2000年07月の就職日記&コラム

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 なんかZ社に出向してから自分の時間が全然なくなっちゃってるよ……。これでその犠牲の分だけちゃんとスキルが身に付いていれば良いケド、なんかそんな気がしないよ……。マズイ……ひたすらマズイ気がする……。
 どうしよう……どうしよう〜……。ああ〜……「やだねったら、やだね」とか歌いながら辞めてしまいたい……。
日記の小見出し一覧
◆注目の日記にはセルに水色を付けています◆日付を押すとジャンプ出来ます◆
 03(月) 執念の予定遂行  04(火) 様々な統計  05(水) 不調続きのマイPC
 06(木) どこでも一緒  07(金) 定時攻防戦  10(月) 有給累計4日
 11(火) 休暇の意義  12(水) 破鍋に綴蓋  13(木) 衝撃の先手
 14(金) 暇潰し問題(1)  17(月) 窮鼠猫を噛む  18(火) 予告合戦
 19(水) 明かされた賞与額  21(金) 暇潰し問題(2)  24(月) 凪の日々
 25(火) 初めての賞与  26(水) 「サルサ!」  27(木) 比較でGO
 28(金) 映画三昧  31(月) 40時間の差  −




 2000年7月3日(月)/執念の予定遂行  曇時々大雨/残業 0:00 
 さすが因縁の帰社日。色々ありました……。かなり密度の濃い一日だったなぁ。もうどこから話していいのやら……。

 今日の帰社は、前月同様、朝一番に本社に立ち寄るコースを選びました。(朝、本社T社に立ち寄り、用を済ませ、出向先のZ社には『今日は帰社日なので16時には上がります』と言って早退するコース) 月に1回だけ確実に早く帰ることが出来る日ですから、そりゃもう2週間くらい前からルンルンでこの日の予定を立てていたほどです。

 まぁ予定を立てるったってね、たかだか1日……しかも夕方いつもより数時間早く帰ることが出来るってだけのコトだから、しょせん小せぇ野望(?)なんだけどさ。それでもかなりウキウキしてたんだな、これが。どうせアタシャ悲しい小市民だよ。(←浮かれるかグレるか、どっちかにしろって感じ……)
 とにもかくにも、この浮いた数時間で何をしようか散々迷った挙げ句、最近試写会行ってないなぁ……って思い立ったのが、今回の事件の発端でした。

 大体試写会ってのは18時開場、18時半開映というケースが通常で、今までは17時半定時で30分くらい残業しても充分に開映には間に合っていたので、月に1〜3回は試写会に行っていたのですが、Z社に出向になってから定時が19時になっちゃったもんだから、最近の私と来たら「もう試写会なんて夢のまた夢……(涙)」という境遇に陥っていたのです。実際、4月からの3ヶ月間は、平日の試写会は1度も行ってなかったほどの荒みようです。
 でも7月3日は「帰社日!」という建前のお陰で、どんなに遅くとも17時半には解放されます! 朝、本社に立ち寄って、Z社には帰りに本社に立ち寄るようなことを言っておけば、上手く行けば16時半には退社できるのですっ!
 練りに練った計画だよ〜!(←そうか?) 7月3日の試写会探すのが楽しくて仕方なかったさ〜。

 私の直向きに幸せを追い求める姿は、運命の神様の心をちょっとばっかり擽ったようでした。運命の神様ってば、口の片端を微かに上げる程度には微笑んでくれたのです。
 7月3日に、丁度観たかった映画の試写会がやっていたのであります! 会場も現在常駐しているR社から30分程度で行けるところにあるから、百万が一にも16時半に退社できなくても、17時半までに会社を出れば充分に間に合うという超ラッキー状態! もう薔薇色の1日ってやつですね!
 こんなことで薔薇色になっちゃう私の人生も、そろそろヤバイかな……って気もするんだけどね……。それだけ先月が辛かったの……そっとしておいて下さい……。
 アタシャ浮かれたよ。早く帰れる、映画が観られる。こんな毎日を過ごしたかったさ。神様もたまには良いことするじゃなーい、みたいな?

 ──なんてね……はは。現実はいつだって私の思い通りには進まないんだ。
 大体、冷静になってイメージするとね、「口の片端を微かに上げる」微笑み方って、かなり嫌〜な笑顔なんだよねぇ……。その事実に気付いたのは、7月3日……当日になってからだったのでした……。

 試写状は2名まで入場OKなので、誰を誘おうか迷っていたら、丁度友人Kちゃんが同じ試写会に当選していて、一緒に行こうという話になりました。私の試写状は母にあげて、私はKちゃんの試写状で入場しようということに。
 しかし、お互い携帯電話を持っていないものだから、もう連絡取るのが大変でね。前日までに詳細を決めておけば良かったのに、お互いぼんやりしてたらあっという間に当日だよ。前日の夜遅くに「明日12時に電話する」ってメールを入れておいて、当日の昼に会社を抜け出し、外の公衆電話へレッツ・ゴー!
 そしたら今もう携帯が常識になりつつあるから、公衆電話ってなかなかないのよね……。探して探して、漸く見付けたのは会社から5分ほど歩いたところだよ……。
 電話を掛けたら掛けたで、別の友達の自宅に掛かっちゃうし……。Kちゃんの職場に掛けてるつもりだから、改まって「鷹瀬と申しますが……」って余所行きの声出したら、途端に親しげな会話が始まっちゃって……。
鷹瀬 「もしもし、鷹瀬と申しますが……」
女性 「アラ? タカちゃん?」(Kちゃんは私のことを「タカちゃん」とは呼ばないので、かなり気が動転した)
鷹瀬 「え? え? アレ?」(聞いたことがある声だけど、直ぐには誰だか分からない)
女性 「タカちゃんでしょ?」
鷹瀬 「あ、はい。あれ?」
女性 「どうしたの?」
鷹瀬 「……えと……ど、どちら様ですか?」(※注:電話を掛けたのは私)
女性 「え? H江でしょ? H江は今いないわよ?」(友達のお母さんだった)
鷹瀬 「え? あ、あれ? おばさん? あ、ごめんなさい。アドレス帳、1行間違えてました。H江じゃなくて、別の友達に掛けようとしてたんですよ〜。H江は今、中国ですよね?」
女性 「そうそう。あの子ったら、タカちゃんに言ってかなかったのかと思っちゃったわ〜。やだわ〜もう〜。元気にしてるの?」
鷹瀬 「元気じゃないみたいっスよ〜。電話もまともに掛けられなくなっちゃって……もう駄目ですね」
女性 「やぁねぇ、しっかりしてよ〜」(←妙に心に残った一言)
 もうなんだか出だしからボロボロです……。
 この後、気を取り直してKちゃんの職場に電話をし、会場で待ち合わせることに。「大丈夫、絶対行けるから」という言葉を残して、職場に戻りました。
 食事を済ませ、さぁあと約3時間の辛抱だわ、という昼下がり……ワタクシの上司=I田さんが、たった一言で私の薔薇色プランを台無しにしてくださりやがったのです……。
I田 「そう言えば鷹瀬さん、今日って帰社日だったよね……」
鷹瀬 「はい。先週から言ってましたよね? 本日は16時頃には上がらせていただきます」
I田 「そのことなんだけど……どうしても帰らないとマズイの?
鷹瀬 「…………え…と……今日はなんか銀行関係の手続きとかあるみたいなので(←これは本当)、ちょっと帰らないとマズイかと……」
I田 「そうか……。でもちょっと今日はこの処理だけやって行って欲しいんだよね」
鷹瀬 「あ……でも……帰社日ですし……」(←必死!)
I田 「そうか、言い難いんだね。じゃあ僕が代わりにT社の人に話すよ
 ひえぇぇ〜〜っ!! めめめめ滅相もございませんっ!
 アタシャもう今朝、本社には寄ってきてるんだよ。用は済ませてるんだよ。このことがバレたらエライこっちゃ! そんなことされたら今日の薔薇色プランどころか、社会人としての私の立場が危うくなるじゃああーりませんかっ!
I田 「T社の電話番号、教えてくれる?」
鷹瀬 「え、あの、その、T社に電話するんですか?」
I田 「うん。だって、自分からだと言い難いんでしょ? 僕から『今日は仕事が立て込んでいるから、鷹瀬さんの帰社日をズラしてください』って言った方が良いんじゃないかな」
鷹瀬 「あ、いや、それは別に……自分で言っても全然OKですので、言うなら自分で連絡します。えーと、そのー……(この間に尤らしい言い訳を考えている)……えー……実はですね、会社自体は融通きくので帰社日をズラすのは可能なんですけど……月に1回の帰社日で、丁度散り散りになっている同僚たちが集まるので、ちょっと仕事のことで話がしたいかな……と……」(←咄嗟に考え付いた「尤らしい言い訳」)
I田 「あ、そうなの? なら、ズラしても良いよね」(←効果はなかったようである)
鷹瀬 「…………はぁ……まぁ……そうですね……」
(事態が変わらないことに打ちのめされ、諦めた)
(一度大きく溜め息を吐いてから、席を立って)
鷹瀬 「…………じゃあ、ちょっと会社に連絡してきますね」

I田 「? どこ行くの?」
鷹瀬 「携帯持ってないので、外で掛けてきます」
I田 「これ使って良いよ」(←自分の携帯を差し出している)
鷹瀬 「…………あーと、ちょっと……えー、そのー……表で掛けてきます
 わ、我ながら怪しいっ!! なんなの、この私のいかにも裏暗いトコロがありそうな素振りはっ!
 でも仕方なかったのさ……。I田さんの前で「あー、Kちゃん? 今日の試写会、駄目になっちゃったよ〜」とは言えないもん……。

 でもさ、私はこの時点でまだ事態を甘く見ていたんですな。上手く行けば17時半には帰れるかな……って。だからKちゃんには、この後に及んで「もしかしたらギリギリで間に合うかもしれない」って言っておいたんだな。
 Kちゃんへの電話を終えて、ガックリしながら席に戻ると、待ち構えていたようにI田さんがワタクシに指示を……。I田さんは私が帰社しないってことで、今日は19時まではいてもらうって、そういうつもりだったみたいでさ。下手したら4時間以上かかる処理を、15時半から開始しろって言うのよ……。
 そりゃないよ……。なんで月に1度しかないパラダイス帰社日を、こんな地獄の黙示録に変えなきゃなんないのよ……。
 もうアタシャ口には出さずに眼力でI田さんに問うたよ。「何、アンタ、私に20時以降までいろと?」って。そしたら私の剣呑な視線に気付いたI田さんはこう言ったよ。
I田 「あー……19時になっても処理が走っているようなら、止めて帰って良いから」
 そんなに気軽に止めて良い処理なら最初から走らせんなっ! くっそ〜っ! 私の青春を返せーーーっ!!
 第一、処理が走っている間はマシンも使えないし、私は本当に「ただいるだけ」なんだよね。何かやることがあって残るならまだしも、処理が終わるのをひたすら19時まで待つためだけに、あんなに楽しみにしていた試写会がパーになったのかと思うと……もう腹の底から怒りが……。

 16時頃には、I田さんは煮え滾る私をマシンの前に残して会議に行っちゃうし。私の仕事はこの処理が終わってから始まることだから、それまではただひたすらにピクリともしないモニターを見据えるだけ。
 何かしている時から既に私の頭は無駄に回転する傾向が強いってのに、こんなに何もしないでただそこにいなくちゃならない時間なんて与えられちゃったら……空想妄想大爆発ってなもんでしょ。
 たった数10分の間に自分の26年間の人生にまで思いが至ったね。生まれてきた意義まで自問自答したよ。

 月に1回のお楽しみの時間まで奪われて……この事態は一体何? Kちゃんが、来るかもしれない私を待つことになるのかと思うと……ひたすら申し訳ないし……。何とかしてこの事態から脱出できそうな方法は……。今から腹痛に……。倒れるなんてのは……。会社に連絡されたら……。貧血ってのは……? ここは一丁リアリティを追求して「吐き気」でどう……??
 いや、嘘臭い……完全に嘘臭いよなぁ……。いっそ正直に言うか?
「どうしても試写会に行きたいんです」
 ──駄目だぁ! 馬鹿も休み休み言えって、冷静にそう突っ込めるほどの理由じゃないか……。言えない。正直には言えない。

 アタシャ煮詰まったよ。
 別に事実を正直に言う必要はないんだよな。とにかく、「今日はちょっとやっぱり帰りたいんです」って、それだけで充分じゃん。
 仕事を放り出すのは良くないのは分かってる。だから、映画見終わったら帰ってくるから。それで充分でしょ? 良いよね? 21時過ぎに会社に戻って、処理が終わってたら、その後、仕事して帰るよ。終わってなかったら当初の予定通り止めるよ。19時まで残って処理を止めるよりも、むしろ良い選択だよね? 我儘通す代わりに仕事はやるよ。それでOKだよね?

 義理を当初の予定以上の形で果たせる代替案が見付かったので、私はI田さんに交渉することを決意しました。──が、肝心のI田さんが待てど暮らせど会議から戻ってこない! この時、時刻は17時を回っていました。
 17時10分……20分……そして30分になってもI田さんは会議から戻ってきません。40分にはここを出ないと、試写会には間に合いません。
 煮詰まった馬鹿は、思い切りの良さが違います。私はI田さんの携帯に電話を掛けました。
鷹瀬 「あ、I田さんですか? 鷹瀬です。今どこにいらっしゃるんですか?」
I田 「今、隣の会議室にいますよ? どうかしたの?」
鷹瀬 「え? 隣って……?」
 すると入口から携帯を耳に当てたI田さんが現れ、手を振ってこちらに近付いてきます。「丁度今、会議が終わったところなんだ」と言いながら、会議をしていたメンバー達とぞろぞろとこちらに向かって来るではありませんか。
 ……な……なんかタイミングが悪いぞ……。でも早く交渉しないと。駄目なら駄目でいいよ。でも1%の可能性がある限り、アタシャやるよ!
 私の様子がちょっと鬼気迫っていることに気付いたI田さんは、心配そうに言いました。
I田 「何? 処理、中断しちゃった?」
鷹瀬 「いえ、あの……処理はまだ続いています。──で、ですね……この処理、上手く行っても終わるのは20時頃じゃないですか。ですから……その、今日また21時以降にここに戻ってきますから、今から数時間、抜ける訳には行かないでしょうか……」
I田 「え?」
 I田さんは一瞬、「まだ言ってるのか、この馬鹿は」という感じに眉をひそめました……。被害妄想かもしれませんが、私にはそう見えてしまいました。駄目なら駄目でも良いのです。しかし、「ただいなくちゃいけない」というのはやはりどう考えてもオカシイ。目的を達成すれば文句はない筈です。
 そもそも今日は、16時に上がれる予定だったのです。1週間も前から、そのことは伝えてあったのです。それが今日、突然予定を変更させられるなんて……。そんなん絶対にオカシイ!
 たった数秒の間にも、私は自ら煮詰まりに拍車を掛けます。

 I田さんの背後にはZ社のプロジェクトメンバーと、R社の社員が数名……。
 私は着実に煮詰まっていました。煮詰まって煮詰まって、しかも思うように言葉が出ないものでパニックを起していました。早く出ないと間に合わない。どうしようったらどうしよう。
 ──そして……混乱を極めた私が、咄嗟に吐き出した台詞がコレです……。
鷹瀬 「お願いします。今日、どうしても会いたい人がいるので……
 どっしぇ〜〜っ!!! なんてコト言い出すんだ私ぃぃッ!
 もー、言った途端に恥ずかしくなって、多分私、顔真っ赤だったと思うんだよね……。つまり、この台詞を言ったことによって出来上がった状況を、自らより信憑性あるものにする演出をしてしまったらしいよ……。
 だって、顔真っ赤にして俯いて、「どうしても会いたい人がいる」って……。誰だよ……。私が聞きてぇよ。婚約者か? 生き別れになった子供か? 明日外国に旅立つ親友か?! 一体誰なんだよっ!!
 アンタ、仕事の途中で、会議に参加しているかもしれない上司を呼び出して、どうしても帰りたい理由が「会いたい人がいる」って……どこのドラマだよ〜〜〜!!! 私ってば馬鹿女丸出し〜っっ!! H江のお母さんじゃないけど、「しっかりしてよ〜〜〜」!!
 んもー絶対誤解されたよね……。身悶えするほど恥ずかしい……。

 それまでいちいち帰りたがる素振りを見せる私に、少しうんざりしたような顔を見せていたI田さん……私がこの台詞を言うや否やすっごく優しい表情になってね……。
I田 「ああ、そうだったんだ……。急に予定を変えちゃってごめんね。今日はもう上がって良いですよ。後は僕がやっておきますから」
 うお〜〜〜〜絶対に誤解してるよ〜〜〜〜! 「そうだった」って、どうだったのよ〜〜〜! 私が聞き返しちゃうよ〜〜〜!!
 まさかI田さんも、私が「会おうと思えばいつでも会える友人」と「観ようと思えばいつでも観られる映画」を見に行くとは思うまい……。っちゅーか、試写会のためにココまでのことをする……って選択肢自体が、I田さんの世界にはないだろうな……。

 わざわざ謝ってまでくれちゃって……I田さん……一瞬恨んだこともあったけど、やっぱり貴方は良い人でした……。こんな部下ですみません……。

【後日談】
 試写会は楽しかったです。身も世もないほど恥ずかしかったけれど、「恥ずかしい」方が「納得行かない」よりも精神衛生が全然良いので、結果的には自分の取った行動に満足しています。
 私のやっていることは、会社に属す人間としては完全に失格だと思いますが、そもそも私は資格を争うレベルにいないので今更……ってなもんでしょう。
 今回はI田さんが非常に好意的に受け止めてくれたので、こんな呑気なことを言っていられますが、下手をすれば「貴様やる気あるのか! クビだ!」ともなりかねない事態だと思います。でも、この試写会を諦めたら、私の中での「守るべき自分の領域」が仕事に侵略され始める切っ掛けを作ってしまいそうだったので……私は私なりに必死だったんですね。1度諦めたら、後はもうなし崩しだからね……。
 今回の試写会は私にとって、「これだけは譲れない」という信念を掛けた勝負だったんです……。馬鹿馬鹿しい信念だなぁ……。でもまぁ自分が納得してるからいいか。


 2000年7月4日(火)/様々な統計  晴時々大雨/残業 0:20 (+0:30) 
 先日、友人から下記のメルマガ記事を教えてもらった。
[06] 労働者の3人に1人が不平・不満を述べた経験あり<労働省>
http://www.jil.go.jp/kisya/daijin/20000619_02_d/20000619_02_d.html

 労使コミュニケーションに関する調査の結果。労働者に対して過去1年間に自分自身の不平・不満を述べた経験について尋ねた設問では,「ある」が37.4%となっており,4年前の調査と比べて高くなっている。述べた方法では,上司を通じてが相変わらず多いものの,自己申告制度や労働組合といった回答が減り,「その他」が増えている。詳細はわからないが,電子メールなど職場をフラットにつなぐ連絡手段がその背景にあるかもしれない。
 一方,不平・不満を述べたことがない労働者は61.9%だったが,その理由では,「ないから」が減り,「述べたところでどうにもならないから」がトップになっている。これら不平・不満は無力感とともに夜の酒場に吸い込まれているのだろうか。少しさみしい光景ではある。(小橋昭彦)

 「(意見を)述べたところでどうにもならないから」かぁ……。この言い分も解らんでもないんだけどね。私も実体験として「言ってもどうにもならなかった」って事態を何度も何度も経験してるし。「もういい加減、黙った方が良いのかな」とか思うことあるし。でも、とりあえずチャレンジしてるぞ。90%無駄と思われる事態でも、とりあえず言ってるぞ。何もする前から諦めるような真似はしてないぞ。
 大体、この諦めきっている人たちは「実際に言ってみて駄目だった」のかな、とか疑っちゃう訳よ。あ、疑う余地もないのか。不平・不満を述べたことは「ない」んだから。
 言いもしないで「どうせ駄目に決まってるよ」って決め付けるその行為こそが、事態を悪化させているとは思わないのかねぇ。ま、人様々色々事情があるだろうから、一概には言えないけどね。
 でも無気力ってのは多分当たってるよなぁ……。無気力かぁ……。一番手に負えない感じだ。まぁ、文句を言えば良いってなモンでもないのは充分承知してるけどね。

 この記事読んでどんよりした気持ちになった直後に、以下の新聞記事を見付けた。一見、対極にあるようなこの事実……穿った見方をすると、繋がっているようにも見えるなぁ……。かなり穿ってるのかもしれないけど。
「人より働かねば」 新入社員はモーレツ (2000.7.2 朝日新聞より)

 人並み以上に働いて、経済的に豊かな生活を送りたい――。働く意欲はおう盛で、会社に対して「休み」より「お金」を期待するという今年4月に入社した新入社員のモーレツぶりが、社会経済生産性本部と日本経済青年協議会が実施した調査結果で浮き彫りになった。企業の淘汰(とうた)やリストラが進む厳しい時代となり、人並みに働けば、そこそこの生活ができる、という甘いサラリーマン像は崩れつつある。
 今年の新入社員3243人に働くことの意識を聞いた。今回は「人並み以上に働きたい」が43.5%となり、1986年以降で初めて「人並みで十分」(43.1%)を上回った。バブル景気だった90年前後は「人並みで十分」が5割を超えていたが、バブルが崩壊して景気の低迷が続くにつれ「人並み以上に働きたい」が次第に増えていた。新入社員も企業社会での競争激化を予想し、のんびりしてられないという意識が強まった。

 働く目的も「経済的に豊かな生活を送りたい」(29.6%)が69年の調査開始以来初めてトップとなり、「能力を試す生き方をしたい」(26.6%)、「楽しい生き方をしたい」(26.1%)などこれまでトップを争っていた目的を抑えた。会社への期待も昨年から「賃金やボーナスが増えること」が「労働時間短縮、休日・休暇の増加」を上回ったが、今年はその差がさらに拡大、47.6%が「お金」を期待している。

 お次は、「経済的に豊かな生活がしたい」か……。今、そんなに貧しいのか……。まぁ普通のサラリーマンなら、一生働いてウサギ小屋みたいな家に住めるか住めないかだもんな。立派に貧しいよな。でも、変な意味では「経済的に豊か」だと思ってたんだよねぇ。家は買えなくてもアイボは飼える、とかさ。
 でもそうかー、余暇よりも自由な時間よりも、「経済的に豊かな生活」を望むほど、今は貧しいのか……。前々から精神的にはかなり貧しいと思っていたけど、経済的にもちゃんと貧しいんじゃ、一体どこに喜びを見出して生きていいのやら。そら世の中荒むわな。

 まぁこの記事に関しては、データ対象が「新入社員」ってトコロがミソなんだけどね。やる気に燃えてるんだよね、まだ現実見えてないから。現実が見えた暁にもこの意見を言い続けられるようなら、そりゃ「根性あるね」(もしくは「シアワセね」)と思うけど、実際理不尽な環境で働くに連れて、「ナニ? こんなに働いてもコレしか貰えないのっ?」って現実の壁にぶち当たって、その内、「働きと報酬のバランスが納得行かねーよ。こんなんなら休ませろ」っていう考えになるんじゃないかなー……なんて思ってるんだけど。

 働けば働いただけ報酬が貰えるって考えが、既に甘いと思うよ……。「サービス残業」って言葉を知らんのか。10働いて報酬が10だとすると、このあと報酬を11に上げるためには15くらい働かなきゃならないし、12の報酬を得るためには20働かないとならんのだよ……。このlog関数みたいな曲線に、人がどれだけ耐えられるかって問題なんだよね。

 それに何よりもうんざりしたのは、「会社で働くこと以外にやりたいことは無いのか?」って疑問が、より確信に近付いちゃったことかな。「時間より金」っていう考えが強いってのは、「豊かさを求めている」ってこともあるだろうけど、それ以前に「自分の時間に価値を見い出してない」って事実を色濃く垣間見せるよ。
 なんだかなぁ……。


 2000年7月5日(水)/不調続きのマイPC  曇/残業 0:15 (+0:30) 
 書いていたら就職にまったく関係ないことで長くなったので、【日常エッセイ】のNo.27「素〜〜〜〜〜手ッ苦ッ!」に掲載することにしました。


 2000年7月6日(木)/どこでも一緒  曇/残業 0:00 (+0:30) 
 現在常駐しているR社の情報システム部──やはり部署柄か、皆さん(R社の他の部署に比べて)遅くまで残ることが多いようです。
 しかし、そんな情シスの面々にすら、「えーと……Z社さんは、今日も遅くまでいらっしゃいますか?」と帰宅時間を気にされてしまうZ社のI田さん……。R社の人達は、I田さん独りを会社に残す訳には行かないので、I田さんが帰るまで残っていなければならないのです。可哀想に。

 しかし本日、I田さんは別会社のリリースのため、18時にはR社を後にしました。私もI田さんがいなくなった直後に帰り支度を始めました。すると、夏休み前ということもあってか、その後のR社情シスメンバーの帰り支度の早かったこと! 19時には多分全員が退社していたのではないでしょうか。(ひとり遅くまで残らなければならない人がいたようですが)
 私が帰る時には大半の社員が退社していましたが、皆いつの間にかいなくなっていたのには驚きました。その傍らで、本日遅くまで残るであろう女性社員が呟いた台詞が印象に残ったので、ちょっと記録しておきます。
「……ったく、帰る時は気配消していなくなるんだから」
 外資系だろうと日系だろうと、早く帰ることはまだまだ「コソコソすること」らしいですね。


 2000年7月7日(金)/定時攻防戦  曇後雨/残業 0:00 
 本日はI田さんが風邪を引いたようで体調不良を訴えまして……早退したんですねー。いやもう本当に申し訳ないけれど、「早く帰って休んだ方が良いですよ……」などと心配そうな作り声(もう「言葉」ではない)を出しつつ、心の中では「ひゃっほ〜っ!!」と拳振りまわして狂喜乱舞していました。だって18時に帰れるっ!!

 以前5月12日参照)に過労のため入院してしまったお客さんを掴まえて、「やった! これで納期が延びる!!」と浮かれるプロジェクトメンバーを見て、「……人の不幸を喜ぶような人間にはなりたくない」と思ったことがあった筈なのに……私ってば、確実に心が汚くなってきていますね……。まぁ元からココロ綺麗なタイプではないので、この流れはそんなに急激なものではないのですが。

 ぶっちゃけた話、死に至るような病でない限り、I田さんが会社を休むのには大賛成なのです。I田さんは働きすぎですもん。
 朝は9時から夜は23時頃まで、休日出勤も珍しいことではなく、そういう日々を毎日毎日毎日毎日……別にこれはI田さん個人の生き方ですから、好きでやっているのなら構いませんが、冷静な目で見ても「好きでやっている」という状況ではないようです。まぁ「嫌い」ではないのでしょうが……。と、言うか、多くの生活者の類に漏れず、「好き」「嫌い」で仕事をしている訳ではないのでしょう。
 絶望的な言い方をすれば、多分I田さんは生きるために仕事をしているのだと思います。

 さて、モーレツ社員のI田さんですが、自分が時間の概念なくフル回転で働く人というのは、他人にもその姿勢を求める傾向が強いですね……。私が最近定時で上がれない理由の筆頭は、このI田さんなのです。

 Z社はフレックスなので、9時出社した人は18時、10時出社した人は19時が定時な訳ですが、このI田さんの下で働く限り、9時に出社しても当然のように19時までは帰ることが出来ません。私が「今日は9時に来たので……」と言おうとも、「ふーん。だから?」ってなモンです。
 私にとって重要なことは、「何時に出社するか」ではなく、「何時に退社できるか」です。朝なんていくら早く起きても何も出来ません。活動的なことはすべて夕方以降になる私にとって、退社時間は早ければ早いほど、人生が充実します。
 しつこいようですが、試写会だって18時半開映なのです。これに間に合うような定時なら、私の人生は今より格段に良くなります。朝1時間早く来るから、夜は1時間早く帰せっ!
 そんな要望虚しく、私が何時に来ようとI田さんは私を19時まで当然のように会社に縛り付けます……。

 一度16時頃にI田さんが別会社に行ってしまった時、今日は早く帰れる!とウキウキしたことがありました。するとI田さんは、そんな私を見越したかのように、R社を出る間際にこう釘を刺したのです。
I田 「19時になったら電話で連絡を入れますから」
 ………………くっそう……遠隔操作と来たか……。
 もー今の仕事なんて1回処理走らせたら、後はひたすら見守るだけじゃん……。こんなことのためにPCの前に座ってなきゃならないっちゅーのは、仕事量があるよりも苦痛なのよ……。

 何時に来ようと19時まで確実に縛り付けられるのなら、わざわざ早く出社する必要もないよね、ってなもんで、毎日10時ギリギリに出社するのが習い性になってしまっていました。本当はこんな姿は望むものではありません。
「早く来て、早く帰る」
 稼働時間が同じなら何の支障もないじゃないかと思うのに、「何時まで残っていたか」に拘る人が多くて参ります。10時〜19時なら、8時〜17時でも問題ないと思うのに……。大体、仕事をするには朝の方が能率が良いと思いますけどね。

 ま、とにかく、この日はI田さんは17時55分に帰り、私は18時5分に会社を出たのでした。
 目頭が熱くなるほど情けない定時攻防戦は、まだまだ続きます。


 2000年7月11日(火)/休暇の意義  晴/残業 0:00 (+0:30) 
 昨日は5ヶ月振りに会社を休みました。急遽、風邪……になったつもり。有給は消化できないかもしれないほど余ってるんだもん。もう朝起きて思い立ったら使って行こうと思って……。
 何てったって5ヶ月振り! 凄いよ。Y下が月に2〜3日は必ず休む傍らで、何だかんだ言って勤勉な自分が憎い……。有給はあと6日間残ってるし、これに夏休み3日間を加えた9日間を9月までの間に消化しないとな。

 ジャップの小娘がこんなささやかな休暇をウキウキと指折り数えてセコク生きている傍らで、ベルギーじゃ国全体が7月1日〜8月31日まで2ヶ月間の夏休みに突入してるんだってさ……。友人Zが先日ベルギーから帰ってきてね、ベルギーの魅力を余すことなく教えてくれちゃった訳よ……。
 街が綺麗だ、時間の流れが穏やかだ、治安が良いんだ、人間が優しいんだ……etc.
 お店も18時になると、ショーウィンドウを覗いている客がいようと買物途中だろうと、問答無用にピタピタピターっと締めて行くんだってさ。友人Zが「こんなんで、やって行けるんですか?」みたいな日本人的質問をしてみたら、「18時以降も営業していると、取り締まられるから。罰金まである違法行為だし」という何ともシビレル回答が! んもー、取り締まって締まってっ!!

 コホン。冷静になって。
 えー、ではこの夏休みの間の店の営業は一体どうしているのか、というと、出稼ぎに来る外国人たちがバイトをすることでまかなっているんですと。豊かな国が職場提供という形で近隣の国々に手を差し伸べ、経済循環を活発にさせている訳ね……。
 自分たちも他人もハッピーかぁ。やることがスマートだねぇ。

 ベルギーから帰ってきた友人Zがしきりに言っていました。
「はぁ……生まれる国でこんなに人生が違うなんて……」
 ──全くですな。
 ま、「じゃあ貴様、北朝鮮に生まれてみっか?」と言われれば、「大日本帝国、万歳ッ!」ってなもんでしょうが……。上を見ればキリがなく、下を見てもまた然り。ただやはり基本的な人間心理として、良いものは良いと思って羨んでしまうのです。

 実際問題として、世界的に有名な働き蜂がいきなり年に2ヶ月の休暇を与えられても、多くの人達が上手く使いこなせないだろうと予想されます。しかし、思う訳です。強制的に毎年2ヶ月もの休みを与えられれば、いつまでも「仕事以外に何をしていいか分からない……」なんて言ってられないんじゃないかと。人生設計が今と大きく変わるんじゃないかと。
 定年後のサラリーマン達がいきなり暇になっちゃって、最初は戸惑うけれども、その内自分なりの楽しみを見付けて活き活きし始める──なんて話、よく聞くじゃないですか。(完全に腑抜けになってしまう……という恐い話も聞きますが)
 結局、時間をどう使うかってのも慣れと訓練ですからね。私たちは、長期休暇を有意義に使う訓練が、全くなされていない国民なのです。ま、心配せずとも1ヶ月、2ヶ月単位の長期休暇なんて、まず与えられないのが普通ですが。

 休暇を与えられたからと言って、全員が全員、生き甲斐レベルの何かを見付けるのはちょっと難しいかもしれません。しかし強制的に休暇を与えられれば、多くの人は「自分が打ち込める何か」を探すようになると思うんですね。必要に迫られて。
 ただ漠然と探したって何かが得られるとは思いません。やはり、探すに当たっては努力が必然的に生まれます。自分が何をしたいのか、自分には何が向いているのか──ここで考えるという工程が生まれます。
 考えてみて実行に移し、「どうもこれは自分に合わない。駄目そうだ」と思ったらまた次を探す。こういうことを繰り返す内に、人は自然に自分を客観的に分析する能力を養い、自分の好みを知り、更にその好みの対象に向かって努力するという、活力的なプラスの循環エネルギーが生まれることでしょう。
 これらの一連の過程こそが、生きて行く上で大事なことなんじゃないかと、私はそう思う訳です。

 「自分が何をしたいか判らない」という台詞をよく聞きますが、これだけ考える時間を奪われる生活を強要されれば、それは当たり前のことだと思います。仕事で疲れれば思考能力なんか簡単に低下しますし、ましてや仕事以外のことに回す精神力など、そうそう残っちゃいないでしょう。
 人間学的に見て、人は21日間以上の連続した休みを取らないと、身体が休んだことを認識しないそうです。つまり、日本のサラリーマンの大多数が、休みもなく1年中走り続けている訳ですね。

 10年前に比べれば、労働時間が減ってきているのは確かみたいです。私の母が勤めていた頃は、土曜は休日ではなく出勤日だったと聞きます。微々たる進歩ではありますが、とりあえず進歩はしているらしいというのも、本当のようです。
 しかし、言いたい。

 まだまだ働きすぎ。絶対働きすぎ。全然豊かじゃない。こんなことしてたら荒む一方。馬鹿みたい。

 ──以上。

【追記】
 電車のつり革広告に、憂い顔のニホンザルがアップで写っている印象的な広告を見付けた。キャッチコピーと写真が妙に印象に残っているところを見ると、作りとしては上手いのかもね……。
神様、私のお願いを一つだけ聞いてください。
休みは最低でも一週間は欲しいんです。
(略)
     ……旅の手帳8月号 大きくなって、オールカラーにリニューアル



 2000年7月12日(水)/破鍋に綴蓋  晴/残業 0:00 (+0:30) 
 久し振りのY下【人物紹介】T社のNo.15参照)報告です。
 Y下、ついにやってくれました。いや、もうずっと前からやりっぱなしだった訳ですから、ついに取り締まってくれましたと言うべきかもしれません。Y下の直属の上司がキレたのです。くくく……。

 とりあえず、詳細に移りましょうか。

 Z社はフレックスタイム制で、朝は9〜10時の間に出社すればよく、基本労働時間が8時間なので、定時は18〜19時となります。しかし、通常はいくら早く来ようと、プロジェクトメンバーとの仕事の兼ね合いで、19時までは会社にいるのが当たり前とみなされることが多く、早く出勤すればしただけ勤務時間が長くなるという悲劇しか用意されていません。
 ――と、言うことで、最初は「9時に出社して18時には帰るぞ!」と燃えていた私も、10時に出社して19時に帰るというZ社特有の時ズレの煽りを食らっています。

 で、Y下です。
 奴は単独でプロジェクトを任されていることもあり、当初は9時に出社して18時に帰るという理想的なコースを歩んでいました。しかし、数日ほど経ち、9時半前には誰も出社していないということに気付いたY下は、徐々に遅く来るようになって行きました。
 その頃は私も9時出社を貫いていたので、奴が何時に出社したか正確に把握しています。もっと正確に言えば、奴が9時に来ていなかったことを把握しています。ところが、奴は9時半に出社しようと、9時45分に出社しようと、退社時間だけは必ず18時。
 ちょっと待ってよ、それ、勤務時間を守ってないってことじゃん。それも1日や2日ならともかく、毎日毎日毎日毎日、奴は10時間際に来て、18時に帰って行くのです。

 奴に対して腹立たしいのは勿論ですが、よく分からないのはZ社です。
「あんなんでいいの?」
 そんな気分です。
 確かに、お金を払って奴を飼っているのはZ社なので、私は文句を言う筋合いではありません。ですが、なんか納得行かない。
 もしかして私が認めようとしていないだけで、本当は物凄く有能な人なのか? そんな気、ちっともしないんだけどなぁ……。なんか絶対に勤務時間の水増しとかしてそうなんですけど……。

 どの道、有能でもなんでも、無断欠勤やドタキャンなど、社会人として……というよりも、むしろ人としてどうかと思うY下ですが、嫌いな奴というのは後から後からその理由に付加価値を付けてくれるものですね。
 期待通り……いや、期待以上に、奴はやってくれました。
 現在私はR社に常駐しているので、Z社に顔を出していないのですが、たまたまこの日Z社に資料を取りに戻った時に、事務のT橋さんが手招きして嬉々としてY下報告をしてくれたのです。彼女が私に見せてくれたものは、Y下の直属の上司に当たる人が、我がT社の社長に当てたFAXです。
「そちらから送付していただきましたY下氏の勤務表ですが、こちらに提出されている交通費の請求表と照らし合わせ、不審な点が多々あります」
 そう、奴は病欠した日であるにも関わらず、イケシャーシャーとZ社に交通費の請求をしていたのです! しかもT橋さんが駅すぱーとで調べてみると、金額自体もかなり水増しされているではありませんか。
 このことを切っ掛けに、Y下の上司は奴の勤務表を徹底的に調べました。するとどうでしょう。ほぼ毎日定時で帰っているはずのY下の勤務表には、ほぼ毎日20時、21時まで残っていると自己申告されているではありませんか! 朝も同様、奴が9時に来ていないことは、もはや多くの人が知っています。なのに、毎日9時に出社していることになっているのです。
 やること杜撰すぎ。馬鹿だろう、コイツは。

 そんなこんなで、昨日、また我がT社の社長がZ社に謝りに来ていたみたいです。前回来たのはY下の無断欠席5月10日参照)の翌日か……。
 Y下も凄いけど、こんな勤怠に問題ある社員を飼っておくT社も凄いよな。これで仕事が物凄く出来る!ってんなら話は分かるけど、そういう事実はとんと聞かないしねぇ。ただ、Y下と社長が大の仲良しという事実はよく聞きますが……。

 あんな会社だからやって行ける──Y下にとってはT社はまさしくパラダイスのような会社でしょう。毎月3日も休めるし、無断欠勤OK、挙げ句の果てには勤務時間の割増か……。T社はこういうどうしようもない社員を保護するために、真面目な社員を低賃金でコキ使うんですね。
 そういや仲良し同僚のH井君……昇給7千円だったんだって……。多分、他の同期も皆、文句を言っていない人は全員その程度の昇給率らしい……。アタシャ自分のことは言えなかったよ……。

 T橋さんから一通りの話を聞き、「なんかもう、T社って駄目駄目だ……」と黄昏ていると、ボス【人物紹介】Z社のNo.2参照)がそんな私にトドメの言葉をくれました……。
ボス 「おう、久し振り! 鷹瀬さんトコの社長、昨日ウチに来たぞ。なんだ、ありゃ
鷹瀬 「『なんだ、ありゃ』ってのはなんですか……一体……」
ボス 「見るからに胡散臭そうなオッサンだなぁ。君ンとこの会社、ヤバくない?
鷹瀬 「……やっぱ分かります? 3日付き合うと直ぐに分かるみたいですよ」
ボス 「へーえ。俺は2秒で分かったけどね。もう辞めちゃえよ、あんな会社」
鷹瀬 「……………………いずれ辞めますけど……」
ボス 「そんでウチ来いよ」
鷹瀬 「…………嘘吐くからココも嫌だ」
ボス 「ああ、『残業しない』って? そんなもん、どこの会社も嘘吐くんだから、分かってて嘘吐かれた方が良いだろう! わっはっは!」
鷹瀬 「嘘吐かないで下さいよっ!!」
ボス 「無理だよ〜ん」
鷹瀬 「……ッッ!!!(怒)」
 そろそろ1年……会社探しのシーズンの到来です。


 2000年7月13日(木)/衝撃の先手  晴/残業 0:50 (+0:30) 
 ボーナスっていつ貰えるのかなー、どのくらい貰えるのかなーと、人並に心配していたら、本社T社から衝撃の先手メールが舞い込みました。
----- Original Message -----
From: Y口
Sent: Thursday, July 13, 2000 3:50 PM
Subject: 連絡です。ボーナス支給日のお知らせ!

1.夏季賞与について
 夏季賞与の支給日は、7月25日です。
 支給率は、景気の悪い中で、昨夏よりはわずかに良いと云うことです。
 給与と同じ口座に振込みます。明細は当日中に、メールにて個人宛に送ります。

 去年はいなかったんでね、比較する対象を知らない訳ですが、それでも分かったことは、
「………………ふーん。要するにまともな金額を払う気はないんだな」
ということです。捻くれた考えかもしれないケド、多分、正解だと思う……。

 しっかし、相変わらず馬鹿な言い回しだよね……。会社の事務連絡とは思えないメール内容だなぁ。「わずかに良いと云うこと」ってこの甘えを含んだ曖昧さはナニ? 雇う側が雇われる側に出す事務連絡に、こんな話し言葉みたいな内容で許されるのか? 「何ヶ月分」とか具体的数字を出すのが普通なんじゃないの?

 こんなんでも会社って立ってるんだねぇ。


 2000年7月14日(金)/暇潰し問題(1)  晴/残業 0:00 (+0:30) 
 常駐先のR社が夏休みシーズンに突入したことで、私自身が夏休みを取れる訳でもないのに、なんとなくぼんやりしています。仕事自体が山場を越して、残りは「時間さえかければ終わる」という段階まで来ているからかもしれません。
 今のプロジェクトの何が辛いって、ある程度の下準備を終えてボタンを押す(処理を走らせる)と、そこから先はひたすら待ちの世界なもんでね……。処理結果によって作業の進め方が大きく変わって行くものだから、終わってみないと次の行動を取れないし、とにかく毎日が暇なんですわ。
 インターネットが繋がっている訳でもないし、マシンは処理が走っているために使えないし、勉強しようったって、現在の業務に無関係の本を読んでいると注意されるし……。でももうマニュアルは読み飽きた……。あんな睡眠薬与えられると、数秒の内に昏睡状態になっちゃうんだよね……。

 「ただそこにいることが仕事」ってのはかなり辛いものだと、しみじみ思いました。リストラ大ブームの頃、自主退社に追い込むために、「待機期間」という名目で仕事を全く与えないで精神的にプレッシャーを与えるという手口を聞きましたが、この話を聞いた時には「仕事を増やされるよりは良いじゃん」などと思っていましたが、これはこれで結構厳しいですね……。
 まぁしかし、では私が「仕事を奪われるが毎日定時帰り」と「仕事量が増えて毎日終電帰り」のどちらかを選べと言われたら、きっと躊躇いもなく前者を選んでしまうだろうな……。いや、こんな嫌がらせされたらいずれは辞めると思うけど、その辞めるまでの間の扱いを選べと言われたら、前者を選ぶという話です。空想とか妄想とか、物思いに耽るのは比較的得意だし。

 ま、なんだかんだと言っても、やることもなく睡魔と無駄に闘いを繰り広げると、元からある虚しさに磨きがかかってしまいます。っちゅーことで、同じ悩みを抱えている人に、今現在、私の暇潰しに一役買ってくれている問題を紹介します。先日大学の後輩から教えてもらって、未だに解けていません……。後輩は30分で解けたというのに……トホホ。

【問題】
・父、母、息子A、息子B、娘A、娘B、召使、犬の8人(7人と1匹)全員が川を渡ろうとしている。
・舟を漕げるのは父、母、召使の3人だけ。
・舟は1回に2人までしか乗せることが出来ない。
・父は母がいないと息子を殺す。
・母は父がいないと娘を殺す。
・犬は召使がいないと人間を殺す。
──全員が無事、川の向こう岸に渡るにはどうしたら良いか。


 解ける人は直ぐ解けそうな問題なんだけどねぇ……2日経っても解けないんだ……。


 2000年7月17日(月)/窮鼠猫を噛む  晴/残業 0:00 
 完全に暇と言える時期に突入しました。どうせこんな仕事閑散期はそう長くは続きません。なのに、毎日毎日毎日毎日19時を過ぎても帰ることが出来ない状況です……。
 18時の時点で私の仕事は99%終わっているというのに、残り1%はI田さんが用意するテキストファイルが揃わないと片付かず、I田さんはそのテキストファイルを必ず19時以降に作るので、私の退社時刻が19時前になることはないのです。
 具体的に言うと、I田さんが用意したテキストファイルを指定フォルダに置いて、その後にボタンを押すと処理が走ります。この処理は10時間以上掛かる処理なので、このボタンを押した後はもう仕事は出来ない状態です。ですから、このテキストファイルさえ早く作って貰えれば、私は19時までいなくても構わないのです。なのに、19時が定時と勘違いしているI田さんは、特に急いだ仕事がなくても、このテキストファイルの作成を後回しにして、19時になると漸く思い出したように作るのです……。
「テキストファイルだけ先に用意して頂けませんか?」
 いつもなら簡単に言える台詞です。しかし、なぜかI田さんには言えない……。

「I田さんは10時出社しているから定時は19時かもしれませんが、私は9時半には出社しているので、定時は18時半なんですよ。出来れば9時に来て、18時には帰りたいのですが」

 心の中では何度も訴えているのですが、現実世界ではまだ1度もトライしていません。こんな台詞は化粧をするより簡単に言っていたものなのに……。I田さんの下についてからと言うもの、「言いたいことも言えず、流される」という貴重な経験を何度かさせて頂いています。
 しかし、人間の根本というのはそんなに変わらないものです。ちょっと我慢強くなったところで、限界が来ればそこから先の行動はいつもと一緒です。
 ──ってな訳で、追い詰められた鼠は、猫だって噛むのです。こうなるともう強硬手段に出たってカンジですか?
鷹瀬 「I田さん。もう大体独りで仕事も進められるようになっていますし、徐々に朝9時に来て18時に帰る、というようにして行きますね」(←相談ではなく報告)
I田 「え、あ……」
鷹瀬 「同じだけの作業内容ですから、わざわざ遅くにやる必要はない訳ですし」
I田 「え、あ……」
鷹瀬 「もう今日すべきことは終わりましたし、後はこのボタンを押すだけ、というところまで下ごしらえしておきましたから、そちらのテキストの吐き出しが終わったら、申し訳ありませんがこのボタンを押して下さい」(←これも依頼ではなく手順説明)
I田 「え、あ……」
鷹瀬 「今日は9時半に来たので、そろそろ失礼しますね」
I田 「え、あ……」
鷹瀬 「明日の作業内容は先ほど確認した通りですが、もし何か変更等ありましたら、デスクトップにメモなどを残しておいて頂ければ、臨機応変に対処しますから。こちらで何かありましたら、I田さんの携帯に連絡を入れますが、それで宜しいですか?」(←トドメの確認)
I田 「そ、そうだね」
鷹瀬 「では、お疲れ様でした。お先に失礼します」
I田 「お、お疲れ様……
 かなり長い間、言いたいことも言えずに圧倒されていたI田さんに、本日漸く言いたいことのホンの一部を言えました……。I田さん、なんか目を白黒させていたような気がするけど……気のせいかなぁ……。


 2000年7月18日(火)/予告合戦  晴/残業 0:10 
 7月一杯で現プロジェクトRも収束(予定)ということで、次回予告がほんのりとなされ始めています。
N田 「鷹瀬さん、『Web関係の開発がしたい』って言ってたよね」
鷹瀬 「言ってましたっ! えっ! もしかしてっ、次回はWeb関係ですかっ!!」
N田 「うん。そんなに喜んで貰えると、仕事の渡し甲斐があるなぁ」
鷹瀬 「………………あ……なんか見えましたよ……」
N田 「? 何が??」
鷹瀬 「N田さんの背後に薄暗く揺らめく企みのオーラが
N田 「な、何言ってるの……鷹瀬さん……」
鷹瀬 「そんなふうに好意的に擦り寄ってくる時には、絶対に裏があるんですよね。悪いけど騙されませんよ。さぁ、もう本音を言っていいですよ」
N田 「……鷹瀬さん……ちょっと見ないうちに疑い深くなっちゃって……」
鷹瀬 「Z社が寄って集って私を疑い深くさせたんでしょうがっ!」
N田 「でも、鷹瀬さんが望んでいたWeb関係の開発だってば」
鷹瀬 「能書きはいいですよ。それよりどんな開発なんですか? HTMLですか? JAVA……じゃないですよね……。はぁ〜……JAVAやりたいなぁ……」
N田 「ご免ね、JAVAじゃないんだ。えーっとね、概要は……コレ見てくれるかな」
(マニュアルのコピーらしき資料を手渡される)
鷹瀬 「ナニナニ? 『Oracle OLAP Express Web Agent 使用方法』……? ……………………あの〜……」
N田 「うん?」
鷹瀬 「私が今かかずらっているヘボヘボ・ツールの名前に非常〜によく似た響きを持つ製品かなー……なんて思うんですけど……」
N田 「そうそう。今、鷹瀬さんがスペシャリストになりつつある製品のWeb版!
鷹瀬 「……コレって、以前I田さんからちょっと聞いたんですけど6月14日参照)……『もしかしたらまた OLAP 使うプロジェクトが始まるかも』って話ですか?」
N田 「そうそう。もう『OLAP 製品なら鷹瀬さんしかいない!』ってこ……」
(N田さんが言い終わらないうちに)
鷹瀬 「実家に帰らせていただきますっ!!!」
N田 「たっ、鷹瀬さんっ、落ち着いてっ!」
 そっちこそ落ち着かせろっ!! ジタバタっ!!
 今度は今やっていることをWeb上でやれってさ。どこでやろうと私の仕事内容はほぼ一緒。も〜〜 Express シリーズとは縁切りたいっちゅ〜の〜っ! もう飽きた……。こんな汎用性のないツールばっかり弄ってたら、まともな仕事が出来なくなるよ〜。普通の仕事させろ〜〜!!!
「こんなマイナーツールを一度使えるようになっちゃうと、次回からもこのツールを使う仕事が来て、メジャーツールに触れない人間になっちゃうと困る」(詳細は6月2日参照)
 当初の予想が見事に当たりつつあるなぁ……。我ながら、いい読みだ。

 今度のプロジェクトの期限は9〜10月の2ヶ月。6月からこのヘボツールと付き合ってるんだから、約半年かぁ……。基礎が出来ている人間が、寄り道でこういうツールも使えるようになる、ってんならまだしも、基本的なことも知らない人間が、いきなりこんなマイナーなツールばっかりやらされるなんて……マズイよなぁ……。
 N田さんはもう話は済んだとばかりにスッキリした顔しているし……。(何でもこの話を持ち掛けるのは、さすがに気が重かったらしい。しかし、逆に言えばヤッパリ持ち掛けるのも気が引けるほど嫌な仕事ってコトじゃないか……) そっちが予告で全て済ませた気になるなら、こっちだって!
鷹瀬 「私、以前にもちょっと言いましたが、9月までに有給消化しないといけないので、8月に3日、9月に4日、それぞれ連続して有給取りますので」
N田 「あっ、ああ、はい。夏休みだもんね。えっと……どこか旅行に行くの?」
鷹瀬 「いえ。大至急、職探しでもしようかと思って」
N田 「た……鷹瀬さ〜ん……」
鷹瀬 「なんてね。冗談ですよ」
N田 「目が本気だったよ……」
 その可能性は、否定できないな。
 ──以上。サントリー、DAKARA。


 2000年7月19日(水)/明かされた賞与額  晴/残業 0:20 (+0:30) 
 関東大震災……来ませんでしたね。代わりと言っちゃあナンですが、私の心には震災が訪れました。……ボーナスの額が分かったのです。
 私の口から直接に書き記すことは悲しすぎて出来ません……。T中先輩からのメールを通してここに転載しておきます。
ああ…ついに、聞いてしまったよ。
ボーナス。
最大で1.5ヶ月だってよ。
いったいどうなってんだ!!

変わらんじゃないか。
ふう。
これ以上続けるのは辛いのでこの辺にしときます。

ってことなので、振り込まれた金額を見て暴れないように。
暑いさなかなので、壊れたかと思われることでしょう。

 あらかじめ聞いてたって、暴れるものは暴れるんだけどね……。前回が2万円で、今回が27万円か……。どんなに少なくとも30万円くらいは貰えるんじゃ……と思っていたんだけど、どこまでも甘ちゃんだったな……。
 そうそう。それに27万円も貰えるかどうか分からないんだったな。またこれ「最大で」と言うからには、気を抜くと1ヶ月とか平気でやっちゃいそうな勢いだもんね。実際やるだろうし……。20万円貰えるかどうか……覚悟しようっと。


【追記】
 就職には全く関係のないことですが、何となく印象深かった我が家(……と言うよりも父娘)の日常会話を記録しておきます……。
父 「おう! お前、出掛けるなら帰りになんかおやつ買って来いよ」
私 「何がいいの?」
父 「何でもいいよ」
私 「そういうのが一番困るんだよ。具体的に言ってよ」
父 「なんか美味いモン」
私 「そんな曖昧じゃ困るんだよ。形容詞+名詞じゃなくて一言で言ってよ」
父 「スッキリ!」
私 「……感情の迸りを叫んでどうすんのよ。副詞じゃなくて一言の名詞で言ってってば!」
父 「美味けりゃ何でもいいよ」
私 「もういいよっ! 適当に買ってくるからっ!!」
 いや……何となく……今日プールで泳いでいる最中に、父のこの妙にイキイキした「スッキリ!」って台詞を思い出して、水の中で吹き出してしまったもので……。母が「ウチはなんか全てが漫画ちっくなのよね……」とタソガレルことがありますが、この事態は思いの他、深刻なのかもしれません……。


 2000年7月21日(金)/暇潰し問題(2)  晴/残業 0:20 (+0:30) 
 14(金)の暇潰し問題……暫く悩んでも解けないものだから諦めて放っておいたのですが、今朝の地震(震度3)にビビって夜中に起きたら眠れなくなってしまい、仕方ないのでトライしてみたら解けたと言う……。
 正解はこちら。解かってしまうと簡単ですね。なんでこんな長いこと解からなかったんでしょう。人生のようだ。(←ココロが弱っている模様)

 ──で、今日は次なる出題を。今度は角度の問題。多分、今時の塾通いしている小学生なら直ぐ解けそうな問題なんだけど……これまた解くのに1日掛かった……。中学受験の時が一番頭が柔らかかった気がするなぁ……。そしてあの頃から10年間くらいが一番幸せだったなぁ……。(←相当ココロが弱っている模様)

 コホン。話を戻して。暇潰し問題、見繕っては徐々に増やしていこうかと思います。私もナニ始めてるんでしょうね……。ただ、簡単に解けない問題に煩わされるのって、結構好きなもので。人生に煩わされるより楽だからかな……(爆)


 2000年7月24日(月)/凪の日々  晴/残業 0:00 
 思わず人生を考えてしまう凪の時間……。

 さて、夏休みを挟んで、ちょっとこのサイトを変えるつもりです。それに先だって……という訳ではありませんが、暇潰し問題集は日記の中にあるってのもおかしな話なので、独立してコンテンツを設置することにしました。なんか完全にハマっちゃったらしいです……。前回の角度の問題の答えをアップし、新たに2問追加しました。暇な方は是非挑戦してみて下さい。

 しかし、暑い(と言うかもう「熱い」)ですね……。八王子は36度ですと? 人間の体温じゃないか……。


 2000年7月25日(火)/初めての賞与  曇/残業 0:30 (+0:30) 
 本日はT社に入社して初めての賞与支給日です。去年末、なんだか熱に浮かされたような「なんちゃって賞与」もありましたが99年12月24日参照)、まぁこれが初の賞与と言って問題なさそうです。

 問題がない──ある意味、そうね。ボーナスは無事、振り込まれていましたもんね。いや、無事って訳でもないか……。振り込まれていた事それ自体は「無事」かもしれないけど、振り込まれていた額は事無きを得てないもんなぁ……。予告通り、ピッタリ1.5ヶ月。所得税を引いたら、月給より低いぞ。でも、予告通り1.5ヶ月。
 ふーん。あっそ。そう来たか。

 ………………ここまでの文章の流れ……凄いですね。自分で呟いてはその呟きにツッコミを入れ、ツッコミを入れてはグレてみる。もう独り上手の域に達していますね。はは。こりゃ凄い。

 ああっ、またっ! 壊れて行〜く〜っ!!


 2000年7月26日(水)/「サルサ!」  曇時々雨/残業 0:00 (+0:30) 
 久し振りに血が騒ぐ映画に当たりました。タイトルは「サルサ!」。「サルサ」じゃありません。「サルサ!」です。「!」は私が付けているのではありません。この映画の正式な邦題なのです。
 タイトルからして既に血が騒ぐ系の映画であることは窺い知れていましたが、それでもやはり事前に内容確認をしてしまうのは、過去に何度も痛い目に遭った名残なのかもしれません……。しつこいようですが、「G.I.ジェーン」とか……。(【日常エッセイ】No.15「G.I.ジェーン」参照)

 さて、「サルサ!」。本来のキャッチコピーは
ラテンの女神に恋をした
   ショパンを捨て、キューバに魅せられた天才ピアニスト
   ハバナの熱い吐息が心を酔わせる恋と情熱の物語

です。この3行だけでストーリー紹介は終わった……と、言えなくもない映画だったのですが、それで良いのです。ラテンの女神を前に、繊細なエピソードや小難しい薀蓄(うんちく)、湿った人生哲学など必要ないのでしょう。
 歌って踊って恋をして――人生は薔薇色!
 ……私がラテンに対してかなりの偏見を抱いている事実が露見してしまったようですが、これは当たらずしも遠からずなのではないかと踏んでいます。

 話はいたって単純明快。
 フランス人の若き天才ピアニストは、15年間もサルサへの情熱を抑えに抑えて、ある日、将来を決める大事なコンクールで、突然その情熱を爆発させる。彼はそれまでのクラシック界の肩書きをすべて捨て去って、キューバ人に変装までしてサルサの世界に飛び込む──というお約束な展開です。
 しかし、その時系列から考えても「ショパンを捨て、キューバに魅せられた」と言うより、「キューバに魅せられ、ショパンを捨てた」と言うのが正しいような気もしますが、そんな些細な過程の入れ換えは、この結果を前にすれば塵に等しいとでも言いたげな矛盾と意気込みたっぷりなコピーです。こういう訳の分らない力技に、繊細な日本人は弱い。いや、私だけが弱いのか?

 とにかく、この映画の主題はきっと「恋と情熱」なのだと思いますが、私がこの映画を観たいと思った切っ掛けは、思わず腰がくねるような3行のキャッチコピーではなく、必要ないかとも思われたストーリー紹介の書き出しの言葉にありました。
「誰にだって人生を変えることはできる。自分の大好きなことに飛び込む勇気さえあれば……」
 いきなりキました……。もうクリーンヒットです。心臓に突き刺さった言葉を抜き去る前に、次の文章が怒涛の勢いでヨロめく私に容赦なく襲いかかります。
「『サルサ!』は悩みやイヤなことを忘れて、心から人生を楽しむ歓びを教えてくれるフランス生まれのラテン・ムービー」
 いかにも物憂げなフランスから(※注:これも偏見)、ラテン・ムービーが生まれるというパラドキシカルな事実に惑わされているうちに、なんだかもう気分は「サルサ!」です。しつこいようですが、「サルサ」ではありません。「サルサ!」なのです。
 心の片隅で、「フランス人も、楽しく明るく生きたいと望んでるのねー……」という冷静な突っ込みが勃発している訳ですが、そこら辺に気付いてはイケナイようです。
 しかし、私がそういう重苦しい事実に気付かぬように配慮してやっても、映画の中で主人公のフランス人青年は、人生の苦悩を自己申告してくれます。バニラ色の肌をチョコレート色に染め、まず外見からキューバ人になろうと足掻く主人公が、いつも笑顔で明るい友人のキューバ人に聞きます。
主人公 「……どうやったらそんなに楽しく生きることが出来るんだい?」
キューバ人 「俺たちが本当に楽しいと思うのか? ──いいか、本当のキューバ人になりたきゃな、辛いことは笑顔で隠せ
 くぅ〜……来ました。そう、端から幸せに見えたからと言って、本当に幸せとは限らないのです。……以前、友人がこんなことを教えてくれました。
「端から見て幸福そうな家族が本当に幸福とは限らないけどね、端から見て不幸そうな家族は、本当に不幸なんだよ……
 ──深い言葉です……。余りに深すぎて、私が何を言いたいのかよく分かりません。本人も言いたかったことを見失っている模様です。

 気持ちを落ち着けて……。
 そう、幸せってのは、ごく自然に身体の内側から滲み出てくるという幸福なケースもありますが、そうでなければ努力で掴み取るものなのです。ごめんねキューバ人。「生まれた時から幸せなクセに」なんて物凄い偏見を捨て切れなくて……。
 キューバ人は、キューバ人になろうとする主人公に向かって、吐き捨てるように言います。
「白人が黒人になりたいだと? はっ! 黒人の苦しみも知らずにっ!」
 本当にすみません……。油断するとすぐに偏見に満ち溢れてしまって……。
 そう、本気で何かを追い求めるならば、美味しいトコ取りは出来ないのです。良いところも悪いところも、すべてを包括して受け止めなくては、その世界には入って行けないのでしょう。
 主人公は気付きます。肌を黒くしたって、本物のキューバ人にはなれない。でも自分のサルサへの情熱はキューバ人にだって負けない。だから、肌の色なんかどうでもいい。
 ――そして彼は、フランス人としてサルサ・バンドのピアニストになり、本場ハバナへ旅立つのです。

 良い映画です。勇気が湧きます。「そうだよねっ! やっぱ人生、楽しまなきゃ!」という、肯定的なエネルギーに満ち溢れてきます。そして、甘いだけではない。
「誰にだって人生を変えることはできる。自分の大好きなことに飛び込む勇気さえあれば……」
 うんうん。そうかもしれない。
 しかし、この映画の本当の良さは、どこまでも御都合主義的に話を進める傍らで、厳しい現実を忘れていない点にあります。これが、「フランス人が作った」意味なのかもしれません。本物のキューバ人が作ったら、こうはならないような気がしてなりません。
 フランス人はハッピーな夢物語を作りながらも冷静です。主人公は何と言っても天才ピアニスト――「誰にだって」と謳う割には、物凄く稀な確率の大前提です。要するに、コレがポイントです。(映画としての主旨は全く違うと思いますが……)

 真に大切なのは、どこに行っても通用するスキル。何でもいい、どんなことでもいいから、「私にはこれがある!」と言える、そして世間的にも通用する何かを持っていないと、話にもならんと言う深く重い真のテーマに気付いてしまった私は、日夜目標に向かって努力することの重要性を思い知らされて、ピンクがかったブルーな気持ちで家路に就いたのでありました。

 なんだか書いているうちに、ハイなんだかロウなんだか分からない感想になってしまいましたが、この映画は良い。こんな複雑な感想になったのは、観終ってから数時間経っているからです。観た直後は本当に幸せ。久々のヒット。オススメです。
 チラシを見ると「8月12日(土)より ラテン色のロードショー」(←?)らしいので、ご興味ある方は是非!


 2000年7月27日(木)/比較でGO  曇時々雨/残業 0:45 (+0:30) 
 昨日、I田さんがお休みしました。火曜日に「明日、休みます」と事前報告があったため、私はてっきり有給だと思い、それに便乗する形で、「あ、私は8月第1週の水、木、金の3日間お休みしますので……」とか意気揚揚と告げちゃったりしていたのですが、本日「ゆっくり休めましたか?」などと余計なことを抜かした私に、I田さんは苦笑しながらこう言いました……。
「いや……昨日の休みは忌引きだったから、静岡まで行って戻って、全然休めなかったね……」
 な……夏休みだと思ってたのに……。私は火曜日に、I田さんに呑気に夏休み第1弾(第2弾は9月)の報告をした自分を呪いました……。ですが、口にしてしまった言葉はもう仕方ない。こうなりゃ力技で攻めるしかないでしょう。気まずい雰囲気が立ちこめ始める中、話題をズラしながら仕事に集中します。

 完全に話も逸れ、取り敢えず一安心──という段になって、凝りもせずに私は先ほどの話を吟味し出します。この話題は余りしたくない……しかし、一応確認しておきたいことがあるのです。I田さんに夏休みはあるのでしょうか……? 時機を伺いながら再びチャレンジです。
鷹瀬 「……ところで、I田さん……な、夏休みは……?」
I田 「え?」
鷹瀬 「Z社の方って、夏休みはあるんですか……?」
I田 「ああ、勿論。このプロジェクトが終わったらちゃんと休みを取りますよ。当たり前でしょう。僕もね、大正生まれの猛烈サラリーマンじゃないんだから、休みは取りますよ」
 土日出勤が当たり前、Z社とR社ともう1社を掛け持ちして勤務している人でも、「大正生まれの猛烈サラリーマン」を引き合いに出してまで、「自分はそんなに仕事ばかりしている訳じゃないんだ」と思うようにしているんだ……。
 皆、「〜よりマシ」という心の支えを持って、自分を誤魔化しているらしい……。


 2000年7月28日(金)/映画三昧  曇時々雨/残業 0:00 (+0:30) 
 Z社に出向になってからというもの、上手く自分の時間が作れず、4番目くらいの趣味である映画鑑賞と縁遠くなっていたのですが、徐々にZ社に慣れてきたことに加え、プロジェクトRが暇になったことも相俟って、今月は10本ほど観ていたことを本日知りました。そして、面白かったと思う映画の上位3本がすべて、「主人公が何かひとつのことに熱中する話」という辺り、私の現在の心境が客観的に分析できます。
 映画という虚構の世界に目を向けても……という感もありますが、内1本はドキュメンタリーなので、そうそう夢物語でもないようです。

 以前から観たいと思っていた映画「クレイジー・イングリッシュ/瘋狂英語」は、独自の英語勉強法“瘋狂英語”を掲げて中国全土を講演行脚する青年リー・ヤンのエネルギッシュな活動を追いかけたドキュメンタリー。
 これぞカリスマ。本当のカリスマ。カリスマという言葉の持つ超人的な力強さを、見せつけられた気がします。言葉上だけでの「なんちゃってカリスマ」は巷に溢れ返っていますが、このリー・ヤンという人物を1時間半じっくりと観た後では、思わず「恥ずかしいから、その敬称は余り使わない方が……」などと余計なことまで思い煩ってしまいます。
 カリスマとは、「奇跡を起す超人的能力。大衆を信服させる神秘的な力」──まさしくリー・ヤンのような人物を指すのでしょう。

 リー・ヤンは、自身が大学生になるまで英語が全く出来ない劣等生であったことをアピールし、「誰でも努力次第で成功を掴むことが出来る」ことを主張。
「大衆は天才の話を望んではいません。私のような凡人が、努力で成功を治めることに意味があります。大衆は私に自分を重ね合わせ、成功を夢見ることが出来るのです」
 「内気で消極的、そのくせ成功への欲は人一倍強く、しかし努力はせず、日記には『明日からやる』と毎日のように記してあった」というリー・ヤンは、大学時代に4ヶ月間、来る日も来る日も英語を大声で叫び続けるという自己大改革を決行します。それを契機に、彼は自ら疾走し続ける人生の幕を開けるのです。
 リー・ヤンが講演を始めたのは19歳の時でした。以後10年間に渡って講演をし続け、動員した延べ聴講者数は1300万人にも上ります。
12億人を巻き込んで中国大陸を駆けめぐる、疾風怒濤の英会話教育!
 こんなキャッチコピーも、あながち大袈裟ではないような気がします。
 映画では、この講演の様子が紹介されるのですが、リー・ヤンが発散するエネルギーがとにかく凄い。聴衆を受身にさせておかず、講演に巻き込み、自分に心酔させます。会場全体が一丸となってリー・ヤンのパフォーマンスを模倣する──これは一種の宗教でしょう。
 リー・ヤンは語ります。
何事も、狂わなければ駄目です。私は過去に世界中の偉人たちの伝記を読み漁りました。彼らは皆、共通してどこか狂っています。端から偏執狂に見えるくらいに、時間を忘れて何かに熱中しなければ、成功を治めることは出来ません」
「私の“瘋狂英語”は、単なる英語勉強法に留まらず、中国人の精神を変えて行こうというものなのです」
苦労せずに成功はあり得ません。恥を掻かなくては上達しません」
「両親が誇れる人間にならねばなりません。国が誇れる人間になるべきなのです」
「達成した目標は興味を失います。私の目標は、もはや金儲けではありません。中国の12億人に英語を教え、中国人がビジネスに成功し、国を豊かにすること──それが私の夢です」

 こんな面白い映画が、BOX東中野のみで単館上映……。英語で苦労している方、人を惹き付ける講演を聴いてみたい方は是非!


 2000年7月31日(月)/40時間の差  晴(猛暑)/残業 0:20 
 先月の勤務時間は191時間、今月は掌を返して152時間。−40時間の大躍進です。
 先月はもうクタクタ……という感じでしたが、今月は映画をたくさん観ることが出来たし、本も多めに読むことが出来たし、この40時間の差は非常に大きいようです。
 映画を観たり本を読んだりという行為は、切って捨てるように言えば「非生産的な行為」な訳ですが、こういうことが生活をして行く上でいかに大切かということに気付かされます。

 ま、すべきことをする時間の方が、もっと大切だと思いますけどね。




2000年07月の勤務表
 出勤日数 19日(うち休出 0日)/勤務時間 152:10  欠勤日数 0  有給休暇 1
 月残業時間 9:40  日平均残業時間 0:30  今月最高残業時間 1:20/13(木)
 【一言】 先月の反動でしょうか……この勤務時間は良い感じですね。


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