日常エッセイ−21

「妊娠のススメ・補強版」

(1999年9月16日執筆/1999年9月18日加筆)



 私の周りには、「子供なんか欲しくない」という友人が結構いる。いわく、「こんな怖い世の中で子供を育てる自信がない」「人間一人を育てるなんていう責任を負うのがイヤ」「単に子供が嫌い」「産むのが怖い」と、理由は様々だ。
 私は「子供なんか欲しくない」と思ったことは一度もない。「子供を持つ機会に恵まれるのか?」という不安を感じたことは何度もあるが……。そういう個人的な事情は置いておいて、ここで子供を産む予定がない女性に、是非とも知っておいてもらいたい怖い事実がある。
 心して読んでいただきたい。

 友人の姉(30代前半)が、子宮に筋腫らしき影が見えるとのことで、手術を受けることになった。筋腫が悪性なのか陽性なのか、レントゲンだけでは判らないので、開いて確認してみようというのである。現代医学は進んでいるかのように見えて、その実、決定的なところで原始的だったりする。医者にとっては命に別状のない斬った貼ったの手術など大した事ではないかもしれないが、一個人にしてみれば、調べるためだけに腹を切り開かれるのはかなり嫌だ。
 ともあれ、友人の姉は検査のため手術を受けることになった。そして結果はめでたくも「問題なし」だったのである。

 さて、この話の何が怖い事実なのか。検査のためだけに腹を切り開かれたことではない。そうではなくて、医者の「30代の未婚女性は子宮の病気が多いんですよ」という一言から始まる衝撃的な「子宮の病気の原因」こそが話の焦点となる。
 なぜ、子宮の病気になったのか。変な病気が伝染するような真似はしていない。ただ普通に毎日を過ごしているだけなのに……。と、まぁそんなことを思ったかどうかは知らないが、友人の姉は「何が原因なのか」と聞いたらしい。すると医者はこう言ったという。

「結局ね、使ってないからですよ。今、高齢出産する人が増えてるでしょう。アレ、子宮のためには良くないんですよね。子宮は妊娠によって使われることで活性化して、妊娠中の10ヶ月という長い間に子宮内にある病原菌を排除するんですよ。この間に大抵の病気の元が活動停止して、最終的には綺麗に治っちゃうんです。昔はそれこそ10代、遅くとも20代では子供を産んでるのが当たり前だった訳ですから。それが30歳過ぎても妊娠したことないと、色々不都合が出てくるんですよ」

 ――ガーン……。

 人が生きる意味がどうのとか模索しているかたわらで、こんなにアッサリと「女の存在意義」の結論が出されているなんて……。女にしか授けられていない子宮をみすみす使わずに一生過ごすということは、神様にとっては病気にして懲らしめるほど自然の摂理に反しているということなのだろうか……。人の身体に不必要なものは何一つないのだという証明が、ここでもなされてしまった。
(※注:この他にも、脇毛の必要性を説いた【日常エッセイ】No.13「エステ業界裏話」をご用意しております)

 そしてもう一つ。種の繁栄こそが、人類に課せられた使命なのだという証明もなされてしまったように思う。人類がどんなに複雑化しようと、どんなに高等な知識を身に付けようと、女が子宮を持つ限り、そしてその子宮を使わないと病気になるなどという恐ろしい罰がある限り、私たち人類の存在意義は悲しいくらい単純なものなのである。
 脱サラがどうの、などと言う前に、まずは女としての役目を果たせって? 子宮を使えって? 神様は私にそう言っているのっ?!?

 ともあれ、子宮を使いたくても使う予定がない私は、この話を聞いてからというもの軽く1週間は夢で魘された……。うーん……うーん……。子宮筋腫……手術……恐いよー……。何も悪いコトしてないのに、あんまりだ〜〜〜〜っっっ!!
 ………………ショックは果てしなく大きい。

 私は思った。なんとしてでも30歳までに子宮の活躍の場を作ってやりたい、と。タイムリミットはあと5年……あっちゅー間な気がする。

 取り乱したまま総括に移らせてもらう。

 子供が欲しいという理由は、欲しくない理由同様、様々だろう。出産の高齢化が深刻化しつつある今、子供を欲しがる理由のトップ10の中に、「子宮を使いたいから」というシュールなものが食い込むのも、そう遠い話ではないような気がする。気のせいか?

 間違った結論に帰結したところで、ばいなら。





【追記】
 この「妊娠のススメ」をアップした翌日に、友人から更なる情報を貰ったので、ここに追記として加えておく。女が妊娠しないという不自然な現実につきまとう恐ろしい事実がより明確になってきた……。恐いよー……。「子供なんか欲しくないモン」と強がっているアナタ。以下の事実を肝に銘じましょう……。

30代の女性で、子宮筋腫、子宮内膜症などにかかる人が増えている。しかも、「子宮内膜症は、生理中はもちろん、排卵の時も激痛を伴うのに、子供を産むか子宮を取る以外に治療手段はない」らしい。これの治療として、「ホルモン注射」を打たれたら、なんと更年期障害のような症状が出たらしい。「子供を産まずに治療するには、ホルモンを高齢者のホルモンと同じにする。──つまり、体の老化を促進するしかない」という点が恐ろしい。



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