2001年6月の日常日記&コラム

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アイルランドでの思い出は、もうなんだか1年も前のことのよう……。時が経つのがこんなにも速いのは、どうしてなんでしょう……。

2001年6月の小見出し一覧
◆注目の日記にはセルに水色を付けています◆日付を押すとジャンプ出来ます◆
 01(金) 小休憩  04(月) いきなりの真夏日  05(火) 牛乳から教訓
 06(水) 有給累計19日(残6日)  07(木) 社長の真価  08(金) さよなら、ベス
 11(月) プロパガンダの威力  12(火) 熊の習慣  13(水) 小休憩
 14(木) 最近弱り気味  15(金) PGの密かな楽しみ  18(月) 魅惑のADSL
 19(火) 6月は修羅場  20(水) 妖しい中国語会話  21(木) 崩れゆく安全神話
 22(金) 死滅する土日  25(月) 捧げられた言葉  26(火) Z社基準
 27(水) 疲労度1  28(木) 疲労度2  29(金) 内閣メルマガへの提案




 2001年6月1日(金)/小休憩  晴/-2:00 
 半月ほど引き摺った給料交渉劇3部作の完結編も先月中に書き終わり、今月は【愛蘭滞在記】を書き上げたいです。
 でも取り敢えず、本日はお休み。


 2001年6月4日(月)/いきなりの真夏日  晴/0:00 (+0:30) 
 凄いですね……。いきなり夏じゃないですか。


 2001年6月5日(火)/牛乳から教訓  晴/0:10 (+0:30) 
 結構まとまった小話になってしまったので、【日常エッセイ】に同タイトル「牛乳から教訓」としてアップしました。


 2001年6月7日(木)/社長の真価  晴/0:00 
 昨日は朝起きたら出勤時間で、今更ジタバタと準備をするのもナンだよね……ってなことで、思い余って休んでみました。一昨日の深夜に腹に収まった牛乳はなんの悪さをするでもなく、ただ仄かに自己主張を続けていましたが、構わず1日中寝ていたら却って全身がダルくなってしまいました……。休暇の使い方ってのは難しいモンです。

 さて、本日は無事に出社し、つつがなく勤務をこなして1日を終えましたが、そんな平穏無事で凪のような日常風景の中から、わざわざ記録しておきたいと思うほどのコトといったらコレしかありませんでした。ベスが教えてくれた、先日Z社社長【人物紹介】Z社のNo.1参照)が出向いた就職説明会でのヒトコマです。
 まず基本情報として、私はZ社の社長とはフロアが違うこともあり、ほとんど全く接点がないのですが、私の席の近くにいるボスやYさんが会社の中核メンバーのため、社長が彼らのところにやってきて、3人で漫才を繰り広げているのをよく見掛けます。3人とも会話上手な上に笑いのセンスが良いので、端で聞いていると面白いです。

 ここで、今回のヒトコマ紹介です。
 とにかく話し方のテンポが良く、お笑い色の強い社長が、某大学で開催された就職説明会に講演しに行った時のことです。
 一通りの会社説明が終わると、ある男子学生が手を挙げてこう質問してきたと言います。
学生 「すみません。あの、敬語とか出来なくても大丈夫なんでしょうか?
 ……………………。敬語が出来る出来ないという事実以前に、こんな質問をするという人間性に、かなり大きな欠落が伺えます……。
 しかしZ社の社長は普通に話を続けました。
社長 「今、話してるじゃないですか。何でそんなことを聞くんですか?」
学生 「前に面接した会社で、『ウチは敬語が話せない奴は採らない』って言ってたので……」
 実力主義から遠く離れた世界ではありますが、こういう採用条件を出してしまう会社側の気持ちも分からんでもない……。
 私はどちらかと言わずとも、「敬語が話せなかろうと、やることをやっていればイイでしょ」という側の人間ではありますが、それはあくまでも常識範囲内での台詞であって、そもそも基盤が常識でない人がこの論理に基づいて、しかも前半部分にアクセントを置いた状態で開き直って行動しているのを見れば、やはり眉根が寄るでしょう。

 無論、非常識の度合いが強ければ強いほど、要求される「やること」のレベルも高くなり、このバランスが取れた状態であれば、それはお互い了承の上で成り立つことだと思うので、非常識な人間が己の非常識を治す(「治す」でいいよね……今の非常識って病気みたいなもんだし……)努力をせずに、スキルアップに力を注ぐならば、それはそれである程度までは正しい方向だと思います。
 均一で皆同じのつまらん世の中で生き続けることはないのです。
 得てして天才とはある種の社会不適合者であり、普通の人間が出来ない何かが出来るということは、普通の人が日常生活で消費しているエネルギーを、別のジャンルに全投入しているワケですから、普通の人が出来ることが出来なくて当然なのです。(稀に、オールラウンドの天才もいますが)

 しかし、この「敬語とか出来なくても大丈夫なんでしょうか?」と聞いた学生は、それだけでもう半端者だと窺い知れます。
 就職はしたい。でも敬語は出来ない。そしてそれを自分で解決出来ずに会社側に聞いてしまう。──半端です。なんて半端なんでしょう。
 「敬語なんか使う世の中とは縁がねぇんだよ。就職なんかしねぇよ」とも吠えられず、「敬語は出来ないけど、やる気なら負けないぜっ! そして俺のこの熱い志を分かってもらうぜっ!」とも割り切れず、「敬語できないし不安だけど、面接では自分を素直にアピールすればいいさ」とも楽観できず、いっそ敬語を覚える努力もしない……。──やっぱ、半端者です。

 さて、話を戻して。こんな半端な学生に対するZ社社長の答えが凄かった。会社を興すと言うのは、こういうことなのかもしれません。
 では、注目のZ社社長の答えをご紹介しましょう。
社長 「ウチではそんなことは全く気にしませんよ。大体、まともに社会生活を送れない人間ですら採用してますから
 凄ぇ……。良い悪いの範疇を超えて、これが社長ってモンだよ。
 確かにZ社には「アンタ……他の会社じゃやってけないんじゃ……」という社員がサクサクっといます。しかし、会社は問題なく回転し、時にはYさんのようなどこの会社でも通用するであろう金の卵も拾って来るのです。

 Z社の、伸び伸びとしながらも、どことなく行き当たりバッタリで博打ちっくな雰囲気は、すべてこの社長の醸し出すものなのでしょう。
 履歴書の趣味の欄に「神輿(みこし)を担ぐこと」と書いてあったことが決め手で採用になった社員もいるみたいだし……。冗談交じりに「ウチはなるべくキャラが被らないように採ってるからね」などと言われてしまうほど、個性が強い人が多いし……。

 そこが好きでZ社をこよなく愛す社員もいれば、そこに耐え切れず辞めて行く社員もいます。しかし取り敢えず、「辛いことも楽しいことも2倍」的なZ社は、問題も多く抱えているようですが、良い会社なんじゃないかなと思います。これもひとつの会社の形なのでしょう。


 2001年6月8日(金)/さよなら、ベス  曇/0:00 (+0:30) 
 本日をもって、エリザベス【人物紹介】Z社のNo.10参照)が退社しました。私は2〜3ヶ月前から「もうすぐ辞める」と本人から聞いており、今月に入って「今月一杯で辞める」と聞いていましたが、いきなり昨日になって、「今週一杯で辞めることになった」と伝えられました。早い話がリストラみたいです。
 社内にアナウンスがあったのは今日で、フロアの違う私の階では皆びっくりしていました。

 社員たちの心配そうな「今後どうするの?」の問いに、「実はちょっと前に××町に店出したんだ」との普通でないお答えが。ベスの場合は、どう転んでも大丈夫でしょう、と思わせる底力があります。本人的には「普通の仕事がしたくて……」との希望があるようですが、人間、適材適所と申しましょうか……。

 エリザベスに幸あれ。


 2001年6月11日(月)/プロパガンダの威力  晴後大雨/0:00 (+0:30) 
 最近流行ってますね。成功するためのHow To本が。「金持ち父さん貧乏父さん」だとか、「成功するための50の法則」だとか。
 この手の本は今になっていきなり流行り始めた訳ではなく、いつの時代でも手を代え品を代え流行り続けていたのでしょうが、最近のブームをヤケクソ気味と感じているのは私だけ……? 同系統のタイトルや装丁で、別の作者かつ別の出版社が本を出すというのは、何となくプライドないなーと言うか、狡いなーと言うか……。
 「チーズはどこへ消えた?」の横に「バターはどこへ溶けた?」が堂々と置かれていたのには、さすがに鼻白みました。いっそ「ミルクはなぜ腐った?」とか乳製品シリーズで後を追うと個人的にちょっと微笑ましいのですが……。

 なんでも「バター」の方は日本人ライターが著者で、最初から堂々と「チーズ」を意識したものであり、更には「チーズ」よりも評価が高く、「単なるパクリかと思いきや、なかなかの快著である」との書評まで見掛けるところを見ると、一言で馬鹿に出来るものでもなさそうですが、だからと言って読みたいとは思いません。読んだら読んだで意外と面白いのかもしれませんが、余程の事がない限り、絶対に読みたくないものです。

 しかし、何でもそうなのかもしれませんが、本の売れ行きというのは宣伝に掛かっていますね……。
 本当に良いものはじわじわと、もしくは切っ掛けさえあればブレイクするのでしょうが、今現在ベストセラーになっている本の過半数は、作家の物書きとしての実力ではなく、単にバックに付いているスポンサーの力、広告や宣伝によるものだと思います。
 関口宏の番組「ほんパラ!関口堂書店」のタイアップで出版された梅宮アンナの自伝「『みにくいアヒルの子』だった私」が本屋で平積みになっているのを見掛けた時には、「実力はあるけど売れてない作家とか、コレ見て虚しくなるだろうなぁ……」としみじみ思ったものです。だってあの本、中身はそっくり同じで作者が梅宮アンナじゃなかったら誰が買うよ。ま、そもそもタレント本自体がそういう性質の本ではあるのですが……。
 それに何よりも、あんなんでも何でも売れるんだから仕方ないし。

 本の世界だけではありません。プロパガンダの威力は歌謡界でも健在です。
 あの絶頂期の華原朋美でさえ、小室が捨てた途端にマスコミからも切り捨てられ、瞬く間に世間から消えて行ったのであります。あの絶頂期の鈴木あみでさえ、事務所と揉めたらマスコミへの露出がなくなり、瞬く間に世間から消えて行ったのであります。
 私はどちらのファンでもないので、この書き方には語弊があるかもしれません。ファンからすれば「まだ消えてねぇよ!」と、抗議モノの発言かもしれません。──ん? 「まだ」か……。この書き方も逆鱗に触れそうです。
 しかし、逆に言うならば、私程度にこの2人に興味がない一般人の認識は、こんなものなのです。

 マスコミって恐い。山田邦子や田原俊彦もそう思っているでしょう。趣は違いますが高橋尚子も怯えているに違いありません。叩かれても叩かれてもこの世界から抹殺されずに不死鳥の如く蘇るデヴィ夫人は、ある意味、日本のマスコミを掌握しているとも言えます。

 そこで本題です。
 田中真紀子外務大臣……頑張って下さい……。
 記事を面白おかしくするためか知りませんが、マスコミって、9:1で応援と批判があっても、あたかも1:1で批判があるかのような書き方をするからな……。そして国民も結構素直に踊らされるからな……。


 2001年6月12日(火)/熊の習慣  曇/0:00 (+0:30) 
 Z社には熊がいます。いや、熊ってのは渾名なんですが。
 これは私の心の中だけで通用する渾名ではありません。Z社の女性社員のごく一部には通用する公の(?)渾名です。

(※注:ここで、熊についての詳細を一気に2000文字ほど書いたのですが、我ながら人としてこれはイカン、という内容に仕上がってしまったので、すべて削除しました……。もしもの時、Z社の他の社員に迷惑をかけるのは本意ではないので……。それに熊のことは嫌いという訳ではないし……。著しく鬱陶しいだけで。Y下【人物紹介】T社のNo.15参照)の時は、嫌いな上に誰にも迷惑が掛からなかったので伸び伸びと思う存分書けたのですが……)

 この熊、ただでさえ派手な着メロのボリュームを最大にしているらしく、業務中に彼の携帯に私用電話が掛かってくる度に、場違いなチャラい音が社内に鳴り響き、非っ常に不愉快になります。
 ほぼ毎日ペースの頻繁さで、決まって午後に掛かって来る電話──相手が誰なのか知りませんし、興味もありませんが、電話に出る時の奴のべたぁっとした甘ったるぅい話し方を聞く度に怖気が走ります。そして同時にツッコミも炸裂するのです。
熊 「ん? 今? 今ねぇ、会社。今、仕事してる
 そりゃそうだろ。今って平日の13時48分だぞ。いつも決まってこの始まり方だけど、アンタ一体、毎日どういう人種と話してんのさっ?!


 2001年6月13日(水)/小休憩  曇後雨/0:15 (+0:30) 
 書きたいことがあったけど、また今度。


 2001年6月14日(木)/最近弱り気味  雨/-5:00 
 腐った牛乳からの時間差攻撃でしょうか6月5日参照)……それより更に遡って、胃腸を攻撃する風邪の再発でしょうか2月9日参照)……。もしかすると体力の衰えかもしれません……。
 いつもなら絶対に休んでいる程度に朝からお腹の調子がおかしかったものの、プロジェクトが難航しており、とても休める状況ではないため、無理して出勤しようとすると、まず、出勤途中の電車の中で貧血を起こしました……。

 会社に遅刻するとの連絡を入れ、暫く途中駅で下車して休み、再び会社を目指します。
 周期的に襲う貧血と腹痛に耐えながら、這這の体で会社に着くと、仕事の山が弱った私を待ち受けています。画面を見ているだけで気持ちが悪くなる始末……。

 結局、昼頃には吐き気も加わったため仕事は断念して早退してきました……。今日会社に行った意味って……。具合の悪さのアピールにしかならなかった気が……。
 こんなことなら6日にサボらなきゃ良かった……。そしたら有給使えたのに……。クソウ……。

 季節の変わり目、以前のように無茶は出来ないんだなぁ……としみじみ思ったヒトコマでした。


 2001年6月15日(金)/PGの密かな楽しみ  雨後曇/2:00 (+0:30) 
 ──なんつーんでしょうか……昨日は体調が悪くて早退した訳でしょ? たとえ今日出勤してたって、それは無理して出勤してるんであって、決して完治したからではない、って普通察しますよね? 私だったら察するな。
 私自身、朝起きた段階では自分の体調が良いのか悪いのかよく分からず、しかし出来れば会社には行きたくなく、でも会社に行きたくないのは健康体の時からで、今日は体調が悪かろうと行かねばならず、ならば体調の悪いことをアピールしてさっさと帰ってこようと……そう思って出社したんですけどね……。ご覧の通り、会社を後にしたのは21時、残業は2時間半ですわ。誰も心配なんかしちゃくれねぇわ、サボった分だけ仕事は溜まるわ……。
 結局、「私は具合が悪いんだ」と気分を盛り上げても(?)何の得にもならないと昼頃には気付き、自分への暗示を解き、その後一心不乱に仕事していたら、いつの間にか健康体に戻っていました……。
 私も不健康中の健康と申しましょうか……。何となく虚しい今日この頃……。

 さて、天気もブルーなら仕事もブルーなんですが、それは置いておいて。

 現在私は2本のプロジェクトに関わっていますが、その内の1本は私が独りでメンテナンスをしているシステムSという顧客・製品・注文履歴などの情報管理システムです。
 仕事の進め方はと言うと、相手会社の担当者からメールで要望レベルの簡易仕様書が送られてきて、それを現行のシステムSに新規機能の追加や現行機能の改修を行うことで反映させて行く、という形態です。
 もう1本のプロジェクトと掛け持ち出来る程度の重さなので、トータル的にはそんなに重くはないのですが、投げられる要望によって改修の重さは全く異なるので、テストまで込みで30分で終わってしまう軽いものから、丸々1週間が必要になる重いものまで、ムラがあるプロジェクトとも言えます。

 さてここで、そんなムラありシステムSの改修中に起こった(起こした)ハプニング(失態)です。
 プログラマー(PG)の性質と言い切ってしまって良いものかどうかは不明ですが、少なくとも私はよくやるし、やっている人を見掛けたことも何度かあることなのですが……。

 システムSを改修をした後、自分の改修個所が正常に動作するか、必ずテストしなければなりません。簡単な改修であれば、コードの修正時間よりもテストの方に時間が掛かることがあるほど、テストは重要です。
 このシステムS、動きが複雑なため、改修個所によっては全く関係のない画面を複数通過しないと、肝心の改修画面まで辿り着かない、ということがままあります。今回の改修個所もそうでした。
 しかも今回の改修は「担当者情報変更時のメール送信機能の追加」──つまり、「担当者の情報(会社名・部署名・役職・会社住所・電話番号・備考など)に変更があった場合、中央処理センターに変更部分を明記したメールを送信する」という機能を新規で追加する、少々テストが面倒な改修でした。

 変更通知メールを送信する先はS社の中央処理センターで固定なので、送付先メールアドレスはプログラム上で記述してしまいます。
 納品物のシステムSは「送信ボタンを押せば自動的に中央処理センターに変更通知のメールが届く」という内容にしてありますが、改修途中のテストで何度も何度もテストメールを中央処理センターに送る訳には行きません。送信先のメールアドレスはテストが完璧になる最後の最後まで、自分のアドレスにしておくのが常識です。

 部署名の変更だけが上手くメール上に反映されなかったり、メールソフトによっては記号文字が使えなかったり……実際に細かいテストをしてみないと気付かないことはたくさんあります。
 関係ない複数の画面を通って何度も何度も行うテストに、段々飽きて来るのは仕方ないことです。いや、仕方ないことだと思います。
 様々なケースを想定してテストを行わなければならないため、データは自分で用意することもあります。これがまた非常に面倒なのです。

 納品間際になると、テストも大事ですが、提出形態にも気を配らなければいけません。特に今回のような改修時には気を付けなければならないことがあります。そうです、メール送付先の固定アドレスを、自分のものから、納品先の会社の中央処理センターのものに変えておかなければなりません。
 危ない危ない。よくこれでミスするんです。

 さーて、納品か、という段になって、システムSの担当者から電話が入りました。納品前に1点確認して欲しいことがあると。話を聞くと、それは丁度私が気を利かせて改修しておいたところではありませんか。任せて下さい。改修済みっすよ!
 でもそんなことは口に出しません。もう1つのプロジェクトと掛け持ちしているので、なるべく余裕はあった方が良い。新たな改修は+αで工数を貰うのは当然のこと。この程度の追加改修なら1日でOKっすよ。いーっすよ、いーっすよ。
 気が大きくなるワタクシ。だって改修は済んでいるのです。

 翌日、改修は完璧な筈なのに、不安になるワタクシ……。所詮3流PGなんてこんなもんです。
 ちょっともう1回テストしておこうかな……。こんなパターンは確かテストしてなかったよね……。丁度良い担当者データがないから、自分で作らなくっちゃ。
 いそいそとデータを作り、送信ボタンを押します。送付メールの内容はこんな感じになる予定です。
担当者情報が変更になりましたのでお知らせします。

担当者名:夏目漱石(CD:9999990)
   【変更前】
     会社名:東京大学
     部署名:文科T類
     役職:英文学者
   【変更後】
     会社名:朝日新聞社
     部署名:啓蒙記者クラブ
     役職:小説家
   【備考】
     「坊っちゃん」「こころ」「草枕」著者。やっぱいいよね漱石は。

 ……………………自己弁護のために言わせて頂きますが、テストなんてね、つまんないんです。何度も何度も何度も何度も、同じことの繰り返し。でも繰り返してみないと不具合は見付からなかったりするのです。それは充分に承知しています。でもね、自分で作っていいテストデータとかになると、つい遊び心がね……遊び心が……。
 別に私だけじゃありませんよ、絶対。だって、以前改修担当だった人のテストデータの名残とかも、大概ふざけたモンばっかりですもん。実際に使われている生データの中に、「ミラクルあっこちゃん」という担当者が紛れ込んでいたり、「ぶひぶひ商店」という会社が紛れ込んでいたり、「てすとてすとてすとなんだ〜〜〜悪いかコラァ!!」という備考が残されていたり……。
 皆やってるんだ、きっと。恥ずかしいことじゃないんだ、多分。

 しかし、いくらPGの何割かの人間がこういう暗い楽しみで「うふふ」とストレスを発散させていても、端から見れば「どうかと思うよ……」と引かれてしまうことは、常に念頭に置いておきたいものですね……。

 さて、テストですよ、テスト。こんなデータ、作りたくて作った訳じゃないですよ。テストのために作ったんですよ。で、肝心のテストですが……テストしたつもりなのに、メールが届きません。
 アレ? なんで??
 そう言えば昨日、全然関係ないアプリケーションをインストールしちゃったけど、それが原因?! ランタイムか何かの関係で、マズイところ弄っちゃったか?!
 ちょっとちょっと〜、提出まであと数時間だよっ?! 今更そりゃないぜ!! 一応、昨日の内に動作確認は済んでいるけどさぁ……嫌だなぁ……こんな形で出すの……。

 焦るワタクシ。とにかくもう一度テストに臨みます。
担当者情報が変更になりましたのでお知らせします。

担当者名:司大吾郎(CD:9999991)
   【変更前】
     会社名:つかさのウィークリーマンション
     電話番号:03-440-0111
   【変更後】
     会社名:つかさWeeklyマンション
     電話番号:03-3440-0111
   【備考】
     ベンチャー発足の足場としても使えるらしい。

 焦っているなら「山田太郎」「会社A」で充分だと思うんですけどね……我ながら……。こってる場合じゃないでしょう……。
 しかしそんな焦りとは裏腹に、一向に自分に変更通知のメールが届きません……。いやーんっ! どーしよっ!!

 時間差で送られてはこないかと、何度も何度も無駄に送受信ボタンを押すワタクシ。すると、何度目かの送受信ボタンで、1通のメールが舞い込みました……。
 ──システムSの担当者からです。
お疲れ様です、××です。
すみません、鷹瀬さん・・・もしかして、テストメールを連打で中央処理センターに送っていませんか?
中央処理センターの方に何通か不信なメールが届いていると、こちらに報告がありました。
納品して頂くモジュールでのメルアドは中央処理センター宛でお願いしますが、テスト最中は私のところか鷹瀬さんの自分のメールアドレスに設定しておいてください。
多分間違えてしまっただけだと思いますが、以後気を付けて下さい。
宜しくお願いします。

追伸
夏目漱石からつかさのウィークリーマンションまで・・・奥が深い人ですね。以前の武者小路実篤も渋かったです。では。

 はうあっ! そうだった!! 昨日、本番用にメールアドレスを中央処理センターに変えておいたんだったっ!! じゃ……じゃあ、夏目漱石も司大吾郎も、中央処理センターに届いていたんかい!!
 恥ずかしい……。もう2度とやらない……。もう2度と、中央処理センターには間違って送らないようにしないとな……。

 変なテストデータ作りは止められないのでした……。


 2001年6月18日(月)/魅惑のADSL  晴/0:15 (+0:30) 
 …………狙ってますよね? 皆、狙ってますよね? 特に、画像を含むサイトと疎遠で、ウッカリ画像の多いページに迷い込むと、含まれる画像が全部表示される前に急いで前画面に戻ってしまうアナタ……狙ってますよね?
 私も狙ってます。ADSL──ちょっと間違えるとLSD……間違え方だって衝撃的です。

 回線速度の単位がMbpsですよ……M。メガっすよ、メガ。ISDNの24倍と囁かれるこの回線速度、料金も登場したての頃は月額5000円以上を浮遊していたのに、価格破壊の王様=孫正義の乱入により、常時接続で月額2800円が実現しちゃったじゃないですか……。しかも先着100万名は工事料金が無料!

 どうしましょ。また移行作業かぁ……。悩み所だよねぇ……。でもきっとネットに向かう時間が今までの3分の1くらいで済むんだろうな……。それでいて、得られる情報量は4倍くらいに増えるんだろうな……。


 2001年6月19日(火)/6月は修羅場  晴後大雨/1:15 (+0:30) 
 もー……6月末までキツキツです。では7月になれば優雅なのかと言いますと、「もっとキツキツ」というコースの翳りがちらりほらり。ヤダヤダ。
 雨に濡れ、くたくたになって帰ってくると、アイルランドで知り合ったイタリア人の女の子(大学院を卒業したてだったので25歳前後?)からこんなメールが届いていました。
「ハイ、トーコ。私、今ロンドンにいるの。前にも言ったけど、私はダブリンは好きじゃないから、今度はロンドンで1ヶ月過ごすつもり。トーコも良かったら来なさいよ。7月23日までこっちに居るから、来るなら教えてね。そうそう、今私ロンドンで働きながら、無料の語学学校に通ってるのよ! 信じられる? じゃーね」
 ………………………………信じられない。無料の語学学校以前に、この状況の差が……。「良かったら来なさいよ」と言われても……行きたいけど……うう……。
 今度彼女に会えるのはいつかなぁ……。会社辞めた時かなぁ……。

 長期旅行でも留学でも、長期を要する何かをするのに、いちいち会社を辞めなくてはならないこの就職制度をどうにかして欲しいものです。社会人になってから留学する人は、男性よりも女性が圧倒的に多いけれど、それって結局、女性は会社を(比較的)簡単に辞めて自分のための時間を得ることが出来るからなんだろうな、と思います。
 せめて年に1ヶ月くらい連続して休みが取れれば、人の生き方は良い方向に大きく変わると思うんですけどね。日本じゃまだまだ遠い未来の話……下手すりゃ実現不可能な話だろうなぁ……。


 2001年6月20日(水)/妖しい中国語会話  雨後曇/0:20 (+0:30) 
 忙しくってクタクタっす……。今日なんかたった20分しか残業してないっちゅーに……地味に重なる残業で、基本忍耐力を既に使い果たしているので、音が上がるのも早い早い。それに、業務時間中、息吐く暇なく働いたら、それだけでもう一杯一杯です……。

 さて、愚痴はここまでにして。

 深夜、何の気なしにTVをつけていたら、あの「古畑任三郎」のテーマソングが聞こえてきました。よくよく耳を澄ますと、あの古畑のもたっとした話し方を明らかに真似ている、しかし田村正和ではない誰かの声がします。
 何だ?と思って画面を振り返ると、ドラマ「古畑任三郎」のオープニングの、あの真っ暗な部屋で背後から光を照らされるというアングルで、真っ黒なスーツの上下を着た中年男性が1人……明らかに、狙って真似ているではありませんか。

 何かのバラエティ番組だろうと思ってぼんやり聞き流していると、この男性、日本語に混じって何か外国語を話している様子。再びTVに注意を傾ける私。すると、口調にこそ違和感はあるものの、話している内容にはお勉強の香りが仄かに混じっています。「……ですから、これは『シェ・チャオ・イェン』と発音します」などと、古畑の真似をしつつ、どうやらこの方、中国語を教えているではありませんか。
 ナニ? 一体なんなの?? この番組ってもしかして……。

 ──そう、「もしかして」。もしかして、NHKの中国語会話。あの中途半端に古畑任三郎のモノ真似を披露していた妖しげな男性は、NHK中国語会話の教師だったのです!

 最近NHKは頑張ってます。私の大好きな「プロジェクトX」などは、スタッフも非常に充実し、誇りを持って番組作りに励んでいると、小耳に挟んだことがあります。時には「ポップJ」(だっけ?)のように、そこまで媚びなくても……と心配になる番組もありますが、この中国語会話の番組は製作者が楽しんでいることが伝わって来る、面白いものでした。
 製作者が自ら楽しんでいる番組は楽しいものが多いと思います。それがためになりそうな番組であれば尚良し。楽しく勉強が出来るのには大賛成です。こういう努力であれば、これからもガンガンして欲しいですね。


 2001年6月21日(木)/崩れゆく安全神話  小雨後曇/0:45 (+0:30) 
 人生崩壊野郎宅間とその模倣犯、生犬好きの可哀相なキチガイ、「ちょっと詰めて」と言われて切れちゃうお馬鹿サン、お金欲しくて身近な人間殺しちゃうデンジャラスなビンボー人、切れる子供たちに遅れを取るなと張切る暴力教師、そんな暴力教師に負けじと切れ易さにターボをかけるティーンエイジャー、「だって私の所有物だもん」とばかりに我が子でストレス発散する親……。
 「死んだ」「殺した」はもう当たり前。今ニュースになるのは「どんなふうに殺したか」「何人殺したか」の競争を勝ち抜いた選りすぐりの事件ばかり。殺人の理由に「長年の恨み辛み」が少しでも絡んでいると、思わず安心してしまう体たらく。

 ──これ、「水と安全がただで手に入る国」と謳われた日本の話っすか?! ……崩れゆく安全神話、社会の歪みはどこから来るの……?

 ストレス……あたしゃ、ストレスが原因だと思いますよ、絶対。だって今生きてて、人生に夢希望がない人、多過ぎるもん。忙しい上に夢も希望もなかったら、そら肩がぶつかっただけでも「すみません」ではなく、「どこ見てンだ我ェッ!」って怒鳴りたくなる気持ちも分からんでもないよ……。気持ちは分かっても、実際こういう行為をしてしまうには大きな壁がありますが……。
 うさぎ小屋で暮らす働き蜂は、とにかくストレス多過ぎるんだよ。だって蜂なのにうさぎ小屋だよ? 生活する場所が他の種のエリアだもん。そらストレス溜まるよ。──じゃなくって。

 とにかく「人生とは何だろう」とか「人間らしさって何だろう」とか「どうやったら皆が幸せになるだろう」とか、そういった生きて行く上で幸せになるための思考力・考察力が決定的に足りないと思うのよね。そもそも考えるだけの時間が与えられてない、って仕組みに疑問を持つ余裕すらないし。
 「そんなことないよ、結構楽しくやってるよ」と上っ面で感じることは出来ても、路上でいきなりマイク突き付けられて、「あなた幸せですか?」って正面切って聞かれたとして、「当たり前じゃん!」と堂々と答えられる人間が何割いるよ。

 世の中、本っ当に、心っ底歪んだものです。またこういう歪みは拍車が掛かるからなぁ……。
 思うに、拍車を掛けている一番大きな原因はマスコミでしょう。

 宅間の模倣犯があれだけ続出したのだって、マスコミの対応に拠るところが大きいと、私は思っています。
 また、一生引き摺ることになるかもしれない事件を目の当たりにした年端も行かない子供にマイク突き付けて、「どんな様子だったの?!」と騒ぎ立てるレポーターにも、レポーターに指示する番組製作者にも、仕事とは言え、人としてどうかと疑問を感じずにはいられません。見ていて不愉快で、嫌悪感さえ覚えます。

 加えて、悪いことやショッキングな事件は大々的に取り上げるクセに、心温まることや良き行いは全く取り上げないマスコミの姿勢にも問題があるような気がします。
 全体数から考えれば少数かもしれませんが、凄惨な事件を起こす犯人には「目立ちたい」「世間を騒がせたい」という願望があり、マスコミがその願望を忠実に、もしくは期待以上に叶えてしまうのもだから、犯人だって大張切りです。オリジナリティがない模倣犯なんて、まさにこの「目立とう精神」のチープなチープな表現形だと思います。
 どうせ真似するなら良いことを真似すればいいのです。しかし、良いことをしてもマスコミは取り上げてくれません。悪いことなら確実です。
 そう思っての行動かどうかは分かりませんが、マスコミがもっと積極的に、世の中にひっそりと埋もれている善行を大々的に取り上げ、良いことをする人間が報われる雰囲気を作り出せば、日本もちょっとは良くなると思うのですが……。

 卵と鶏の論理かもしれませんが、力をもったマスコミが馬鹿だと、国民全体が引き摺られて馬鹿になる。そんな気がしてならないのでした。


 2001年6月22日(金)/死滅する土日  曇/0:45 (+0:30) 
 うーん……最近、残業が日常だなぁ……。
 してる人に比べればちゃんちゃらオカシイ時間数ですが、私的にはMAXレベルに達していますね……。土曜日も出るか、出ないか、ってなトコロまで来ていたし……。いや、結局は出ないんですけど。
 しかし19時定時でそれから残業1〜2時間となると、平日は全く遊べないのでストレス溜まります。運良く早めに終わっても、人と会う予定が立てられないので、結局「残業があるかもしれない」という事態が既に、人の楽しみを奪っているのです。
 このような状況が毎日続くようであれば、人生を狂わされていると言っても過言ではないでしょう。そして、そんな人は世の中に大勢いるのだと思います。そして、この状況に疑問を抱くことすらしない人も、大勢いるのだと思います。

 少なくとも私は残業をすると、肉体的にだけでなく精神的にもどっと疲れ、更には気力の回復も、肉体&精神の疲れに引き摺られて遅くなります。土日の2日間だけではどうにもなりません。
 周りが残業に休日出勤を重ねる中、何が何でも私は帰る、という姿勢を貫くのも、別の意味でストレスに加算されます。立場の危機というオマケ付です。
 だからと言って自分も休日出勤をすれば、ドロ沼にはまるだけです。会社が有利になるように競争意識を燃やしても虚しいだけなので、自分の中で確固たる意志を持って明確な線引きをしておかないと、悪い方向へと流されてしまいます。

 あらゆる方角から襲いかかるストレスを慢性的に受け続けることで、徐々に感覚は鈍くなり、朦朧として来る訳ですが、そんな状態の自分を改めて観察してみると、まず、思考力がなくなっていることに気付きます。また、何をするのも億劫になる。せっかくの土日でも、TVや本と、脳みそを使わずにぼーっとすることで時間を過ごし、建設的な活動はまず出来ません。根を詰めて何かするより、その場限りで何も残らない、楽な行動に走るようになります。
 残業というシステムのお陰で、休みの筈の土日さえ有効活用できなくなってしまうのです。

 ──オカシイでしょ? オカシイんだよ、こんなのは。

 人は慣れる生き物なので、本当にちょっと油断すると、こういう状況に慣れてしまうのです。抵抗し続けるのは意外と精神に負担をかけるもので、慣れた方が精神的には楽になります。自分の中にあるエネルギーをちょっとずつ無駄に消費して、同時に感覚も鈍くして……そうやって一刻一刻を「遣り過ごす」ように生きるような真似だけはしたくないものです。
 いっそ本当に仕事が好きで、月100時間の残業だって何のその、というタイプなら幸せなんですけどね……。そんなふうには生まれ変わってもなれないようなので、私はやはり、会社と自分の人生の折り合いを納得行く形で付けるべく、周囲の理解を求めて彷徨うのでした。


 2001年6月25日(月)/捧げられた言葉  曇/1:00 (+0:30) 
 本日、アイルランド滞在中に知り合ったアイリッシュのおじいちゃんから、2通目の手紙が届きました。私が道に迷っている時に助けてくれた人で、滞在中は丸3日間ほど市内見物に付き合ったくれたりと、アイルランドで最も深く関わった人物でもあります。(ホストマザーよりよっぽど会話量は多かったですねぇ……。ホストマザーとは全然交流なかったから)

 私が帰る前日、公園のベンチで日向ぼっこをしながら、私が1週間しか滞在しないという事実に何度も何度も「なんでそんなにすぐ帰るんだ」と不思議そうに聞いて来た彼ですが、学校でも滞在期間を聞かれて「1週間」と答えると、例外なく全員がビックリしていました。(まぁ私も驚くけどね……。旅行ならまだしも……)
 中でも中国人の女の子は比較的すんなりと、「ああ、日本人は忙しいからねぇ」と事態を飲み込めたようですが、他の人たちは「1週間しか休みが取れなかったんだ」と言うと、目を剥いて「なんだ、そりゃ!」と驚いていました。
(余談ですが、私的には、眉を段違いにして首を振り、しまいには天を仰いで「信じられない」と身体全体でボディランゲージしてくれた、イタリア人の余りにも「らしい」驚き方に非常に好感を覚えました……。なんであんなにも想像通りなんだろう……)

 わざわざこんなに遠くに来て、たった1週間で帰るなんて──アイリッシュのおじいちゃんも類に漏れず、「1週間しか休みが取れない」という台詞に目を剥いて驚いた1人です。
 のんびり穏やかに生きているアイリッシュには、セコセコ生きているジャパニーズの生活は、想像すら出来ないのでしょう。
 私はちょっと面白くなって、おじいちゃんに拙い英語で詳細を語りました。
「日本じゃね、正社員として会社に勤めてる人間は、年間を通して最大でも20日くらいしか有給は貰えないし、下手すれば私みたいに10日間しか休めない人もいるんだよ。連続した休みなんて、最大で1週間がイイトコ。極々稀に2週間とか休める人もいるみたいだけど、少なくとも私の知り合いにはいないな。
 普通の会社員が一番長く休めるのは8月中旬の夏休みなんだけど、夏休みだと学校が混むって聞いてたから、私は時期をずらして来たの。4月末から5月の第1週はG.W.って言って、元から祝日が続くから、会社を休んだのは実質3日なんだ。
 それでも会社のボスは当然良い顔しなくてね、『本来なら許されませんよ』まで言われたんだよ。でも気にせず来ちゃったけど。帰ったら机がないかもね。あはは。

 私が今所属している会社はね、日本の中でも特に忙しい方に入ると思うけど、朝10時から深夜まで働いている人がゴロゴロいるんだよ。そこまで酷くなくても、1日8時間労働が基本で、それに加えて月40時間以上の残業なんか別に珍しくも何とも無いし、残業していない人の方が珍しいくらいなんじゃないかな。
 とにかくね、みんな忙しいの。
 最近では『これはオカシイ』って思う人も増えてきたけど、未だに『残業してでも仕事を終わらせるのが当たり前』って思っている人は大勢いて、そんな中で『私は残業はしません』って主張するのはとっても大変なんだ……」

 まぁもう話している間中、「信じられない」「クレイジーだ」「何が幸せなんだ」「君はこっちに住んだ方が良い。いーや住むべきだ」と大騒ぎでしたが、私がよくやる、しかし日本ではなかなか得られない反応に、微笑ましい気持ちになったものです。

 そして帰国後、そのおじいちゃんから「机はあったか? ボスは怒ってなかったか?」との1通目の手紙が来て、「大丈夫。ボスは半分呆れてるけど、私は気にせずやりたいようにやってます」という返事を書いたら、再びこんな返事が返ってきました。
「それはとても良い傾向だね。私たちは自分の人生を自分のために生きないといけない。このカードの表紙の言葉は、中国の格言だそうだ。丁度君にピッタリだろう。いつもボスを驚かしてやるといい。人生を楽しんで、働き過ぎないように。”Quality of Life”について語り合ったことを忘れずにね」
 うう……ごめんよ、おじいちゃん……アタシャたった今、働き過ぎてるよ……アイルランド基準で。
 カードの表紙には、私に捧げられたこんな言葉が……。
Those who say it cannot be done should not interrupt the parson doing it.
(できないという人が、しようとする人の邪魔をすべきではない)

 訳は私なので上手くないですが……。意味は解かるけど、言葉にするのって難しいですね……。

 そう、やらない奴がガタガタ言って、やる人間の足を引っ張るべきではない。私が常日頃から言っている言葉が、ちょっと土俵の違う国では、他人の口から当たり前に聞くことが出来るのです。
 何もわざわざ周りに合わせて不幸になることはありません。幸せの基準は自分で決めるものです。今いる場所で少数派でも、土俵を変えれば普通の意見、ということも頻繁にあるでしょう。大事なのは、自分はどう思っているのかを、常にしっかりと自覚し、簡単には流されないことではないかと、改めて思ったのであります。


 2001年6月26日(火)/Z社基準  晴/1:00 (+0:30) 
 現在私が毎日のように破格の残業をしている原因、プロジェクトP……納期は7月末ですが、第1陣の納期が今月末のため、今週は定時で帰れる日はないだろうと予想されます……。今月の初めを思い出すと、確かあの頃から「暇だね〜。でもコレ、月末とか地獄なんだろうね〜。納期間際なんて想像するだけで恐〜い」などと、ダルダルしながらぼやき混じりに未来を予想していたのですが……ここまで予想通りだといっそ乾いた笑いが漏れ出ます。アハハハハハァ……。
 ──あれ? 乾いてないっスね。思いっきり湿ってます。……まぁ、湿り気も帯びるわな。こんなに予想通りじゃなぁ……。

 同じプロジェクトに関わっていて、紙面上のスケジュールはしっかりとあったにも関わらず、なぜこんなことになっているのか。
 ──簡単です。締め切りのあるような仕事の大半は、そもそも最初から無理なスケジュールが組まれている上に、土台となる基本設計段階で絶対に期日を過ぎ、そこから先は確実に下々へのシワ寄せが始まるからです。
 5月末に配られたスケジュール表によると、私が開発担当するレポート&帳票の設計書は6月11日に74本分すべて出揃う筈でした。既に「でした」と過去形に表されるように、当然、現時点で未だに出揃っておりません。

 今回の開発は、仕様書や基本設計部分を担当するのは別会社のため、上流部での遅れが原因で納期に間に合わなかった場合は、それなりの言い逃れの余地がありますが、Z社とて他にも仕事を抱えており、慢性的な人手不足も手伝って、悠長に納期を引き延ばすワケには行きません。上流が遅れようと、なるべく最初のスケジュールに添って開発を進めようと頑張ります。
 設計書が別会社担当のため、現場レベルの開発担当と、仕様書を作成するブレインの間に意識のズレが常にあるのも悲劇の一因です。別会社の仕様担当者が2名しかいないのに対し、Z社側の開発担当者は6名控えているため、仕様作成が開発に追い付かない、という事態が6月上旬から生じていたのです。

 仕様書が揃わなければ動き出せないZ社の兵隊たちは、容赦無く別会社の指揮官を急っ突きます。急かされ、追いたてられた指揮官は、思い余って未完成と言っても過言ではないような命令……つまり、穴だらけの仕様書を出して来るのです。
 仕様書が1つ降りて来る度に10の疑問・質問が生まれ、それを指揮官に投げると8しか答えが帰ってこず、再び「あのー……2つ足りないんですけど」と急っ突くと、「ほらよ」とばかりにおざなりな3の返事が返ってきて、「1つ多いんですが……」と戸惑うと、「ああ、それも追加して」と言われる──そんなことの繰り返しです。かーなーりっ、イライラします。
 このプロジェクトPに関わってから、相手会社の仕様担当者に向かって最も多く発している言葉は「それで確定なんですか?」「決定事項なんですね?」です。私は現在こういう不安定な状況に置かれているのです……。

 ただ、相手会社の仕様作成者2名を一方的に責めるのは、ちと可哀相だと思っています。仕様書などはメールの添付文書として送られてきますが、その際のメールの受信日時は23時を過ぎていることも珍しくありません。
 しかし本日、可哀相と思っているのはもしかしたら私だけかも……と思う場面に出会わしました……。いや、この言い方は正確ではないな……。「可哀相と思っているのはもしかしたら私だけかも」と言うより、「少なくともボスは可哀相とは思っていない」ということが明らかになりました。
 今日のミーティングでのボスの衝撃のコメント、ここでこっそり紹介しましょう。
ボス 「確かにウチが6名に対して、あっちが2名だから、仕様書を上げるのは大変だとは思うけど、そのシワ寄せは確実にこっちに来てますからね。6末に提出するものの仕様書が今日来てないんじゃ、話になりませんよ。この件に関しては、私からあちらのマネージャーにクレーム上げておきます。『ちょっと弛んでるんじゃねぇか』って。実際、相手会社のあの2人、Z社基準ではまだ全然100%の力で働いてないからね。土日休んでるし
 うわぉう。平日23時以降まで働いてても、土日休んだらZ社基準から漏れるんだ……。じゃあ、私ってば漏れまくりじゃん! 規格外もイイトコ?!
 つい昨日、アイルランド基準で「私ってば働き過ぎ……」って思ってたのに……凄いね、基準って。本当にトコロ変われば常識も変わるんだね……。
 でもなぁ……ボスって規格外の私をどう見ているんだろう……。くわばらくわばら……。


 2001年6月27日(水)/疲労度1  晴/2:10 (+0:30) 
 ボロボロ一歩手前です……私だけでなく、プロジェクトPに関わるすべての人間が……。今日なんか21時過ぎにふと社内を見渡すと、残っている人間の8割方がプロジェクトPの関係者ではありませんか。何たるコト?!
 常日頃多くの社員から帰社姿を見送られていた私が、最近は多くの人を見送っているのです。多分今日の残業時間は、今月最高……いや、もしかしたら3年強の勤務経験を総合しても、かなりの高順位にあたるんじゃないでしょうか。
 まぁ2時間40分が最高レベルに値する、ということ自体、見る人から見れば「全然大したこと無いじゃん」という状況なのですが……。

 しかし私にとっては大したことです。今になって漸く、友人がしているという月40時間残業の重さが身に染みます。月40時間っつったら、平均して毎日2時間残業する、ってコトでしょ?! 私など、毎日2時間残業を1週間続けただけでヘロヘロ状態なワケですから、これが1ヶ月続くようなら心身ともに壊れることが予想されます。
 こんな生活送ってたら、そらもーどーでも良くなるわな……。
 考えさせないように考えさせないように、社会システムは出来ているようです。


 2001年6月28日(木)/疲労度2  晴/1:10 (+0:30) 
 早く終わらないかなー……。プロジェクトP……。


 2001年6月29日(金)/内閣メルマガへの提案  晴/0:30 (+0:30) 
 国民に政治のドン底を見せてくれた、ある意味、貴重な存在、森前首相の反動で、どこまでも上り詰める小泉氏。顔が良かろうが悪かろうが、やることをやってくれれば良い訳ですが、実よりも表面上のお祭り騒ぎだけが先行しているようにしか見えない今日この頃……。ドでかいポスターやキャラクターグッズを見る度に、少々寒い思いに駆られますが、所詮は国民がそれを求めているようなので一概に馬鹿にも出来ません。

 しかし、先の都議選では、小泉氏が応援に駆け付けると場が沸き、黄色い声援まで飛び、果ては「純一郎」と太字で書かれた団扇(裏は顔写真! SMAP団扇と同じ構成っ!)を嬉々として振る一般市民まで現れ、あの団扇を作る奴にも買う奴にも軽い眩暈を覚えました……。
 対抗のつもりか、民主党が鳩山氏の携帯ストラップを発売したのには、眩暈を通り越して胃が痛くなる思いです……。
 頼むからコレ以上ガッカリさせないでくれ……。

 小泉内閣発足以来、何かにつけて呟いてきた「以前の、国全体が政治に無関心だった頃より全然マシ」という言葉も、いつまで言い続けられるか、私的には自信がありません。
 まるっきりの無関心と、地に足の付かないお祭り騒ぎと……もしかしたら大した違いはないのではと心配になります。両者は両極端の態度で、どちらも理想の在り方からは程遠い気がしてなりません。
 まぁそれでもやっぱり、以前よりは全然マシだと根強く思っているのですが……。

 現在、購読者が200万人を突破したという「小泉内閣メールマガジン」……私も購読していますが、2回目(3回目かも)の配信にして既に私は引き気味です。
 「らいおんはーと〜小泉総理のメッセージ」「大臣のほんねとーく」──このセンス、残念ながらちょーっと私にはついて行けません……。政治をもっと身近に、という主旨で始まったのだと思っていましたが、読んでみると、どうも「政治をもっと身近に」ということが主旨なようで、つまらない、というよりも白けてしまいます。そして時々恥ずかしいのです……。今週の「らいおんはーと」なんか特に……。
● 「変人」とは

 小泉純一郎です。

 私のモットーは、「省事(しょうじ)に如(し)かず」。つまり、「無駄なことはやめよう。」ということ。「大事争うべし、些事(さじ)構うべからず。」というのも好きな言葉だ。
 普通、政治家はたくさんの方々と会うのが仕事です。事を省くのはなかなか難しい。政治家が省事などといっていると「変人」といわれる。私は結構気に入っているのだが。

 変人を英語で訳せばストレンジ(奇妙)やエキセントリック(風変わり)になる。これでは、奇人の部類の変人になってしまう。ある外国特派員に聞いたら、「エクストラオーディナリー(並外れた)がいい。」と言われた。なるほど、これは悪くない。「普通を超えている」そう考えれば、なかなかいいじゃないかと気に入った。
 以来、「変人」といわれるたびに、何かほめられているような気がしている。最近では、「変革の人」を略して「変人」というらしい。

 6月26日の閣議で、経済再生のための骨太の方針を決定しました。改革なくして成長なし。いよいよ「変人」の本領発揮。必要な改革をどんどん進めていきますよ。
 29日から、米国、英国、フランスを訪問します。各国首脳と個人的な信頼関係をつくるのを楽しみにしています。


(【小泉内閣メールマガジン 2001/06/28】「骨太の方針」より抜粋)
 既に多くの人が読んでいる文章だと思いますが、改めて。小泉内閣メールマガジンの今週配信の、小泉氏の独り言、「らいおんはーと」にあたる文章の一部です。
 恐らくこのメルマガを読んで、小泉氏自身に好感を持ち、そこから政治への興味を深める人も多いでしょうし、小難しいことを真面目に書かれるよりも、こういう掴みで爽やかに自分を語ってくれた方が親しめる、という人も多いのかもしれません。

 これは勿論、あくまでも私個人の意見ですが、私はこの文章を読んで引きました。
 「私ってちょっと変わってるから」と誇らしげに自己申告してしまう人種はどこにでもいますが、小泉氏が「変人」と呼ばれることにウキウキしちゃっているらしい事態にアイタタタ……と思い、次いで政策の話になった途端に抽象的で、メッセージ性が感じられないのにもガッカリしています。
 こんなところで政策の話などすればどうにも収拾がつかなくなるから、ということもよく分かるのですが、それを加味しても、「コレ、私の国のトップが書いた文章なんだ……」と思うと、切なさが込み上げて来ますねぇ……。

 「ストレンジ」だろうが「エキセントリック」だろうが「エクストラオーディナリー」だろうが「変革の人」だろうが、呼び名なんぞはどうでもいいのです。やることをやってくれれば。首相という立場にいる人が、国や政策ではなく自分のことばかり語っている事態が、既に私には不快に感じられるのですが、こういう内容こそを国民が望んでいるのなら仕方ありません。
 200万人の読者がこのメルマガをどう受け止めているのかとても興味があるのですが、残念ながら私は詳しく知りません。200万人も読者がいるのだから、もっと話題になっても良さそうなのですが、メルマガの存在自体が話題にされてはいても、その内容が取り上げられている場面には余り出くわしません。

 ここまで文句を付けておいて、ならお前は一体どういう内容ならお気に召すんだ、となるかもしれません。もっともです。言いっぱなしは誰でも出来ます。言ったからには少々責任を持たねばなりません。
 そこで、私が読みたいと望む内閣メルマガの内容を考えてみました。「らいおんはーと」や「ほんねとーく」を見習って、トピックのタイトルや簡単な内容紹介もサービスしてみましょう。
@【みんなのお財布、国のお財布】
 まずは国を運営する金回りの実態を国民に理解してもらわなければ始まりません。このコーナーでは、理想の予算配分と現実の予算配分の対比、予算の問題点と解決案、予算是正にまつわる国会討論での報告などを紹介して行きます。

A【脱・借金大国】
 日本は世界有数の借金大国です。そのことを国民に自覚してもらい、無駄に道路を作っている場合ではない、ということを骨髄液から実感してもらうことが目的です。日本が現在抱えている負債の詳細と、その負債が生まれた背景、今後の消化政策を説明します。また、負債額の変化を、株価の変動の如く、折れ線グラフで紹介して行くことにもご注目下さい。

B【ズバッと解決!】
 様々なジャンルで現在抱えている問題点を優先順位を明確にしたランキング形式でお知らせし、問題に対する取り組みや、その実績、解決案や障害などを紹介して行きます。実際に解決に当った大臣らをお招きして、体験談なども盛り込んで行く予定です。

C【日本だって変わらなきゃ】
 改革に焦点を当てている事業の詳細と改革案、その改革案に対する他党の意見などを総合的に幅広く紹介して行きます。皆様からのご意見をお待ちしております。

D【与党VS野党】
 常に反発し合えば良い、という訳ではない与党と野党の微妙な関係──与党の政策や主張と、それに対する野党の姿勢を紹介し、与野党の隔たりなく、「良い政策は良い」と言える環境作りに励みます。

E【目指せキレイキレイ】
 多発する政治家の汚職事件……なぜ政治の世界には暗い陰が付きまとうのか。問題を解決するためには、まずその詳細を知る必要があります。このコーナーでは、先週発覚した汚職事件の詳細報告と、その事件が起こった背景、犯人の政治家人生の軌跡などを詳しく紹介して行きます。当事者からの投稿も大歓迎です。内部告発、「我が省のここが駄目」など、志高い改革者からの密告もお待ちしております。

 こんなメルマガを期待していたんです、私は。いや、無理だとは重々承知していましたが……。特にEとか……。

 しかし実際問題、Bとか面白いと思うんですけどね。具体的な構成のビジョンも浮かぶし。
 例えばテーマを「環境破壊」に掲げた週なら、環境破壊にまつわる日本が抱える問題点の概要と、世界の動きとその中での日本の位置付け、解決の優先順位の高い具体的な問題の紹介(焼却炉から排出されるダイオキシン、地震国日本に乱立する原発、錯綜する道路、とか……)、それに対する各党の政策と実績、割かれている予算がどの程度なのか、現在ある規制法案やガイドラインと改正案、世界標準と日本標準の比較、反対運動の動き、各都道府県の動き──こういうことを毎週毎週テーマを変えて少しずつ紹介してくれたら、たとえ結論が出なくとも、そこから色々なことが分かるし、国を改革するということがどういうことなのかも、徐々に明確になって行くと思うんですけどね……。
 少なくとも、「骨太骨太」と言うばかりで何がどう骨太なのかの説明が無いよりも……「私は変人と言われる」などと自分の話をして無駄口を叩くよりもずっと……。

 ま、これはあくまで私が面白いと思うメルマガの内容であって、小泉氏が「普通を超えている」と称されて喜んでいることが分かった方が面白い、と思う人の方が大多数なら仕方ありませんが……。




2001年6月の勤務表
 出勤日数 19日(うち休出 0日)/勤務時間 151:10  欠勤日数 0  有給休暇 1
 月残業時間 13:05  日平均残業時間 0:41  今月最高残業時間 2:40/27(水)
 【一言】 毎日の平均残業時間が思ったより少ないのは、早退が1日あったからなんだよな……。


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