2004年 卵巣嚢腫体験記
[目次に戻る]
2004年明け早々に発覚した右下腹付近にこっそり成長して存在していた卵巣嚢腫(のうしゅ)――それは成人女性によく見られる病気。「死ぬわけじゃないし」という言葉を口癖のように言うワタクシに天罰が下ったのでしょうか……。死ぬわけじゃないけど手術コワイ……。「白い巨塔」の世界が垣間見える今日この頃、病院&医者嫌いになりそうです。この【卵巣嚢腫体験記】では、卵巣嚢腫の発見から検査、手術、術後の経緯の詳細を記録して行きます。同じ目に遭っている女性の役に立てば幸いです。
※卵巣嚢腫は卵巣嚢胞(のうほう)とも言います。
| 小見出し一覧 | ||
| 第1章 はじめに | 第2章 事の起こり | 第3章 最初の婦人病検診 |
| 第4章 2度目の検診 | 第5章 インフォームド・コンセント? | 第6章 大病院体験記 |
| 第7章 結局は医者の人間性 | 第8章 とりあえずの総括 | 第9章 医療界は今やサービス業 |
| 第10章 やはり大病院は大病院 | 第11章 弱り目に祟り目…… | 第12章 大病院における予約合戦 |
| 第13章 開腹か腹腔鏡か | 第14章 腹腔鏡手術の基本知識 | 第15章 デリカシー知らずの婦人科 |
| 第16章 力み過ぎた術前検査 | 第17章 術前最後の診察 | 第18章 入院準備、そして入院 |
| 第19章 実際の入院スケジュール | 第20章 腹腔鏡手術体験レポ | 第21章 手術に伴う痛みの分析 |
| 第22章 手術の費用 | 第23章 素人からのアドバイス | 第24章 病院選びのお手伝い |
婦人病における腹腔鏡手術がどんなものなのか調べていてこのページを覗いた方は、手っ取り早く第14章の基本知識や第19章の入院スケジュールに飛ぶことをお勧めします。入院スケジュールでは入院から手術、退院までの具体的な流れの1例をご紹介しています。
プラスαの情報として費用を知りたい場合は第22章、生の声を聞くなら第20章の体験レポート、手術前後で発生する痛みを把握しておきたいなら第21章、病院選びの素人アドバイスは第24章へどうぞ。
この番外編「卵巣嚢腫体験記」を開設したのは2004年3月6日(土)です。
第1章 はじめに
私はこのサイトの日記連載にあたって、書くこと・書かないことの線引きを明確にしています。私生活を垂れ流しているように見える日記ですが、自分の中では比較的シンプルに公表することしないことを分けているつもりです。
今までは結構簡単にこの分別が出来ていたのですが、最近勤め始めたA社では「どこまで書いていいのかな……」と迷う場面が非常に多く、そんなことが続く中、今回の件も書くべきか書かないべきかかなり迷いました。
結論としては、私の身に起こっていることは特別なことではなくよくある普通のことで、同じような目に遭う人が出ないよう、やはり多くの人に知って貰いたいという気持ちが勝り、公開することに決めました。ソフト面では女性にしか関係のない話ですが、ハード面では女性も男性もない、これは日本の医療界の体質だと思いますので、お暇でしたらご一読して頂けると恥を忍んで公開した甲斐があります。
また、大変我儘で申し訳ありませんが、ここに公開する情報以上にお知らせすることはありませんので、個人的にメールで相談や質問されてもお答えできないと思います。ちょっと自分のことで一杯一杯なもので……すみません。ネットを検索すれば様々な情報が得られます。まずは自分で探してみましょう。
事の起こりは新年明けから既に始まっているのですが、まぁ本日までに色々あって、ワタクシどーやら年内に手術をしなくてはならんようです。卵巣嚢腫(のうしゅ)という女性によくある病気で、命に別状があるような大病ではないのですが、場合によってはこの嚢腫を摘出しなければならんというもので、私のケースはどうやらこの「摘出しなければならん」ケースの可能性が高いとのこと。
第2章 事の起こり
今まで手術経験もなくそれなりに健康に過ごして来たので手術となると腰が引けますが、医者に言わせれば「最も初歩的な手術」だそうで、こんなことで恐がっていては大病を患っている方に申し訳ない、ということで徐々に覚悟を決めつつあります。
私の覚悟はヨシとして、こういう目に遭って心底思い知ったのが日本の医療界の問題点です。このことについて話す前に、まずは経緯からお話しなければなりません。
【参考サイト】
しばしばみられる卵巣嚢腫・卵巣腫瘍
卵巣嚢腫ってどういう病気ですか?
シーちゃん先生の元気になろうよ>卵巣嚢腫
2004年1月末。
第3章 最初の婦人病検診
事の起こりである婦人病検診、何もなければそれですべてが終了し、来年の検診まで安穏と過ごせたのでしょうが、初っ端から嫌な目が出てしまいました。切っ掛けは今年の1月末に受けた普通の婦人病検診でした。留学していたせいで30歳から無料で受けられる子宮ガン検診を逃しており、別に異常はないし来年を待つか……と思いつつも友人たちもぼちぼちこういった検査を始めているので、受けてみるかと重い腰を上げた次第です。
内診(膣に検査器具や指を入れられる検診)が精神的にも生理的にも嫌だったので、婦人病検診を専門に行っているクリニックAで内診なしの簡単な健診を受けたところ、腹部エコー(超音波)で右卵巣に異常があることが見付かりました。この時の女医Aの説明はこうでした。
「子宮の右側に約6.5cm大の嚢胞性腫瘤が見られます。右卵巣由来の”しょう液性嚢胞腺腫”が最も考えられ、悪いものである可能性は少ないですが、一度婦人科を受診して詳しい検査を受けてください」急ぐべきですか?と尋ねる私に、
「この嚢腫は綺麗な球体ですし(※注)、血液検査の結果、腫瘍マーカーにも異常が見られないので、良性のものだと思います。良性の場合はそんなに急がなくて大抵は経過観察ということになりますので、今日明日中に再検査を行う必要はないですが、念のため……」という返事が返ってきました。この時は納得し、撮ったエコーの写真は頂いて帰りました。その後すぐにこの写真を持って婦人科を訪れれば良かったのですが、やはり気が重くなるもので、つい後回しにしてしまったのでした。
※注:ボコボコした腺腫の場合は要注意なんだそうです。
ちなみに、後から考えるとこのクリニックAは非常に丁寧で対応が良かったと思います。雑誌にも取り上げられており、有名なクリニックのようです。参考サイトとして紹介しておきます。内診が嫌な人にはオススメかも。
【参考サイト】
高輪メディカルクリニック>クイック女性ドック
2004年2月末。
第4章 2度目の検診
そして1ヶ月後の2月末、今度は詳細検査のために評判の良い産婦人科(クリニックB)を訪れました。クリニックAで撮ったエコーの写真を見せたのですが、「このクリニックBではスキャンやMRI(磁気共鳴画像)などの設備が整っていないためエコー以上の検査は出来ない」と言いつつも再び内診のエコーの検査をし、結果、やはり詳細検査が必要ということになり、順天堂医院の紹介状を出されました……。
あんなに嫌がっていた内診(今度はエコーを中に入れる……)も、結局話の流れでアッサリヤラレルことになり、検査に進展があるならまだしも、恥ずかしいわ成果は得られないわで「…………」という苦い気持ちになります。
ここで新たな情報が得られないならば、わざわざ内診のエコー検査をする必要はないわけで、何のために検査をしたのか謎ですが、この嚢腫は中身が液体の場合には小さくなることもあるようなので、その確認だったのかもしれません。ただ、こういった説明が一切なかったので「……」という気持ちになります。
確かに私から「検査は出来ないのでしょうか?」とは聞きましたが、エコーで見ても内容物が断定できないのであれば結局MRIの設備がある病院へ行かなければならないのですから、その旨を最初に明言して欲しかったのですが、「結局MRIが必要です」という話を聞いたのは内診エコーが終わった後でした……。
そうは言ってもとりあえず評判通り対応の良いクリニックで、医者Bは男性でしたが診察も問診も丁寧で、この後訪れる順天堂医院に比べてかなりの安心感があったのだと後に思い知りますが、それは後々書きます。
この医者Bから得た情報は、次の通りです。
●卵巣にできる良性の腫瘍・卵巣嚢腫には大きく3種類あり、中にお水や粘液がたまる嚢胞腺腫、古くなった血液がたまる卵巣チョコレート嚢腫(卵巣にできる子宮内膜症)、ラード状の脂肪や髪の毛・歯が入った皮様嚢腫が代表的。私のケースは髪の毛が入っている皮様嚢腫の可能性が高いけれど、これはスキャンして中を確認しないと分からない。逆に言うと、スキャンを撮ると確実に分かる。
●悪性である場合は少なく、緊急を要することはないが、通常、拳大より大きいものは摘出手術を行う。
●内容物が液体の嚢胞腺腫の場合は大きくなったり小さくなったり、自然に治るケースもあり、大抵は経過観察で異常に大きくならない限り出来るだけ手術は避ける。内容物が液体でない場合は大きくなることはあっても小さくなることはないので、遅かれ早かれ摘出手術が必要。
●手術の場合、開腹手術と腹腔鏡手術が選べる。開腹手術が10日程度の入院を必要とするのに対し、腹腔鏡手術は傷も小さく5日程度で済むため、人気が高い。
●腹腔鏡手術をするなら順天堂医院が有名だが、予約から手術まで通常4〜8ヶ月待つことになる。
紹介状を書くにあたって、この医者Bが「どこの病院をご希望ですか?」と聞いてくるので、こちらから「どこが評判が良いんですか?」と聞き返すと、「どこでも同じですが、腹腔鏡手術をするなら順天堂ですかね」との条件付きの返事が返ってきます。腹腔鏡手術についての知識が余りなかったため、「傷が小さい。回復が早い」というメリットだけを聞いて当然この手術を受けたい気持ちになり、順天堂医院の紹介状を書いてもらいました。
痛い思いをして撮った内診のエコー写真はカルテに貼り付けられてしまったために貰えず、今でこそ「もうここには来ないからそのカルテのコピーをくれ。それは私の情報なんだから」と思いますが、その時は初めての内診で動揺していたらしくノコノコと帰ってきてしまいました。後に冷静になって、頑張ってでもあのエコー写真を貰ってくるべきだったと地団太を踏んでも後の祭……。
このクリニックBを訪れた意味って、「やっぱり一度婦人科を訪れて精密検査をする必要がある」と確認し、順天堂への紹介状を書いてもらったことだけな気がします……。最初から大病院を訪れていれば良かったのか……?
【参考サイト】
産婦人科内視鏡ホームページ
腹腔鏡手術はいま〜定着の一方でミスも
婦人科領域における腹腔鏡手術の夜明け
手術の方法−腹腔鏡下手術の正しい理解のために−
順天堂婦人科における内視鏡手術の成績
2004年2月末〜3月上旬。
第5章 インフォームド・コンセント?
順天堂医院への紹介状を書いて貰ったものの、やはり不安だったので色々ネットを調べると、この腹腔鏡手術に関する医療ミス関連の記事が出てくるわ出てくるわ……。素人的に考えても、直接患部が見えない状況下でモニター越しに患部を突き回すような手術は事故も多いんじゃないかとの不安が募ります。
私の嚢胞は既に6.5cmと大きく(半年後の10月には8.6cmに成長)、これを小さい穴から摘出するとなると内部で壊してから引き釣り出すのでしょうか……。しかも、開腹手術は部分麻酔が可能なようですが、腹腔鏡手術は全身麻酔が必須との記述も見付け、不安は最高潮に達しました。
紹介状を書いた医者Bは「腹腔鏡なら順天堂」と薦めたワケですが、では普通の開腹手術を選択した場合、順天堂で良いのかしら……。
誰か身近に専門家はいないかと探し、たまたま母の友人の旦那さんが婦人科の医者Cであることが分かり、直接電話で話せることになったので、私の詳細情報を伝え、この手術に関しての質問をぶつけました。すると、今度はこんな回答が返ってきたのです。
「腹腔鏡ねぇ……知ってると思うけど、色々問題も多いんだよね。もし僕の身内があなたと同じ境遇だったら、僕は開腹手術を勧めますね。今回の件で医者と話していて心から納得出来たのはこれが初めてです。
嚢腫の中身が液体ならその液体を抜くだけだから腹腔鏡でも問題ないと思うけど、あなたの場合はどうやら中身は髪の毛じゃないか、って言うんでしょ? ――ええ、大体エコーを見ただけでも中身は分かりますよ。確定するにはスキャンしないと駄目ですが。
結局お腹に何ヶ所か穴を開けて、そこから入れたモニター越しに手術するもんだから、取り零しとか卵管を傷つけたりとか開腹に比べて危険性も高まるし、もし袋の中にガン細胞なんかがあった場合、摘出する前に袋が破けて内部に撒き散らかったりしたら面倒なことになるんだよ。
嚢腫の切除・摘出手術は10分程度で終わる初歩的な手術だし、あなたの場合なら切るのは10cm程度だろうし、開腹した方が綺麗に患部が切除できるから、安心だと思いますよ。――手術痕? 横方向に切れば痕も残らないし綺麗なもんですよ」
納得して安心する一方で、ではなぜ私が腹腔鏡手術を選択した際に、前回の医者Bはこの件に関して何も教えてくれなかったのだろう……という疑惑も湧きます。
友人に小児科の医者がいるのですが、以前彼女が言っていた言葉がふとよぎりました。
「医療ミスって、あの裏側の忙しさを見れば『そりゃ起こるよ』って感じなんだよね。今ねぇ、医者も訴えられたりするケースが多いから、授業の中で『訴えられない言い方・やり方』を教えたり、そういうマニュアルまであるんだよ」………………。あくまで推測に過ぎませんが、もしも医者側から変に提案すると、何かあったときに「先生が勧めたから!」という責任問題になるかもしれず、それを避けるために患者が希望を出した場合、多少の問題があってもとりあえず「はいはい」と聞き、反対しないんじゃないか、と……。そうすれば何かあった時に「あなたの選択でしょ」と言い逃れが出来るのではないかと、そう勘繰ってしまいました。
今回の順天堂の紹介状を書いてくれた医者Bのどこか曖昧な態度は、この一環なのではないかと。結局、この医者Bは嘘は吐いてないワケですし。ただ腹腔鏡手術の危険性を教えてくれなかっただけで……。
………………納得行くまで話してくれたら訴えないから、ちゃんとあらゆる可能性を提示して欲しいものです……。そのための医者、そのためのプロでしょうが。嫌な世の中になってきたなぁ……。
この件を友人Zに話すと、彼女からはこんなコメントが。
医者によって見解も違うって言うし。親知らず抜きたがる歯医者と放っておいてもいいという歯医者がいるのと同じなのか?私に明確な「お勧め」を教えてくれた医者Cは、知り合いのアドバイスに過ぎないからこそ忌憚ない意見を言ったのかもしれません。患者として出会っていた場合、同意見を聞けたかどうかは不明です。
確かに今の医者は責任逃れの術を駆使しているように見える。せっかくのインフォームド・コンセントもね。以前新聞の投書にあったんだけど、
「インフォームド・コンセントと言って説明されて、『さあ、どちらにしますか? アナタの自由です』と言われても、患者側は判断できない。『Aという方法とBという方法とどちらが良いんですか?』と聞いても『何とも言えません。お好きな方を選んでいただくしかありません』と言われて途方に暮れた」
っていうのがあったのよ。これはもうインフォームド・コンセントじゃなくて責任放棄じゃないんだろうか?
まあ、昔みたいに説明ナシよりはマシなんだけどさ。でも、告知されてパニクってるところに
「さあ、判断しなさい」
って言われても、難しいよね。
また、この医者Cのオススメが正しいかどうかは別問題です。既に定年退職された方の意見ですし、腹腔鏡手術は2年前ほどから急激に普及を見せ、今では良性卵巣嚢腫ではメジャーな手術方法となっているようですし、年配の医者は革新的な技術は嫌うものかもしれません。ただ情報として、歯に衣着せぬ物言いをして欲しいのです。
何のために医者がいるのかと言えば、実行部隊以外にもアドバイスが欲しいときに精神的な支えとして「こっちの方が安全ですよ」と専門家としての知識を分け与えるためだと思うのですが、何だか悪い方に居直っている気がしてなりません。
もちろん多数派とは思えませんが日本にだって里見先生@白い巨塔はいる訳で、そういう先生に巡り会えるかどうかで病気との付き合い方も全然変わって来るでしょう。そして実体験として立て続けに医者と面会して行くにつれ、里見先生はやはり堂々の少数派なのだと痛感するのです。
【参考サイト】
インフォームド・コンセントとは何ですか
2004年3月6日(土)。
第6章 大病院体験記
今までの経緯ではモヤモヤとした思いは抱えていたものの、明確な敵意や不信感を医者に抱いていたワケではありませんでした。今回この経過報告を書くに至った動機は、この後に順天堂医院を来院した際に私の担当医となった某女医Dです。
本日3月6日(土)、貴重な休みを潰して順天堂医院を訪れました。億劫である反面、漸く精密検査でハッキリするので早く知りたいという気持ちも高まっています。順天堂は土曜日でも朝8時30分から外来の受付をしています。私が病院に到着したのは8時55分、病院を出たのは12時35分でした……。この3時間40分の間にあったことをご報告しましょう。
3時間40分の内、実質診察をしていただいたのはおよそ10分程度です。大病院なら当たり前のこの待ち時間ですが、それで得られる結果が満足するものであれば問題ありませんが、満足どころか訴えてやりたいほどの目に遭いました。
まず、約3時間ほど待って漸く女医Dと面会できました。最初、これから長くお世話になるであろう担当医が女医であることにほっと安心しましたが、問診をすると直ぐに「冷たい感じだな」と漠然と思いました。
問診の中で私はクリニックAで撮ったエコー写真及び血液検査の結果を見せ、自分の状態を手早く簡単に説明します。
「1月末に婦人病検診を受け、その際に右卵巣に6.5cm大のしょう液性嚢胞腺腫があると言われました。腹部からのエコーだけでの診察だったので、精密検査を婦人科で受けるように薦められ、その1ヶ月月後、丁度先週にクリニックBで再び検査を受けました。医者Bはこの嚢胞は中身が液体ではなく髪の毛などが詰まっているタイプではないかと診断し、結局ここでもCTスキャンやMRIなどの精密検査が必要と言われ、本日医者Bからの紹介状を持って順天堂を訪れた次第です」これだけ言っているにも関わらず、聞いているのかいないのか、女医Dは言いました。
「卵巣の検査はしているようですが、子宮ガン検診はしていないんですね? じゃあ、本日は子宮ガン検診もしてしまいましょうか」……まぁ、確かに最初に異常が発覚した卵巣ばかりを検査してきましたが、本来の基本的な検診である子宮ガン検診をしていませんでした。子宮ガン検診については「子宮内の細胞を採取し、ガン細胞が含まれているものかどうかをチェックする検診」程度の知識しかなく、通常30歳以上の女性であれば多くの人が受けているということから私も軽い気持ちで承諾し、あのいや〜な診察台に上りました。
…………皆している=痛くないと思い込んでいた私にとって、この子宮ガン検診は地獄でした。痛ぇのなんのって痛いッ! 思わず悲鳴を挙げそうなるほど痛い。「マジ、これ皆やってんの?!」と思うくらい痛くて……。しかも男性の医者Bの時の内診はこちらの様子を伺いつつ「痛いですか?」と何度も確認してくださいましたが、この女医D、私が「痛ッ!」と苦痛の声を挙げているにも関わらず、何だかもう問答無用!ぐぐぐいっと!!という感じで手荒く診察を続けています。
時間的には長くないものでしたが、激痛と共に子宮細胞をゴソッと採ったような感触がして(なんかゴリ…って音がした気がする)、更に激痛が続き、患者が心的ショックでフラフラになっているにも関わらず、そんなことにはお構いなしで、「ハイ、じゃあ次はエコー行きます」と機械的に内診を続行する女医D……。
痛みで朦朧とする頭で、「エコー? エコーはもう他の病院で何度も撮ってるし、スキャン撮るならエコー必要ないんじゃないの?」と思ってみても、容赦ない女医Dの元で感情の篭らない手荒な診察は淡々と進み、遂には終わってしまいました……。
痛みに呻く私に「ハイ、ちょっと出血していますのでティッシュで拭いておきました」との当たり前のような冷たい声……。
出血……? 子宮ガン検診って出血するモンなの? 誰も言っていなかったけど、当たり前だから言わなかったの? この程度の痛みに耐えられない私が弱々なの?
着替えてから下腹部に残る鈍痛を抱えたまま再び問診に戻りますが、女医Dは今撮ったばかりのエコー写真をカルテに貼り付け、「やはり右卵巣に嚢腫があるようですね」ですと。
鷹瀬 「この中身は結局なんなんですか?」右卵巣に嚢腫があることは1ヶ月以上前から分かっていることで、私はそのために2回も病院を転々としているのであり、今回ここに来た理由は「内診エコーまではしてあるが嚢腫の中身の判断が出来ないので、MRIで精密検査をして欲しかった」からです。エコーの写真だって持参しました。それを患者とロクに話し合いもせずに勝手に内診エコーを繰り返し、前回までの資料はもう使えないとばかりに検査も1からやり直し。1ヶ月前に発見された嚢腫は、たった1週間前に診察した結果も堂々と同じサイズで存在し続けていたのですから、あるのは確実。順天堂でして欲しいことはその先のMRIであって内診エコーではありません。
女医 「恐らく髪の毛だと思いますが、MRIを撮ってみないことには分かりません」
たとえ医学界の常識として「毎回同じ検査を1からする必要がある」のだとしても、患者は素人でそれに納得している人ばかりではないでしょう。少なくとも私は物凄く反発を感じますし、何よりも話し合った上での再検診ならともかく、こうも勝手に乱暴にコトを進められると怒りの感情がじわじわと沸いて来ます。
患者に負担が掛かろうと、俺様が自ら取らなきゃ気が済まないって? 他人の身体を何だと思っているのでしょう。
紹介状を書いた医者Bも医者Bです。紹介状というシステムは何のために存在しているのか。カルテの公開をしない病院同士が、患者の検査による負担を軽くするためにしているものではないことだけは確かなようです。
ムカツクものの、下手をすると目の前の女医Dは私の担当医です。ちゃんと話を聞いておきたいと思い、目下の不安、手術について質問してみました。
鷹瀬 「この嚢腫の中身が髪の毛であった場合、結局は摘出手術をすることになると思うのですが、その際の手術方法で……」………………私、この人嫌い。その時は漠然とそう思いました。
女医 「ウチはこのような手術を行っております」(腹腔鏡手術についてのプリントを私の前に置く)
鷹瀬 「あ、ええ、そのことは存じ上げておりますが、その……回復が早いという腹腔鏡手術は魅力的なんですけど、危険性とかはないのでしょうか?」
女医 「そのプリントに書いてありますからお読みください」
何と言うか非常に冷たい感じの女医で、質問したいことは色々あったのに聞くような雰囲気になれず、レベルは違えどまさに「白い巨塔」の医者・財前五郎とガン患者・佐々木庸平の関係のプチ・バ−ジョンが繰り広げられている錯覚に陥りましたよ。周囲に里見先生を探そうにもどこにもおらず……大病院なんて大嫌いだ!という感情だけが高まって行きます。
結局、MRIは必須ということで、その場でMRI検査の予約をして1週間以内にここを再訪することになりました。何を聞いても素っ気無い返事しか返さない女医Dとはロクに話すことも出来ず、終わったらとっとと出て行けハイ次の人ォ!という雰囲気に圧倒されるように診察室を後にしました……。
こんな投げ遣りな……少なくとも患者に「投げ遣り」と思われる検診をされれば、「金儲けのために無駄な診察をしてないか?」と思ってしまいます。相談やお話なんぞは金にならん、いーからその診察台に横になって診察させろ。そんな思惑を勘繰ってしまいます。
その後も採血のために待ち、会計のために待ち、6440円支払って病院を出たのは3時間40分後の12時35分。こんなに嫌な気分になったのも久し振りです。
2004年3月6日(土)。
第7章 結局は医者の人間性
順天堂医院での女医Dによる手荒な診察を終えてからの続きです。
結局この日丸1日出血は止らず、痛みもあるようなないような……。出血の量こそ多くないものの、そもそも子宮ガン検診とはこんなに痛い上に出血するものなのかという疑問があったため、ネットで調べると衝撃の事実が分かったのであります。
子宮ガンには主に2種類、
(1)頸部(入口部)に発生する子宮頸ガン
(2)体部(奥)に発生する子宮体ガン
があり、症状も検査方法も全く異なります。通常子宮ガン検診と言えば(1)頸ガン検診を指し、これは子宮頸部の分泌物を綿棒や小さなへらですくい取る方法で、簡単で痛みもなく、信頼性が極めて高い検査とされています。
一方、体ガン検診の方は「子宮の内部の組織を一部採取しますので少々痛みを伴います」とあり、私の検査はこちらだったのか?と思いましたが、体ガン検診自体、通常閉経後、不正出血などがある場合に行われるもので、私には無関係の検査だと思われます。
医者が公表しているサイトを調べ終わり、今度は一般人の婦人病検診体験談を読み漁る内に、もしかしてアレはただ単に医者の腕が悪かっただけなんじゃ……という疑惑が芽生え始めました。そしてその疑いを確固たるモノにするように、極端な2例を体験した女性の投稿他、以下のコメントを見付けたのであります。
<A子さんの場合>とても痛かったという方や全然痛くなかったという方、本当にケース・バイ・ケースのようで、私のように初検診で激痛&出血に見舞われた方もいらっしゃりました。(語り合いたい……) これは当然患者の個体差もあるのでしょうが、医者の腕も大きく関わってくるということも、上記の投稿から分かりました。
痛いかどうかは先生によって違うようです。
まだ性経験がないときに、事情があって死ぬ思いであの診察台に上がりました。個人病院で、評判の良いところだったのですが、40歳台位の熟練の先生で、私は初めに経験がないことを言って、すごく緊張していることも伝えました。最初に入り口の所に入れる器具は一番小さいサイズを使ってくれたようで、今から入れる、とか、足を開くと痛くないよ、などと、私のペースに合わせて診察してくださり、大丈夫でした。
2度目は結婚してから、近所の国立病院に行きました。ものすごく混んでいて5時間待たされ、診察はまるで物を扱うような感じ。私も痛みで悲鳴を上げましたよ! 先生は、若い女性。2度と行きませんでした。
<B子さんの場合>
内診は先生の技術じゃないでしょうか?
2人目が市民病院だったので、何人かの先生に内診の診察を受けましたが、痛い先生と痛くない先生がいますよ。妊婦さん同士では、あの先生の内診は痛いとか痛くないとかみんな同じことを言います。
<C子さんの場合>
はっきり言ってドクターの技術の問題です。
私は2回の出産で計数件の婦人科にかかりましたが、同じ検査するのに「あれ?もう終わった?」という先生と、激しい痛みに耐えられないかと思ったくらい、そして帰り道痛みで歩くのがやっとだという先生に当たりました。痛くない先生はいつどんな検査でも全く痛くないです。
子宮の中にまで内視鏡を通す検査、これも痛い先生はとんでもなく痛いと聞きますが、その先生は全く痛くなかったです。
確信できます。あの女医Dは痛い方の医者ですっ! 人間性も駄目なくせに技術も駄目とは……。心の関係は築けなくても腕だけは一流の財前五郎の方がまだマシです。クッソ〜腹立つ……。
小児科に勤める友人から、「婦人病検診のとき女医を選びたい気持ちは分かるけど、女医の方が乱暴なことって結構あるんだよ」と聞いていたのですが、このことかーッ!という感じです。様々なことを身をもって体験したいとは思っていますが、この件に関しては勘弁してくれと言う感じです。
ちなみに、女医=乱暴という公式があるとは言っていません。一般人の体験談の中にも「私の担当医は女医ですが、非常に丁寧で、この先生の診察で痛かったことは1度もありません」というものがありましたし、「初老の男性の医者でしたが、まるでモノのように扱われて非常に気分が悪かったです」というものもありました。要は、男女関係なく、その医者の人間性ということです。
【参考サイト】
子宮ガン検診のすすめ
子宮ガン検診アドバイス
子宮ガン検診について
順天堂医院で酷い目に遭った私ですが、では他の病院に移るか、となると躊躇してしまいます。MRIの検査が出来るのは設備の揃った大病院だけですし、大病院はどこも同じなのでは……という気がするからです。特定の先生を追って病院を変えるならともかく、そういう宛てがない以上、順天堂は「立派な病院」であり変えるに値するほど酷い病院ではないからです。
第8章 とりあえず総括
病院を変えるごとに1からやり直しになる検査も堪ったものではなく、その度に下手な先生に当たりはしないかとビクビクするのも御免です。
エコー写真も、最初に健康診断で撮ったものを持参しているにも関わらず、どの医者もそれをロクに見もせずに新たにやり直す始末。しかもMRIやスキャンを撮れば確実に分かると言っておきながら、毎度毎度わざわざエコーを撮る理由も不明です。どの医者も、その件に関して何の説明もありません。
当然新たに得られたエコーの写真はその病院のカルテに貼り付けられ、本人に渡されることもありません。
どうして情報を抱え込んで患者に渡さないのか。患者の情報は金を払って診察した以上患者のものであって、病院のものではない筈です。私の伯父も、小さな病院から大病院に移った際、小さな病院でした手術(踵に釘を埋めた)に関して大病院の先生から「これは僕のやり方じゃないから1度抜いて、入れ直したい」とやり直しを依頼されたそうです。結局「冗談じゃない、これでいいから放っておいてくれ」と頑張り、そのままでOKということになったらしいですが……ったく、お偉いお医者様たちは他人の身体を何だと思っているのでしょう。
順天堂の女医Dに関しては子宮ガン検診の出血に関して詫びも説明もなく、不信感も最高潮に達しています。MRIは順天堂にて1週間以内にする予定で、もしも腹腔鏡手術を選択するなら順天堂が日本で一番の病院なのでここで受けると思いますが、この女医Dが担当医ならば何としてでも変えてもらうつもりです。
医者にとっては毎日何例も見ている中の、「どうでもないケース」に属されるものであっても、患者にしてみれば大事なのです。それを理解するのは医者として必要なことだと思うのですが、余りそういう感じがしませんでした。
この「卵巣嚢腫体験記」は私の状況に応じて細々と記録して行こうと思います。次回の大きな動きは、月曜日に女医Dに説明を求める電話を掛けるつもりなのですが、その時の対応およびMRIの報告でしょうか。まぁ回答を求めるどころか、女医D本人と話せるのかどうかも疑問ですが……とりあえず。
2004年3月8日(月)。
第9章 医療界は今やサービス業
第6章で順天堂医院の女医Dをケチョンケチョンに扱き下ろしていますが、分かって頂きたいのは私が非難しているのは女医Dであって、順天堂医院ではない、ということです。(とりあえず、この章を書いた時点ではそう思っていました……←意味深)
大病院にありがちな杜撰さは見られますが、あの待ち人数を見れば頷けますし、受付や会計はサラリーマンの営業を彷彿とさせるほど丁寧過ぎるほど丁寧でしたし……。普通に考えても、この医療事故が明るみに出ては叩かれている昨今、医者の態度があそこまで悪いのは逆に珍しいのではないかと……。あの女医Dの態度は病院の体質ではなく彼女の気質の問題ではないかと、そんな風に思いました。(とりあえず、この章を書いた時点ではそう思っていました……←意味深)
とにかく、目下私がすべきことは6(土)に受けた子宮ガン検診の結果の出血や痛みに関して説明を求めること、および担当医の変更依頼です。――と、言うことで8(月)に女医D本人と話せるとは思っていませんでしたが一応病院に電話を掛けてみました。
代表から婦人科受付へ、婦人科受付から婦人科の看護婦へと電話は転々と転送され、最終的に話すことになったのは婦人科の看護婦でした。
鷹瀬 「すみません、6(土)にそちらで子宮ガン検診を受けた鷹瀬と申します。少々お伺いしたいことがあるのですが、担当医の方とお話できますか?」……ほう、「個人差」。それって、患者の個人差ですか? 医者の個人差ですか??
看護婦 「タカセさん、ですね。ID番号は? ――そうですか。ただいま女医Dとはお話することが出来ませんが、どういったご用件でしょうか?」
鷹瀬 「まず、私が受けた子宮ガン検診の種類を知りたいのですが。――はあ、頸ガン検診の方ですか。ちょっと自分で色々調べたところ、通常頸ガン検診では痛みや出血などはないようですが、私の場合、とても痛かったし出血もしたんですけど。コレは一体どういうことなのでしょうか?」
看護婦 「(一瞬黙ってから)…………個人差がありますから……」
ツッコミを入れてやりたい心境にもなりましたが、無関係の看護婦に当たったところで事態は解決しません。諸悪から解決して行こう、と次の話題に移ろうとする私に更に切々と訴える看護婦。
看護婦 「細胞をちょっと削るので、その際に傷付けてしまったのだと思います。出血は2〜3日で止まると思いますので……申し訳ありませんでした」もう止ったがな。1日で止ったがな。細胞削り採られた挙げ句に2日も3日も血ィ流し続けて堪るかコノヤロウ。
謝られても不愉快なワタクシ、言い訳は聞き流し、私をこんな目に遭わせた諸悪との離縁手続きに踏み切ります。
鷹瀬 「出血は1日で止りましたが、まぁこういうことがありまして、申し訳ありませんが私、あの女医さんに不信感を抱いているんですね。診察も非常に乱暴に感じましたし、質問しても素っ気無くて……もしもあの女医さんが私の担当医と言うことであれば次回からは担当医を代えて頂きたいのですが……」スラスラと淀みなく苦情処理をこなされていましたねぇ……。慣れているんだろうな、この手の苦情に。
看護婦 「それは大変申し訳ありませんでした。鷹瀬さんは腹腔鏡チームをご希望されているんですよね? 前回は検査のみですから、女医Dは鷹瀬さんの担当という訳ではありませんので、次回からは腹腔鏡の方に来ていただければ別の医者が担当になります。もし何かご不明点や不満などございましたら、その度ごとに言っていただければ対応させていただきますので……」
私が痛い思いをした件に関しては何も解決していませんが、とりあえず担当医があの女医Dでないことが明らかになり、また今後担当医に不満を持った場合には気軽に代えて貰うことが可能なようなので、その点に関してはほっと一安心しました。同時に心が篭っているかどうかは別にして、テキパキと苦情処理をしていた看護婦に、ああ病院も今やサービス業なんだな……と漠然と思ったのであります。
2004年3月中旬。
第10章 やはり大病院は大病院
さて、行きたくないけど再び順天堂医院。予約を入れていたMRI(核磁気共鳴映像)撮影に行って参りました。
このMRI、休日は4月中旬まで予約が埋まっていたので、平日、会社の昼休みを利用しての撮影という訳です。会社員だって病気に罹るだろうに。お役所や病院は土日にもやっていて欲しいものです。
MRI室は外来の受付とは別の棟の地下にあります。外来受付の「お客様いらっしゃいませ」という雰囲気とは掛け離れた研究所ちっくな空気を持つMRI受付に顔を出すと、客(=私)が現れたにも関わらず、全く動かない医者(正確には技師)たち……。「あの〜すみません」と声を掛けても、聞こえないのか聞こえないフリをしているのか……無関心。要するに無視されました。
うわ〜もう初っ端からヤな感じ! 近所のお役所に雰囲気そっくり!
シカトされて身の置き場がないので表の待ち椅子に腰をかけて待っていると、しばらくして中から技師がカルテを持って現れ、「鷹瀬さん?」と私を呼び、着替えて検査台に上るように促します。
時計やアクセサリーなど身に付けている金属類をすべて外し、渡された診察着に身を包んで幅の狭い台に横たわり、さあいよいよ初MRIです。放射線を使わないためCTスキャンよりも安全性が高く、更には精度も高いという優れもののMRIですが、閉所恐怖症の人や心臓が弱い人には厳しい検査なのかもしれません。狭いドームの中で身動きできずに20分間ほど、急にガガガという工事のような大きな音に晒されたり、静まり返ったりを延々繰り返す、ちょっとドキドキする心臓に悪そうな検査でした。
ちなみに撮影代は5960円(3割負担)。ネットで人間ドックの値段を調べていたら1泊2日で7万円とか、MRIだけで2万円とかそんな価格を覚悟していたので、この価格に関しては安いと感じました。(あ、でも2万円でも3割負担なら6000円か……) まぁこの写真が出来てから診察を別に行うので、この価格に診察代が加わり1万円くらいするのかもしれませんが。するとやっぱり高いのか? よく分かりません。
さて、今回の報告の目玉はMRI自体ではありません。この後に起こる、いかにも大病院ちっくな対応こそが記録に値することだったのです。
まず、今までの経緯で「病院による情報の抱え込み」という点に強い不満を抱いていた私は、今回こそはMRIの撮影写真のコピーを貰うつもりでいました。そういうことが出来るのか?という不安はありましたが、「今は病院も神経質になっているから、通常は希望して実費を払えば焼き増ししてくれる」という情報を得ていました。
MRI撮影後、「この診察表を持って会計に行ってください」という技師に、「すみません。撮影写真のコピーを1部いただきたいのですが、どうすれば……」と尋ねると、「それは会計で聞いてください」と素っ気無く言われてしまいました。
そうですか。では、と、会計に赴き、担当の中年女性に「この撮影結果のコピーを1部いただきたいのですが……」と言うと、今度はこうです。
会計 「は? 私は会計ですので、コピーがどうと言われても分かりません。撮影した先生にお聞きになってください」……終始つっけんどんな口調で、言っている内容は平たく言えば「アタシャ知らんがな」。いや、本当に知らないのかもしれませんが、外来の受付は別棟にあるのだし、ちょっと内線で聞いてくれれば良いものを……。混み合う外来の受付と違ってMRIの会計受付に並んでいる客は私だけなのだし、そんなに忙しそうにも見えないのに……。不親切だなぁ……。
鷹瀬 「聞きましたが、あちらで『会計で聞いてくれ』と言われたのですが……」
会計 「……ちょっと待ってくださいね。――(撮影した技師に内線を掛ける)――会計ですけど、タカセさん、ですか? 今そちらで診察を終えた患者さん。……ええ……ええ……撮影写真のコピーが欲しいとおっしゃってますが……はい……はい、分かりました。――(私に向き直って)――外来の受付で聞いてください」
鷹瀬 「……そうですか。あの、ちなみにこの撮影写真ってどのくらいで出来るんですか?」
会計 「3日程度で出来ます」
鷹瀬 「MRIを撮った後のことは全く聞いていないのですが、次回はいつどこに来れば良いんですか?」
会計 「外来の受付で聞いてください」
何をどう聞いても「外来の受付で聞いてください」としか返事が返ってこないので、昼休みの時間も残り少なくなっていましたが仕方なく急いで別棟の外来の受付を目指しました。
そして外来の総合受付でいよいよ質問を……。
鷹瀬 「先程MRIを撮り終えた婦人科に罹っている者です。このMRIの撮影写真のコピーを戴きたいのですが、どうすれば良いのでしょうか? それと次回診察の件など何も聞いていないのですが、今後どうすれば……」……………………まぁさ、妥当な返事なのかもしれないケドさ、なら最初から撮影技師がこう応えるべきだろう。宝探しじゃないんだから。本当に苛々します。
受付 「婦人科の受付で聞いてください」
この筋金入りの縦割り体制、かなり根深そうです。もう完全なるたらい回し……まるでお役所です。他の部署が何をしているのか知らないし、知ろうとも思わない。患者に聞かれても普通に「知らない」と言い切って他の部署に回し、その後の面倒を見ない。――最悪です。
結局4階にある婦人科の受付を訪れる時間はなく(行ったら「番号札を引いてお待ちください」とか言われかねないし……)、会社への帰り道、電話で連絡を取ったのですが、コレまた予想以上に酷い。
鷹瀬 「本日MRI撮影をしたのですが、次回はいつどこへ行けば良いのか、何も聞いていないのですが……」うおーワケ分かンねぇ!! 言葉知恵の輪かよっ! 操っているのは母国語の筈なのに、昨日会社で取った英語の電話以上に分かりませんっ!
婦人科 「鷹瀬さんは腹腔鏡手術をご希望ですね。腹腔鏡チームをご希望でしたら月・水・金の午後が受付時間になっておりますので、2週間以降に診察にお越しください」
鷹瀬 「2週間? 2週間も後になるんですか?」
婦人科 「撮影写真が出来上がるのにそのくらい時間が掛かりますので」
鷹瀬 「MRIの受付の方では3日程度で写真は出来上がると聞きましたが」
婦人科 「……診察などに時間がかかるので、2週間ほどお時間をいただいております」
鷹瀬 「診察?(2週間の間に医者が写真を診断しておいてくれるのか?) そうですか……。あの、では写真が出来た後すぐにでもそのコピーを戴きたいのですが」
婦人科 「コピーと言いますと?」
鷹瀬 「腹腔鏡の診察日が平日だけなので、そうそう会社を抜け出して行けるものでもないですし、MRIの写真を持って土曜日に診察してもらえる病院があったらそちらで診察していただこうと思っていますので」
婦人科 「そうですか。でしたら貸し出しという形で承っております」
鷹瀬 「? 貸し出し可能なんですか?」
婦人科 「はい」
鷹瀬 「? 先程写真は3日で出来るけれど、診察は2週間後と言われましたけど、写真を貸し出したらその間に診察とか出来ませんよね? って言うか、お医者さんはあくまでもこちらが診察に行った時に初めて写真の診断をするのであって、写真が出来上がったからといって、患者がいない間に診断しておいてくれる訳じゃないんですよね?」
婦人科 「あ、はい」
鷹瀬 「じゃあなぜ写真は3日で出来るのに、診察は2週間以降なんですか?」
婦人科 「えー……それは……万一写真が遅れた場合などに備えて、一応2週間の余裕をいただいております」
鷹瀬 「じゃあ、私が写真の貸し出し依頼に行くのも、診察に行くのも2週間後ということになりますか? 3日で出来る写真を余裕を持って2週間待たないと駄目ですか?」
婦人科 「写真の貸し出しであれば……そうですね……来週中頃以降でしたら大丈夫かと思います」
何と言うか……結局婦人科の受付も対応こそは一見丁寧ですが(※注:順天堂内の他の受付に比べて)、所詮心が篭っていないと言うか、患者を機械的に処理しているだけと言うか、マニュアルに沿って反射的に返答しているだけと言うか……。
第9章で「病院もサービス業よねぇ」との感想を漏らしていますが、前言撤回。少なくとも順天堂医院に関してはサービス業にもなっていないようです。「大病院は役所と同じ」――それがこの日の私の感想でした。
これは私の超個人的な感想なので一般論ではありませんが、順天堂はロクな病院じゃないな。ってのが私の私見です。ここでは絶対に手術したくないわ。本当に純粋に単純に策略も裏も思惑もなく大嫌いです、順天堂。浪速大学真っ青よ! 良い先生がいたら逆に可哀想だわ、フンとに! ぷんぷん!
【術後の追記】
このときは最高に順天堂にムカついていましたが、後から考えると大病院はどこもこんな感じかな、と。職員に対して患者が多すぎれば、どうしたって患者1人1人への対応は杜撰になるもの。しかも人の生き死にと日々向かい合っている現場で、私のような「どうでもいい患者」からの「どうでもいい質問」に時間を割いてはいられないハズ。ただ、そうは言っても患者にとってはどんなに軽い病でも病は病。適切に対応してもらいたいのもまた真理なのです。
順天堂の窓口対応にはイラっとしましたが、この後向き合う個々の先生方は、皆さん忙しそうではありますが普通に親切でした。心の交流などは期待できる筈もありませんが、死ぬ訳じゃない、どころか大した病気でもないので、確かな腕さえ得られればそれで満足です。
第23章まで読めば分かりますが結果的には大変お世話になった病院なので感謝しています。しかし、リアルタイムの正直な気持ちを記録しておきたいので、上記のような激しい文章を残しておきます。
2004年3月20日(土)。
第11章 弱り目に祟り目……
順天堂医院なんか嫌いだと言い切った手前、それに代わる病院を探さねばならんワケですが、「新しい病院」=「1から検査」がついて回る公式のようなのでつい躊躇してしまいます。実は先日の子宮ガン検査の後、体調的(?)に色々あって「もう内診は出来る限りしたくない」というのが正直なトコロなのです……。
また、手術を腹腔鏡にするか開腹にするかも病院選びに密接に関わってくる項目で、先日撮ったMRIを持ち込んで検査してくれる病院はないかと会社・病院の位置関係を考慮して「婦人科」で評判の良い病院を探した結果、浜田病院と杏雲堂病院が候補に上がりました。まぁ評判が良いと言うよりは「婦人科で有名」と言うだけなので、この辺り微妙ですが……。
とにかく、目下医者に診断してもらいたいことは下記の通りです。
・嚢腫の中身が液体なのか固体なのか嚢腫の中身は髪の毛である確率が高く、心は既に手術を念頭に置いているので、実際医者に詳しく聞きたいことは腹腔鏡にするか開腹にするかの選択で、「やはり開腹の方が安全なのでしょうか?」ということがメインなのです。腹腔鏡の方がメリットが多いように見えるけれど、チラホラ聞く噂ではやはり開腹の方が安全なのでは……と考えられ、その辺りを納得行くまで本音で話せる先生と巡り会いたいのです。うう……里見先生……。一番良いのは里見先生に診察して貰って、財前先生に手術をしてもらうことなのですが、現実世界には里見先生も財前先生も私の周囲にはいません(涙)
・手術をするなら腹腔鏡なのか開腹なのか
・それぞれの手術の危険性について
・手術は緊急を要するものなのか
・時期的にいつ頃手術をすべきなのか(8月以降まで延期できるのか←有給の都合上……(涙))
現実の順天堂医院の腹腔鏡チームに「腹腔鏡と開腹とどちらが……」などと質問をしても、公正な返答が得られるか不安(……ってか不審)がありますし、他の病院で聞いた方が良いのかなぁと……。
いずれにせよ、順天堂医院の腹腔鏡チームの診察日は月・水・金の午後のみですし、あの待ち時間を考えると会社を半日休まないと診察は不可能なため、MRIの結果を持ち込んで診察してくれる土曜日受付OKな病院があれば、先にそちらに行ってしまうのも手なのかな、と。色々悩んでいる訳です。
順天堂にはMRIを取りに行かねばなりませんが、そのくらいならば昼休みを利用してどうにか可能なので、後は行く先の病院でMRIの持ち込みが可能なのかどうか、その基本ラインを確認しておこうと駒を進めました。
電話で聞いても良かったのですが、なかなかタイミングが掴めずに先延ばしになっていたところ、浜田病院のサイトで婦人科の先生に直接メールを送れるようになっていたので、駄目元で質問メールを投げてみました。すると驚いたことに翌日には下記のようなお返事が返信されてきたのであります。
お持ちになったMRIで、再度撮影の必要はありません。来院の際に@経腟超音波検査のみさせて戴ければ幸いです。できる限り患者様とお話しして、患者様の要求にお答えできるよう努力いたします。…………非常に丁寧なお返事を早急にいただけて浜田病院の先生には感謝しておりますが、同時に現実の壁3枚に怯みました。
年齢的な要因も考慮しなければなりませんが、AMRIで悪性が否定的であれば、B腹腔鏡下手術を勧めます。悪性の疑いがなければ手術の時期は急ぐ必要はありません。
ただ卵巣は子宮の横でブラブラしている組織ですので、激しい運動などが原因となり、捻れてしまうことがあります(茎捻転といいます)。そうなると緊急手術が必要となりますので、あまり激しいスポーツなどは控えられた方が良いでしょう。同じ理由で、手術の時期は徒に延期しない方が良いと思います。
まず最初に、「経腟超音波検査のみさせて戴ければ」ってことは、やっぱりまた内診エコーするんですか(涙) MRIだけじゃ駄目なのか……。これにはヘコみました。あの検査が一番嫌いなのに……。
次、「MRIで悪性が否定的であれば」――そう、すっかり良性だと思い込んでいましたが、今まで検診を受けた先生方は口を揃えて仰っていましたっけ。「恐らく良性」「多分良性」「良性の確率が高い」、そして締め言葉は決まって「MRIを撮ってみないことには分からない」……中身が悪性である可能性だってあったんですね。忘れていました……。
そして最後、「腹腔鏡下手術を勧めます」――アレ? 結構な確率で結論出ちゃった? 順天堂医院以外で診察を受けようと思ったのは、腹腔鏡と開腹のどちらが良いのかの公平な意見を知りたかったからなのですが、他病院の先生もやはり腹腔鏡を勧めるってことは……やはり腹腔鏡で妥当なのでしょうか? 第5章で紹介した医者Cの話と微妙に食い違い、何が正しいのか分からなくなります。
とにかく、浜田病院の先生のこの丁寧なお返事のお陰で、とりあえず他病院でわざわざ診察する前に、内診エコーの結果を保持している順天堂で、MRIの結果と合わせて基本的な診察だけでもして貰おうという結論に落ち着きました。(ごめんなさい……浜田病院の先生……。何かあったら絶対に浜田病院に行きます……)
腹腔鏡にするか開腹にするかは後回しで、その前にもっと基本的な「私の嚢腫は良性なのか悪性なのか」の診察を、まず最初にしてもらうべきでした。その診断ならわざわざ腹腔鏡チームを訪れなくても、普通に土曜日でも診察可能な婦人科を訪れれば良いだけです。そう言えば散々な目に遭って受診した子宮ガン検診の結果も聞いていませんでしたし。
そして本日3月20日(土)、友人と花見をしようと思っていましたが雨天中止。ならばある意味丁度良い、今日こそ来院日和。雨だからもしかしたら病人数少ないかも! 待たされずに済むかも!と思って、しかし数時間待つ覚悟で本を持ち、いざ!とこの大雨の中順天堂医院に赴くと、思った通り人がいない! ………でも病人もいない代わりに受付の人もいない……ってか誰もいないんですけど……。オタつく私を見咎めた警備員さんが、衝撃の事実を……そう、今日はジャンルで言うと「土曜日」ではなく「祝日」ですた……。
うおーーーー土曜日の祝日なんて覚えちゃいねぇよ、フツーに生きてりゃ必要ねぇもんっ!! もー、最近ただでさえ弱っているのに畳み掛けて祟らなくても……。これぞまさしく弱ったり祟ったり! 神様、この試練の後にご褒美を用意して下さっているんですかっ?! 迷える子羊は最近アナタの愛を疑っているんですよっ!
暦の上では今日から春ですが、私の春はまだまだ遠そうデス……。
【参考サイト】
浜田病院
杏雲堂病院
2004年3月26日(金)。
第12章 大病院における予約合戦
平日午後(13〜17時)しかやっていない腹腔鏡チームの診察を受けるためには、当然会社を抜け出さねばなりません。勤め始めてまだ1ヶ月では有給を取ることも出来ず、昼休みを利用しての来院ですが、敵は天下の順天堂医院。診察内容はともかく待ち時間だけは一丁前で、前回を参考にするならば3時間以上覚悟せねばならんのでしょう。……冗談じゃありません。
婦人科の看護婦に「普通の会社員は皆さん会社を休んで来られるんでしょうか」と相談すると、こんなお答えが。
「皆さん朝早くに午後分の予約をお取りになって、会社から電話を入れられて順番を確認して時間調整しながら来られます。――ええ、予約は自動予約受付機がございますので、朝7時から予約の受付をしております。――申し訳ございませんが、当日分の予約のみ可能となっております」はぁ、さいですか……。
昼休みを利用し、1時間以内に診察を終えて会社に戻るには、1分だって1秒だって無駄に待つ訳にはいきません。仕方ないので、本日朝7時から開始する自動予約受付機による午後検診の予約を取りに、早朝雨の中順天堂医院に出向きました。
7時から受付開始となっていたのですが、6時50分に病院に着くと、既に多くの人が……。8時からの午前の診察のために、もうこんなに多くの人が待っているんだ……と少々驚きつつ予約受付機に向かおうとすると、警備員の人に呼び止められ、番号札を引くように言われます。
鷹瀬 「……いえ、私は診察ではなく、予約しに来たのですが……」…………。診察で待たずに済むための予約制度も、その予約を取るために朝早くから並ばねばならんと言う……。深刻な病気の人なら死んじゃうぞ。
警備員 「この番号札は予約受付機に並ぶための番号札です。早い人は5時半頃から並んでおられますよ。予約受付機は7時から動きますので、そうしたら一列に並んで下さい」
驚愕→憤怒を通り越し、虚しくなりながら引いた番号札は28番。
そして7時。午前用の予約マシンは12台、午後用は2台。午後の検診のために朝も早からやって来たのは30名ほどいる待ち人の内とりあえず4名。全科の予約待ちのため、婦人科では1番でした。幸いにも……。
そんなこんなで昼頃そっと会社を抜け出し、順天堂に向かいます。診察はどんなに長くても30分程度でしょうから、昼休みを少々オーバーする程度で何事もなかったように会社に戻ることが出来るだろうと。この後に及んでまだそんな甘い算段をしていた訳です、私ときたら。
マシンの表示時刻は6時58分……。
午後の検診は13時からで、私の診察番号は1番なのですから、12時50分には婦人科の受付を済ませ、当然最初に呼ばれるであろう自分の名前を待っていました。が、なかなか呼ばれず。しかも私の診察すら始まってもいないのになぜか待ち人数表示パネルの腹腔鏡の欄は既に4人……。
――どゆこと?
待てど暮らせど名前を呼ばれず、昼休みもう直ぐ終わっちゃうんですけど……と待合室でジリジリ待っていると、13時30分頃ようやく名前を呼ばれ、待合室から腹腔鏡チームの診察室の前へと移動しますが、ここに来てからも更に待たされます。
――結局、受付番号が1番だったにも関わらず、診察室に呼ばれたのは13時45分でした。何と、私の前の4人は午前から順番を待っていた患者さんたちだったのです……。だから、深刻な病気の人は死んじゃうってば。
2004年3月26日(金)。
第13章 開腹か腹腔鏡か
コンサートでもあるまいに、早朝のチケット取りをして全力で臨んだ診察ですら45分の無駄が生じて舌打ちしたい気持ちもありましたが、待つことによる収穫もありました。たまたま隣に座って待っていた患者さんが受付番号2番の方で、同じように「会社を抜け出してきて14時には戻りますとか言っちゃったけど、間に合わない……」と焦っており話に花が咲いたのですが、何と彼女は先月腹腔鏡手術を受けたばかりで、本日は1ヶ月後の術後検診だと言うのです。私と同様の卵巣嚢腫に加え、子宮筋腫のWパンチだった彼女が腹腔鏡を選択した経緯や、腹腔鏡についての情報を色々教えて貰い、とても有意義な待ち時間になりました。
「腹腔鏡は術後が凄く楽ですよ〜。私なんか3日で退院しちゃったし、1週間後には会社復帰しましたし。お腹が痛んだのって丸2日くらいで、術後1週間で気を付けつつも普通に行動できるようになって、今はちょっと違和感はあるけど、もう普通に生活してますよ。同じような病気で開腹手術した人に話を聞くと、やっぱり毎年冬とか傷口が痛むんですって。もう何年も経っていても。こんな話をしていると、近くに座っていた患者さんが話に入ってきました。
ああ、開腹手術とどっちにするか悩んでるの? 分かる分かる。私もMRIの写真とか借りて他の病院の先生とかに聞きまくったもん。やっぱり恐いよね。でもね、私の担当の北出先生は評判の先生みたいで、本人も『手前味噌ですが腹腔鏡では日本一じゃないですか』って言ってたよ。自信満々過ぎて財前みたいな人だと困るけど、でもそう言えるだけの腕があるとなればやっぱり安心だよね。北出真理先生、女医さんだよ。執刀医は言えば選べると思うから、お勧めの先生だと思う。
面白いことに、手術の様子を翌日ビデオで見せてくれたの。素人には分からないけど、それでもちょっと安心だよね。
でもとにかく何か疑問点があったら絶対にきちんと聞いた方がいいよ。納得しないと気持ちがモヤモヤするし」
「腹腔鏡手術、受けられたんですか? 私は来月受ける予定なんですよ。執刀医は北出先生で。人気の先生ですから4ヶ月くらい待ちましたよ。腹腔鏡では日本一とされている順天堂医院で手術を受ける際の不安は、「たとえ腹腔鏡で有名な病院だとしても、簡単な手術だからこそ新米医師の訓練材料にされてしまうかも」というものでした。開腹と腹腔鏡では、完全に成功するならば腹腔鏡の方が新しい技術でありメリットも多く良いに決まっています。腹腔鏡への不安は単に「医師の未熟さによる失敗」なのです。私の症例の場合は手術自体は非常に単純なものなので、腕の良い医師であれば問題などないでしょう。しかし「腕の良い」執刀医を指名したくても誰が良いのか分からない私にとって、2名の患者さんから同一の医師を勧められたことは非常に安心感を得られる出来事であり、診察そのものよりもずっと有意義でした。
本当は私の前の担当医がとっても良いお医者さんだったんですけど、他へ移られてしまって、その先生から北出先生を薦められたんです。――ええ、北出先生って人気者ですよ」
いよいよ診察の順番が来て、MRIや採血の結果を元に、本日は新米っぽい男性の医師がお話をして下さいました。前回とは打って変わって説明も丁寧で質問にもきちんと答えてくれたので、前回のような不満もなく良かったです。順天堂も態度の悪い医者ばかりではないと分かって良かった良かった。
MRIで見る嚢腫(直径8cm)はビックリするほど大きく、お腹の厚みの3分の1以上占めていそうで、自覚症状は一切ないのに本当にこんなにデカイものがココに入ってるんですか?!という衝撃がありました。中身は8cmの嚢腫の内の一部が皮脂や髪の毛など、残りが液体もしくはサラサラの油ではないか、とのことで、悪性である可能性は極めて低く、やはり腹腔鏡手術を行うのがベストと薦められました。
北出先生でお願いしますと指名すると、北出先生が執刀の場合は6月下旬以降からしか空いていないと言われましたが、有給が発生する10月以降に手術をするつもりだったので問題ありません。とりあえず10月上旬に北出先生執刀で予約を入れて順天堂を後にしました。
不愉快にならずに順天堂を後にしたのは、今回が初めてです。しかしこれは順天堂と言うよりも、待合室で色々情報をくださった2人の患者さんのお陰。お2人に感謝! 彼女たちに幸あらんことを!
そろそろ腹腔鏡手術を受ける覚悟が決まったところで、腹腔鏡手術なるものの全貌を明らかにして行きたいと思います。あくまでも順天堂医院での腹腔鏡手術に関する基本知識なのかもしれませんが、順天堂で配られた資料を転載しておきます。(この資料は2001年頃の古いもののようで、入院期間など実際とは少々違っていましたが、大まかにはこの通りでした)
第14章 腹腔鏡手術の基本知識
入院期間は原則3泊4日……早っ! ただ私の場合は嚢腫が大きいためなのか、口頭では「4泊5日」との説明を受けました。ま、1日延びたところで早いですが。(どうやら最近では原則4泊5日のようです)
腹腔鏡下手術のメリットとデメリット(開腹手術に比べて)
メリット デメリット 1、手術の傷が小さく美容的
2、術後の痛みが軽い
3、入院期間が短い
4、早期の社会復帰
5、術後の癒着が少ない手術中の予期できない出血や癒着のために開腹しなければならないケースがある。(開腹に切り替えた手術は約300例に1例、輸血を必要とした手術は約500例に1例)
腹腔鏡下手術が安全に行えれば、開腹手術に比べたデメリットはない。
■腹腔鏡下手術とは
腹腔鏡とは、腹部に数ヶ所(3〜4ヶ所)の小さな穴を開け、炭酸ガスを入れたりお腹を吊り上げたりしてスペースを作り、そこからスコープや器具を入れて手術を行う方法。■腹腔鏡下手術の適応となる病気
良性卵巣嚢腫、子宮内膜症、子宮筋腫、不妊症、子宮外妊娠、ダグラス窩癒着など婦人科良性疾患のほとんどが適応される。■手術までの待ち時間
順天堂医院における腹腔鏡手術は非常に混んでおり、入院予約から手術まで約4〜8ヶ月かかる。この間、検査や薬・注射などの手術前の治療が行われる場合がある。■入院期間
原則として入院期間は3泊4日(手術前日入院、術後2日目退院)
1日目 入院 問診、シャワー、夕食後浣腸
2日目 手術 朝:浣腸、点滴 麻酔:全身麻酔
3日目 術後1日目 朝:採血、膀胱のチューブを外し歩行開始 昼:食事開始
4日目 術後2日目 朝:消毒 昼:昼食後退院■費用
入院と手術はすべて健康保険が適用される。手術の方法により費用は異なるが、約40〜60万円で、保険本人はその3割負担。
同じ病気で7年前に手術をした方と話しましたが、彼女の場合は勿論開腹手術で、術後数日は痛くて身体を起こすことも出来ず、2週間ほど入院し、2ヶ月ほど会社を休み、大変だったと聞きます。本当に日進月歩の現代では、治療は1日でも早い方が良いとも言えない気がします。
2004年6月下旬。
第15章 デリカシー知らずの婦人科
後で書きます。
2004年9月上旬。
第16章 力み過ぎた術前検査
後で書きます。
2004年9月下旬。
第17章 術前最後の診察
後で書きます。
2004年10月上旬。
第18章 入院準備、そして入院
手術に備えて……正確には術後の余暇(?)に備えて、DVDプレイヤーと韓国ドラマDVDを購入しました。そしてここ数週間、睡眠時間が毎日3〜4時間です。入院したら思う存分眠れると思って……。入院前に体調を崩してもイイのか、という基本的問題には目を向けないようにしています。
2004年10月6日。
入院。
事前リサーチしまくって、「アハハ大したことないし」とリラックスし過ぎていた私に、既に2日前に同時に手術を受けた同室の先輩2人がアドバイス。
A 「思っていたよりも楽だったよ〜。本当に簡単な手術だった。そりゃ、それ相当には痛いけどさ」……余り舐めて掛からない方が良さそうだと、この時気付きました。
B 「私はこれが人生初の手術なんだけど……簡単だって聞いていて舐めてたせいか……思ったより大変だよ……。痛いし……。でもAさんは本当に楽そうなんだよね……」
A 「そうだね、私はもう今は痛みも大したことないや。でもBさん、私が浣腸で苦しんでいたとき平気そうだったじゃん」
B 「浣腸はね。でも術後は私の方が大変だったよね。鎮痛剤2回も使ってもらったけど、Aさんは1回でしょ」
A 「それぞれ大変だったときが違うよね」
B 「本当に人それぞれなんだなぁって思った」
A 「でも、なんにしても開腹手術よりは全然楽だから」
しかしそれでも充分リラックスしており、看護婦さんから「緊張しています?」と聞かれれば即答で「全然」、「眠れそうですか」と聞かれれば「バッチリ」、翌朝「眠れましたか?」と聞かれれば「ぐっすり」という感じで、自分でももうちょっと凹んだりするのかと覚悟していたので、覚悟勝ちした自分を褒めてあげたいです。
――ま、手術を決意してから半年あればね……覚悟も決まるわな。
ここでは入院中の詳細スケジュールを紹介しましょう。
第19章 実際の入院スケジュール
これはあくまで1例であり、全員が全員このようなコースを辿るわけではありませんが、私は卵巣嚢腫摘出・腹腔鏡下手術の中では非常に典型的であり、術後経過が理想的な(と言うより単に問題のない)ケースだったようですので、同じ手術をした場合、大半の方が以下のようなスケジュールを辿るのだろうという意味では大まかな参考になることでしょう。
卵巣嚢腫摘出・腹腔鏡下手術
入院スケジュールの1例1日目:手術前日 10:00 入院 ・明日の手術の説明や問診、アレルギーテスト、へその掃除etc. 12:00 昼食 17:30 シャワー ・術前最後のシャワー 18:30 夕食 ・術前最後の食事 20:00 浣腸(1回目) ・腹痛 & 吐き気 with 脂汗に見舞われた地獄の3分間 21:00 就寝 ・以後、一切の飲食禁止 2日目:手術当日 06:30 浣腸(2回目) ・何も出ず苦しくもなかったあっと言う間の2回目 09:00 点滴開始 ・食事なしの1日を乗り切る栄養剤補給のため
・手術着(バスローブのようなもの)装着の上、点滴開始
・左手首にガッチリ固定され、翌朝まで取れない10:30 手術準備 ・血栓※1予防のための特殊ストッキング装着
・すべての下着を取り払い、手術着のみになる
・リラックスするための筋肉注射※2を尻に打たれる
・ストレッチャー※3に乗せられ手術室へ
・手術室に着くと同時に酸素マスクをはめられ、点滴から全身麻酔のための麻酔薬が投入されてすぐに意識不明11:00-
12:30手術 ・完全に意識不明のもと所要時間は実質75分
・腹部に4ヶ所の穴を開けての腹腔鏡下手術
・術後に装着されているものは、分かっているもので下記4点
−酸素マスク
−点滴の管
−尿管※4
−ドレーン※514:00 覚醒 ・麻酔が覚めるがまだ意識朦朧としている
・この時点では腹部の痛みは感じず、問題は息苦しさのみ
・病室に戻され、両足に血栓防止のエアマッサージ器を装着
・意識はハッキリしているようでしていないらしくすぐに寝てしまう17:00 酸素マスク
除去・手術中に装着していた気道を確保する呼吸器のため喉が痛い
・痰が絡むが吐き出せずかなり不快
・この後も寝ている状態が続く21:00 再び覚醒 ・麻酔が完全に切れたのか、単に睡魔が底を尽きたのか完全に覚醒するも、身体はぴくりとも動かせず寝たきり状態
・腹部の痛みも自覚できるようになるが、傷口の痛みというよりも腹部全体に漠然とした鈍痛を感じる(我慢できないほどではない)
・術後初のおならが出る(初おならと初便は超重要で早ければ早いほど経過が良い)
・手術のために腹部に入れられたガスがどこまで影響しているのか、胃が痛かった(我慢できないほどではない)
・寝返りを打とうと膝を立てようとすると腹部に引きつったような痛みが走り断念、これを数回繰り返す23:00 痛み止め
投入・同じ姿勢で横になっているため腰が痛くなり、寝返りを打とうにも身体を動かそうとすると腹部が痛くて動けない
・まんじりともせずにただひたすら時が経つのを待つ
・腰痛が酷くなりせめて傷口の痛みは和らげてもらおうと座薬の痛み止めを投入3日目:術後1日目 02:00 ・腹部の痛みなど大したことなく、猛烈な腰痛との静かな戦いが続く
・夜が異様に長く感じた
・何だかんだ言っても途中ウトウトしていたらしい07:30 採血 ・ようやく1日が動き始めた気がしてとっても嬉しかった
・37.5度程度の微熱が出る(熱が出るのは術後よくあることで大したことではない)08:20 点滴抜去 ・現時点で装着されている4つ(点滴、尿管、足マッサージ、ドレーン)の内の1つ、点滴が抜けて激嬉しい 08:30 朝食 ・朝食のためにベッドのリクライニングを上げ、上半身を起こしたことで腰痛が和らぐ
・約38時間ぶりの食事。おかゆなど完全な病人食で食べ物より飲み物(お茶と牛乳)が嬉しかった10:00 傷の消毒&
ドレーン抜去・傷の消毒と確認をして、問題がないようなので(腹部の痛みの第1要因と思われる)ドレーンを抜き去る
・現時点で装着されている3つ(尿管、足マッサージ、ドレーン)の内の1つ、ドレーン抜去
・腹に埋まっているドレーン抜去の瞬間は、ドレーンが内臓をこする感覚がリアルに知覚できて不快指数No.1
・しかしたかだか3秒の出来事! 一番恐くて一番嬉しかった瞬間! 解放感100%10:30 歩行訓練 ・術後24時間にして歩行訓練開始、これぞ腹腔鏡の威力
・とりあえずトイレまで自力歩行できることを確認し、成功したら尿管に繋がっている管を外せる
・現時点で装着されている2つ(尿管、足マッサージ)の内の1つ、足マッサージを外す
・初めて立ち上がるときは大変だったが、1度立ってしまうと、歩くのは立つより楽に出来た
・老婆の如く歩けることを確認、ただトイレで腰を下ろしたり上げたりが不安11:00 尿管抜去 ・歩行に問題がなかったため、現時点で装着されている残り1つ尿管の管を外す
・管なし人生に万歳!11:30 リハビリ ・歩行訓練のためフロアを徘徊
・しばらく歩くと腰痛も解消12:00 昼食 17:00 シャワー ・術後初めてのシャワー
・傷口は防水テープで保護されているが恐くて腹部にはシャワーを当てられなかった18:00 DVD閲覧 ・術中の腹部モニター映像DVD撮影しているので、医師と共にそれを見ながら手術の説明を受ける 18:30 夕食 19:00 経過順調 ・ここで既に初便、私の術後経過はかなり良い方らしい 21:00 就寝 ・大分体調が良くなってきたので、寝ずに持ち込んだDVDを見まくる 4日目:術後2日目 08:00-
21:00経過順調 ・歩行訓練をしたり、DVDを見たり
・腹部に軽い痛みはあるものの、術後2日目にしては上等の経過
・歩く速度は老婆並みで、未だに背筋を伸ばして歩くことはできないため、腰が痛くなり易い5日目:術後3日目 13:00 退院 ・腹部に軽い痛みはあるが、座っていると分からない程度
・歩いたり、ベッドから起き上がるときに腹部に少々負担を感じる
・4ヶ所の傷の中で一番痛いのはへその傷で、時々ずきっとする
・歩くときには本能的に傷を庇って微妙に前屈みになるため腰痛は治らず6日目:退院後1日目/術後4日目 終日 自宅療養 ・退院1日後、術後4日目にして、傷の痛みは本当にかすかなものに。ただやはり本能的に傷を庇って前屈みになるため、相変わらず腰は痛い。また、そうそう速くは歩けない。
・4ヶ所の傷のうち、ドレーンが埋め込まれていた傷口が痒い。恐らく傷が塞がって治りつつあるのだろうが、唯一ガーゼに血が滲んでいる傷口だけにガーゼにかさぶたがこびり付いていたらどうしようと不安。へその傷は微妙にちりちりと痛んだり、痒くなったりを繰り返し、その他の傷も何も感じなかったり痒かったりで、経過は順調。7日目:退院後2日目/術後5日目 午前 リハビリ ・リハビリを兼ねて散歩がてらに近所にある漢方薬の店へ。家でぶらぶらしていると元気なのでスッカリ失念していたが、街を歩いてみて速く歩けないことを痛感。こんな状態ではまだ恐くて電車には乗れない。また、パジャマ以外の外出着を着て歩くのも結構疲れるものだと実感。
・おばあちゃんの気持ちが分かった午前。午後 自宅療養 ・自宅でまったりした1日。 10日目:退院後5日目/術後8日目 午前 通院 ・術後1週間目の傷の消毒。問題ナシで傷を塞いでいた防水ガーゼが取り払われる。
・傷口と初対面。それぞれ1cm、1.5cm、1.7cmの直線の傷口。へそは複雑で未だにどれが傷口か不明。ただ綺麗な円形だったへそが無様な楕円形になっていて少し悲しい。へそになんぞ大した愛着もなかったが、失って分かるありがたみ。円形のへそカムバック!
・本日より入浴も可能。でもまだなんとなく恐い。
・ほぼ通常の速度で歩けるようになっている。腹の痛みもほぼなし。13日目:退院後8日目/術後11日目 終日 会社復帰 ・出社日。本人的には余裕をもったスケジュールかと。
・激しい動きをしなければ違和感すらない。※1: 「血栓」とは、血管の中にできる血の塊のこと。血流の停滞(よどみ)が原因で、寝たきり、手術後の長期安静や妊娠などで下肢の静脈に血栓ができやすくなる。安静解除で動き始めたとき血栓がちぎれて肺の血管を詰まらせる(=肺梗塞)と呼吸困難を起こし、死に至ることもあるため、これを防ぐ対策が取られる。 ※2: 「筋肉注射」とは、痛いことで有名な注射。肩や尻に打つケースが多いが尻の方が痛みは小さい。 ※3: 「ストレッチャー」とは、移動できる担架のこと。乗せられると「ああ手術するんだなぁ……」と気分が盛り上がる。 ※4: 「尿管」とは、寝たきりの間トイレに行けないため、尿道に繋がれた管のこと。正式名称は不明。 ※5: 「ドレーン」とは、患部付近のスペースに溜まった侵出液(炎症物質)を外部に排出するための管。侵出液や血液を早期に取り除くことで、術後の痛みの軽減と拘縮予防を実現する。
第19章と被りますが、これは退院後、自室のPCを立ち上げて真っ先に書いた親戚&友人たち宛のメールです。心底好きなんですねぇ、レポートが。
第20章 腹腔鏡手術体験レポ
文章形式ですので、上のスケジュール表内のコメントより感情が垣間見えるかと思い、紹介しておきます。
同送配信失礼。自宅療養に入ったトーコです。うふ。ちなみにこのレポート、「へその下辺りがむずむずして。仕方が無く2日に分けて完読いたしました。」「あまりの生々しさに、途中で断念しそうになったよ。。。」「読み進めるうちにどんどん脱力していった」「ナマナマしすぎ」「リアルだからヨケイ想像がかりたてられてねえ。」「ごめん、最後まで読んでない」と大変不評でした……。友よ、ウキウキで送り付けて大変申し訳ない……。
レポート大好きなワタクシ、無理やり皆様にも腹腔鏡手術体験をば。
さて、無事、卵巣嚢腫摘出・腹腔鏡下手術を終えて帰ってきました。
意外にも今回の4泊5日中で一番辛かったのは術後12時間以上、寝返りも打てずにベッドの上で仰向けに寝続けたコト。傷も痛いが腰の痛みの方が酷かったです。いや〜人間足腰鍛えないと駄目ね、と心底思いました。快復次第、絶対に腹筋鍛えよう、ってなもんです。
手術自体は全身麻酔の威力発揮で、全然覚えていないし、精神的にも辛くなかったです。連日の夜更かしの効果もあって、術前もぐっすり眠れたし。さすが腹腔鏡というべきか、傷口もそんなに傷みません。3日後の今日では普通に座っていると分からないくらいです。(動くとちょっと痛いけど)
手術は75分、その後約20時間ほど3つの管(手首に点滴用の管、尿管に繋がれた管、腹部に内部に血液が溜まらないように外に排出するための管)に繋がれて、一晩挟んで20時間後にはもう歩行訓練ですわ。
痛み値が一番高かったのは腹部内の血液を外に排出するためにお腹に開けた穴から出ているドレーン管というものを引っこ抜くときでした……。たかだか3秒程度ですけど、お腹の中に埋まっている長い管がずるりんと引っこ抜かれる様がこすれた内臓の知覚をもってリアルに体感できて……。今回の入院を通して不快度No.1、痛み値No.2(No.1は腰痛、No.3は浣腸後の吐き気と腹痛)くらいですか。
本当はこのドレーン管が腹部に埋まっている傷口付近の様子をこの目で見たかったのですが、首に力が入らず見ることはできませんでした。抜かれた後に血塗れであろう管を確認したい気持ちもありましたが、なんか抜かれた感覚からかなり長かったのでは(15cm以上?)と思い、実物を見たら気が滅入りそうだったので、やっぱり見ませんでした。
傷口は4ヶ所で1つ1つは1cm前後の小さな穴なようです。今はカーゼ付きのテープが貼ってあるので傷自体はまだこの目で未確認。ただどうしても気になるのが、4ヶ所の内の1ヶ所が丁度へその辺りで、私はへその下に傷があるのだろうと思い込んでいたら、看護婦さんに確認したところ、へそのど真ん中に穴を開けたと言われ、これがかなりブルーです……。へその絆創膏は傷が完全に塞がる頃にならないと恐くてはがせません。へその傷だけはかなり安定してからでないと見るのすら恐いです。大体、へそなんてただでさえ掃除したりすると痛いのに、あんな敏感な場所に穴開けられちゃって大丈夫なの?!ってなモンです。今でも一番痛むのがへその傷だし、色々想像して悶々としています。
しかし総じて、やはり開腹に比べて格段に楽なんだろうな、と。さすがにお腹に4ヶ所穴を開けたので、まだ腹筋に力が入らず今までの速度で歩くことはできないけど、まぁ穴を開けた割には元気かな、と。糸で縫わずに防水テープで貼っただけの処理にこっちがひやひやしちゃうくらい……。1ヶ月くらいはこのおっかなびっくり生活を続け、それから徐々に通常の生活に戻れるそうです。
そうそう、手術翌日に術中の執刀医が見ていたモニターにあたる画面をDVD録画しており、それを見せてもらったのですが、結構面白かったです。ただ針さばきなどは思ったより雑だな、と。あんなんでちゃんと縫えたことになるのか、と言うか。子宮筋腫で手術を受けていた同室の女性は「技術に感動した」と言っていたから、単に私の思い描いていた腹腔鏡手術が素晴らしかっただけで、ま、あんなモンかもしれません。箸のような棒を直接見えない場所に挿し入れて、モニター越しに縫うのですから、それは物凄い技術なんだと思いますが、でもねぇ、もっと丁寧に縫ってよって感じ。ま、トータル出血量5mlという大快挙の手術だったようですが……。しかも私が指名した人気者のお医者さまですもの。感謝せねば。
手術費は本人負担3割で13万円ちょっと、部屋が1泊約7千円の一番安い部屋(4人部屋)に5泊扱い。合計約17万円でした。術後の経過も順調で、文句なしの恐らく最も簡単レベルの手術だったのでしょう。でも、思いましたね。100万掛けても漢方などで治るならそっちにすると。過ぎてしまえばすべて大したことのない痛みレベルですが、もう絶対に2度と切った貼ったの手術はごめんです。
――以上、4泊5日の卵巣嚢腫摘出・腹腔鏡下手術体験レポートでした。
ただ時が経つと(術後5日目現在)実際は書いているほど大変ではなかったような気がしてきました。……と言うか、人間は忘れる生き物なんですねぇ。しみじみ。あの時は本当に苦しくて「絶対覚えておいてレポートだ!」と思いましたが、今はその時のメモを見ないと、あの時の苦しみを思い出せません……。
話は変わって。
手術のDVDは是非手に入れたかったのですが、コピー禁止、貸し出し禁止の門外不出の代物だそうで。せめてキャプチャの写真を何枚か頂けませんか?とのお願いも拒否され、ではこのモニターをデジカメで撮ってもいいですか?と聞いたところようやく渋々OKして下さいました。
私は卵巣嚢腫というのは卵巣の外に出来ているおできの様なものだと思っていましたが、そうではなくて、卵巣内部に出来たもので、例えるならばミカンの黄色の皮の部分が卵巣で、中の実が嚢腫に当たるのだそうです。今回の手術ではミカンの中身を砕いて取り出し、残ったオレンジ色の皮の部分を縫い合わせて終了と。具体的には以下のようになります。
ちなみに傷跡の位置はこんな感じ。多分、へそからモニターを入れているのではないかと。
(1)赤丸で囲んだ部分が嚢腫。上部に映る黒い棒の先端に針がついており、今まさしく嚢腫を突いて破ろうとしている。下側に見えているのは腸。左下辺りに広がるオレンジ色のものは腸を保護する脂肪。 (2)嚢腫を破った後。散った中身をホースで吸い出だす。3本の作業棒の中央部にあるのが髪の毛。生理食塩水をかけてはホースで脂とゴミごと吸引、を繰り返す。 (3)嚢腫内の脂分を吸引し終え、残った外壁の皮を卵巣壁から剥がしている。左下の灰色の管は吸引ホースらしい。 (4)赤丸で囲んだ白い球体が、嚢腫部を中身共すべて摘出し終え、縫い合わされている卵巣。結構テキトーに縫い合わせているように見え、「こんなんでイイの?」と軽くブルーになった。
4ヶ所の青い×印が穴を開けた部分で、ドレーンの内部の状態に関しては想像
第19章や第20章を読むと色々なことがリアルに想像できてビビってしまう方も多いかと思いますが、私は単に起こったことを「覚えておいて後で記録しよう」と意識していたためにこのような報告になるだけで、普通に生きている人間であれば、各々のイベントはあっと言う間に過ぎ去ってしまう上に、それに伴う痛みもすぐに忘れる程度のものであることを明記しておきます。
第21章 手術に伴う痛みの分析
実際、長く引き摺る痛みであるメインの腹部の痛みはそれほどでもなく、今回の手術を通して「我慢できない痛み」などひとつもありませんでした。第6章で報告した子宮癌検診の方がよほど痛かったです。痛みも長く引き摺ったし。
下の一覧表を見ていただいても分かるように、最大の痛みが「寝たきりによる腰痛」です。こんなの普段足腰を鍛えている人は回避できますし、そうなると第2位は「ドレーン抜去」です。これもどんなに痛くてもたかが3秒の出来事です。3位の「浣腸(1回目)」も人によっては全く平気なようですし、たとえ苦しんだとしても数分の出来事です。
本当に、私の手術は「大したことのない手術」で、実際に術後4日目になった今では各イベント毎の辛かった時間は既に記憶が曖昧になっています。ですから第19章や第20章を読んで気が滅入ってしまった方は、是非以下の痛み一覧を読んで下さい。そして手術に伴い起こりうる痛みをすべて把握し、本番には「……でもこれもたかだか3分の出来事……」と乗り切って頂きたいのです。実際私は私より先に手術を受けた同室の患者さんに感想を聞きまくり、すべての起こりうる痛みを把握して手術に臨んだため、各イベントを必要以上に怯えずにこなして行くことができましたから。
この一覧の作成に当たり、痛みをどのように表現すべきか試行錯誤しましたが、「鈍痛でも長時間続けば苦痛」「一瞬の出来事でも何となく引き摺る痛みなので苦痛」など色々な捉え方があるので、純粋な痛み値を「痛み」、痛いと言うよりも精神的に苦痛を感じる「不快」、痛みを感じている実質の「時間」、前述3件を総合した結果、私的体験談を交えた「コメント」、としてまとめてみました。
痛みの感じ方には個人差がある上に、「ずきっとした痛みには強いがシクシクする痛みに弱い」など人によってタイプも違います。また、浣腸や麻酔は体質によって大分反応が違うため、この辺りは考慮の上、ご参考いただけると幸いです。
くれぐれも忘れてならないのは、私はこれが人生初の手術であり、痛みに弱いヘナチョコな人間であるということです。開腹手術経験者から見たら、すべての数値が大袈裟に感じるかもしれません。ってことで、以下の一覧は手術初心者のための心構えに使用されることを望みます。
手術の各イベントに伴う傷み一覧
※痛みと不快指数は5段階評価(5が強い)イベント 痛み 不快 時間 総合 コメント 術
前浣腸(1回目) 5 4 3分 3位 腸が絞られるのが体感できる猛烈な腹痛に見舞われ、全身が冷えて脂汗が出るわ吐き気はするわで大変だった。周囲の様子を聞くとこれは本当に人それぞれらしく、苦しむ人もいれば何でもない人もいる。 浣腸(2回目) 1 1 1分 1回目とは打って変わって、出す物がなかったためか腹痛も一瞬。浣腸の苦しみは体質だけでなく体調にもよるようだ。 点滴 1 2 5秒 痛みは少ないがやはり身体に管がつくこと自体に抵抗がある。 筋肉注射(尻) 3 1 5秒 リラックス剤の投入で、これが投入されれば多少ハイになれると知っていたので、不快度は低い。また覚悟が大きかったためか、痛みも大したことなかった。 全身麻酔投与 1 0 2秒 先にリラックス剤を打っているし、既にしている点滴からの投入なので。でも麻酔薬が血管に入ってくるときにはちりっと痛むのが分かった。その後即効で意識不明。 直
後覚醒後の麻酔 0 0 - 母が手術をしたとき術後なかなか麻酔が抜けずに数日間苦しんでいたので、私も相当の覚悟をしていたが、私の場合は切れ味爽快で大丈夫だった。麻酔担当の腕や本人の体質、体調によると思う。 寝たきり状態 5 5 1日 1位 寝返りも打てずに20時間……左腰の腰痛に悩まされた地獄の1晩だった。ただ痛みに新鮮味はなく、よくある腰痛。痛みの絶対値はドレーン抜去の方が大きいと思うが、なにせ約1日続いたので本当にくたびれた。 術後の腹部 4 2 1日 痛みは少々あるものの不快な痛みではなくよくある鈍痛。「生理痛の重い版」と言った人がいるが、そんな感じか。不思議と傷口の痛みという感じではなく、腹部全体が漠然と痛い。しかし我慢できないほどではない。 術
後採血 1 1 5秒 これは看護婦によって全然違うと思われる。 点滴抜去 1 0 5秒 解放の喜びで不快指数0。抜かれる分には痛くもない。 傷の消毒 2 3 1分 へその傷に消毒液が染みる染みる! ドレーン抜去 4 5 3秒 2位 腹に埋まった管を抜かれるこのえも言われぬ感覚……痛いし不快だった。でもたったの3秒。過ぎてしまえばチョロイ。しかしたった3秒なのに総合2位。ある意味これこそが山場か。 初歩行 3 2 5分 ま、痛みも不快値の低い痛みで、単にお腹に力が入らなくて大変って、それだけ。 尿管抜去 2 3 5秒 実際痛みはそんなにないが、不快なのがなんとも。ま、入れられるときは意識ないし、抜かれる時は解放の喜びで一杯なので総合的に見てちょろい。 初おしっこ 0 2 10秒 「尿管抜かれた後の初おしっこは痛い」と聞いていたのでかなりビクビクしていたが、全然痛くなかった。でもなんかこう……不快ではあった。 初便 0 0 10秒 ラッキーなのか、痛くも不快でもない。お腹に力を入れるのは恐いが、そんなに入れずにスムーズに……。
とりあえず領収書はこんな感じで。
第22章 手術の費用
見えにくいと思うので、ざっとポイントとなる数字をば。
入院診療費請求書(兼)領収書
手術の費用 手術代 \132,300 食事代(4日分@780) \3,120 部屋代(5日分@6,820) \34,100 合計 \169,520
失敗の可能性も少なく、お手軽に出来る腹腔鏡技術の浸透で、婦人病の治療が今までに比べ格段に楽になったのは確かだと思いますが、それでも100%成功する保障はないし、どんなに負担が軽くてもそれはあくまで開腹に比べてということであり、手術は手術です。やらないに越したことはありません。
第23章 素人からのアドバイス
手術費は第22章で説明したとおり合計約17万円。入院期間は約5日。痛みだって大したモノではありません。とてもお手軽だと思います。しかし、それでも思いました。100万円掛けても漢方などで治るならそうしたいと。
ただ、漢方ですべてが解決する筈もなく……そうなるとこの腹腔鏡手術というのは本当にありがたい手術だと思います。女性の4人に1人は子宮筋腫のこの時代に、開腹手術では2週間前後の入院だと言うのに、腹腔鏡なら実質寝たきりは1日以下、入院も3〜5日程度です。
私は卵巣嚢腫という無自覚・無症状の病気だったのでありがたみも半減ですが、同室に入院していた2名の女性(30代後半)はどちらも子宮筋腫で(9cmと7cm)、片方の人は生理の度に血が止まらず、毎回薬で止めて、重い日はロリエ夜用のオムツのようなパットを2時間毎に換えるほど大変だったそうで、手術後に「こんなに簡単な手術ならもっと早くにすれば良かった!」と言っていました。
しかし一方で、筋腫が見付かり、医者には即手術しろと言われたものの、どうにか手術をしないでやり過ごせないかと他の病院を探している内に、いつの間にか筋腫が消えてしまったケースなどもあります。
手術に踏み切るタイミングは難しいと思いますが、最初に診察を受けた医者に言われたから即決というのは避けた方が良いと思います。医者によって言うことも大分違って来ますし、少しでも不安な点があれば複数の病院で確認した方が良いでしょう。検査の繰り返しという難点はありますが……。
私のような卵巣嚢腫の場合は、中身が液体であった場合は早期発見できるかどうかが決め手です。4〜5cm以下で、内容物が液体であれば漢方で治る可能性は高くなるそうですが、その場合、無自覚・無症状の卵巣嚢腫をどのように発見するかに掛かってきます。
私の場合は30歳から始まる子宮ガン検診を契機に、内診を嫌がって自分で内診なしの健康診断を受け、その中の腹部エコーを受けたことにより偶然見付かりました。内診にどうしても抵抗がある方には、この腹部エコーがお勧めです。
腹部エコーでは卵巣嚢腫だけでなく子宮筋腫も発見できますし、筋腫も嚢腫も短期間で成長するものではないので、とりあえず若い内(20代前半〜半ば)から年に1回くらい腹部エコーを受けておけば早期発見できるのではないでしょうか。勿論、30歳を過ぎてからでも遅くないと思います。今回入院して周囲を見渡せば、患者さんの多くは30代半ば〜後半でしたから。
とにかく腹部エコーなどで早期発見できれば漢方などで早めの処置を行うことができ、手術を免れる確率も高まります。
■漢方の話■
ここで漢方の話を少し。
本日12(火)、漢方薬専門店に赴き、卵巣嚢腫の再発予防のための漢方薬があればと色々話を聞いてきました。婦人病の原因は医学的には明らかになっていませんが、通説としては「ストレス」が深く関わっていると聞きますし、漢方の専門家から言わせると「血行不良」から来るのではないかとのことでした。
話は変わるようで繋がってくるのですが、最近、手足の指先に透明な固いぶつぶつができて、いつまで経っても治らないので水虫かと思って皮膚科に診察してもらったところ、「汗疱(かんぽう)※注」と診断されました。これは汗が正常に汗腺から体外へ排出されず、皮膚の下で詰まってしまうことによりできる水泡で、昔から季節の変わり目などに時々出来ては消えていたのですが、今回は2ヶ月ほど経っているのに治らないので心配していたのです。ものはついでなので、漢方の先生にこの汗疱についても相談しました。
急激な改善は求めておらず、長期的な体質改善することで卵巣嚢腫や汗疱を身体の内側から治したい、と話すと、舌の診察やその他の身体の状態の問診をされ、次のように言われました。
「婦人病も汗疱も、トイレが近い(問診から)のも、全部根っこは血行不良なんですよ。舌はどちらかというと『湿熱』タイプで、文字通り身体にたまった水が熱くなる、熱が篭りやすくて、これも血行不良から来ています。広範囲での根本からの体質改善となると温清飲(うんせいいん)がお勧めでしょうか」病気って繋がっているのね、と改めて実感。
――と、言うことで、目指せ根本解決! 血行不良の改善を求め、温清飲の購入を!と短絡的に行動しますが、10日分2,415円、1年約8万8千円……。この章の最初に「100万円掛けても漢方などで治るならそうしたい」とか言っていましたが、実際問題お金を支払う段になると怯むものですね……。
ま、表面的な解決重視で己の持つ自然治癒力を低下させてしまう西洋医学の薬と違って、漢方はもっと身体の根本から体質改善を施してくれる(と信じている)ので、ええ、ええ、もうこうなったら鰯の頭も信心から!の勢いで、アタシャこの先の人生、温清飲と共にする決心を固めましたよ。
※注:汗疱は、手掌(手のひら)や足底に水膨れが出来たり、皮(角層)が剥けるが痒みは伴わないことが多い。湿疹化すると赤くなり痒くなる。手のひらや足の裏に汗を、緊張や季節の変わり目などに多めに汗をかく人がなりやすい。長くて2週間ほどで治る。
私は筋腫などは出産経験のない女性が主に罹る病気だと思っていたのですが、少なくとも上記の筋腫で入院していた方の周囲では、既婚未婚問わずに多くいるそうで、子供を生んでいるから安心、という訳でもないようです。
彼女からの情報として特記すべきこととして、腹腔鏡手術を受ける病院選びの話があります。
彼女の友だちの多くも子宮筋腫で手術を受けたことがあるそうなのですが、全員、腹腔鏡手術として受けながら、最終的には開腹に切り替わって手術されたそうなのです。(※注:1〜3年前ほどの話) どうせ開腹になるなら最初から開腹を選んだ方が……と悩んでいた彼女ですが、順天堂の成功率の高さを信用し、順天堂に決めたと言います。
私が日本一腹腔鏡手術件数の多い順天堂医院を選んだのもそのためです。結局まだ新しい技術なので、決め手は「執刀医の経験値(慣れ)」なのではないかと。最近では色々な病院で手術件数も増え、大分浸透した技術になって来たようですので、簡単な手術の場合は遠くに住む人がわざわざ日本一の病院まで駆けつけなくても良いのだろうと思いますが……。
やはり同室に子宮筋腫と卵巣チョコレート嚢腫とダグラス窩癒着のトリプル・パンチを患った患者さんが入院していましたが、彼女は地元の病院では腹腔鏡手術で対応できないと言われ、わざわざ遠くから順天堂医院まで赴いて入院したのだそうです。順天堂ですら「開腹に切り替わる可能性が3割以下ある」と言われていたようですが、北出先生の執刀の下、無事成功していました。(※通常の簡単なケースの場合は「開腹の可能性は1割以下」と説明される)
以前待合室で会った方も、子宮筋腫と卵巣嚢腫のダブル・パンチで、「この2つが併発している場合に腹腔鏡手術で対応できるのは順天堂だけです」と言い切られたと話していました。
順天堂医院は、その手術件数からも分かるように、今のところ腹腔鏡手術においては東京医科大学と並び日本一と言えそうですので、面倒な婦人病を併発してお悩みの方は、一度順天堂を訪ねてみては如何でしょうか。
私が第23章の最後で順天堂医院を薦めているのは、自分が順天堂で手術をして成功したからであって、たとえ低い確率であっても自分が失敗例になったら絶対に薦めないでしょうし、他の病院で手術をしてそれなりの満足感を得ていた場合、その病院を薦めているでしょう。
第24章 病院選びのお手伝い
その後ネットサーフで色々調べてみましたが、通常の婦人病の腹腔鏡手術の場合では、婦人科で有名な浜田病院、山王病院、杏雲堂病院など色々な病院で満足度の高い手術が施されているようですので、ここはどうだろうというお目当ての病院がある場合、「病院名+腹腔鏡+評判」などのキーワードで検索して生の体験談を探してみてください。損得感情抜きの素の体験談が聞けるのはインターネットの良いところですから、利用しない手はありません。
ただ、様々な病気の併発という難しいケースになると、やはり順天堂医院が一歩リードするのかもしれません。
これはあくまでも参考資料程度にしかなりませんが、腹腔鏡技術の資格認定を行っている機関による、技師認定医師の一覧表が公開されていますので、気になる方はどうぞ。
日本産科婦人科内視鏡学会>技術認定>技術認定医師一覧(PDF、EXCEL)医学会というのも派閥や利権などねっとりと絡んでいそうな業界ですので、特定の機関が定めた資格など何の役にも立たないかもしれませんし、上記の認定医師一覧にも「非学会員や認定申請をされていない医師にも同等の技術を持った方がおられる事をご承知ください」との注意書きがありますので、本当にあくまでも参考程度に見た方が良いと思います。(しかし逆に言うと、参考にはなると思います)
医者にとっては one of them でも、自分にとって自分は唯一無二の存在なので、簡単なケースでも万全を尽くして良い医者を選ぶのは当たり前のことだと思います。しかし、単純なケースで立派な大病院にお世話になると、どうもぞんざいに扱われてしまう、いちいちのアクションの待ち時間が異様に長い、医者も看護婦も忙しそうで質問しにくく精神的な安心感が得られないなどのマイナス要素もあるのかな、と自分の体験と他人の体験を照らし合わせて思いました。
某掲示板でのこのような的を射た書き込みがありましたので、転載しておきます。
何をもって名医と言われるのか分かりませんが、少なくともネット上で評判になった病院・医師については、患者が殺到することが多く、勢い診療時間が制限されてきます。当然説明時間も少なくなりがちで、あらかじめ疾病の内容や典型的な治療法、リスクの予備知識くらいは頭に入れておかないとオロオロしてしまって、かえって期待はずれに終わる可能性も大いに有りうるでしょう。人気のある医院での、お医者様と心の交流を求めて……などということは期待できません。特別診療患者であれば、別ですが。本当に、この通りだと思います。
私の執刀医は指名までした順天堂医院の名医・北出真理先生ですが、クール・ビューティというか、やはりこう……ゆっくりと質問できる雰囲気ではなかったですから……。聞けば的確に答えてくれますし、不親切とかそういう訳ではないのですが、やはり忙しい感じが滲み出るのか、ゆっくり腰を据えて質問できる雰囲気ではないのです。これは大病院の名医の宿命かもしれません。
しかし手術は当然の如く大成功、出血量はたったの5ml、術後の経過は非常に良好、本当に分不相応な手術を執刀して下さった北出先生には感謝しております。心的サポートが必要な終末医療や命に別状があるケースならともかく、こんな簡単なケース、知識なんぞはある程度自分で調べることが出来るのですから、心の交流がイマイチだろうと確かな腕を持つ先生に執刀してもらった方が良いです。私としては。
私は自分の病気に関する知識をほとんどネットと身近な体験談で収集して得ました。幸い時代はインターネット、本当に多くの生の体験談が転がっていますので、これを活用しない手はないでしょう。このページを読んでいるような方はかなりディープにネットを駆使して情報収集している方だと思うので、言わずもがなですね。
では、このページが今後腹腔鏡手術を受けようとしている方の助けになることを祈って。
最後に、実際に腹腔鏡手術を受ける予定のある方に。
そりゃ、できればもう2度とやりたくはありませんが、技術は進歩しています。10年前に同じ病気を患っていた人々が泣いて羨ましがるほどチョロイ手術です。個人的な意見としては手術を避けられるなら何が何でも避けるべきだと思いますが、どうにもこうにも手術が避けられないのなら、とっとと手術をしてとっとと自由の身になることをお勧めします。深刻ぶっても結果は変わりません。テキトーに力を抜いて頑張って!
順天堂病院、卵巣のう腫、卵巣のうしゅ、らんそうのうしゅ、卵巣脳腫