日常エッセイ−18

「花園大学」

(1999年9月8日執筆)



 私が大学生の頃のことなので、あれは6年ほど前だっただろうか。
 朝日新聞を見ていると、丸々1頁使った広告欄に、30校程度の大学の紹介と募集要項(パンフレット)の縮小写真の一覧が掲載されていた。何の気なしに大学名を目で追っていると、一際印象的な大学が紹介されているではないか。
「花園大学」
 ──悪いが笑った。

 私が笑ったのは大学名の滑稽さもそうなのだが、花園大学のパンフレットの表紙に書かれたローマ字があんまりだったからだ。近くにいた母を手招きして呼び寄せ、大笑いしながら私は言った。
「あーっはっはっはっ!! 見て見て〜。この花園大学っ! 大学名だけでも笑い取ってるのに、この募集要項の表紙見てよ〜。捨て身のギャグだよ〜。『フ・マ・ン』だってさ〜。そりゃこんな訳の分かんない大学じゃー、不満も出るわなー。花園って……ぷぷーっ。でも『不満』ってのはどうかしてるよね〜っ! うっひゃっひゃっひゃっ!」
 母は黙って私の手元の新聞を覗き込み、やがて押し殺した声でこう言った。
「………………どうかしてるのはアナタよ」
「へ?」
 本当に母の言う意味が分からなかった私は、間の抜けた返事を返した。すると母はギッと私を睨め付け、吐き捨てるように言ったのである。
「英語が出来ない、ってな問題じゃないわよっ! いい加減にしなさいよっ。『不満』って何よっ!! 『ヒューマン(HUMAN)』じゃないっっ!

 ──言っておくが実話である。



追記:母が友人にこの話をすると、「それはお嬢さんの冗談よ。いやーね、鷹瀬さんたら」と信じてもらえなかったと言う。まぁそうだろう。

私信:花園大学の皆さんには本当に失礼なことをしたと反省しています。ほんの出来心だったんです。馬鹿にされるべきは私の方でした。すみません……。本当にスミマセン。




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