日常エッセイ−16

「恋愛気質」

(1999年2月執筆/1999年9月5日加筆)



 内輪受けになる恐れがあることは充分に承知しています。が、これは端から見ても共感できる(人には出来る)話ではないだろうか、ということで、今回は小学校4年からの付き合いがある友人Zとのe-mailの遣り取りの一部を紹介したいと思います。25歳の女2人の本音トーク(と言うかメール)、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

 まずメール紹介の前に、この友人Zについて簡単に一言。彼女と私は既に15年以上の付き合いになる訳ですが、時間で熟成されていることもあって、こんな友人を持っている人間は少ないのではないか、と思うほど大切な友人に仕上がっております。
 彼女とは遠く離れた所に住んでいる訳ではないし、月に2〜4回は会っているにもかかわらず、メールの交換日記がなぜか日々単位で盛んに行われています。
 私の身の周りで起ったことを、彼女にメールとして発信することにより、日記よりもより第三者に分かる文章を書く訓練がなされているのは明白で、今後アップしてゆく予定のネタは、彼女に宛てたメールからの抜粋も多くなるでしょう。

 今回は、この友人Zと私が’99年2月3日に映画「のど自慢」(主演:室井滋)の試写会を観に行ったことから始まる話題について、その一部始終を掲載しようと思います。もちろんこの間に遣り取りしていたメールの内容はこの話題だけではなく、多岐に渡っていたのですが、今回はタイトルでもある「恋愛気質」に関しての遣り取りのみを抜粋してみました。その他の部分は省略しているので、文章がいきなり終わっている部分もありますが、そこら辺はサラリと読み流して下さい。

 簡単に基本事項となる事の起こりだけ話しておきます。
 映画「のど自慢」の中に出てくるある家族がとても微笑ましく、特にその家族の大黒柱で「人生ガッツとファイトだ!」をモットーに明るく生きる大友康平の役に惚れてしまった私は、「のど自慢」を観終わった直後から「いいなぁ〜……あんな旦那さんが欲しい……」とずっと言い募っていたのです。そんな状況下で、このメール交換は始まっています。

 では、「恋愛気質」に関する独身女2人のムナシイ遣り取りをご覧下さい。

(注:改行などは読みやすいように変形しています)
(注2:Zよ……掲載許可、アリガトウ)




 差出人:鷹瀬/件名:赤井英和/送信日時:1999年2月4日14:36 
昔から結構好きだったんだよね。赤井英和。でもまぁ「すんごく好き!」ってんではなく、「まぁまぁスキかな…」って感じでね。そしたら今日の昼、NHKで赤井英和をゲストに、なんだろう、あの番組は…。なんか徹子の部屋みたいな感じの番組やってたんだ。司会者は男女各1名ずつ。んで、赤井英和に色々話してもらうのよ。

赤井英和って、人生波瀾万丈で、ああいう人生主題のトーク番組は、聞いてるだけでも充分おもしろいんだけどさ…。そしたらさ、赤井英和ってどうやらスッゴイ愛妻家らしいんだな。それが、取り繕うような愛妻家ぶりじゃないくて、筋金入りなんだな…。

まずね、なんかつい最近、アフリカに番組収録のため45日間行ってたんだって。そしたら子供が3人いるらしいんだけど、その一番下の女の子・ツカサちゃんから、「あっちに行っても寂しくないように、ツカサ日記を持って行って、ツカサのことを日記に書いてね」って、何も書いていない日記を渡されたらしいのね。赤井英和は愛妻家なだけでなく、すごく家族ラブラブらしい。

んで、アフリカ行ったらパパは案の定、家族のいないこの生活に寂しくなっちゃって、ツカサ日記、大活躍よ。しかも「ツカサのことを書いてね」っつーのに、中身は奥さんのことばっかりで埋まってるらしい…。

司会者が「奥様のヨシコ様から借りてきました。コレがツカサ日記です」っつって、普通のB5判のコクヨのノートを取り出したのね。で、中身をその場で何個所か読み上げたのよ。
──凄かった…。

「ヨシコちゃんに会いたい」
「ヨシコちゃんと結婚して良かったなぁ、って思う」
「これからもずっとヨシコちゃんと仲良くしていきたい」
「ヨシコちゃんは、ツカサと××と◎◎を産んでくれた。本当にありがとう」
「今日、ヨシコちゃんに電話した。ワシがいなくて寂しいって言ってた」
「あと10日、あと10日。10日。そうしたらヨシコちゃんに会える」

……新婚アツアツとはよく言うけど、もうこうなると、中学生の交際中みたいな勢いだよね…。もー赤井英和、照れちゃって大変だった…。
で、この話のあとに、赤井英和のお母さんが登場するのよ。本人はその時初めてお母さんの登場を知ったみたいで、凄く動揺してたさ。んで、お母さんの話になった時に、司会者が言うんだ。

「とても仲の良い息子さん夫婦ですが、なんですか? お母様も今だにお父様とアツアツだとか。手を繋いで歩いたりしているというお噂を耳にしたのですが…」

ふぅ…。
要するに、そういうパパ&ママを見て育ってるから、自分も奥さんに自然に優しくなるんだろうねぇ…。「家族仲が良い」ってことを心底知ってるのね…。
最後に、お父さんから赤井英和に手紙が来てて、それを司会者が読み上げたんだけど、最後の結びの言葉が
「ガンバレよ。応援している。愛する英和へ」
だって。日本の父親で、息子に「愛する」を付けられるほど先駆的な人がパパなんだよね…赤井英和の。
はぁ〜。もう司会者の女の方、大変だった。「いいなぁ…。素敵だわ…」って溜め息の連続…。気持ち判る…。

結婚するなら向井千秋の旦那か、赤井英和か、大友康平だね。

さて、間違った結論に帰結したところで話は変わるけど…。


 差出人:Z/件名:RE:赤井英和/送信日時:1999年2月6日18:38 
やあ。キミのメールもどうかと思ったけど、「のど自慢」見終わった後なので咎められないよ…。

> 女の子・ツカサちゃんから、「〜ツカサのことを日記に書いてね」
> って、何も書いていない日記を渡されたらしいのね。
> 赤井英和は愛妻家なだけでなく、すごく家族ラブラブらしい。

もうこの時点で私達の周りにはいない家族像だよ。

> 「ヨシコちゃんに会いたい」
> ……
> 「あと10日、あと10日。10日。そうしたらヨシコちゃんに会える」

ウチの母も「ヨシコ」って名前なんだけど…。いや、だからなんだって言われれば、何でもないですってコトなんだが。……同じ名前でも扱いがこうも違うと、ちょっと哀れに思えて……。

> 新婚アツアツとはよく言うけど、もうこうなると、中学生の交際中
> みたいな勢いだよね…。もー赤井英和、照れちゃって大変だった…。

………………。そりゃあ、照れてくれっ。

>「とても仲の良い息子さん夫婦ですが、なんですか? お母様も今だに
>お父様とアツアツだとか。手を繋いで歩いたりしているというお噂を
>耳にしたんですが…」

最近の朝日新聞の朝刊読んでる? シリーズ物のところで、最近まで「妻(女側)の暴力」を扱ってたんだけど、先週からテーマが「独身」

………………。まあ、私達のことは置いといて。読者の投書で成り立ってるんだけど、「何故独身を通すのか」というので、ある女性が
「私は仲の良い家族なんて信じられません。両親は私達が小さい頃から仲が悪く、そのくせ今でも家族を続けてるんです。なんで離婚しないのかと母に聞いても、あなた達子供がいるから、と言葉を濁してしまう。……だから私は家族なんてほしいとも思わないし、ましてや子供なんて絶対ほしくありません」
かなりはしょってるけど、こんなカンジ。

「のど自慢」見た後だし、キミのメール見た直後だったからさ。
なんにでも当てはまることなんだね。幼少の頃の環境が人生を左右するって。すべてが環境の所為だとは言わないが(大きくなって自分でどうにかできることはあるからさ)影響の大きさは計り知れないよ。私達が「独身」(ひとりみ、と読む…)なのは、環境の所為……な訳ないよね。あ、でも、性格は環境に大きく左右されるんだから環境の所為と言えないこともナイ…。

> 結婚するなら向井千秋の旦那か、赤井英和か、大友康平だね。
向井万起男の「きみについて行こう」読んでっ。
ほんとにね…。でも、これらのような人々は、そんなにいないから話の種になるのだよ…。ましてや、私たちの所に来てくれるほど、このような人は余ってやしないのだ。…終わっちゃった…。

> さて、間違った結論に帰結したところで
自覚があってよろしい。


 差出人:鷹瀬/件名:恋愛気質/送信日時:1999年2月7日1:53 
> やあ。キミのメールもどうかと思ったけど、
うっ…まぁね。仕方ないよね。ああいう嘘のようなでも本当っぽい、でも自分には無縁な世界の映画って、切ないよな。ヘコむよな。いや、「のど自慢」はいい映画だったけど。

> > 赤井英和は愛妻家なだけでなく、すごく家族ラブラブらしい。
> もうこの時点で私達の周りにはいない家族像だよ。
本当にさー、私たちが思ってるより、世の中、ラブラブ家族っているのかなー…。ただ、類友の公式で、あまり巡り合わないだけ?

それと、Zのお母さん「ヨシコちゃん」ってゆーのか…。ま、「ちゃん」が付くと固有名詞格だよね…。アナタのお母様は「ヨシコ」。
そして私は「タカセ」、ちなみにアナタは「Z」、ウチの母さんは「オイ」
──はぁ〜…ヘコむねぇ…。

それにしてもZ、新聞読んでるんだね。偉いぞ。わたしゃ最近テレビ欄くらいしか読んで(しまった。「見て」だな…)ないよ…。コレじゃあイケナイ…いけないとは思いつつ…。でもZさぁ…読んでても、話題に上がるのはいっつも↓こんなんね。

> 最近の朝日新聞の朝刊読んでる? シリーズ物のところで、最近まで
> 「妻(女側)の暴力」を扱ってたんだけど、先週からテーマが「独身」。

……こんなんバッカ読んでる訳じゃなくて、たまたま話題に上るのがこういうコーナーなだけだよね?? ──おや、「ばっか」の変換が心の篭ったものになってる。そのままにしとく。

> 私達が「独身」(ひとりみ、と読む…)なのは、環境の所為……
で? 「独身」だって? 「ひとりみ」って読むんだ…。指示付きかよ…。なんでだろう…染みるね…。「どくしん」より「ひとりみ」の方が…。同じような例で、「下僕」って「しもべ」より「げぼく」の方が重くない? いや〜日本語ってイイよね〜〜。他にもこんな例ないかな〜。
いや、それは置いといて。

そうだよ。独身でいたいと思うのは環境のせいだよ。でも別に望んでる訳ではなく、流れで独身になってしまっている人は? なんで?? 恋愛体質じゃないから?

昨日「マディソン郡の橋」やってたじゃん? あの予告編のワン・シーン見ただけで「げー、こんなシワシワのジジィとババァで恋愛かぁ? 笑かすなよ〜〜」と言ってたら、母さんが遠い目して、
「まぁ私もそう思うけど、アナタなんかシワもないのにラブシーンの相手もいないのよねぇ…。なんでかしら?」
と黄昏ていた。黄昏られても…。

でも恋愛体質は遺伝だよね…。ウチなんか父さんも母さんも冷めてるから、もう完璧に駄目だよ。その点、Zん家はお父様がホラ…。
──ハイハイ。分かったよ。ゴメンよ。もう言わないから。

でも恋愛は年じゃないんだよねー。気質。これに限るわ。幽霊と一緒だよ。20歳までに見なかったら、一生見ないってヤツ?

> 向井万起男の「きみについて行こう」読んでっ。
読む読む。その前に、枕元にある「ホワイト・アウト」だな…。もうかれこれ1ヶ月以上置いてあるよ…。


 差出人:Z/件名:恋愛気質←どこへ行けば手に入るのかな……。
 /送信日時:1999年2月8日0:01
 
やあ。──というわけで件名なんだけど、いくらまでなら出す気ある?

> 「ちゃん」が付くと固有名詞格だよね…。アナタのお母様は「ヨシコ」。
> そして私は「タカセ」、ちなみにアナタは「Z」、ウチの母さんは「オイ」。

………………。びっくりした。こんなに呼び名が体を表すなんて……。

> それにしてもZ、新聞読んでるんだね。
> でもZさぁ…読んでても、話題に上がるのはいっつも↓こんなんね。

いやあ、会社で朝日新聞とっててさ、お昼休みに読むわけよ。で、最後のページからぱらぱら見てゆくと、ふと手が止まるところがいつも似てきちゃうのよ…………。

>> 最近の朝日新聞の朝刊読んでる? シリーズ物のところで、最近まで
>> 「妻(女側)の暴力」を扱ってたんだけど、先週からテーマが「独身」。

> ……こんなんバッカ読んでる訳じゃなくて、たまたま話題に上るのが
> こういうコーナーなだけだよね??

………………。
手が止まってしまうのっ。で、コレ読んでるとお昼休み終わっちゃうのっ。気がつくと読んでる欄は、テレビ欄とこういうコラムだけなのっ。昼休みが短い所為だよ、まったく…。
………………今、半眼状態になったでしょっ?

> そうだよ。独身でいたいと思うのは環境のせいだよ。でも別に望んでる
> 訳ではなく、流れで独身になってしまっている人は? なんで??
> 恋愛体質じゃないから?

またしても終わっちゃったじゃん……。恋愛体質じゃなければもう望むべくもないってことじゃん。けっ。あがいたって無駄なもんは無駄さっ。

> 母さんが遠い目して、「まぁ私もそう思うけど、アンタなんか
> シワもないのにラブシーンの相手もいないのよねぇ…。
> なんでかしら?」と黄昏ていた。黄昏られても…。

コレ、すげー笑えた。(笑ってる場合じゃないのは重々承知である)
……最近このテの話題に関して、ママリン攻撃的だね…。

> でも恋愛は年じゃないんだよねー。気質。これに限るわ。
> 幽霊と一緒だよ。20歳までに見なかったら、一生見ないってヤツ?

じゃあ、もうないんだ。ココロときめかせること。
うげー。「ときめかせる」なんて単語使ったの、今までの人生の中で何度目だー?


 差出人:鷹瀬/件名:金で買う気っ?!/送信日時:1999年2月8日17:24 
よーっす。いきなり一つ聞きたいんだけどサ…。

> 件名:恋愛気質←どこへ行けば手に入るのかな……。
> というわけで件名なんだけど、いくらまでなら出す気ある?

ちょっとアンタ…「いくらまで」って…「恋愛気質」を金で買う気っ?! そもそも姿勢が間違ってるんだってば。早く気付けよ。それとももう気付いてるの? それを見ないフリしてるのっ? 微妙なことすんな!

> > 私は「タカセ」、ちなみにアナタは「Z」、ウチの母さんは「オイ」。
> ………………。びっくりした。こんなに呼び名が体を表すなんて……。
イヤな「体」だなぁ…。………(←吟味してる)。やっぱ嫌な体だなぁ…。

> いやあ、会社で朝日新聞とっててさ、お昼休みに読むわけよ。
> で、最後のページからぱらぱら見てゆくと、ふと手が止まるところが
> いつも似てきちゃうのよ……。

安心したよ。私と大差なくて。良かった良かった。…イヤ、不味いのか。

> 気がつくと読んでる欄は、テレビ欄とこういうコラムだけなのっ。
> ………………今、半眼状態になったでしょっ?

あれ〜? このメールって画像まで送れたっけぇ〜??

> ……最近このテの話題に関して、ママリン攻撃的だね…。
何かねぇ…。この頃原稿をやってるせいもあって、外出しない時はほとんど自分の部屋でひっそり時を過ごしてるんだけどね。でもさぁ、原稿なんて10の時間があったら10やってる訳じゃないのよ…。
まずPCに向って、メールに2、ネットに1、フリーセルに3、そしていよいよ原稿に向って、乗って乗って乗りまくって4って時間配分なのよ…。でさぁ、昨日ウッカリ母さんに向って、
「フリーセル、もう私マスターだよ! 勝率70%超えたもんねっ!!」
って意気揚々と報告してしまったのよ…。そしたら大変なことになった…。母さん顔色変えて、私をなじったよ…。

ナニっ?! アンタ、今まで部屋に篭って原稿やってると思ったら、ゲームしてたのっっ?!? 会社辞めて有意義に時間を過ごしてるんだと思ったら……。何よっ! そういうことっ?! もーダメよ、アナタを信じた私が馬鹿だった……!

ココまで言われた…。ほんのちょっとのお茶目な報告も許されないらしい…。めそめそ…。もっと恐かったのは、母さんが私に本気で夢を見ている事実かな…。

> うげー。「ときめかせる」なんて単語使ったの、今までの人生の中で
> 何度目だー?

ってゆーかー、ふざけたり、茶化したり、馬鹿にしたりの話題ではよく使ってるんだけどねー…。




 ……とまぁ、こんな流れで「恋愛気質」の話題はこの日をもってメール上から消えて行きました。
 いかがでしたでしょうか? 今読み直したら大した事ない話ですね。でもメール交換している当時は、返信が来る度に大笑いしていた気がします。これこそが内輪受けなのか……。

 しかし、私たちの気持ち、共感してくれる女性はいないかなぁ……。別に男性でもイイけど。なかなかねぇ、こういうコトにクールだと困りモンなんですがねぇ……。いや、本人的には情熱的(?)だと思うんだけど、方向性が違うと言うか、世の中の流行とソリが合わないと言うか……。くそぅ……なんでじゃ。

 さて、どうやっても内輪受けの感が濃いですかね? それともこの程度なら大丈夫ですかね? 今後も第三者が読んでも面白そうなモノがあればアップして行きたいと思っておりますので、ご意見ご感想あれば心してお待ちしております……。



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