2001年12月の日常日記&コラム

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 無駄に時が経つのが速い今日この頃……。やらねばならんことが山積みなんだったら。
日記の小見出し一覧
◆注目の日記にはセルに水色を付けています◆日付を押すとジャンプ出来ます◆
 03(月) IE6ショック  04(火) 小休憩  05(水) 馬鹿っぷり健在!
 06(木) 恐い環境  07(金) 有給累計29日(残5日)  10(月) 差別と区別と棲分けと
 11(火) 直球勝負の不況  12(水) 外人もビックリ  13(木) 水と戯れる日々
 14(金) 寒い賞与額  17(月) 小休憩  18(火) 間抜けな記事
 19(水) PG・SEという仕事(前)  20(木) PG・SEという仕事(中)  21(金) PG・SEという仕事(後)
 25(火) クリスマスか……  26(水) 年末年始スケジュール  27(木) 失業率5.5%
 28(金) 最終日  −  −




 2001年12月3日(月)/IE6ショック  晴/0:00 
 最近猛威をふるっているウィルスに根負けし、腰の重い私も、え〜上げなきゃ駄目?もー渋々……といった経緯でIEを5から6にバージョンアップしました。アイコンの「e」が妙に艶っぽく立体的になったこととか、引き摺られて Outlook Express のアイコンも3Dの世界に羽ばたこうとしていること以外の変化は余り感じられず、当然有り難味の方も以下同文だったのですが、自分のサイトをぼんやり確認していたら、エライ違いに気が付きました……というか、気が付かされました……。
 表のセル内の文字が、望むと望まざると関わらず、強制的にセンタリングされているではありませんか。


 え? なんで?? 今まで何も指定しなくても、左揃えになってたのに……。ってーか、何もしない時はデフォルトで左揃えになって、センタリングや右揃えみたいに特別な場合だけ <TD align="center"> とかにすれば良いのかと思ってたのに……。
 巷のWebサイトを確認すると、ほとんどのサイトは無事なようで、私のサイトとの違いは?と思ってソースを確認すると、どうやらスタイルシートかどうか、というトコロが明暗の分かれ道臭いのですが、これもハッキリそうだとは言えず、今更全ページを改修するのは御免だわ……ということから、「簡単、でも馬鹿っぽい」修正を選びました……。
 過去に遡って、片っ端から全ての表の未指定部分にわざわざ <TD align="left"> を加えて行く羽目に陥り、会社での精密単純作業を彷彿とさせる力技の修正をプライベートでも展開するという虚しい休日を過ごしてしまいました……。

 時代は進化すると共に便利になるだけではないんですね……。「まぁそこは言わないでも分かって下さいよ〜」というような日本文化はどんどん淘汰されて行くのですね。それはそれで良い部分もあるけれど、今回に限って言えば「悪い」……っちゅーか、迷惑。
 同じような目に遭っている人……多くはないけどいるんだろうなぁ……。


 2001年12月4日(火)/小休憩  曇/-1:00 
 冬ですねぇ……。


 2001年12月5日(水)/馬鹿っぷり健在!  晴/0:30 (+0:30) 
 今日T社社長から届いたメール。
----- Original Message -----
From: T社社長
To: 鷹瀬
Sent: Wednesday, December 05, 2001 2:54 PM
Subject: 送金ミスのお知らせ

鷹瀬さんへ

今回 Mさんが資格を取得したので送金しましたが
間違って鷹瀬さんの口座に振り込んでしまいました。

冬のボーナス支給時に、仮払いの返済として処理したいと
思いますが、如何でしょうか?

 ……………………相変わらず魂抜けるほどの馬鹿っぷり健在! いっそ見事に完成された世界!


 2001年12月6日(木)/恐い環境  晴/0:00 (+0:30) 
 新入社員が再びわらわらと入り始めたZ社。「あの人誰?」という人がナチュラルに同じフロアにゴロゴロいる今日この頃。会社に行くのが段々本格的に嫌になりつつある鷹瀬です。やっぱ冬だし、寒いしね。(←意味不明)

 さて、新入社員の話から、就職活動の話になり、何かの弾みで履歴書の話になりました。
鷹瀬 「昔、新卒の時の就職活動の時、履歴書が自社指定の会社があって、その履歴書の中に『得意な言語は?』って言う問いがあったんですよ。その時はまだ元気があったから、思いっきり『日本語』とか書いてましたよ。今から思えば、世の中を舐めてますよねー」
Aさん 「日本語得意なんていいなぁ……。確かに鷹瀬さん、日本語得意だもんねぇ。僕、日本語苦手だからなぁ……。僕だったら得意な言語は『C言語』だな
 うわあぁぁぁぁっっっ!!!! 面白いケド笑えないっ! もうヤダこんな恐い環境っ!!


 2001年12月10日(月)/差別と区別と棲分けと  晴/0:10 (+0:30) 
 つい先日、「これからは看護婦および看護士の名称だけを統一して、男女平等の名の下に『看護師』にしようじゃないか!」という、いかにも表面解決を好む日本らしい法案が可決しました。他に解決すべきことは山ほどあるだろバーカという私の感想はともかく、トホホ感は一般的にも蔓延しているのではないでしょうか。……してるよねぇ? してて欲しいなぁ。
看護婦さんが「看護師」に 呼び方はそのままでもOK (朝日新聞 2001年12月6日)

 女性なら看護婦、男性なら看護士としている名称を、統一して「看護師」とする改正保健婦助産婦看護婦法が6日、衆院本会議で賛成多数で可決、成立した。保健婦、助産婦、准看護婦なども同様に「保健師」「助産師」「准看護師」となる。来春から施行する。

 同法の改正議論では昨秋、与党3党が名称変更とともに助産婦資格を男性にも開放する法案を提出したが、「女性に抵抗感が強い」とする反対が強く、廃案となった。今国会に提出した改正法案は助産婦の名称を助産師に変えるものの、女性に限る資格要件は残した。

 改正法成立について、日本看護協会(南裕子会長)は、「変わるのは法律上の正式名称だけで、患者さんが通称で看護婦さんと呼ぶのを妨げるものではありません」としている。

 おやおや。国がこんなにガタガタでも、相変わらず無駄なことでエネルギーが垂れ流れ続けているんですねぇ。
 基本的に、これらの名称統一の根底にある理念は「男女平等」ということな訳ですが、日本社会に未だに根強く巣食う性差別への対応策として、こういうトンチンカンな解決方法しか浮かばない現状を見るにつけ、本当の意味での男女平等は永遠に訪れない気がしてなりません。

 看護関係の仕事に男性が参入するのは、私は大賛成です。実際問題、看護婦の仕事は「細やかな気配り」と同程度に「体力勝負!」な面が多々あり、老人介護などの経験がある人は、「介護、看護の場面に男手があったら……」と少なからず思っている筈です。
 どんな小柄な人相手でも、上半身を起こす、身体の向きを変える、風呂場まで運ぶ、など、これらの仕事は物理的に女性よりも男性に適していると思いますし、それは精神的な向き不向きとは全く次元の違う問題です。
(余談ですが、今の老人介護のメジャーな現状としては、旦那さんは朝から晩まで会社に縛り付けられているので、旦那の両親に自分の両親の4人を一手に引き受けた運の悪い奥さんが、自らの腰を痛めながら、跳ね上がった保険料や落ち窪んだ福祉援助と日々闘っているんですがね)
 しかしね、助産婦の仕事を「助産師」と呼び、ここに男性が参入するのは如何なものか。
 現在7割の女性が反対していると言いますが、私も類に漏れず大反対です。子供を産むなんて苦痛を伴う大仕事をしている時に、余計なストレスかけるなよ、と出産経験のない私でさえ思います。
 またこれが女性側からの要望により男性が参入するならともかく、「苦しむのは女性」という明確な状況にありながら、「助産婦の仕事は男性にも門戸を広げるべき」と男性(&ごく一部の女性も)が言い出しているのだから、お前一体どういう神経してるんだ、と言いたくもなります。

 女性だけの分野に男性が参入することが男女平等と言うのなら、貴様まず子供を産んでみろと勢い余って思う訳で、たとえ出産経験のない女性でも、女性であるというだけで許され、男性には許されないのは、出産に対する覚悟や心構えが男性と女性では恐らくまるで違うからです。
 子宮を持たない者に、子宮業界には参入して欲しくないというのが私の言い分であり、反対している多くの女性の言い分でもあるでしょう。

 もちろん「私は是非、助産士に子供を取り上げて欲しい!」という方も極稀にいらっしゃるとは思うので、そういった方たちのために助産士を招き入れるのは一向に構いませんが、ならば出産における助産師の男女の選択の権利を確保して欲しいし、徹底して守ってもらわねば困ります。
 こういったことをシミュレーションした場合、恐らく……というか、確実に助産婦を希望する女性が圧倒的多数でしょうし、助産士の活躍の場は限られてしまうでしょう。たとえその助産士が並々ならぬ熱意を持ち、誠実で、木目細やかな心遣いの出来る人であってもです。
 こうなってしまうとお互い不幸でしょうし、現実問題として、「助産士」というニーズが職業として確立されないと思うのです。

 そもそも助産婦の仕事に、なぜ男性が介入する必要があるのか。全く訳が解からなかったのですが、以下の記事を読んで、「なるほど、こういう考えの下に必要性を説いているのね」ということが判りました。

「男性参入の必要どこに」 〜助産士を考える 緊急座談会(下)〜
http://www.asahi.com/life/child/0329a.html

 ここで男性参入案を熱烈に説いているのは、「日本看護協会助産婦職能理事、埼玉県立大教授」という大変長ーい肩書きを持つ女性(!)なのですが、彼女の言い分のメインはこうです。
「家族崩壊や児童虐待が起きている中で、性教育にしろお産にしろ、産後の問題でも育児でも、男性を巻き込んでいかないと」
 上記言い分には素直に頷けるのですが、だからと言って、なぜに助産婦業界に男性を招き入れることが上記の主張に繋がるのかは理解できません。この教授の突飛な意見を理解できないのは私だけではないらしく、他の座談会のメンバーから
「性と生殖に関する健康と権利を守るための現場はいっぱいあるのに、なぜ出産の現場に男性を入れなければ男女共同にならないのでしょう」
という突っ込みも炸裂しています。

 助産婦の世界に男性を参入させることで、世の男性が育児に参加するようになるとは到底思えません。助産士になる人口と、残業に追われて家庭を顧みる時間が持てないサラリーマン人口と……この明確な比率の元に、「助産の世界に男性を参入させれば、男性を育児に巻き込める」と本気で思っているのでしょうか、この賛成派の大学教授は。
 そんなことよりも、もっと確実で優先順位の高い改革があるでしょうが。──そう、男性の育児休暇取得を完全な形で認めれば良いのです。まず第一に、父親が子供と関わる時間を作ってやれば良いのです。生活に時間的、精神的な余裕を与えてやれば良いのです。

 こんなことも満足に実現できていない世の中で、助産士云々という小手先の事象を訴えること自体、既に問題を見誤っており、政府の問題解決能力の低さを痛感せざるを得ません。
 勿論、男性の育児休暇取得が一般的になるのは、女性すら満足に産休や育児休暇を取得できていない今の日本の現状を見る限り、夢のまた夢です。
 男性の育児休暇取得までには、以下のように、クリアしなければならない問題が山ほどあります。
サービス残業が完全になくなる。
  →残業、休日出勤が完全になくなる。
    →有給休暇の取得が容易になる。
      →有給休暇の全消化が当たり前になる。
        →女性の産休、育児休暇の取得が当たり前になる。
          →産休、育児休暇の期間が延びる。
            →男性の育児休暇が当たり前になる。

 こんなに越えなければならないハードル群を前に、やれ「呼び名を統一しましょう」だの「助産士を認めましょう」だの、見当外れも良いところです。

 私の友人の会社に、仕事が膨大にあるために産休が取得できず、出産直前まで会社に出勤しており、結局切迫流産した女性がいると聞いたことがあります。過労死というケースだけでなく、ストレスによる自殺というケースだけでなく、会社は様々な角度で人を殺しているのです
 ここまで極端な例でなくとも、会社で定められた産休を完全に取得している人は少なく、育児休暇ともなればますます取得が難しくなるでしょう。こんな状況で、男性の育児参加が実現する訳がないのです。

 差別と区別と棲み分けは全く別の問題で、しかし哀しいかな、今の日本社会はこのラインを意識できていません。
 妊娠中であろうと、「男女平等だから残業してもらう」と間違った平等を振りかざし、そのクセ「子供が病気なので」という理由では男性は欠勤しづらく、共働きの場合、当然この理由を使い易いのは女性の方で、男性がこのような理由で欠勤しようとすれば、「母親はどうした」という話になり、子供の面倒を見るのは女性の仕事という固定観念が取り払われる気配は伺えません。
 結局、小手先で制度や名称を変えてはみるものの、根底の部分では意識の改善が全くなされておらず、それどころか、蓋を開けると何やら企業が有利になる方向にばかり進んでいるような……。
 ──これが現実です。

 残業するのを止めようよ、という呼び掛けは、日本人が人間的に暮らすために必要な意識改革の、本当に初歩の初歩の第一歩に過ぎないのです。逆に言うならば、残業が「当然のもの」として横行しているようでは、いつまで経っても様々な問題が解決する訳がないのです。
 なぜならば、皆疲れていて、自分の人生が良くなるように国を変えようなどと思えないから。考える時間を持っていないから。

 だからまず、多くのサラリーマンに「自分は働き過ぎなんじゃないか……」と考えてみることから始めて欲しいのでした。


 2001年12月11日(火)/直球勝負の不況  晴/0:00 (+0:30) 
 今や、あらゆる分野のあらゆる場面で「世の中本当に不景気なんだ……」とひしひし感じることが非常に多くなりました。しかし、それらの「潜在的不況」や「じんわり不況」は、暗喩的表現で示されるものであったり、全く別の角度から現状を突き付けられることで示されるものであったりして、なかなかどうして「不況なので〜です」という直接話法は思いの外、少ないものです。
 これらの現象は、「それを言っちゃあオシマイよ」という寅さん的な心情(瀬戸際心情とも言う)からなのか、「あえて言わない」という純ジャパちっくな伝統文化からなのか、私には判断つきかねますが、普通に考えるならば、やはり「あえて言わんでも、不況」という状況が余りにも深刻だからではないでしょうか。

 世の中不況だということは日本国民の7割以上が認識しているとして、それでもカウンターパンチを食らうほどの衝撃を伴って不況を突き付けられる人は、この数値よりは多少落ちるでしょう。実際にリストラされて、実際に賞与が減って、実際にサービス残業が増えて、実際に……様々な「実際」が我が身に降り掛かって初めて、人は不況を自分のものとして捉えることが出来るのです。

 前置きが長くなりました。
 長い前置きの後には端的な結論を……端的すぎる結論を持ってきましょうか……。
 ええ、ワタクシ、所属しているらしいT社から、カウンターパンチを食らいました。
 まずは、問題のカウンターパンチが添付された、T社のメール(地雷入り)からご紹介しましょう。
----- Original Message -----
From: T社経理部
To: 鷹瀬
Sent: Monday, December 10, 2001 5:47 PM
Subject: 給与明細を送ります。

社員のみなさんへ

給与明細を送ります。

厳しい経済環境になってきました。(※地雷その1)

×××××株式会社様より送られてきた文書 「値下げ依頼」(※地雷その2)を添付しました。
各自置かれた状況を自覚して、お客さまのご要望に応えられるよう日々精進して下さい。
   @ 技術力のUP(資格への挑戦)
   A チームワーク(報告、連絡、相談)
   B お客さま第一主義の徹底(非自己中心)

よろしくお願い致します。

T社社長より

 「給与明細を送ります」のすぐ次に、合いの手や季節の挨拶など一切含めずいきなり要点、「厳しい経済環境になってきました」って……ある意味、素晴らしい。
 そして会社として受け取った物凄い端的なタイトルの文書を、そのまま下々に配布してしまうところが、ある意味、素晴らしい……。
 差出人が「T社経理部」となっておきながら、最後の締め言葉が「T社社長より」って……経理=社長ですか、この会社は。裏舞台がすべて筒抜け……ある意味、素晴らしい。

 T社惨歌……おっと本音が。もとい、賛歌はいいとして、給与明細と共に送られてきた問題のカウンターパンチ、「値下げ依頼」という名の文書のご紹介です。この文書も長い長ーい前置きと、端的な結論で構成されています。分かりやすいように、色とサイズで文章の力点を表現する加工を施してみました。

平成13年11月13日
 協力会社 各位
×××××株式会社
営業本部 営業管理部

弊社との今後のお取引に当たり


 貴社ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。

 既にご存知とは思いますが、次世代携帯電話の計画が難航している中、米国での同時多発テロによるIT企業の倒産や大手企業の存続が危ぶまれる報道が流れております。又、昨今の新聞/雑誌などによるマスト、不況の何は世界中に影響を及ぼし、勝ち組みと称されていました日本の大手IT企業も製造原価の10%ダウン、と言った記事が飛び交っております。

 日本国内では、来春より2年がかりで開発する国民総背番号制導入による国家プロジェクトと言う少しは明るい商談も聞かれておりますが、来春までの約4ヶ月はまさに冬の時代を迎えようとしております。
 とは言うものの来春以降、本当に好景気が保証されているかはわかり兼ねるところで、各企業は更に人員削減、在庫調整、設備・研究開発費の削減などのリストラクチャリングを行うなどを、余儀なくされる事も予想されます。

 翌春以降、企業を存続させる条件の一つに、高品質はさる事ながら如何に合理化を進め、製造原価の引き下げや取引条件の見直しなど、行わなければならない事も予想されます。

 元請であります弊社は上述の厳しい環境の中、自社努力で協力会社各位にはご迷惑の掛からぬよう努める所存ですが、今後さらに産業界が悪化した場合は、一部ご負担ねがわざるを得ない事も理解いただきたく、お願い申し上げます。

 最後になりましたが、今後とも永いお取引関係を継続させて戴きたく、業務に精励する所存でございますので、よろしくお願い致します。

敬具

 ボーナス支給前のこの時期に、1ヶ月も前に通達された文書を下々の社員に見せて、一体何を考えているのでしょう……。言い訳のための布石? ボーナスいくらよ。ってーか、出るの??


 2001年12月12日(水)/外人もビックリ  晴/-1:20 
 話の流れで、私が「今までに一度もカラオケに行ったことが無い」と言うと、その場にいた全員にビックリされました。それはいい。今までこのようなことは何度もあったので、「ああまぁ(日本では)珍しいんだな」という自覚くらいはありましたが、ちょっとショックだったのは、その場にいた外人にまでビックリされたことです……。
 劇画ちっくに「Why?」って首を振りながら目を剥かれてもねぇ……行く必要性がなかっただけの話で、なんで?と言うなら私こそ聞き返してもイイと思いますけど。「なんでお金払って歌唄ってるの?」と。

 次の話題に移りたくても結構しつこく驚かれ、「Why?」の理由を待たれてしまったので、仕方ない、拙い英語で返事をすることにしました。
「いや、別に友達と会う時はレストランとか喫茶店とか公園がメインだし、話をしたくて会う訳だから……。私の歌声を特別に披露したいとも思わないし、素人の歌声を金払ってまで聞きたくも無いし。TVで観たことあるけど、あんなトイレみたいな個室で空気が動くのが気持ち悪いし。それにそもそも唄いたい時はいつだってタダで唄えるでしょ。帰り道とかお風呂で」
 これだけでは正確ではないのですが、取り敢えず英語力の関係でこんな感じに答えてみました。

 他の日本人の反応はよく知るもの──つまり、「ふーん」とか「へーえ」とか、要するに「変わってるね」とか「理解できないわ」という突き放した反応な訳ですが、ショックなのはこの外人さんまでもが他の人達と同じように「ふーん」とか「へーえ」という冷めた反応を返したことです……。が……ガイジンのクセに……。
 いや別に温かく迎え入れて欲しい訳じゃないけれど、なんでたかだか半年前に日本に来たばかりの外人の方が、産まれた時から日本にいる私より日本に溶け込んでるのでしょう??
 最低線の救いは彼がオージーだったことでしょうか……。ヨーロピアンだったらちょっと落ち込む……。

 カラオケ──歌を唄うこと自体は大好きだし、行ったら行ったで楽しいのかもしれませんが、別に信念を持って行かない訳ではなく、やはり「必要がない」というのが一番メインな理由で行かないだけです。
 「金の無駄」を理由に挙げていた時期もありましたが、今3時間で500円とか非常に安いらしいですし、天候の悪い時に時間を潰すには良い手段かもしれないと思い、最近では少々見る目を変えています。
 しかし基本的には、(合唱やプロの歌声を聞くなら話は別ですが、)恐らくカラオケの効用、「ストレス発散」というお題目に対して、私は「友達と喋ること」で解消しているので、本当に必要性が見出せないだけなのです。

 加えて、音痴に対して耳の許容範囲が狭いし、巷の流行歌を知らないので行ってもつまらんだろうし、強いて唄いたい歌を挙げればインド映画音楽とかになっちゃうし。行く理由よりも行かない理由の方が多すぎて……。
 ノリノリで「く〜ちく〜ちほ〜た〜へ〜♪」とか「でぃるとぅぱ〜がるへ〜♪」とか「かほ〜な〜ぴゃ〜るへ〜♪」とか唄い出されても、周囲も困るだけでしょう。
 だからと言って皆が判る歌を選んで、力を入れて唄える歌と言えばコレ。(でも歌詞曖昧)
この頃流行りの女の子 お尻の小さな女の子
こっちを向いてよハニー だってなんだか だってだってなんだもん
お願い お願い 傷付けないで 私のハートは チュクチュクしちゃうの
イヤよ イヤよ イヤよ 見詰めちゃイヤー ハニーフラッシュっ!


「キューティーハニー」 作詞:クロード・Q/作詞:渡辺岳夫/唄:キューティーハニー

 もうちょっと判りやすくコレ。こっちはオリジナル振り付き。(でも歌詞曖昧)
ウララ ウララ ウラウラで ウララ ウララ ウラウラよ
ウララ ウララ ウラウラの この世はアタシのためにある
見ててご覧 このアタシ 今に乗るわ 玉の輿
磨きかけたこの美貌 そうなる値打ちがある筈よ
弓をキリキリ 心臓めがけ 逃がさない バッと狙い撃ち


「狙いうち」 作詞:阿久悠/作曲:都倉俊一/唄:山本リンダ

 私もホラ……結構対外的な目を持って事態を把握できる方だから……。こんなんいきなり熱唱されても、私の友達、冷めてる人多いし、困っちゃうと思うんですよね……。
 ………………カラオケごときで数少ない友達を失いたくないし、というのも、深刻な理由なのであります。更に言うなら、友達を失わずに済んでも、上記の歌を人様の前で完唱した暁には何か大切なモノを失いそうですしね……。
 (歌詞曖昧)とか言ってる割には具体的に完成させている時点でイエローカードっぽいですし。合っていても間違っていても恥かしい、という珍しい状況に己を追い込んでしまったみたいです……。

 話を戻しますが。
 しかし、カラオケっつーのはもはや若者が高校に入学するほどの普及率なんですね……。それも外人も含めて。今度、日本在住のヨーロピアンと話す機会があったら、カラオケ経験の有無を聞いてみたいものです。


 2001年12月13日(木)/水と戯れる日々  小雨/0:00 (+0:30) 
 ムリ・ムダ・ムラのIT業界3原則……最近の残業時間を見ていただいても分かるように、「ムリ」な日々が過ぎ、現在「ムラ」な状況に塗れています……。
 作業場がニアリー個室ということも手伝って、ネットサーフィンしまくり。そんな自分に自己嫌悪。やれやれ自習でも……と思って参考書を読むと同時に白川夜船……。

 ──水と戯れる日々が続いております……。


 2001年12月14日(金)/寒い賞与額  晴/0:00 (+0:30) 
 無事、ボーナスが配給されました。配給された金額は「無事」ではありませんが。
 夏が1.2ヶ月、そして本日の冬のボーナスは1.5ヶ月。昨年は夏1.5ヶ月、冬1.9ヶ月だったので、確実に着実に見紛うことなく賞与額は下降の一途を辿っています……。


 2001年12月17日(月)/小休憩  晴/0:00 (+0:30) 
 寒いよ眠いよ。


 2001年12月18日(火)/間抜けな記事  晴/0:00 (+0:30) 
 「出社して、仕事の前にまずやること」がある人は結構いると思います。メールのチェックや特定のWebサイトの確認などがその一般的なコースかと思いますが、私も類に漏れず、その一般的なコースを日課としています。
 毎日確認してしまうWebサイトというとやはりニュース系なのですが、これは記事の書き方などを重視している訳ではなく、特定の新聞社のサイトでなくても、リアルタイムでどんな事件が起こっているのかの把握だけを目的としているので、Yahoo!トップページの右側にある「トピックス」で事足りることがほとんどです。
 仕事の前に、と限定せずとも、仕事に疲れた時に、暇潰しで新着ニュースを確認するのは小粒な楽しみです。

 時々刻々と変わるトピックスだけあって、いわゆる世間的な大事件でなくとも、大事件と同等に1行で表されるので、そのたった1行から先を知りたいと思いクリックするような記事は、当然のごとく、個人的な好みの世界に偏って行きます。
 では、私の場合、何が好みの世界なのか──。
 具体例をもって話を進めましょうか。
 本日、PCの起ち上げ早々にチェックしたYahoo!トップページの新着ニュース欄を、そのまま再現しましょう。

トピックス
14億円横領 元公社主幹逮捕
「アホ、バカ」の代償30万円
北朝鮮 邦人不明者調査中止
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トヨタF1新車発表 3月参戦
田代容疑者の映画 レンタルへ

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 恐らく少なくない人々が同じ1行に目が釘付けになったと思うのですが、順を追って話を進めましょうか。

 スポーツ関係の記事や芸能関係の記事は余り興味がないので、詳細記事にジャンプすることは少ないのですが、では逆に、どんな見出しであれば詳細記事まで読んでしまうのかと言うと、社会情勢や国際問題、犯罪事件……なんて書くとちょっと出来過ぎです。これらの記事も読むことは読みますが、それは「確認しておかないと」的な義務感が多少なりとも混ざる訳で、100%純粋に自分の好奇心&衝動だけで詳細情報をくまなく読み漁ってしまうのは、恐らく新聞では申し訳程度の小さなスペースで紹介されるであろう、「間抜けな記事」なのであります。んもう大好き。

 たった1行の紹介でその間抜けさを見抜かれるほどの間抜けな記事は、大体が思う存分間抜けっぷりを披露してくれる、突っ込みドコロ満載の記事であるケースが多いのですが、本日見付けちまったこの記事も、正真正銘、正統派の間抜けな記事でした。

 先ほどの見出し一覧を、私のフィルターを通した状態でどう見えるのか、ここでご紹介しましょう。

トピックス
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 うわー、うわー。あるぞあるぞっ。馬鹿っぽい記事がっ。たった1行でその馬鹿っぽさを全身で主張している記事がっ!!
 何が30万円だって?! どゆこと?!
 こういう見出しを見付けたとき、それはそれは嬉々としてリンクボタンを押すのであります。
 見出しがこれだけインパクトあるものになると、詳細記事でハズレということは滅多にありません。ま、何をもって「アタリ」「ハズレ」と言うかは受け手の問題ですが。
 ──コホン。とにもかくにも満を持してのご紹介です。「アホ、バカ」の代償30万円とは――?
「アホ」「バカ」74連発…慰謝料は30万円 読売新聞 2001年12月17日23時29分更新

 「アホ」「バカ」と1時間40分にわたって、ののしられた慰謝料は30万円――。病院を経営する東京都内の財団法人の理事(55)が別の理事(61)に侮辱されたとして200万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は17日、原告の人格権、名誉権が侵害されたと認定し、被告の理事に賠償を命じる判決を言い渡した。被告側は「原告に不正行為があり、しっ責しただけ」と争ったが、梅津和宏裁判官は「2人は同格の理事であり、低劣な発言内容からして社会的相当性があるとは言えない」と退けた。

 判決によると、原告の理事は昨年9月、仕事などをめぐって対立していた被告の理事から、同財団の常務理事室で、常務理事らが同席する中、100分間にわたって「こんなバカ、財団の役に立たない」などと延々と中傷された。原告は言い返す言葉もなく、悔し涙を流した
 原告はその際のやり取りを録音しており、「アホ」「バカ」という言葉は100分間で計74回に上ったという。

 関係者によると、原告は今年3月、理事として不適格などとして、理事職と事務局長職を解任されたため、事務局長職について解雇無効の仮処分を申し立てている。

 とにかく突っ込みどころ満載の記事ですが……。最初から手順よく突っ込んでみましょうか。

 まず私は書き出しの言葉からしてちょっと驚きました。1時間40分に渡って他人を「馬鹿」「アホ」と罵れるエネルギーに。しかし同時に、この長時間罵り続けたとされる今回の一方の主役が61歳、長時間罵られ続けたとされるもう一方の主役が55歳ということで、妙に納得もしました。今時の若者では、被害者・加害者共に、こんな持続性を要する事件が成り立ちません。今時の若者はすぐキレますから。100分間も口だけで相手を痛めつけるなんて、100分間も一方的に罵られ続けるなんて、そーんな根気の要る高等技術は持ち合わせていません。すーぐ手が出ちゃう我慢足らずサンばかりですもの。
 そういう意味では、今回のこのジジイとジジイの対決は、ちょっと見習わなくてはいけない点が盛りだくさんとも言えます。

 そして何よりも動いた金額が魅惑的です。100分の罵倒で30万円――1分3000円ですか。私の時給の約120倍。要求額は200万円だったようなので、被害者は1分2万円を希望していたんですね……。
 いや、だからどうということはないのですが……。

 気になるのは紹介されている裁判官の台詞です。
2人は同格の理事であり、低劣な発言内容からして社会的相当性があるとは言えない」
 ………………では、理事が一般社員を100分間に渡って74回「馬鹿」「アホ」と罵るのはOKなのでしょうか……? この場合、同格云々は関係ないのでは……?
 更に気になるのは、この一文。
「『こんなバカ、財団の役に立たない』などと延々と中傷された。原告は言い返す言葉もなく、悔し涙を流した」
 ………………まず、「財団法人という存在そのものが役に立たないのでは……」という一般人からの突っ込みは置いておいて、「言い返す言葉もなく」というトコロに引っ掛かりを覚えます。「役に立たない」と言われて、「そんなことはない」と言い返せない原告……。コレ、色々調べる必要あるんじゃないでしょうか……。
 またこの原告、「悔し涙を流した」と言う割には、「その際のやり取りを録音して」いるという用意周到さ加減で、流した涙が悔し涙だったのか、完璧に証拠を記録できたことに対する嬉し涙だったのか、微妙なトコロではあります。

 それにしても、原告、被告、出来事内容のどこを突付いても、「財団法人」という天下りの棲息地の歪みが垣間見える、別の意味で分かり易い事件簿になってしまった気がします。
 私の興味は、この2人の主役が「天下りかどうか」という点に尽きますが……。


 2001年12月19日(水)/PG・SEという仕事(前)  晴/0:00 (+0:30) 
 本日から3日間の「PG・SEという仕事」は、興味のない人には本当に全く興味の持てない内容ですので、PG・SEという職業について興味のない方は、お願いですから頑張って読もうなどと思わず、飛ばして下さい……。宜しくお願いします。

 先月8日9日と2日連続で、「IT業界で働くということ」をテーマに少々書きましたが、あれは既にこの業界に入ってしまった人に向けての文章であり、そもそもIT業界という世界がどのような世界で、そこで働くPG(プログラマー)やSE(システムエンジニア)が具体的にどういうことをしているのか、ピンと来ない方には遠い話になってしまっていました。

 就職難のこのご時世に、就職口が比較的多く用意されている分野であるIT業界に興味を持っている人は多いと思いますが、恐らく「でも私、文系だし」「数学嫌いだし」という理由で、選択肢にすら入れていない人は少なくないんだろうな、とも予想されます。
 私の周囲を見ても、文系の友人は特にPG・SEといった職業に対して、少々過大評価している節があります。「でも凄いよね。鷹瀬はコンピューター出来るし」という漠然とした誉め言葉を聞く度に、「違う違う全然そうじゃない。大体その誉め方オカシイぞ」と強く思うのですが、PCに対して端から拒絶反応を示す人種というのは未だ根強く存在しており、彼らにとってのPCは、一昔前の私にとっての海外のようなものなんだろうなぁ……と思ったりもします。

 要するに、未知だからこそ「自分には無理」と思い、憧れるのではないかと……。

 嫌いなら嫌いでそれは全く構わないのですが、「PCいじるのは好きだし、プログラミングとかにも興味がある。けど、数学嫌いだからムリだよね?」という方には、PG・SEの具体的な仕事を紹介して、「大丈夫そうなら是非」と言っておきたいのです。
 私はこの業界の体質は好きではありませんが、仕事内容は結構面白いと思いますし、はまる人ははまるだろうと思います。勿論人それぞれですが、参考までに、残業に追われる仲良し同僚のスー(文系人間)の言葉を紹介しましょう。
「え? この仕事好きかって? んー、ホラ、私、前まで事務職だったから。やっぱ大変だけど、今の方が楽しいよ。自分に任されてる部分が多いし
 さて、そんな訳で、いつかこの件について細かく書きたいな、と思っていたところ、タイムリーな質問メールを頂きましたので、その回答という形態を取りながら、3夜に渡って少々書いてみようと思います。

 では、先日頂きましたメールからご紹介です。
 さて、このたび鷹瀬さんにお尋ねしたいことがあってメールしました。PGという仕事についてです。
 私は現在、地方の**系の会社に勤めて3年になりますが、1年ほど前からPCに関する仕事に転職したいと考え始めて、SEという職種に目をつけました。
 かなり安易な発想ですが、SEどころかPCに関する知識はほぼ皆無でしたので、まず勉強をして、正社員は無理でも、どうにかこうにかSE系の会社にもぐりこみたい……という野望を抱いてました。
(略)
 SEに関する情報を集めている間にようやく、SEになるためにはまずPGにならなければいけないのでは?ということに気づき始めました。

 情報収集不足で呆れられるかもしれませんが、素人考えでは、PG⇒数学 というイメージが強いのです。
 曲がりなりにも私は理系出身なのですが、数学は苦手というか理解不能です。
 SEには文系出身の方も多くいらっしゃると聞いたことがあったので、そのことを心の支えにしていたのですが、私の数学理解不能度は文系の方をはるかに上回っている気がして不安は消し去れません(T_T)
(略)
 やはり、PGになるためには数学の知識および理解力は必須なのでしょうか……。
 その人の数学のセンス等も関係してるかもしれないので一概には言えないかとも思いますが、やる気などでカバーできるものでしょうか……。

 SEへの転職について色々お悩みのようで、私個人の偏った意見にならないように書いてみるつもりですが、今から書くことはあくまでも私のフィルターを通した世界であり、勘違いや偏見も含まれているということを考慮して頂けると幸いです。

(中編に続く)


 2001年12月20日(木)/PG・SEという仕事(中)  晴/0:00 (+0:30) 
 さて、前編からの続きですが、まずは質問への回答の前に、SE(システムエンジニア)とPG(プログラマー)の違い、具体的な仕事の内容などの説明からしてみます。

 巷で頻繁に話題にされるIT業界──広大に漠然と存在する業界の中で、未経験者が「転職先に」選ぶ主な業界というと、「ソフトウェア業界」ということになります。IT業界とは、他にもハードウェア、通信ネットワークなど様々な分野を網羅しての言葉なのですが、就職先として最も間口が広く、初心者のいきなりの参入が可能で、いわゆるSE・PGという人種の主な棲息場所であるのが「ソフトウェア業界」な訳です。

 では、ソフトウェア業界では具体的にどんな仕事をしているのかと言いますと、世の中に溢れ返るPC、このコンピューター上で使用できるアプリケーション(=ソフトウェア)を設計および開発する、これが一般的なSE・PGのお仕事です。
 ここで更にSEとPGの役割の違いを簡単に言いますと、SEが設計し、PGが開発するという具合です。

 SEの仕事、つまり設計とは、営業が開拓した顧客のニーズを調査するところから始まり(優秀な営業はここまで引き受けることもでき、技術営業という職種を用意している会社もある)、そのニーズを実現するために必要な具体的な手法、開発ツールの提案、工数や費用の見積もりなど、いわゆる上流の仕事に当たります。
 一方、PGの仕事、つまり開発とは、SEが作成したスケジュールや設計書、仕様書を元に、実際にVBなどのコンピュータ言語の命令群(コード)を記述するなどの工程を経て、書類ベースのものを製品ベースに引き上げる実行部隊の役割を担っています。
 以上のことからも分かるように、「PGを経てSEになる」という流れが主流なのは、顧客のニーズを設計書に落とす段階やスケジュールを組む際に、プログラミング経験の有無は非常に重要なポイントとなるからです。

 ──なぜ、SEにPGの経験が重要なのか。
 具体的な話をしますと、某会社から「当社の業務に特化した会計管理システムを作って欲しい」との要望を受け、SEがまずその会社の業務内容を把握し、そこにどのように今回提案するシステムを絡ませるか、誰にでも分かる形に文書にまとめたもの(設計書)を作り、それを元に、更に細かく開発部隊に解るよう機械語(プログラミング言語)で表現したもの(仕様書)を作成してゆく、と言うのが一般的なプロジェクトの流れです。
 設計書はともかく、仕様書はPGのために作られる書類です。PGは顧客の詳細な業務内容など理解する必要もなく、とにかく仕様書に表現されているものを作ればいいのですから、仕様書にはファジーな言葉や業務に特化した専門用語(ex.会計用語など)は不必要です。SEは仕様書を作る際に、完全にPG側に立たねばなりません。

 良い仕様書とは、「PGが何も考えずに書かれている通りに作れば、顧客のニーズを満たすシステムが出来る仕様書」を指しますが、実際問題そこまで完璧な仕様書は稀で、設計書などを読んで詳細業務を把握したPGから、「この設計では動きがおかしくなるのでは?」などの突っ込みが入りつつ、SEとPGの共同作業によってシステムは出来上がるのが通常です。

 また、スケジューリングをする際にも、実際にプログラム開発の経験がある人ならば、自分の過去の経験に照らし合わせて工数を想定することが出来るでしょうが、プログラム開発の経験がない人が、システムを見ただけでどの程度の工数を必要とするか想像するのでは、大分信憑性が違ってきます。
 勿論、PG経験があっても上手くスケジュールを組むことが出来ない人もいれば、PG経験がなくとも的確な工数を弾き出すことが出来る人もいるので、一概に「PGからSEへ」とも言えませんが、「PGとして修行を積んでSEになる」というのが一般的な流れであることは確かです。

 一般的な話ついでに、もうひとつ。
 SEとPGの位置付けとしては、ぶっちゃけた話、SEは指揮官で、PGは兵隊さんということになり、SEの方が年齢層も給料も高いのが一般的です。
 ただ、「ではSEの方がPGより偉いのか」というと、これも一概には言えず、優秀なPGはSEよりも稼いでいますし、SEの仕事を兼ねることもできます。
 また、PGの方がフリーで活躍できる機会も多く、職人気質が強いポジションでもあります。「PGの時の方が気楽で楽しかった」とおっしゃる方も大勢います。

 会社の規模などによっては、SEとPGの役割分担の境界線が曖昧で、小さな会社になればなるほど、設計(SE的仕事)から開発(PG的仕事)まで1人で受け持つことも珍しくありませんので、モノ作りの楽しさを味わえるのはむしろ小規模な会社であるケースも多々あります。

 「PGを経てSE」という公式で考えると、優秀なPGはSEに「昇格」するものだと誤解してしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
 先ほどの職務内容を吟味して頂ければ分かるように、SEが対外的な仕事であるのに対し、PGは内に篭った仕事ですので、コミュニケーション能力の有無によっての向き不向きが重要視されるという現実もあります。どんなに優秀なPGであっても、SEに向かない人というのは結構いるのです。

 ここで「PG35才限界説」というものがあるので、それについて一言コメントしておきます。
 先ほど、SEの方が年齢層が高いと書きましたが、正確に言うと、「PGの方が年齢層が低い」のです。
 なぜならば、PGは主流言語の移り変わりやバージョンアップに応じて、常に常に覚えることがあり、記憶力が低下してくる30代半ばを過ぎると辛くなる、ということがあるからです。そのため、「いつまでもPGを続けていても、若い奴らの吸収力には適わない。先は見えている。早くSEに転向しないと」という動きが出てくるのです。
 PGだけでなく、SEも業界の動向や最新ツールの確認など、「日々情報収集、日々勉強」なのですが、PGの方がより記憶力に頼った暗記ちっくな勉強が多い傾向があり、「PG35才限界説」が囁かれているのだと思います。

 記憶力という点に重きを置いて「PG35才限界説」が幅を利かせていたとしても、例えば窓の杜などで活躍されているフリーウェアやシェアウェアなどを作っているPGの方たちの多くは、あくまでもPGの仕事(開発)が好きなのであって、SEの仕事がその延長上にあるとは考えていないでしょう。彼らは個人で開発をしているので、当然SE的な仕事(設計)もしているのですが、精神の位置付けはあくまでもPGです。
 SE・PGの仕事を「食うに困らないために選んだ職業」と捉えているのではない限り、要は向き不向きの問題だと思います。

 境界線が曖昧で、重なる部分も多いSEとPGですが、敢えて違いや特色を箇条書きしてみると、以下のようになると思います。
SE
  ・対外的な仕事
  ・営業センスが必要(大会社には営業マンが別にいる)
  ・プレゼン能力が必要
  ・コミュニケーション能力が必要(顧客のニーズを聞き取れる)
  ・文章力が必要(聞き取り調査の結果を社内に伝達するため)
  ・スケジューリング、マネージメント能力が必要
  ・仕事をする上での喜びは、顧客の満足


PG
  ・職人的な仕事
  ・プログラミングのセンスが必要
  ・日々勉強(SEもそうなのですが、比較すると)
  ・仕事をする上での喜びは、モノを作る楽しさ

 これは全くの偏見かもしれませんが、私の中では「優秀なSEは優秀なPGでもあるが、優秀なPGが優秀なSEになれるとは限らない」ということになっています。これは優秀なPGにコミュニケーション能力が加わった人が、真に優秀なSEだと思っているからです。

 さて。長々と「SEとPGの違い」を話してきましたが、上記の基本を踏まえた上で、次回、いよいよ質問への回答に移りましょうか。

(後編に続く)


 2001年12月21日(金)/PG・SEという仕事(後)  曇一時雪/0:00 (+0:30) 
 前置きが長くなりました。2日前に遡りまして、質問への回答です。
 先にも書きましたが、これはあくまでの私のフィルターを通した回答なので、SEという仕事に興味があるようでしたら、色々な方から体験談など聞きまくって、多角的に話を捉えた方が良いと思います。この仕事が性に合っている人からと、そうでない人からの情報では、大分違った意見が聞けることでしょうし……。

 さてさて。行きましょうか。
SEになるためには、まずPGにならなければいけないのでは?
 結論から言うと、「例外もありますが、未経験者で中途採用の場合、その可能性は高いと思います」といったところでしょうか。

 これは会社の規模や方針によりますが、中途採用というアプローチでは、一般的にはいきなりSEの仕事が未経験者に任されることは、まずないと思います。何の仕事でもそうだと思いますが、最初は先輩の下について、先輩SEが何をしているのか、助手という立場で学んで行くのが筋でしょう。
 そしてこの場合、先輩SEの助手をすることが、分業化されていない中小企業においては、PGの仕事も兼ねてしまうのが自然の流れではないでしょうか。
 小さな会社になればなるほど、様々な経験を積むために、PGを2〜5年ほど経てSEになる、というのが、極々一般的なコースだと思います。

 一方で、最初から「SEとして」採用される未経験者もいます。それはその人の資質云々が関係している訳ではなく、会社の方針の問題です。
 プログラム作成などを完全に外注している大企業や、比較的分業化の進んだ中小企業では、未経験者を最初からSEとして採用し、PGの仕事をすっ飛ばして即座にマネージメントや仕様書作成などに力点をおいたSEとしての仕事を与えるケースもあるようです。
 しかしこのようなケースでも、中途採用の場合は、職務的に未経験者であっても、資格保持者、大学(院)が工学系などの条件が加味され、それまでの学歴や経歴がSE的な仕事に全く関係ない場合、大企業の新卒以外ではSE直結コースは難しいと思います。

 また、最初からSEとして採用されたとしても、最初の研修期間中に恐らくプログラミングの実習を多少なりとも受けることになるでしょう。プログラムを組めない人が、プログラマーのための仕様書を作れるとは思えませんから。
 SEもPGも、入口は一緒なのです。まずは、「機械語で機械に命令する」ということがどういうことなのかの概念を知るところから始まるのです。そういった基本を学んだ後に、より詳細な命令の仕方や機械との付き合い方を習得して行くのがPGで、その機械に出来ることを把握して、顧客の希望と擦り合わせて行くのがSEなのです。
 ですから、SEになるために必ずしもPGになる必要はありませんが、プログラミングを理解する必要はあるでしょう。

 簡単に具体的に言うならば、「商品ごとの売上と損失を表示して、収支の合計も見たい」という顧客のニーズがあるとします。SEはこのニーズを受けて、簡単に構想をまとめます。
 「これならEXCEL帳票で実現できるな。A列に商品名、B列とC列にそれぞれ売上と損失、収支はD列に出せばいい。損失はマイナス表記にして、D列=B列+C列とすればいいだろう」
 この場合、SEには「収支表示のD列のセルに [=SUM(B1:C1)] という式を記述する」という知識は必要ないのです。それはPGの仕事なのです。SEは、EXCELの機能を知り、EXCELで顧客のニーズを実現することが可能かどうかを調べ、可能であれば、どの程度の安易さで出来るかどうか、その見極めを求められるのです。そして仕様書を作る際に、「D列=B列+C列」であることをPGに分かるように明記すれば良いのです。

 上記の場合はトコトン簡単な話で例を挙げていますが、複雑な処理や業務に特化したシステムなどの開発には、SEの幅広い知識を求められ、様々なツールの中からどのツールを選択すべきか、顧客のニーズを実現するためには、どのような構成にすべきか、など非常に専門性の問われる仕事です。場合によっては顧客の業務内容を把握するところから始めなければなりません。
 事実、会計管理システムに秀でた引く手数多のSEで、会計士の資格を持っている方もいらっしゃいます。

 話を進めましょう。
素人考えでは、PG⇒数学 というイメージが強いのです。
やはり、PGになるためには数学の知識および理解力は必須なのでしょうか……

 一流のPGともなれば、恐らく数学的理解力、発想力を十分に兼ね備えていると思いますが、極々普通のPGでは、数学云々は余り関係ないと思います。
 もちろん、世の中にはシンプルで綺麗なコードを書く人がいて、その能力と数学的能力はかなり直結していると思いますが、ぶっちゃけた話、ソフトウェア業界に舞い込む仕事の7〜8割は、「既存のシステムの修正、改修」や「サンプルがある状態での新規作成」などであり、数学的な知識はおろか、数学的理解力も必要とされないことが大半だと思います。

 ではSEではどうか、と言うと、PGに求められることと重なる面も多々あるのですが、PGには必要なくてSEに必要なものというと、前回から再三言っているコミュニケーション能力に加え、「日本語能力」でしょうか。
 やはり割合的に理系人間が多い世界だからなのか、仕様書や設計書の文章は非常に分かりにくいものが多いです。何を言いたいのか分からない、という漠然としたものから、主語はどれ?という末期的なものまで……。
 論理的な思考ができ、それを図や文章を用いて文書に起こすことが出来る、というのも、SEの腕の見せ所のひとつです。

 メールに戻ります。
その人の数学のセンス等も関係してるかもしれないので一概には言えないかとも思いますが、やる気などでカバーできるものでしょうか……
 99%、出来ると思います。この業界で盛んに叫ばれている必須入社条件は、何を隠そう「やる気」ですから。余程プログラミングに向いていない人でない限り、まさしく「やる気」「根性」こそがPG・SEの条件と言っても過言ではないと思います。

 才能があっても努力しないために「無能」に分類される人は大勢いますし、才能がなくても努力をし続けて「有能」に分類される人も大勢います。
 ベストは才能があって努力をすることですが、そんな極稀なケースを例にとっても始まりません。何の分野でも、とにかく努力とやる気である程度までは上り詰めることが可能だと思いますし、それが出来るのは極少数だと思います。

 そして、そういう「努力が報われる」という点において、PG・SEの仕事は、努力と結果が(比較的)正比例する良い職種だと思います。年齢や立ち回りに左右されず、勉強すればしただけスキルが得られ、スキルが上がれば上がっただけ責任ある仕事や難しい仕事を任され、有能であると認められ、報酬も上がる。
 努力家にはもってこいの職業ではないでしょうか。
 逆に、私のような怠け者には辛い職業なのですが……。

 この業界の嫌な面は、無茶なスケジュールや残業が当たり前で、それに異議を唱えた時点で「やる気がない」と見なされてしまうことでしょうか。

 最後に、下記の件に関してアドバイスを。
正社員は無理でも、どうにかこうにかSE系の会社にもぐりこみたい……
 もしもSEを目指すなら、絶対に正社員になった方が良いと思います。派遣だと、会社側も育てようという気がないので、簡単で面倒な作業ばかりを押し付けられてしまい、スキルが伸びず、時間が無駄になります。
 出向も似たような扱いになるので、出向が余りない、なるべく自社開発が行われている会社に入るのがスキルを磨くには一番効率が良いでしょう。
 派遣は給料は魅力的ですが、まずスキルを磨くのであれば、少々給料が低くても資格取得に力を入れていて、研修制度などが豊富な会社をオススメします。会社のお金で資格が取れるというのは、給料が安くても残るものがありますし、結果的には多くのものを得られますから。

 会社選びは時間を掛けて慎重に……。一瞬の判断ミスで、その後の何年間も無駄にすることになりかねないので……。

 ──以上、長々と書いてきましたが、私が言えることは、こんなことくらいです。


 2001年12月25日(火)/クリスマスか……  晴/0:00 (+0:30) 
 サボっていた3日分を巻き返そうと頑張ったらクリスマスになってしまった……。


 2001年12月26日(水)/年末年始スケジュール  晴/0:00 (+0:30) 
 会社納めが12月28日、金曜日。会社開始が1月4日、金曜日……。どっちもサービスしてくれず。


 2001年12月27日(木)/失業率5.5%  晴/0:00 (+0:30) 
 まぁ……「これからどんどん悪くなるよー。6%行くね、確実に」という話は結構以前から聞いていましたが、「ああ、うんうん本当だね」という事態を目の当たりにするのは、またちょっと重みが違うというか……。

 こんな状況の最中、会社を辞めるというのは無謀なんでしょうか……。いや、深い意味はないんですが……。


 2001年12月28日(金)/最終日  晴/-0:30 
 昼からZ社、夕方からT社で、共に納会でしたが、出向先であるZ社の納会には出席し、私が本来属しているらしいT社の納会はブッチしてしまいました。
 T社の納会には出席したくない気持ちも確かにありましたが、それでも一応年にたった1度だし出席するか……と直前まで腹を括っていたのですが、いざ直前になってみると、括った腹(というか胃)が痛み出しまして……。仮病ではなく本当に……。最近胃の調子が悪く、これは暴食のせいなのか、ストレスのせいなのか、よく分かりませんが、とにかく、ちょっと吐きそうな気配が漂ったので、速攻で早退してしまいました……。

 「やりたい放題」──そんな言葉がふと脳裏を掠めましたが、ま、あと数ヶ月の付き合いなので……。




2001年12月の勤務表
 出勤日数 18日(うち休出 0日)/勤務時間 139:50  欠勤日数 0  有給休暇 1
 月残業時間 4:50  日平均残業時間 0:16  今月最高残業時間 0:40/10(月)
 【一言】 人としてダメになって行く気がした年末。お陰で色々なことが吹っ切れましたが……。


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