発行)

※他にも「インド映画娯楽玉手箱」(キネ旬ムック発行)、「DVDエンターテイメント アジア・インド映画編」(宝島MOOK発行)、「インド待ち」(周防正行著、集英社発行)などたくさんありますが、文章のセンスが良く、読み物として面白いのは野火杏子さんの本が群を抜いています。

お勧めWebサイト
 ・【AYAKA-RU】 ……文章センス最高! ルクファンという括りでなくても楽しめるサイト
 ・【Bergamo's Home Page】 ……通販あり/広く浅く判りやすくヒンディー映画を紹介しているサイト
 ・【TIRAKITA】 ……通販あり/2008年現在の最大手インド関係通販サイト

※他にも熱くて面白いサイトはたくさんありますが、知らなければ楽しくないだろうということで、総合案内的なものと、どうしても外せないファンサイトのみをご紹介しています。

メガヒット超大作 DDLJ の紹介&感想・評論
 ・【AYAKA-RU】内 ……「SRK」>「泪目ナンバる1」 & 「Far-east」>「DDLJ」
 ・【北のマサラ】内 ……特集「DDLJ」
 ・【映画瓦版】内 ……1回目「花嫁は僕の胸に」 & 2回目「ラブゲット大作戦」
 ・【Bergamo's Home Page】内
 ・【夢の丘】内
 ・【Indian Movies】内 ……「DDLJ紹介」
 ・【マサラ部屋】内 ……「on SCREEN」
 ・【マサラコーリング】内 ……「インド映画紹介」
 ・【インド映画は最高!】内 ……「これまでに観たインド映画」>「ヒンディー映画1」
 ・【Read to Bollywood】内 ……「Movie Reviews 1」
 ・【アジアの旅 アジアのご飯 アジアの音楽】内 ……「インド映画研究会」>「インド映画紹介」
 ・【B級映画館】内 ……「B級映画館・解説」>「インド」
 ・【HINDIの虜】内 ……「Shah Rukh Khan」
 ・【ネロリ印】内 ……「印度」>「もあもあ」>「感想全集」

ナンバるわん俳優 Shah Rukh Khan の紹介
 ・【Shaheen's Shah Rukh Khan Fansite!】 ……恐らく日本一のシャー・ルク・カーンファンサイト
 ・【Shahrukh Khan by Shruti】 ……この私が英語でも気にならないほどの熱いファンぶりに脱帽
 ・【Bergamo's Home Page】内 ……「HINDI FILM SALON」>「男優の紹介」
 ・【アジアの旅 アジアのご飯 アジアの音楽】内 ……「インド映画研究会」>「インド映画主要人名図鑑」
 ・【インドの風景】内 ……「男優」
 ・【Ueno's Home Page】内 ……「インド娯楽映画DVD情報」>「DVDリスト男優別抜粋」

スパイシーな女優 Kajol の紹介
 ・【Bergamo's Home Page】内 ……「HINDI FILM SALON」>「女優の紹介」
 ・【アジアの旅 アジアのご飯 アジアの音楽】内 ……「インド映画研究会」>「インド映画主要人名図鑑」
 ・【インドの風景】内 ……「女優」
 ・【Ueno's Home Page】内 ……「インド娯楽映画DVD情報」>「DVDリスト女優別抜粋」

 ※オマケでプチ紹介 ……Kajolの旦那これもです。愛する君が惚れたと言うのなら僕も応援するが……ちょっぴり複雑な気持ち。生まれて来る子の濃さが心配……。



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