2000年3月の就職日記&コラム
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なんでしょう……春が近付きつつあると言うのに、のっけから不穏な空気が漂っています……。3年目になる古株の社員たちが軒並み転職の話題を持ち出すようになりました。クビになった人もいます。クビになりそうな人もいます。私も準備は怠っていないつもりですが、こう周りが騒がしいと落ち着きません。花粉が飛び散る中、私の会社生活はどう展開して行くのでしょう……。
| 2000年3月の小見出し一覧 | ||
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| 01(水) もしかしてクビ……? | 02(木) 結果報告 | 03(金) そろそろギリギリ |
| 06(月) 給与up作戦の失敗 | 07(火) 脱サラ肖像画 | 08(水) 予想通りの結末 |
| 09(木) 見え見えの経営方針 | 10(金) 一時閉館のお知らせ | 13(月) 春風到来? |
| 14(火) 冷静になれ | 15(水) 逆恨みと人間心理 | 16(木) 逆恨みと人間心理2 |
| 17(金) ぬか喜びの顛末 | 21(火) 出向の裏事情 | 22(水) みだらな壁紙?? |
| 23(木) 唯一の不参加者 | 24(金) 2転3転の出向劇 | 27(月) 痛感した夢と現実 |
| 28(火) 夏目漱石からの喝! | 29(水) 3転4転の出向劇 | 30(木) キツさの定義 |
| 31(金) 思想の言語化 | − | − |
タイトルですが……私じゃありませんヨ。S藤姉さんです。えーっと、えーっと……話をどこから始めれば良いのでしょうか……。
2000年3月1日(水) もしかしてクビ……? 晴/残業 0:00
まず、S藤さんの態度が常軌を逸して悪い(……)というのは1月20日やその後の日記で話した通りなのですが……。日記で紹介するほどのイベントは劇的で決定的なひとコマであり、この間にも「S藤 vs 社長」という大小様々なバトルは日常的に起こっていました。そりゃもう周りがクタクタになるほどに。
社長も結構な確率で理不尽なコトを仕出かしているのですが、S藤さんの非常識な言動の方が強烈なため(隣に座っているから、ってこともあると思うけど)つい目に付いてしまい、正確に公平な報告は出来ていないかもしれません……。細かいことは省略しますが、社長も「いい加減にしろよ……」ということをしているのは事実です。二人して競い合って滅茶苦茶なことをしているので、もう野放し状態なんですね……。
実は今週月曜日から始まった朝礼も、S藤さんへの牽制という意味合いが強く、必要以上に彼女への圧力が大きくなっていたのは気の毒とも思えます。まぁそれ以上に自業自得とも言えますが……。親会社のトップが、S藤さんを名指しで「態度が悪い」と警告してくるほどでしたし。
そして本日──毎月1日は本社に立ち寄らねばならない帰社日です。本社に戻る時間はいつでもOKなのですが、私たちのグループは直帰できるよう終業時間間際に本社に向かうことにしていました。すると午前中に社長がS藤さんの所に来て、「S藤さんは今日、いつ頃本社に戻るの?」と聞いてきたのです。なぜS藤さんだけに帰社時刻を聞くの……?と、皆不審に思いましたが、その時はそれだけで話は終わりました。
終業時刻が近付き、私とS藤さんとその他数名は本社に向かいました。本社に着くと同時に、取締役のY口氏がS藤さんに言いました。
「あ、S藤さん。あと10分位したら社長が戻ってくるから、それまで残っててくれるかな。ちょっと話したいことがあるんだって」S藤さんは固まり、私たちは顔を見合わせました……。嫌な感じがします。
S藤さんは「またネチネチお説教するんでしょ」などと言っていましたが、そんなレベルで済むでしょうか……。出向先ではなく、わざわざ本社に戻って話すということは、とても出向先では話せない内容なのではないでしょうか……。S藤さん以外の社員たちも何となくその場に残っていたのですが、社長が帰ってくると、「皆は帰って下さい」と言われました……。S藤さんが出て行こうとする私に「鷹瀬さん、終わるまで待っててくれる?」と声を掛けてきたのですが、私が返事をする前に社長が「長くなると思うので、待たないで下さい」と言いました……。
………………皆を帰して長いこと何を話すつもり……?
──もしかしてクビかもしれません……。当然の展開という気もしますが、こういう現場を目の当たりにするのはちょっと心臓が痛いです。
驚いたことに、S藤さんはクビになりませんでした……。あれだけのことをしていても、あれだけ仕事をしていなくても、会社には残れるんですね……。
2000年3月2日(木) 結果報告 晴/残業 0:50
「昨日はどうだったの?」と聞く私に、彼女は言いました。
S藤 「この会社の汚さがよーっく分かったよっ! 試用期間を2ヶ月から3ヶ月に延ばすとか言って来てさ。『今までの給料は、試用期間だから8割に減給する』だって!」でもアナタ、現場に来てたことは来てたけど、仕事なんか全然してないじゃん。今までアナタがやってきたことって、見当違いの自習と身になってなさそうな研修と文句垂れることくらいじゃん。私だって最初の1ヶ月は自社で研修中ってコトで給料8割だったのに、何もしてないばかりか公害撒き散らしてたアナタがフル額貰ってたってことの方が既に許し難いんですケド……。
鷹瀬 「え……? じゃあ今まではフル額貰ってたの?」
S藤 「うん。だって私、入社直後から現場に来てたから」
普通に働く人は基本給17万円前後の安月給でコキ使われてて、S藤さんのように逆ギレだけして仕事は何もせずにデカイ顔している人に最初からフル額の給料が支払われているこの会社……なんだかよく分かりません。彼女の給料を私たちが稼いでいるという図式が、どうにもこうにも納得行かないんですけど……。
これはもう、S藤さんにムカツクというよりも、人を働きで判断しないお馬鹿な会社に入ってしまった自分を呪うしか無いような気がします……。最悪だぞ、この会社……。
総括ですが、S藤さんはクビにはなりませんでした。しかし、私たちが入社1ヶ月後には貰っていたはずの正式な採用通知を、まだ貰っていないそうです。S藤さんがT社に入社して3ヶ月が過ぎています。そして私が入社してから約半年……そろそろ本格的に人生を考える時期のようです。
私が本腰を入れてこの会社に不満を抱き始めていると言うのに、そんな私の背中を無邪気に押してくれるような出来事がありました。今日の社長の朝礼での第一声をご紹介しましょう。
2000年3月3日(金) そろそろギリギリ 晴/残業 1:00
「えーっとね、今、我々Dグループは仕事が飽和状態で減りつつありますが、Yグループは毎日徹夜して月の労働時間が450時間を超えている人とかもいるような状態です。そんな中、ウチのグループだけが暇そうにしている訳にはいかないから、皆、毎日最低でも1時間は残って下さい。(私の方をちらりと見てから) そういうことですので、宜しくね」──仕事も無いのに体面のためだけに残業しろとっ?! アホかッ! 今Dグループで一番仕事してる(修正本数が多い)のは、一番残業時間が少なくて、一番給料が少ない私なんだぞっ!!
私がこの世で一番嫌いなものは、「仕事内容ではなく会社にどれだけ居座ることが出来たかで社員の能力を判断する会社」です。私は今、その大嫌いな環境にいるようです。
──マジ、考えます。
本日、昼休みを利用して本社に戻り、私を採用したY口取締役に1対1で話し合いの席を設けてもらいました。話し合いの内容は「給与の昇給について」です。実はY口取締役と交した入社時の口頭上の契約では、「未経験入社なので、最初は月給20万円前後からスタートして、数ヶ月して仕事が出来るようになったら年齢を考慮に入れた給料に上げて行く」ということだったのです。が、既に半年が経っても給与アップの気配は一向になし。これは交渉しないとマズそうです。
2000年3月6日(月) 給与up作戦の失敗 晴/残業 1:05
仕事に関しては先日も書いた通り、人並み以上にしていると(本人は)思っています。ですが、我が社の「社員の能力を評価する基準」は「どれだけ残業したか」です。この評価基準で判断されれば、私はいつまでも最低評価のままでしょう……。でも仕事はしているつもりです。主張しなければこのままズルズル基本給でコキ使われることになりそうなので、思いきって私を雇った当人に詰め寄ることにしました。
鷹瀬 「あの……不躾なお話で申し訳ないんですが、給与の件で今一度確認したいのですが。入社時の契約で『仕事が出来るようになったら年齢を考慮に入れた給料にする』というお話は、いつ頃から適用されるのでしょうか? 私としては既に仕事は人並み以上にはしているつもりなんですけど……」
Y口 「あーあーあーあー、うんうんうんうん。その話ね。いや、ちゃんと忘れてませんよ。約束だもんね。こういうことは早く言ってくれなきゃ」
鷹瀬 「……(こっちから言わなきゃ、なし崩しにするつもりだなっ?!)」
Y口 「で? 『仕事は人並み以上にしてる』ってのは何で判断してるの?」
鷹瀬 「純粋に修正本数です。これだけが評価基準になるとは思いませんけど、まぁ判断材料にはなるかと思いまして……出向先から割り振りスケジュール表持ってきましたからご覧になりますか? Excelシートなんですけど……コレですね。えーっと、私が67本、他の方はざっと37本、29本、53本、17本、6本、34本、25本、70本、22本、30本……こんな感じですね。修正以外にも仕事はありますし、この本数だけで仕事量を測るのは正確ではありませんが、それを考慮に入れてもやはり私の修正本数は決して少なくないと思うんですね。ただ私が見て思うに、今のN**社での評価基準が仕事内容ではなくて残業時間らしいので、そう言う意味では私は評価されていないと思うんですけど……」
Y口 「ああ、そうだよ。社長とも話してるんだけど、あの会社は何をどれだけやったかとか、関係ないから。残業してくれた方が有り難いの。だから鷹瀬さんは評価低いねー」
鷹瀬 「……………………あのー……それは会社の方針かもしれませんが、私としては納得行かないんですけど……」
Y口 「うんうんうんうん。そうだよねー。仕事を能率良くやりたい人には向いてない出向先だったねー。5月になったら鷹瀬さんには別の出向先を用意してあるから、安心して」
鷹瀬 「…………それはアリガトウゴザイマス。…………で、給料の件ですが……」
Y口 「あ、うん。それも5月の昇給に合わせて考えておくから」
──こういうことを社員の前で無邪気に言ってしまう取締役……凄い会社だと思います。
しかし、改めて思い知らされましたが、Y口取締役はヤリ手です。話の逸らし方、運び方……見事です。有無を言わせず、相手を怒らせないように、かつ肩透かしを食らわせて戦意を削ぎ、自分の思うが侭の結論に持って行く……。「き、汚ねぇっ!」とは思うものの、上手くペースを乱され、結局はうやむやのうちに「昇給は5月までお預け」となりました……。
……………………くっそぉぉ〜〜〜〜!!!!
ちなみに、本日の残業は会社に迎合した訳ではありません。M平さんが携帯で「18時半に××駅のフォームでね」と待ち合わせているのを聞いたので、彼女が帰ったら帰ろうと思っていたのですが、彼女もまた私が帰ったら帰ろうと思っていたようで、お互いに待てど暮らせど帰れなかったのです。
何度も何度も「鷹瀬さん……帰らないの?」と聞いて来るので、なるほど要するに、誰かが帰った後でないと帰りにくいのねと気付いてしまった私は、それなら意地でも彼女が帰る前には席を立つまいと思ったのでした。どこまで頑張るか見てみたくて、つい……。こういうのは「意地悪残業」とでも言うのでしょうか。
私は定時になって仕事がなければさっさと帰りますし、それに対してどう思われようと痛くも痒くもないのですが、彼女は会社が望むなら月60時間の残業もOKな人種です。実際、仕事がなければゲームをしてでも毎日21時頃まで残っていますし。ま、それは各々のスタイルですからどうでも良いんですけど。
そうこうしているうちに、M平さんときたら18時半になっても会社にいるではありませんか。友達との約束はいいのかよ……と、私の方が心配する始末。40分頃になると案の定彼女の携帯が鳴りました。
M平 「うん、うん、ごめん。ちょっと抜けられなくてさ……」はぁ? 抜けられない? だってアナタ、今までの40分間、メールのログ整理してたじゃん。いい加減、もう帰れよ……。私も帰りたい……。
私の心など知らず、ソワソワしたM平さんがまたも私に話し掛けます。
M平 「鷹瀬さんはまだ帰らないの?」彼女は諦め、PCの電源を落とし、コートを着ました。
鷹瀬 「うん。これだけ仕上げちゃおうと思って。あと1時間くらい掛かるかな(嘘)」
M平 「はぁ……こっちにも出口があると良いのに……。皆の前通って帰るの、嫌だなぁ……。最初に帰るのって嫌だよね……」ズバリ本音でしょう。アナタはその嫌なことを私にさせようとしていた訳ネ。よーく分かった。
結局、M平さんが帰った3分後に私も帰りました。まぁ遊び心とは言え、馬鹿なことに付き合ったものです。明日からは普段のように定時帰りを目指します。
久し振りに定時ピッタリに帰りました。誰もピクリとも動かない中、挨拶推進運動のために大きめの声で「お先に失礼します」というのは、結構大変なモノなんだな、と実感しました……。馬鹿みたいだ……。
2000年3月7日(火) 脱サラ肖像画 晴/残業 0:00
さて、前からやりたいと思っていた新コーナー【脱サラ肖像画】を設置しました。ここには是非多くの人に知ってもらいたいなー……と思う生き様をアップして行く予定です。
今月をもって、灼熱の太陽ことS藤姉さんが退社いたします。クビじゃありません。本人自ら退社を申し出たのです。
2000年3月8日(水) 予想通りの結末 晴/残業 1:00
実はS藤さん、家庭の諸事情により今週1週間丸々休んで田舎に帰っているのですが、その田舎から社長に「今月で退社いたします」という電話が本日入ったそうです……。ちなみに来週の月曜日から今月末までは会社に来ます。詳細は週末に書きます。
S藤さんは今月一杯かと思ったら、「今月中に荷物を取りに1回だけ出社し、それでサヨナラ」だと本日知りました。そして同じく本日、N**社のプロジェクトに来週から新人が2名投入されることを知らされました……。
2000年3月9日(木) 見え見えの経営方針 晴/残業 0:45
現在このプロジェクトは飽和状態で、仕事は今の人数で充分過ぎるほど……慢性的に仕事はほぼありません。ごく稀に怒涛の勢いで故障が上がることがありますが、これらの緊急リリースは新人が対応できるものではありません。納期間際とは、そういう時期なのです。なのに新人2名を投入……。様々な思惑や裏事情が見え隠れするのですが、その中にまともな理由は全く見当たりません。
もう一度言いましょう。S藤さんも時もそうでしたが、プロジェクトが納期にさしかかった今、未経験の新人にできる仕事なんかありません。実は今週頭にも新人が投入されたのですが、その人が今していることといえば、書類整理と自習。書類整理は古株の手が空いている人間でも充分出来るだけの余裕がありますから、正確に言えば彼は自習をしに出向先に来ていることになります。そして来週にはこの「自習しに出向先に来る新人」が3人に増える訳です……。
こんな出向社員、普通の会社なら受け入れないでしょう。完全なお荷物。完全な粗大ゴミ。
──私はこの新人さん3人を責めている訳ではありません。こんなことを堂々としている我がT社と、金を溝に捨てることに抵抗のないN**社に呆れているのです。
我がT社の薄汚いやり方は、しかし非常に明朗です。「人を置いておくだけで会社が潤う」上に、「そのことを誰からも責められない」のならば、汚かろうが何だろうが社員を置いておけば良いのです。我が社の社長の魂胆は、「社員を置いておくだけでも1人1時間につき数千円の上澄みを得られるのだから、追い出されるまでは使えなかろうが何だろうが置けるだけ置いておこう!」ってなモンでしょう。「残業はじゃんじゃんして良いからね!」などと恥ずかしげもなく朗々と言ってしまう裏側が、こんなにも見え見えなんて……。社員としては「いっそ騙してくれ……」って感じもします……。
腹立たしい上に、訳が分からないのは大元であるN**社です。自社の社員をリストラする傍らで、使えない出向社員を飼うために金を垂れ流す。なんで他社の新人を自分の所で金を払ってまで育てにゃならんのか。冷静にならずとも、おかしな話じゃないっスか。
N**社に勤める友人が、言っていました。
「出向社員への給料は、正社員の給料とは別枠で経費として支払われるから、リストラする傍らで出向社員に無駄金とか注ぎ込む事が出来るんだよね。古い気質の馬鹿な部長とか、宴会とか接待で出向先を決めて来るもん。酒の勢いで契約した会社とか、恐ろしく使えない出向社員とかゴロゴロいるよ。有能な課長がそういう会社と縁切ろうとしたり、馬鹿な出向社員を追い出そうとしても、接待受けた部長が止めるんだよね〜。最低だよ。本当に、あの部長はクズだね」そのクズが部の長(おさ)──さすが民営になって間もない役人気質の強い会社だけあります。まぁ普通の会社でも、多かれ少なかれこういうことはまかり通っているのでしょうが……。
上がこんなことを続けている限り、下は態度を改めようとはしないでしょうし、この腐りきった社会システムは改善されないでしょう。これは会社に限った話ではありません。
まともなことをする人間が損をして、汚い真似をする輩が得をする。会社社会でも官僚社会でもどこででも、それが今現在の日本の常識のようです。いきなりレベルが低くなりますが、そういう輩には天罰が下ればいいのに……とか思ってしまうのでした。神様に解決を委ねる辺り、私も努力が足りませんね……。
意気揚揚と始めた【脱サラ肖像画】──「著作権はどうなっているのか」という指摘により、開設翌日に一時閉館いたしました……。週明けに朝日新聞社に問い合わせてみて、今後の展開を決めたいと思います。丸々転載が無理ならば、一度私の言葉にまとめても良いし、まぁ色々工夫して中止はしないつもりです。
2000年3月10日(金) 一時閉館のお知らせ 晴/残業 0:40
私としては、丸々転載だろうと自分でまとめ直そうと、伝えたい事柄は「様々な人生や事実」であって「あの記事(文章)」ではないので、大雑把に言えば、表現形式はどうでもいいのです。私が丸々転載という形式を取ったのは、中途半端に他人の文章をいじるくらいなら最初から手を加えたくなかった、ということと、単にまとめ直すのが面倒だったからなのですが、著作権云々という指摘を考慮に入れれば、確かに「面倒だから」で片付けていい問題ではないですね……。
ま、聞いてみなきゃ始まらないので聞いてみます。
「春だもん 辞めたいったら 辞めたいの」(枕詞に意味なし)と慢性的に思っていたこの時期に、春風に乗って爽やかな情報が舞い込みました。まだ確定ではないけれど、M平さんがY口取締役から飲み会でゲットした有力な情報のようです。(こういう情報獲得のためにも飲み会って大切なのね……)
2000年3月13日(月) 春風到来? 晴/残業 0:15
Y口取締役に給料のことで文句を言った(3月6日参照)のが功を奏したのか、ワガママで扱い難い鷹瀬サンは3月一杯をもって淀んだN**社(形容詞に意味あり)のプロジェクトから抜けることになりました。そして「持ってけドロボー!」とばかりにスペシャルなオマケが……。ワタクシの次なる出向先に、あの優良企業No.1のS●NYが第一候補として挙げられていると言うのです!(←喜びの余り隠す気がないらしい)
既に我が社から2人がS社に出向していますが、恐ろしいほどに評判が良い模様です。巷で囁かれる噂はそりゃもう良いものばかりですが、私はその手の噂話は余り信じる方ではありません。会社なんて勤めてみなけりゃ分からない──それが私の信条です。が、実際に勤めている人間からの話は重みがあります。
「無駄な残業がない」「作業机が各々パーテーションで区切られており個室状態」、そして何よりも「仕事内容はJAVA」というのが魅力で堪りません。
JAVA──自分で勉強する気にはならないけれど、業務で無理矢理やる羽目に陥ることを何度望んだことかっ!(私もね……努力足りないよね……) PGとしてスペシャリストになりたい訳ではない私にとって、業務内容が自分の楽しみ(プライベート)に反映できる可能性は限りなく低かったのですが、Web関係の言語に限っては是非やってみたいと思っていたのです。1日8時間も費やす訳ですから、無駄ではないと思える仕事が出来るというのは非常にラッキーです。憧れのJAVA。プライベートにも反映できて一石二鳥! しかも環境は最高のS社! 別に正社員じゃなくても、内側からあの会社の雰囲気を覗くことが出来るのは貴重な体験でしょう。
ああっ! 春って素晴らしいっ!!(これで別会社に出向になったら、私、辞職するかもね……)
皆が羨む出向先に振り分けられたのは、やはりどう考えても私が文句を言ったからでしょう。「言ったモン勝ち」でもいいのです。自分の努力(?)によって幸運を勝ち得ているのですから。──とは言っても、今回は吉に出たから良いようなものの、出過ぎた要望を口にすれば改善どころか凶と出る危険性も高いので、ぶっちゃけるならそこら辺は後悔のないように……。
──はっ! 私ったらもうS社に出向する気でいますが、これはあくまで予定なのでした。余り喜ぶと後が痛いかも……。それにS社だったとしても、私が配属される部署が良いかどうかは分からないし。先走らないように喜んでおきます……。
さて、話は変わりますが、【脱サラ肖像画】の件です。本日、朝日新聞社の著作権管理センターに問い合わせました。専門部署に回された段階で嫌な予感はしていました。結果はマニュアル通りのお答え、「文章の転載はご遠慮願います」です。
以前、とある縁で記者の方に直接伺った時は「個人のホームページで記事を取り上げるくらい……」という軽い反応だったのですが、著作権管理センターのお答えは「担当の記者に了解を取る以外に例外は認めません」と非常にあっさりした型通りのものでした。規則としてのお答えと、記者たちの感覚とずれているというのは、何となくさもありなん……って感じですね。
基本的には見出し以上の情報は転載不可ということらしいですが、これを真っ当に守れば、大袈裟に言ってこの世に存在するWebサイトの半数がなんらかの著作権違反を犯していることになりそうです。私がよく見に行く超人気サイトは新聞の3面記事の紹介のみで成り立っているのですが、個人的には突っ込まれずに続けて欲しいなぁ……と思いますね。
どこかで明確な線を引かなければまずいとは思いますが、実際の制限は非常に厳しい割に、ほとんどの人が守っていないというのも、今の著作権(でもこれは法律すべてに言えることかも)のあり方に問題がありそうです。取り締まるなら徹底的に、そうでないならオープンに。誰もが自分からノコノコお伺いを立てるとは思えません。Webの世界は特にやりたい放題だからなぁ。そしてそこが魅力でもある訳だからなぁ。
ま、知らなければまるで罪の意識もなくやってしまいそうなことですが、今回はこういう結果になりましたので、【脱サラ肖像画】は丸々転載という形から脱却を図らねばなりません。一度自分の言葉にまとめ直すとか、工夫してみます。ちょっと時間が掛かりそうですので、休館状態は続くでしょう。今しばらくお待ちを。
昨日の日記を冷静に読み返してみたら……私の浮かれようも凄いですね……。でも自分の深層意識として無理して浮かれている自覚があったようで、昨夜の夢の中で私ってば、評判の良い会社に転職しようとしている見知らぬサラリーマンに、「はっ! アンタ、評判良かろうが悪かろうが、所詮そこでやることは使われっぱなしのサラリーマンでしょ? そんなんで喜んじゃってバッカみたい。器が小さいったらないね! どうせだったらガラス職人の道でも目指したら?」と吐き捨てるように言っていました……。なぜガラス職人かは不明です……。いや、そんなことが言いたいんじゃなくて。私って……私って……メソメソ。
2000年3月14日(火) 冷静になれ 晴/残業 0:45
ま、実際問題私の場合、会社に幸せを求めているようでは駄目なのです。「会社が良かろうと悪かろうと、そこは私の場所じゃないから関係ない」くらいの気構えで行かないと。本音としては悪いよりは良い方が良いケドね……。
っちゅーことで、出向先のことは「話のネタ」くらいに思っておきます。それ以前にまだ何も決まってないんだし……。
以前にも少しだけ話題にしたことがありましたが(3月3日参照)、現在私が関わっているプロジェクトは納期間近(5月中旬が締め)ということもあって、忙しいグループとそうでないグループが入り乱れ、大変なことになっちょります。「Yグループが忙しいんだから、やることなくてもDグループも残ってネ」──そんな理不尽な要求が当然のように上がる毎日。このような歪んだ状況下で、人間がまともでい続けられる方が不思議なんだと、最近知りました。
2000年3月15日(水) 逆恨みと人間心理 晴/残業 0:15
報告が遅れましたが、時を溯り3週間ほど前のお話をしましょう……。
この現状を見て、いくらなんでも仕事に偏りがあることは、多分誰しもが感じています。そして「この理不尽な状況をどうにかしてくれ……」と、多分誰しもが感じています。しかしこの凸凹に荒れ果てた大地を、耕してフラットな平地にすることが出来る有能な百姓は、この農家には存在しないのです。そんなことは、多分2週間以上働いている者なら誰しもが悟っています。
「理不尽で馬鹿馬鹿しい状況」という名の大地が作り上げられた根底には、長い年月をかけて腐敗が熟成した土壌と、効率良く作物を生産するという概念のない阿呆のくせに妙に金持ちな農家と、そのシステムを改善するだけの気力もない日雇い百姓の存在があるのです。
農業が潰れたらもう駄目だよネ。自給自足の道を失って、日本もいよいよ末期だね。はっは。
……………………まどろっこしい話は止めて、話をキリキリ進めましょうか。
システムそのものを改善できるだけの敏腕社員はいなかったのですが、やはり激務渦中のYグループに属す社員は、「どうして俺たちだけが……」と遣る瀬ない気持ちで現状を受け止めていたに違いありません。Dグループが暇そうにしているのも癇に障っていたでしょう。
このような怒りは、本来なら諸悪の根源である管理能力に欠けたYグループ上層部に向かうべきなのですが、やはりそこは人間の哀しい性(さが)で、ついつい目の前でのんびりしている肩を並べたDグループの同僚に向かう訳です。──「アイツらのうちから数人、こっちに引っ張り込んでやれ!」という浅はかな解決法を伴って……。
2階に棲息しているYグループの人間が、Dグループのテリトリーである7階をうろつき始めたのが約1ヶ月前の出来事でした。
時を同じくして、我が同僚のH井君は、残業代を稼ぐために毎晩22時過ぎ頃まで残って会社で勉強をしていました。彼には幼い子供がおり、奥さんと共働き。子供を預けるための私立の保育園は月に5万円ほどの出費を生むそうです。普段の生活費に加えて、考えるだけでも恐ろしい春の出費……。備えあれば憂いなし、ってコトで、彼は「今月は稼ぐぞ!」という意思の元に、身体と時間を酷使した荒稼ぎ=生活残業を期間限定で遂行していました。
H井君にとっては計画的な残業であっても、狙いすましてDグループを偵察しに来た事情を知らぬYグループの人間は、定時過ぎでも、22時過ぎでも、休日でも、いつでも必ず在席しているH井君の存在に浮き足立ったに違いありません。
「Dグループの新人に、夜勤も休出も大丈夫そうな奴がいる!」──生贄という名の犠牲者の誕生です。H井君がYグループに引き抜かれたのは、2月28日(月)の出来事でした。この日以来、彼は土日を合わせて現在までにたった1日しか休日を取っていないそうです……。2月だけ1ヶ月間集中して稼ごうと思っていた彼は、謀らずも3月も引き続き荒稼ぎする羽目に陥ってしまったのでした。
先月の彼の月給は45万円、内基本給は17万円。28万円の残業代を稼ぐためには、単純計算でも200時間の残業をしていることになります。深夜残業手当や休出手当は割高なので、もう少し時間は少ないのでしょうが、それでも160時間くらいは残業しているのではないでしょうか……。私の約15倍デスネ。給料は倍以上でも、コストパフォーマンスが悪すぎます。全然羨ましくありません。
ギリギリの環境に置かれると、人間、人格が変わるのもそう不思議なことではないのかもしれませんね……。どちらかと言うと人嫌いだった筈のH井君は、2階に行ってしまってからというもの、キャラが変わってきているような気がします。彼はテストのために時々7階を訪れるのですが、その際、自分から同僚に寄って行って長話をして帰って行く場面が見受けられる様になりました。以前からは考えられない光景です。
人懐っこくなったのは良かった(?)としても、顔を見る度にヤツれてゆくので心配になって「大丈夫? やっぱり忙しいの?」と聞くと、意外なお答えが。
H井 「いや、全然ヒマだよ。結局、仕様書を直せる人が1人しかいなくて、俺たちみたいに修正する人間は4人もいるから、仕事が来ても直ぐ終わっちゃうし。上は忙しいんだけど、俺たちは暇なんだよね……」結局根本解決はいつまでも訪れず、どんどん淀んでいきます……。
鷹瀬 「……そ……そっか。でもそれなら早く帰れない?」
H井 「それは無理だね。真夜中に1本修正が来たら、即時対応しなきゃいけないから、その1本のために仕事がなくてもいなきゃ駄目って感じ。でも、昨日なんか本当に何もないのに23時まで残されたよ……。2階は定時が21時だからね。それより前に『お先に』なんて言える雰囲気じゃないんだよ……。空いてる時間に勉強できる雰囲気でもないし……。大体先週までPCすら1人1台なかったんだぜっ? 信じられるか?! PC与えられないプログラマーなんて、俺、初めて見たよ。4人で2台のPC使い回してんの。しかも98……。今週からようやく1人1台になったんだけど、NTインストールしたの(=作業環境を整えたの)、今日だよ……。もう……俺……ヤダ……。先月、調子こいて荒稼ぎするんじゃなかった……」
鷹瀬 「……………………あ、あのさ、社長に相談とかしてみたら? H井君ばっかりそんなんじゃ不公平だし、仕事なんか皆で分担すれば良いじゃん。7階だって相変わらず暇なんだから。NOって言えるようになっとかないと、身体壊しちゃうし、良いように利用されちゃうよ」
H井 「うーん……でも、その分残業代入って来るから良いか……とか思わないでもないんだよね」
鷹瀬 「……嫌なの? 良いの? どっちなのさっ?!」
昨日(3月15日)の続きです。
2000年3月16日(木) 逆恨みと人間心理2 晴/残業 0:45
「お金を貰えるから残業してもいい」と自分で言っておきながら、「お金は要らないから早く帰るね」という同僚を敵視する人は、世の中に結構います。そして「残っている方が偉いんだ」と勘違いしている人も結構います。こんな露骨な表現でなくても、未だに多くの人が、「早く帰る奴は駄目だ!」と思っているのは紛れもない事実でしょう。
「もう帰るの?」このような台詞は日常的会社生活に溢れ返っています。こんな何気ない言葉の中からも、彼らの意識の根底に「残業しないこと」=「良くないこと」という図式があることが窺い知れます。
「いつも早いねー」
「あの人って、全然残業しないよね」
「もう帰るの?」って、定時になったから帰るんじゃ!──私の心の中も、このような返事の言葉で溢れ返っています。荒むはずです。
「いつも早いねー」って、定時前に帰ったことは一度もねーぞっ!
「残業しないよね」って、そういう貴様は仕事してねーな。
私としては、仕事もないのに会社に居座っている奴らは、その大半が「どーせ金を稼ぐためでしょ」と思っているのですが、そして多分大半がその通りなのでしょうが、人間心理というのは厄介なものですね。
無駄な残業をする人は、時間を切り崩すことでお金を貰っている。残業をしない人は、お金を貰わないことで自分の時間を守っている──これは皆も承知していることの筈なのに、頭で分かっていても気持ちがついて行かないのでしょうか。残業する人間は、多かれ少なかれ、残業しない人間のことを「ズルイ」と思っているのです。
彼らの考えはこうです。
「残業するのは本当は嫌だ。でも金が欲しいし、体面もあるから残る。俺たちが残ってるのに、帰る奴はズルイ」──寝言は寝て言えっ! こっちは残業しないことで貴様らみたいな奴からグダグダ言われる心労を背負って生きてるんじゃ!(私は全然平気だけど) 能率良く仕事して薄給の身分に甘んじてるんじゃっ!(これは全然平気じゃないっ) 人のことをズルイとか言う前に、同じコトをやれるモンならやってみろッ!!
今週末の3連休の休日出勤にしてもそうです。
本日、社長から社員全員に「休日出勤の有志を募ります。土・日・月(祝)の3日の内、出勤可能な日に○をつけて返信を下さい」という社内メールが届きました。私は3日間とも「×」を付けて返信しましたが、私とT中先輩以外は全員1個以上の○を付けて返信したようです。
「鷹瀬さんは1日も出ないの?」と嫌いな先輩から非難がましく言われたので、「だって『有志』って書いてありましたよね。強制じゃないなら出ませんよ」とアッサリ返事を返したら、「ええっ?! 皆出るのに、マズイんじゃない……?」と言われました。
だからさぁ、なんで人の決断にまで首突っ込むかな。アナタがマズイと判断したなら、自分の意思に従って休日出勤すればいいじゃん。私は全然マズイと思ってないんだってば。加えて言うなら、「皆がやってるから意味がなくても私もやるわ」ってな殊勝な心構えもないんだってば。
そもそも本当にマズイなら最初から強制かけるでしょ。それこそ「強制にするのはマズイ」ような休日出勤依頼だからこそ、イジこましく「有志」とか字面だけでも体裁保ってる訳じゃん。ならこっちもその体裁に合わせて「志は有りません」って応えてやればイイだけでしょーが。
勿論私のような(現代日本のサラリーマン社会においては)非常識な態度を、誰しもが取れる訳ではないのは承知しています。が、言わせてもらえば、こういう態度が取れるかどうかも努力が必要ですからね。「他人から何を言われても気にせず」、「周囲に流されずに自分の信念を貫き通す」という努力がね。
9割の人間が「嫌々出勤する」と言っている中、「私は休みます」と言い張るのは大変な努力を要することなのです。努力の末に勝ち取った現状を、何の努力も無しに外圧に負けて不満を抱えつつ休日出勤するような奴にガタガタ言われたくないですね。むしろ責任感の強さから自発的に休日出勤している人からの文句なら、頭を垂れて受け止めます。まぁ、今回の休出は例によって例の如く意味がないものなので、そんな人はいませんが。
しかし、私も「残業ほぼなし、最高で1時間半」「休日出勤オール拒絶」「飲み会全欠席」「社員旅行不参加」という姿勢を当初から貫き通しているので、最近では何をしても「ああ、まぁ鷹瀬さんはそういう人だから」で済まされています。時々、訳の分からん輩がゴチャゴチャ言う程度で、表立った攻撃は皆無です。裏で何を言われているかは分かりませんが、取り敢えず支障はない快適な状態です。
私のようなやり方は、最初のうちは風当たりもキツイですし、対人系で図太い神経を持っていないと困難なことかもしれませんが、スタンスが確立できてしまえば非常にやりやすくなる方法です。万人にはオススメできませんが、「出来そうかも……」と迷いつつもそう思える方には大推薦します。是非。
タイトルだけで何の話かピンと来た方、いらっしゃるかもしれませんね。そうです……次の出向先だった筈のS○NYの件です(3月13日)。ふぅ……駄目でした。
2000年3月17日(金) ぬか喜びの顛末 晴/残業 0:30
今日初めて詳しい話を聞かされたのですが、我がT社からS○NYに出向している社員は、ウチから直接にS○NYに出向しているのではなく、まずZ社という会社に出向し、そこからS○NYに出向しているという、言わば2次受け出向だったのですね。で、私が今度出向する会社はS○NYではなくZ社だったのです。
本当は現在S○NYに出向している社員が撤退し、その空いた席に……という話だったらしいのですが、その前任者が「まだここにいたい!」と頑張って主張したため、空き席がなくなってしまったと。くっそぉ〜……。
──しかもこの話にはオマケまで付いてくるのです……。
N**社のプロジェクトの締め日が目前に迫り、我がT社の社員大移動が始まりつつある訳ですが、T社からZ社に出向するのはたった2人──私とY下先輩(32)だけです。日記上で初めて登場するY下先輩……人物紹介欄(No.15)に付け加えることさえ躊躇われるほど、私はこの人が嫌いです……。私がどのくらいこの人を嫌いかを伝えるのは難しいほど、本当に大嫌いなのです。
苦手とか、傍にいると何となく居心地が悪いとか、そんな甘っちょろいレベルではありません。彼が話している声が聞こえるだけで、癇に障るわ、胃がムカムカするわ……。話し掛けられるだけで睨み付けたくなるし、視界に入っただけでも神経が苛立ちます。今までにここまで嫌いになった人っていたかな……と人生を振り返ると、こんなに積極的に嫌いになった人はY下(……呼び捨て)が2人目です。
1人目は留学する前の実の兄でした。兄の場合は一緒に暮らしていた訳ですから、生活レベルでそのルーズさや横柄なところが目に付いて腹立たしい思いをすることが多かった訳ですが、Y下は会社でしか接触のない赤の他人なのに、同じような憎々しさを感じます。
兄の場合は、留学して彼が尊敬できる人間になったせいか、単に離れているからなのか、今では嫌いではありません。──と、言うことはY下もいずれ嫌いでなくなる時がくるのでしょうか……。なるもんなら早いトコそうなって欲しいです。でないとこの出向、辛すぎます。
私がY下を好きになる要素は今のところサッパリ見当たりませんが、嫌う理由ならたくさんあります。
まず、話し方が問答無用に偉そう。こっちが認めてもいないウチから、勝手に人より一段高い所に立って上から見下ろすような話し方をします。だからなんで貴様は根拠もなく偉いの?と、心の中で突っ込みを入れたのは1度や2度ではありません。っちゅーか、彼が話し始めると、いつもこの手の突っ込みを胸中で炸裂させまくってます。
こういう人で本当に能力があれば、カッコイイんですけどね。残念ながらY下は「能力がある」とは言えません。確かに狭い範囲での専門的な知識はある方ですし、趣味でソフト開発をしてしまうほど(と言ってもレベルは知りませんが)の力量の持ち主ですが、仕事は全く出来ません。どういうことかと言うと、雑でルーズで責任感がないのです。
具体的な例を挙げてみましょうか。
現在のプロジェクトも最終段階に差し掛かり、細かい「横並びチェック」という最終確認が全画面に渡って展開された時のことです。彼はソースを確認もしない内からチェック項目すべてに「済」印を付けて行き、そのまま「修正完了」として提出してしまったのです。この横並びチェックには新規に追加される修正コードも含まれていたため、手を加えずに完了出来る訳がないのに、平然として「俺が一番早く終わった」などとほざいている彼を見て、「コ……コイツは駄目駄目だっ」とビビッたものです。
当然Y下の担当した画面はすべて故障として舞い戻り、当時の統括管理者のA原先輩はゲッソリしながら、「Y下さんは俺に嫌がらせをしてるのかな……。ごめん、鷹瀬さん……Y下さんの担当画面、全部洗い直してくれる?」と私に仕事を振り直していました。A原先輩もY下を信用していなかった人の1人です。
A原先輩は私のことをかなり信用してくれていたので、Y下が担当した画面が故障で戻ってくると必ず私に振って、一言こう付け加えたものです。
「これ、前回担当したのはY下さんだから……故障以外のところも一応確認しておいてくれる?」こんなY下ですが、本人は「俺は出来る!」と豪語しており、Y下の近くで仕事をしたことがない事実を知らない周囲の人は、彼本人の自己申告を額面通りに受け止め、社内での彼の評価は「仕事が出来る」ということになっています。それが更にムカつきます。
専門的な知識があろうと、プログラミング能力があろうと、それが仕事に結び付かなければ意味がありません。趣味や芸の世界ならいざ知らず、仕事をする上での評価は、「仕事が出来ない人」は「出来ない人」なのです。だから私はY下を「出来ない人」と見なしているのです。
出来ない人が出来ないことを自覚していれば、事態は収まります。出来ない人が「自分は出来る」と勘違いしているから周りに迷惑が掛かるのです。何度Y下の尻拭いをさせられたことか……。
いい加減、気付いた人からY下に忠告してやれば良いものを、皆大人なんだか、人が良いんだか、諦めてるんだか、誰もY下に「君の仕事は雑だ!」と指摘する人がいないので、本人も己が「出来ない人間」に属すことを知らず、完全な野放し状態です。
この阿呆の修正ミスを私が直している間、当の本人は「やることやったら業務中だって遊んでていいんだよ」と大威張りでのたまって、有言実行……本当に遊んでいるのですっ!
胸倉掴んで拳を振り上げて殴りかかる想像を何度かしてしまったほど、私はこの人が嫌いです。多分私がY下を憎々しいほどに嫌っているのは、実害を被っているからなのでしょう。
で、今度の出向先には、私と私の大嫌いなY下の2人で行く訳です。ははははは。
……………………嫌だよ〜っ!
出向先であるZ社の仕事内容は2種類用意されており、どちらを選んでも良いとのこと。ひとつは@ユーザーとの打ち合わせを含んだExcelのマクロを使った会計ソフトの開発、もうひとつはA概要設計まで用意されているVBでの自由度の高い開発。
JAVAがやりたかった私としては正直な話、@もAも目くそ鼻くそです。それでもどちらか選ばねばならない@とA──どちらにもメリットとデメリットがあり、簡単には選べません。
@のメリットは仕事内容そのものです。交渉や折衝まで含まれた仕事なので、多分私に向いていると思うし、何よりも小規模の開発のため、仕事を1人に任されるというのです。自分のペースで仕事が出来るのは非常に魅力的です。が、スキルアップのことを考えるとExcelのマクロを覚えるよりは、現在乗りかかっているVBを極めた方が今後のためにも絶対に有利なのです……。これがAのメリットです。
仕事の内容としては@ユーザーとの打ち合わせなどを含む方が良いのですが、扱う言語としてはAVBの方が良い。どちらかと言えばAのメリットの方が大きいような気がします。しかし、Aにはとんでもないデメリットが含まれているのです。Aは、数人のチームでの開発です。そしてその数人の中にはY下が確実に含まれているのです……。
ただ単に大嫌いな奴と一緒に仕事をするというだけでも駄目そうなのに、Y下は仕事が出来ません。プログラムの能力が下手にある分、きっと旨みのある事には積極的に関わってくるでしょうが、面倒な修正や尻拭い的な雑務はこちらに回ってくる気がします。加えて、Y下は「自由度が高い開発」と聞いて浮き足立っていましたから、趣味に走って自分のやりたいようにやるような恐れがあります。こんなオタクに振り回されるのは御免です。私は普通に仕事がしたい……。
同じプロジェクトに属しながら「私は私、関係ない」と言えるほど私はスペシャリストではないし、知識量はY下の方が全然上ですから、当然頼る場面も出てくるでしょう。そして私が何か分からない場面に出くわして質問などしようものなら、きっと専門用語を散りばめることでわざわざ話を小難しくした素人にはわかりにくい説明を得々としてくれることでしょう。(彼はこういうことをよくやります)
──Y下と一緒のチームなんて絶対に嫌です。
こんな究極の選択を迫られるなんて……「S○NYに行けるかも」ってな話とはエライ違うやんかーっ! くっそぉぉ〜っ。しかも勤務時間は30分延びるし。(現在9時半〜18時なのに、9時〜18時になる) 更には通勤時間も片道20分増えるし。ああ……もう踏んだり蹴ったり……天国から地獄に突き落とされた気分……。
先週末から持ち越した問題(3月17日)──つまり、次の出向先での仕事内容の取捨選択の結論から。
2000年3月21日(火) 出向の裏事情 晴/残業 0:35
友人からのアドバイス、母からのお言葉、掲示板の書き込み、T中先輩の一言、H井君の態度、そして何よりも私の気持ち──すべてを総合して、やはり言語的にはちょっと魅力が落ちるけれども、仕事内容&対人関係を重視したExcelマクロでの開発を選択することにしました。友人と母の言葉、「アナタの性格じゃ、嫌いな人間と一緒に仕事するのは無理でしょう。人間関係の方が大事よ」 ……全くです。
(※さて、この数行を書いているのは24(木)なのですが、この出向話、再び事態は一転しました。余りにも話がコロコロ変わるので、その度ごとに書くのが馬鹿らしくなってきています……。詳しいことは話が落ち着いてからまとめて書きます)
【追記】
本日21日、S藤さんが荷物を引き上げに、最後の出社をしに来ました。大っ嫌いな社長&不信感をバリバリに抱いているT社とオサラバ出来るってんで、かなりウキウキしていました。そんな彼女の最後の言葉をご紹介しましょう。
「就職活動も順調でさ。私はPGとしてやってくって目標あるから、就職活動も全然苦じゃないの。楽しいね。今、2社から返事待ち。1社の方は多分採用だと思う。採用になったらココに決めるつもり。え? 規模? 60人規模の会社で今年の春に大型採用するらしくて30人募集してたんだって。30人枠に100人くらい求職者が殺到したらしいよ。凄いよねぇ。その内未経験は30人位だって。私は一応ちょびっと経験者だからさ。全くの未経験者よりは仕様書とか見ること出来るし、有利だったみたい。実際、今コードとか見たら分かるんじゃないかな。入社したら直ぐに証券会社に出向してるSEのアシスタントって形で始まるみたい。付きっきりなら教えてもらいやすいし、ラッキーだよ。やること分かってるし、ちゃんと営業もいる会社だし、多分大丈夫」「なんてお気楽なんだ」とか「典型的なB型め」とか「だから貴様はPGには向いてないって」とか「社員を1.5倍に増やす会社って……ウチと同じじゃん」とか「よく恥ずかしげもなく経験者なんて言っちゃったもんだ」とか「仕様書なんて見てたか?」とか「この間に何か勉強した訳でもないクセに、どうして今ならコードが読めるんじゃ」とか「今までだって付きっきりで教えてもらってボロボロじゃん」とか、まぁとにかく心の中では色々返事をしていたけど、実際に口を突いて出た言葉は「ふーん、そっか。良かったね。頑張ってね」だけだった。
人の(思い込みの)幸せにケチつけてもね……。ま、彼女と一緒に仕事をするらしいSEさんが、神経症にならないことを影ながら願うよ。
面白いのを通り越して、なんだかガックリ来る社内メールを社長から頂きました。正確には社長からではなく、社長が上から貰ったメールをそのまま私たち社員に転送しているようです。
2000年3月22日(水) みだらな壁紙?? 晴/残業 0:15
この話題を抽象的に進めても面白くありません。まずは具体的に、出来る限り伏せ字にせず、誤字脱字も敢えて訂正せず、送られてきたメッセージをそのままズバリご紹介しましょう。
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From: T木 (****/********)
at Wed Mar 22 14:41:06 2000 (多)
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最近モラルの低下が目立ちます。
・***ビル5階でノート型パソコンが盗難にあいました、また、現金についても7階で盗難にあっています。同じ仕事の仲間です、お互いにきお付けましょう。とりあえず警察に捜査してもらいます。
・また、その他でもモラルの低下が目立つので、パソコンのゲーム、また、みだらな壁紙も禁止します。くれぐれも、職場といううことを自覚し仕事をして下さい。
******担当 ** *
──もうどこから突っ込んでいいのか戸惑うほど、穴の多いメールです……。この文章を打ったのは、社長ではないというコトが、良かったのか悪かったのか……。良かったと思う理由は、「こんな頭の悪い文章を書く人が私の会社の社長でなくて良かった」というものですが、悪かったと思う理由は、「社長がアホなのは重々承知しているけど、社長以外にもアホは一杯いるんだ……」という虚しい再確認がなされてしまったコトです。
余りにもオモシロイので、もうこうなったら徹底的に突っ込みを入れてみましょうか。ポイントとなる部分を、分かり易いように浮かび上がらせちゃったりしてみましょうかね。
・***ビル5階でノート型パソコンが@盗難にあいました、また、現金についても7階でA盗難にあっています。同じ仕事のB仲間です、お互いにCきお付けましょう。とりあえず警察に捜査してもらいます。
・また、その他でもモラルの低下が目立つので、パソコンのゲーム、また、Dみだらな壁紙も禁止します。Eくれぐれも、職場といううことを自覚し仕事をして下さい。
どうでもいいことですが、敢えて言います。
まず@「盗難にあいました、」──正しくは「盗難に遭いました。」と書くべきです。ワープロ使ってるんですから、基本漢字くらいは使いましょう。「、」と「。」の間違いは単なるタイプミスでしょうが、人の上に立つ人間は、自分が発信する文章の初歩的な文法くらいには気を遣うべきです。
A「盗難にあって」も@と同様に漢字を使った方が良いんじゃないでしょうか。
B「仲間です、」も「仲間です。」に直しましょう。これが「仲間なのですから、」などの繋がりを含んだ文章なら読点(、)でも構いませんが、文章の終わりは句点(。)と文法で決められています。句読点の使い分け程度の文法は、小学校で習っておくべきです。
この短い文章中に句読点ミスが2度も出現すれば、単なるタイプミスの可能性も低くなります。少なくとも、そう受け止められます。繰り返しになりますが、人の上に立つ人間は、自分が発信する文章の初歩的な文法くらいには気を遣うべきです。
次いで、C「きお付けましょう」──文章だけでどこまで頭の悪さを表現できるか、誰かと競っているのでしょうか。「気」を平仮名で書く先制攻撃で私を軽く驚かせておきながら、それでもまだ足りん!とばかりに「を」を「お」としてしまったこのワープロ捌き! 打ち間違いだろうけどさぁ。って言うか、それ以外の理由は許されないような気がするけどね。小学校を卒業しているなら。
大体、技術屋さんって普通の人より長いことキーボードとお付き合いしてるんじゃないの? 僅かなタイプミスでもプログラムはこけるんだぞ。それとも機械語ばっかり打ってるから、肝心の日本語を忘れちゃったの? 機械とコミュニケーション取るのも良いケド、人間とのコミュニケーションも大事だと思うよ。マジで。
話を文章校正に戻して。
散々初歩的な文法ミスをちらつかせ、人の心を隙だらけにさせておいてから、核心を突いてきたよ。もしかしたらコレが本題か?
D「みだらな壁紙」の禁止! 凄いねっ! こんな注意メールが会社内を飛び交っちゃうって事実が凄いよね。ここは高校か?
それに「みだらな壁紙」って、具体的にどの程度のものを指すのさっ?! モデルがくねってたらアウト? 水着はみだら? いや、健康的な水着姿だってあるよな。例えばスクール水着はOKでも、ビキニはNGとか?? 私のマシンの壁紙はインドの新作映画のワンシーンで、シャールク(インドのトップ俳優)がジュヒー(インドの女優)の首筋に顔埋めてるんだけど、これもみだら? 変えなきゃ駄目っ?!
なんかこのメール送信者の気持ちも分かるけど、こういう注意をメールで送っちゃうってのが凄いよなぁ。送られちゃう程「モラルの低下」した社員も凄いと思うけどさ……。
ここまでの段階で既にグッタリしている私に、最後の餞の締め言葉。E「くれぐれも、職場といううことを自覚し仕事をして下さい。」 ……突っ込みどころは2ヶ所かな。まず単純な脱字……っちゅーか加字。思い余って「う」を2回押しちゃったんだね……。はいはい。
で、最後の突っ込みは今までに比べてちょっと高度だよ。読点の位置が良くないネ。この文章は「くれぐれも職場ということを自覚し、仕事をして下さい。」とした方がスムーズ。でもまぁこんな高度な突っ込みは、もっとずっと後にすることにするよ。今はそんなレベルにいないもんね。
どちらかと言うと、自分が文章に拘っている部類の人間なので、わざわざ厭味ったらしく揚げ足取ってみた、ということもありますが、それを抜きにしても、この文章はちょっと酷すぎますね。不特定多数の人間に見せる文章を、簡単な誤字脱字の確認もせずに垂れ流してしまうその神経が、私には分かりません。「忙しくてこんな細かいところに気を遣っていられない」という意見も分かりますが、この文中に現れる誤字脱字は気を遣って防ぐレベルのものではないと思います……。
ま、拘りの尺度は人それぞれですし、ワープロ打ちの文章に気を遣わない人口は意外と多かったりするんですけどね。ちょっと「みだらな壁紙」ってのに心を乱されて、思わずガタガタ言ってみただけなのでした。
ちなみに、私の斜め前方に座っている男性のマシンの壁紙は、今日の午前までよく分からないアイドルのビキニ姿だったのに、このメールが届いた直後には紅葉の風景画に変わっていました……。これから桜の季節だというのに、気持ちを一足飛びに秋にしてしまった彼の、無言の訴えと遣る瀬無い切なさを感じ取ったような気がします。──冗談です。
本日は親睦会という名の飲み会。他の会社に出向してる社員はどうだか知らんが、N**社は今テンパッてる(※パニック状態を表す動詞)のに、そんな最中でも飲み会だけはちゃんとやるんだねぇ。アホくさ。
2000年3月23日(木) 唯一の不参加者 晴/残業 0:30
ちなみにこのアホ臭い親睦会……不参加者は私だけ。いやさ、改めて私もスゴイと思うよ、やっぱ。会社の人間が全員参加している行事に参加しないってのは、ちょっと心的圧迫大きいもんねぇ。突き詰めて考えればこんなん出ようが出まいがどうでも良いことなんだけど、朝礼の時に改めて「欠席者は鷹瀬さんだけですね。鷹瀬さんは参加しないんですね?」とか念を押されると、「うわ〜私以外は全員参加なんだぁ……」と圧倒されるよな。
ま、圧倒されようがされまいが結果は同じ、飲み会には出ないんだけどさ。
私もねぇ、大学生の頃から部活でもクラスでも強制参加以外の飲み会は片っ端から欠席し倒してたからなぁ。
大学の時は体育会系の水泳部に所属していたんだけど、体育会系の飲み会って普通の飲み会の1.5倍くらい馬鹿馬鹿しくて大嫌いだったなぁ。当然のように「先輩にビール注ぐのは後輩の役目」「注ぐ時は両手で」「先輩から注がれた酒は残さずに」みたいな、今から思えばあれはサラリーマン社会へ旅立つ練習だったのかもね。その練習を怠ったから、上手くサラリーマン社会に溶け込めなかったのかなぁ。
女子が少ない大学の、更には体育会系の水泳部ってことで、主将や先輩方に酒を注ぐのは勿論新入生の女子の役目でさ。私と同期入部の女子は1人しかいなくて、コレがまた謀ったように私と対照的なイケイケの女の子でね。その子が張り切ってお酒注いで回ってるから、私はまぁいいか……ってなもんで端の方でのんびりウーロン茶飲んでたら怒られたこともあったなぁ。
主将が空のコップを差し出すもんだから、「あ、どーぞ」とか言いながらビールを瓶ごと渡したら、上級生の先輩から「た、鷹瀬さんっ!」と慌てられたこともあったっけ。
呑み過ぎて吐いた同輩の背中を摩りながら、耳元で「呑むなら吐くな〜。吐くなら呑むな〜。自己管理くらいちゃんとしな〜」と念仏のように唱えていたら、翌日の部誌にそのことがスクープされていて、暫くの間ことあるごとにその話題を持ち掛けられてウザかったから、「他に話題ないんですか?」と純粋な疑問を口にしたら、それもスクープされたこともあったな……。
入部から3ヶ月間くらいは先輩からも同輩からも風当たりが強かった覚えがあるけど、夏合宿の頃には確か何をしても「鷹瀬さんのするコトだから」で済まされていた記憶があるなぁ。
……………………なんだか私も大概成長してないねぇ……。この話は止めておこう。
今回の飲み会不参加も、別に意地張ってる訳じゃなくて、気付くと「え? 欠席って私だけ?!」ってな状態になってるんだな。でも孤立の事実が判ったとしても、「皆が出席してるんだから私も……」ってな柔軟性は持ち合わせていないんだな。更には、誰が参加していようが自分だけが欠席だろうが関係ないね!と言い切って、こういうことを全く気にしないほどは根性座ってないんだな。はぁ……この気が強いんだけど小心者っちゅー微妙な性格をまずどうにかしないと……。
でも相変わらずT社の馬鹿ぶりも飛ばしてるよ……。もうこうなったら記録ついでにY口取締役から届いた飲み会のお知らせのメールを全紹介しておこう。
----- Original Message -----
Sent: Wednesday, March 01, 2000 4:14 PM
Subject: 親睦会のお知らせ!
新入社員の歓迎会を兼ねた親睦会を開催します。
1.日時 3月23日木曜日
2.時間 19時から2時間くらい
3.場所 **駅から**駅の間で駅の近く
4.内容 飲み放題・食べ放題
5.その他 ビンゴゲームを予定しています。
6.二次会 カラオケ・麻雀 etc
7.費用 会社負担
8.幹事 N村 T子
本件につきまして、予約の関係上、出席の可否を3月9日までにメールにて返信下さい。メール設備の無い方は、他の方に頼んで一緒に返信して下さい。
返信等の無い場合は、お店に迷惑がかかりますので、とりあえず非参加の扱いをします。仕事の都合も有るとは思いますが、全員参加を切望しています。
宜しくお願いいたします。
出たよ……ビンゴゲーム……。好きだねぇ……。それにT社の社員の大半が出向しているN**社のプロジェクトが大詰めを迎えてテンヤワンヤしているのに、「全員参加を切望」って……状況考えろよ……。結局皆出席してるんだけどさぁ……。「用がなくてもとにかく残って」とか言っている傍らで、他の出向社員たちがヒーヒー言いながら残業している横で、本日T社の社員は全員定時上がりで飲み会へGo! ……………………なんだかねぇ……やることが滅茶苦茶……。
──ま、とにかく。その時の私の返事がコレ。
----- Original Message -----
Sent: Wednesday, March 01, 2000 10:07 PM
Subject: Re: 親睦会のお知らせ!
Y口様
親睦会の件、申し訳ありませんが欠席いたします。
取り急ぎ、用件のみで失礼いたします。
************
鷹瀬/Takase
************
Y口取締役が私のことを「サバサバこんちき」(1月6日)と呼ぶ所以は、ココら辺にあるのかもね。
週末にこの2転3転する出向劇の一部始終をまとめようと思っていたのに、気付けば既に月曜日……。この出向劇、まだどうなるか決着の予想すら見せていないので、これはもうちゃんと一段落着いてからまとめようと思います。
2000年3月24日(金) 2転3転の出向劇 晴/残業 0:40
取り敢えず触りだけ報告しておくと、Z社はどうやら先方が快い返事を渋っている(これもまだ正確には不明)らしく、社長は新たにH社という出向先を用意したんだな。Z社が返事を渋っているのは多分、私のVB歴が短すぎること。VB歴が浅い上に半年前にPGになったばかりの訳の分からない女の子はちょっと……と、そんなトコロみたいですね、どうも。経歴書のスキルだけ見ればY下の方が全然上だし、先方はY下だけが欲しいんだけど、私がセットだと面倒──社長の口振りからはそういう感じが窺えます。
まぁ相手は私たちの働きぶりを実際に見て決めた訳ではないので、書面上だけで「Y下君は欲しいけど、この子は要らない」と判断するのは仕方ないと頭では分かっていますが、あのY下よりも下に見られているという事実は、思いの外プライドが傷付くモンですね……。
それならそうと、Y下だけZ社に出向させて、私は別のところへ出向させてくれれば良いものを、会社の方針として、今後私とY下を組で動かそうという魂胆らしいんだな……。どうやらY下って既に一緒に仕事をした人たちからはかなり嫌がられていて、先輩たちの間では「もうY下さんとは組みたくない」ってコトになっているらしい。そういう基盤があった上で、新人の中で先輩のY下に仕事を押し付けられても突っ撥ねる事が出来るようなタイプは……という流れで私に白羽の矢が当たったらしい。……………………冗談じゃねえぞ。
で、社長が用意した第2弾の出向先H社も、決まればY下と一緒に出向ってコトになるらしい。はっは。嫌です!
──現在、社長に直談判中です。
先週末から持ち越された私の出向先問題ですが、2転3転した結果、結局元に戻るという最も効率の悪い経路を辿って「4月からY下と一緒にZ社に出向」という形に落ち着いたようです。ま、要するに社長は私の直談判を何も考慮に入れてくれなかったと。良いケドね、別に。っちゅーか、「あの人嫌いだから一緒に仕事したくない」なんて要望が通る方がどうかしてるし。(そういう言い方はしなかったけどさ)
2000年3月27日(月) 痛感した夢と現実 晴/残業 1:00
なんにしてもブルーです。まぁ詳しいことは実際に働き始めてからでも遅くないので、出向劇に関して今月分はここまで。
さて、先日、正確には25(土)に、中高時代の友人5人が集まりました。この会合のことを話す前提として、彼女たちのことを簡単に説明しなければなりませんが、人となりを詳しく話すのは難しいので、取り敢えず第三者にも話が掴めるように、表面的に肩書き紹介という形で現在の状況を紹介しておきましょう。
会合メンバーは以下の6人。NTTにSEとして勤めるY、IBMにSEとして勤めるK、オリックスに営業事務として勤めるOちゃん、医者の卵のS、サラリーマンというには程遠く地味に好きな道を歩む友人Z、そんでもって訳の分からん弱小会社で夢見がちにPGをしている私。
友人Zとはしょっちゅう会っていますが、このメンバー全員が揃うのは年に3度ほど。医者の卵のSに至っては年に1回会えれば良い方、といった具合です。
まずはサラリーマン組のYとKとOちゃん──この3人は新卒入社でずっと同じ会社に勤めています。今年で勤続4年目かな? まぁ誰に聞いてもピンと来る名立たる大企業に勤めている訳ですね。
──で、だ。特にこの3人に対しての想いってのは複雑です。会うと楽しいし、やっぱ友達だよ〜!と痛感するんだけど、それと同時に会う度に「着実に現実世界の住人になって行ってるな……」としみじみと溝を感じるんだよねー……。良く言えば「大人になったのね」で、悪く言えば「………………こうやって何の夢も希望もなく会社に行って、会社に行って、会社に行って、年を取って行くのね……」と痛烈に思うんだな。
3人とも残業バリバリで、なおかつプライベートも旅行やパーティーや習い事と忙しく、一見すると充実人生を送っているのに、それでも口を突いて出てくるのは「辞めるならさー」という気だるい話なんだよね……。未だかって、ただの一度も「仕事が楽しい」という台詞を聞いたことがないし。「そういうもんだからね」とか「仕方ないよ」とか、この系統の台詞は何度も聞いたことがあるんだけど……。
当然漏れ出る台詞通り、会社生活に満足しているようでもなく、節目となる5年目辺りで辞めることが大前提として話が展開されるんだけど、「じゃあ辞めた後どうする?」という話は全く出てこないんだよね……。ただ単に今後の人生の展望をその場で話題に上らせなかっただけかもしれないけど、何となく雰囲気としてひしひしと感じたのは、「夢」とか「こうなりたいな〜」とかいう桃色感覚が全く窺えないという……100%日々現実の生活を見てます!って感じがしたんだな……。大人だなぁ……と思うのと、それで幸せか? いいのかっ?!と思うのと、半々ってトコか?
あっちから言わせれば、私なんかは「アンタ、いい加減甘ったれたコトばっかほざいてないで、地に足つけて生きな」ってなモンだろうけどさ。分かってるんだよね。
話を戻して。KなんかはIBM勤務で、やっぱ外資系ってことで会社として制度的にも環境的にも羨ましい面をたくさん持ってるし、本人も有給をしっかり消化して年に数回海外旅行に積極的に行くし、そりゃもう楽しくやってるのかと思っていたけど、月30時間の残業は当たり前、それ以上はサービス残業扱い、22時まで残業しても付けられるのは2時間……なんて話を聞かされると、改めて「はぁ〜……幸せな人生ってなんだろう……」とか思っちゃうんだよねぇ。
そこまで働かないと駄目か? もっとゆったり生活する訳にはいかんのか?!
仕事がどんなに大変でも、その仕事を「楽しい」って言ってくれると私もまぁ「そっか。本人が楽しいなら良いよね」ってな具合に気持ちも爽やかになるんだけど、「向いてはいないし、いつまで続けるか考えてる。IBMを選んだのは転職に有利だから」なんて言われちゃうと、「転職って……IBMでSEとして職歴積んだら、転職先は、また『向いてない』SE職になるんじゃない? それじゃなんにも解決してないじゃん! それでいいのっ?!」とか思っちゃうんだよ……。大きなお世話なのは承知してるけど。
「好きじゃないけど人並み以上に仕事はこなす。不満はあるけど辞めないで勤め続ける」という彼女たちを見て、遣り甲斐って何だろう……とかちょっとアンニュイになったんだよね……。で、そんな私にトドメを刺したのが医者の卵のSだった……。
医者と言えば「遣り甲斐」の権化のような職業……のような気がしてたんだわ、素人目に見て。Sからの話を聞く限り、医者ってのはなるのも大変、なってからも大変、とにかく大変という、大変尽くしの職業だと思うんだわ、素人考えで。
で、彼女は医者の中でもかなり労働条件の厳しい小児科を選択してるんだけど、まぁその凄まじさたるや、本当に凄いんだわ。土日休日なしのほぼ365日勤務、通常は朝7時〜夜7時の12時間勤務で、これに当直が加わると24時間勤務になるらしい。当直って夜勤と違って「夜だけ出勤する」のではなく、「夜も出勤する」んだそうで……。先月は当直が月の半分あったと言うから、単純計算で月540時間働いているのね……。話は逸れるけど、こんな労働条件じゃ医療ミスなんか起こって当然だと思うよ。医者になるために必要な要素は、頭も勿論そうなんだろうけど、それ以上に体力って気がした……。
医者という、ここまで身体を酷使した職業(専門にもよるらしいけど)を選んでるんだから、並大抵の精神力じゃないと思うんだよな。そしてその志も並大抵じゃないと思うんだよな。それなのにさー……今回1年ぶりに会ったSが疲れたように言ったんだよね……。
「全然楽しくないよ。『遣り甲斐? 何それ』って感じ……。いいんだ……老後楽するために今苦労しておくよ」ちょ……ちょっと待ってよ〜〜「老後楽するため」って……そりゃないよ〜〜S〜〜!! 夢と希望に満ちた君はどこへ行ってしまったのっ?!?!
多分、Sも本心からこんなことを思っているのではなく、疲れていて気持ちが荒んでいるからこんなことを言ってるんだと思うんだけど……。ここまで人をクタクタにさせる労働ってなんだろう……。生活を楽しくするために働くのって、夢なの? 身体を酷使して命を切り売りしないと、働いたことにならない訳? こんなの間違ってる……絶対に間違ってるよ〜っ!
純然たる友達自慢になっちゃうけど、皆それぞれに才能あると思うんだわ。医者なんて誰でもなれる訳じゃないのは周知の事実だけど、Sの場合はその中でもかなり優秀な人材で、かつ根性もある。サラリーマン組にしたって、大企業に行って、それなりに実績も上げている。本人が楽しいかどうかは別にして、多分責任感も能力も並以上にはあるから、本気になったら第一線でバリバリ働くキャリアウーマンになれる人達だと思うんだな。でもさ、そんな彼女たちが「楽しくない」っちゅーのはやっぱ友人として切ないんだよね……。「なら好きなことやれば良いじゃん」と思うんだけど、そんなのはお気楽な私の勝手な言い分だって分かってるのさ。でもさー……イキイキして欲しいんだよね……。人のこと言ってる場合じゃないんだけどー……けどー……。
なんにしても皆よく働くし、それに我慢出来るもんなんだねぇ……。ってゆーか、過度の労働を当たり前として受け止めてるよなぁ……。なんだろう……何となく、日本が良くならない理由の一端を垣間見たって感じ……。
そうそう。書くのを忘れた訳じゃないけど、友人Z。その点、彼女はいいよ〜。好きなことしかしてないしね。この私ですら「アンタ大丈夫なの?」と心配するほど綱渡り人生っぽいしね。でもきっと納得行って生きてるよ。私も含めて、これで老後幸せかどうかは分からないけど、彼女の「私はこれでいいんだ」というマイペースな精神力は見習いたいな。アタシャ行動の割には小心者だからね。
先週末から何やら重い空気が私の周りを漂っています。親しい友人の、しかし全く自分と異なる価値観を見せ付けられるということは、良くも悪くも心の琴線に触れるものです。どちらが正しいというのではなく、幸せってなんだろう……という根源的な問題に目が向いてしまう今日この頃。そういう時のカンフル剤として、私のもやもやした気持ちに喝を入れてくれるのは、やっぱり夏目漱石なのです。
2000年3月28日(火) 夏目漱石からの喝! 雨/残業 0:00
と、言うことで、同じような想いを抱えた皆さんにもお裾分けです。今から約85年前に学習院大学にて行われた晩年の漱石(当時47歳、亡くなる2年前)の講演です。今聞いても新鮮な、多分今後もずっと問われ続けるであろう、「生きる姿勢」についての一考察。私の視点でポイントとなる部分を抜粋してみました。
全文にご興味ある方は、著作権の切れた作品を取り扱っているインターネット図書館【青空文庫】の蔵書である夏目漱石著「私の個人主義」をご覧ください。
「私の個人主義」 夏目漱石85年前の言葉であるにも関わらず、なんと新鮮で今こそ必要な言葉でしょう。英留学の際、孤独との闘いの中、泣いてノイローゼになって、それを克服して……大きな壁を乗り越えた人間から発せられる、清々しいアドバイスです。
――大正三年十一月二十五日学習院輔仁会において述――
<略>(夏目漱石が英文学を)三年勉強して、ついに文学は解らずじまいだったのです。私の煩悶は第一ここに根ざしていたと申し上げても差支ないでしょう。
私はそんなあやふやな態度で世の中へ出て、とうとう教師になったというより教師にされてしまったのです。幸に語学の方は怪しいにせよ、どうかこうかお茶を濁して行かれるから、その日その日はまあ無事に済んでいましたが、腹の中は常に空虚でした。空虚ならいっそ思い切りが良かったかも知れませんが、何だか不愉快な煮え切らない漠然たるものが、至る所に潜んでいるようで堪まらないのです。しかも一方では自分の職業としている教師というものに少しの興味も持ち得ないのです。
教育者であるという素因の私に欠乏している事は始めから知っていましたが、ただ教場で英語を教える事が既に面倒なのだから仕方がありません。私は始終中腰で、隙があったら自分の本領へ飛び移ろう飛び移ろうとのみ思っていたのですが、さてその本領というのがあるようで、無いようで、どこを向いても、思い切ってやっと飛び移れないのです。
私はこの世に生れた以上何かしなければならん、といって何をして好いか少しも見当がつかない。私はちょうど霧の中に閉じ込められた孤独の人間のように立ち竦んでしまったのです。そうしてどこからか一筋の日光が射して来ないかしらんという希望よりも、こちらから探照灯を用いてたった一条で好いから先まで明らかに見たいという気がしました。ところが不幸にしてどちらの方角を眺めてもぼんやりしているのです。ぼうっとしているのです。あたかも嚢(ふくろ)の中に詰められて出る事のできない人のような気持がするのです。
私は私の手にただ一本の錐(きり)さえあればどこか一カ所突き破って見せるのだがと、焦燥り抜いたのですが、あいにくその錐は人から与えられる事もなく、また自分で発見する訳にも行かず、ただ腹の底ではこの先自分はどうなるだろうと思って、人知れず陰欝な日を送ったのであります。
私はこうした不安を抱いて大学を卒業し、同じ不安を連れて松山から熊本へ引越し、また同様の不安を胸の底に畳んでついに外国まで渡ったのであります。しかしいったん外国へ留学する以上は多少の責任を新たに自覚させられるには決まっています。それで私はできるだけ骨を折って何かしようと努力しました。しかしどんな本を読んでも依然として自分は嚢の中から出る訳に参りません。この嚢を突き破る錐は倫敦中探して歩いても見つかりそうになかったのです。
私は下宿の一間の中で考えました。つまらないと思いました。いくら書物を読んでも腹の足にはならないのだと諦めました。同時に何のために書物を読むのか自分でもその意味が解らなくなって来ました。
この時私は始めて文学とはどんなものであるか、その概念を根本的に自力で作り上げるより他に、私を救う途(みち)はないのだと悟ったのです。今までは全く他人本位で、根のない萍(うきくさ)のように、そこいらをでたらめに漂よっていたから、駄目であったという事にようやく気がついたのです。<略>
私はそれから文芸に対する自己の立脚地を堅めるため、堅めるというより新らしく建設するために、文芸とは全く縁のない書物を読み始めました。一口でいうと、自己本位という四字をようやく考えて、その自己本位を立証するために、科学的な研究やら哲学的の思索に耽り出したのであります。<略>
私はこの自己本位という言葉を自分の手に握ってから大変強くなりました。彼ら何者ぞやと気慨が出ました。今まで茫然と自失していた私に、ここに立って、この道からこう行かなければならないと指図をしてくれたものは実にこの自我本位の四字なのであります。
自白すれば私はその四字から新たに出立したのであります。そうして今のようにただ人の尻馬にばかり乗って空騒ぎをしているようでははなはだ心元ない事だから、そう西洋人ぶらないでも好いという動かすべからざる理由を立派に彼らの前に投げ出してみたら、自分もさぞ愉快だろう、人もさぞ喜ぶだろうと思って、著書その他の手段によって、それを成就するのを私の生涯の事業としようと考えたのです。
その時私の不安は全く消えました。私は軽快な心をもって陰欝な倫敦を眺めたのです。比喩で申すと、私は多年の間懊悩した結果ようやく自分の鶴嘴(つるはし)をがちりと鉱脈に掘り当てたような気がしたのです。なお繰り返していうと、今まで霧の中に閉じ込まれたものが、ある角度の方向で、明らかに自分の進んで行くべき道を教えられた事になるのです。<略>
私のようにどこか突き抜けたくっても突き抜ける訳にも行かず、何か掴みたくっても薬缶頭を掴むようにつるつるして焦燥れったくなったりする人が多分あるだろうと思うのです。もしあなたがたのうちで既に自力で切り開いた道を持っている方は例外であり、また他の後に従って、それで満足して、在来の古い道を進んで行く人も悪いとは決して申しませんが、(自己に安心と自信がしっかり附随しているならば、)しかしもしそうでないとしたならば、どうしても、一つ自分の鶴嘴で掘り当てるところまで進んで行かなくってはいけないでしょう。いけないというのは、もし掘りあてる事ができなかったなら、その人は生涯不愉快で、始終中腰になって世の中にまごまごしていなければならないからです。
私のこの点を力説するのは全くそのためで、何も私を模範になさいという意味では決してないのです。私のようなつまらないものでも、自分で自分が道をつけつつ進み得たという自覚があれば、あなた方から見てその道がいかに下らないにせよ、それはあなた方の批評と観察で、私には寸毫(すんごう)の損害がないのです。私自身はそれで満足するつもりであります。しかし私自身がそれがため、自信と安心を持っているからといって、同じ径路があなた方の模範になるとは決して思ってはいないのですから、誤解してはいけません。
それはとにかく、私の経験したような煩悶があなた方の場合にもしばしば起るに違いないと私は鑑定しているのですが、どうでしょうか。もしそうだとすると、何かに打ち当るまで行くという事は、学問をする人、教育を受ける人が、生涯の仕事としても、あるいは十年二十年の仕事としても、必要じゃないでしょうか。ああここに俺の進むべき道があった! ようやく掘り当てた! こういう感投詞を心の底から叫び出される時、あなた方は始めて心を安んずる事ができるのでしょう。容易に打ち壊されない自信が、その叫び声とともにむくむく首を擡げて来るのではありませんか。すでにその域に達している方も多数のうちにはあるかも知れませんが、もし途中で霧か靄のために懊悩していられる方があるならば、どんな犠牲を払っても、ああここだという掘当てるところまで行ったらよろしかろうと思うのです。<略>
私は忠告がましい事をあなた方に強いる気はまるでありませんが、それが将来あなた方の幸福の一つになるかも知れないと思うと黙っていられなくなるのです。腹の中の煮え切らない、徹底しない、ああでもありこうでもあるというような海鼠(なまこ)のような精神を抱いてぼんやりしていては、自分が不愉快ではないか知らんと思うから言うのです。不愉快でないとおっしゃればそれまでです、またそんな不愉快は通り越しているとおっしゃれば、それも結構であります。願くは通り越してありたいと私は祈るのであります。しかしこの私は学校を出て三十以上まで通り越せなかったのです。その苦痛は無論鈍痛ではありましたが、年々歳々感ずる痛には相違なかったのであります。だからもし私のような病気に罹った人が、もしこの中にあるならば、どうぞ勇猛にお進みにならん事を希望してやまないのです。もしそこまで行ければ、ここに俺の尻を落ちつける場所があったのだという事実をご発見になって、生涯の安心と自信を握る事ができるようになると思うから申し上げるのです。<略>
底本:「ちくま日本文学全集 夏目漱石」筑摩書房 1992(平成4)年1月20日 第1刷発行
底本の親本:「夏目漱石全集10」ちくま文庫、筑摩書房 1988(昭和63)年7月26日第1刷発行
入力:真先芳秋/校正:かとうかおり
1998年11月19日公開/1999年8月30日修正
麗らかな陽気になってきましたね〜。そろそろ春ですね。出向の話は今月はもうしないとつい先日宣言したばかりなのに……コレだけは記録として……。今月の総決算、コロコロと悪い方へ悪い方へ発展する出向劇の大まかな概要をまとめておきます。
2000年3月29日(水) 3転4転の出向劇 小雨/残業 0:15
まず、3月13日(月)に「鷹瀬さんの次の出向先はS○NYみたいだよ」という爽やかな情報が舞い込み、私自身も舞い上がりました。そしてそれがぬか喜びの偽情報だったと気付かされるのが17(金)のことです。
私の真の出向先はZ社という会社でした。このZ社での仕事内容は@大嫌いなY下と組んでVB開発か、Aこじんまりと独りでVBA開発の二者択一です。私は悩みに悩んでAを選びました。社長は「了解しました。希望は通るでしょう」と言いました。
しかし24(金)に、社長が「Z社はどうも断られそうだから、H社と面接してもらおうかな」と言い出し、その日にH社の人と急遽面接をすることになりました。H社の仕事内容はWeb関係の開発。通勤時間もZ社の半分! これは良い! Z社に断られて良かった!! 私は「先方(H社)さえ宜しければ、是非H社に出向したい!」と社長に訴えました。社長は「分かりました。希望はじゃんじゃん言ってね」と言いました。
──以上のような経過を辿って、本日もう転じようのない決定報告が下されました。私はZ社で大嫌いなY下と共にVBの開発をするようです。凄いですね。毎回毎回の二者択一で、選んでない方(=Z社)、選んでない方(=Y下と組むプロジェクト)に決まった訳です。はっは! なら最初から期待させるようなこと言うなよっ!
余りに頭に来たので、私も黙っていれば良いのについ社長に言ってしまいました。
鷹瀬 「あの、今回のことは結局Z社で決まりなんですね」…………疲れました。ハッキリ言って、私の態度はかなりキツイし失礼だし平社員としては非常識です。こんな態度で社長と話をしても怒り出さないという点では、社長はとてもイイヒト&デキタヒトだと思います。でも……でもだよ、コレってなんか違わねぇか?
社長 「そうです。今度こそ、決定です」
鷹瀬 「希望を聞いて下さるという話だったと思いますが、これは『聞くだけ聞くけど通らない』と言うことなんですね?」
社長 「そんなことないよ。どうして?」
鷹瀬 「社長にもお願いしたと思いますが、私はH社の方を希望していたんですけど、結局Z社に決まった訳ですよね?」
社長 「だって、Z社の方が先だったんだもん」
鷹瀬 「Z社での仕事内容もVBAの方を希望していましたけど、これもVB開発の方で決定なんですよね?」
社長 「VBAの方はもう人が入っちゃったんだって。希望が通らなくて御免ね。でも仕事だから」
鷹瀬 「いえ、今の話は希望が通らないことをどうこう言っているのではなくてですね、希望が通らない状況なら最初からそう言って頂けた方が心構えも出来て有り難いという話をしているんです。今来ている話の中で一番良い条件を言われていて、結局その条件が通らないよりも、最初から『まず通らないと思うけど……』という感じでサジェストして下さった方が、こちらとしては有り難い訳です」
社長 「鷹瀬さんを喜ばせたくて、つい……ね」
鷹瀬 「……喜ぶかどうかは結果次第であって、途中でぬか喜びみたいな無駄なことをさせられた方が、後々の落胆は酷くなるんですよ」
社長 「鷹瀬さんの言うことは難しいなぁ」
鷹瀬 「………………これ、基本じゃないですか?」
社長 「僕はね、まず相手の懐に入っちゃうの。それから細かいことは決めるんだな」
鷹瀬 「お互いに最初から事情を分かった状態で仕事を始めないと、後々面倒なことになりませんか……?」
社長 「そういうゴチャゴチャな状態になったら僕の出番だよ。僕はそういうの大得意だから!」(満面の笑み)
鷹瀬 「……………………………………いや、あの(←色々言ってやりたいことが頭の片隅を駆け巡った)……………………………………そうですか(←でも諦めた)……分かりました。今後は出来れば確実なことだけを教えて頂けると非常に助かりますので、宜しくお願いいたします」
社長 「鷹瀬さんはナイーブなんだねぇ」
鷹瀬 「はぁっ?!」
ズバリ、ただ単に馬鹿なんじゃねぇかっ?!
──いつにも増して、そんな疑問が強くなる今日この頃……。
明日でN**社ともお別れかぁ……。いやー物理的には楽な仕事場だったよ……人間関係とか柵さえ断ち切れる強さ(?)を持っていればの話だけどね。精神的圧迫に曝された挙げ句のパフォーマンス残業や体面を保つための休日出勤──こういうのを全部受け止めている人にとっては最悪の仕事場みたいだけど。私はほとんど全部撥ね返していたから、皆に比べてムチャムチャ楽だったと思うよ。
2000年3月30日(木) キツさの定義 晴/残業 0:15
ここで、この会社の粗悪な体質の煽りをモロに食っている同僚の話をしようかね。
超過酷残業を強いられるYグループに、2週間という期限付きで引き抜かれた筈のH井君……1ヶ月経ってもDグループに戻ってくる気配すらなくてね……会う度ごとに人相が変わって行ってるんだな。毎日23時前後まで残業していて、土日はなし。当然のことだと思うけど、肉体的にも精神的にもボロボロらしい。
彼も社長から調子良く「2週間の辛抱だからね」とか言われて結果このザマだし、私も今回の出向劇のコトの顛末があのザマだし、お互い、「社長の言うことをいちいち真に受ける方が馬鹿なんだよね」という哀しい結論に落ち着いちゃったよ……。
こんな話から転じて、以下のような会話に発展しました。
H井 「そう言えば聞いたよ。昨日、鷹瀬さん、また社長に何か言ったんだって?」──逆ギレの挙げ句、叱られました……。
鷹瀬 「『また』ってなんか含みがある言い方じゃない。別に変なこと言ってないよ。今回の出向の話で私も大概頭来てたからさ、私の出向先が決まるまでのことについて確認の意味で色々聞いたのと、その話から始まって、『毎度毎度調子良い事ばっかり言って、結局そのしわ寄せが社員に来てるんだから、最初からまともなこと言え』っちゅーよーなことを言っただけだよ」
H井 「うわ〜……言っちゃったんだ〜……。そんなストレートにまともなコト言ったって、相手はそれを受け止められるだけのキャパが無いんだから、言えば言っただけ『また鷹瀬さんに怒られた』ってコトになっちゃうんだよ」
鷹瀬 「なに? 影で『鷹瀬さんに怒られた』とか言ってるの?!」
H井 「いや、まぁ、その、直接的にそう言ってる訳じゃないけどさ……。でも、そんなようなことを零してるのは事実だよ。社長と鷹瀬さんと、どっちも知ってる人が聞いたら『ああ、また社長が調子良いこと言って、鷹瀬さんがそのことで注意してるんだな』って、何となく事情も分かるけど、何も知らない第三者が社長の話聞いたら鷹瀬さんの方が不利になるんだからさ、もう社長の言うことは聞き流して、上手く利用できるところだけ利用しちゃいなよ」
鷹瀬 「……社長の何を利用すんのさ」
H井 「えーっと……呑みに連れてってもらうとか……」
鷹瀬 「私、酒呑まないもん。で? 社長の何が利用できるって?」
H井 「…………えーっと……飯奢ってもらうとか……」
鷹瀬 「社長にご飯奢ってもらおうなんて死んでも思わないね。自腹で美味しいもん食べた方がマシだよ。大体社長は社員に飯奢るために存在するんじゃないでしょっ。そんなことする暇あったら、このクソ会社を少しでもまともに転がしてくれよ、って感じじゃん」
H井 「………………」
鷹瀬 「ちょっとーっ! H井君の言う『社長の利用価値』って、その程度かいっ!」
H井 「うるさいなっ! 鷹瀬さんの言うことも分かるけど、あんな馬鹿に何言ったって無駄なんだから、アナタもそろそろ黙ることを覚えなさいよっ!」
まぁさぁ……H井君の言うことも分かるけど〜。でもでもつい、「じゃあ毎回アホ社長の戯言に付き合って、その度ごとに振り回されろと……?」とか怒りのボルテージが上がってきて、そうなるともう口が勝手に回転し始めちゃうんだよね……。それに「言っても無駄だから」っつって黙ってたら、結果としてますます好き勝手しそうなんだもん、あの社長。
まぁ私の場合、「黙ることを覚えろ」っちゅーより、「もっと上手いものの言い方を覚えろ」って感じですね。大抵の人に言われるけど、私の言い方はストレート過ぎてキツイらしいからねぇ……。自分がキツイ言い方する人間だからかもしれないけど、私の場合、内容さえ納得が行けばキツイ言い方されても全然平気なんですけどね……社会ってナイーブな人が多いから……。
そういや過去にこんなアドバイスをされたことがありました。
「鷹瀬さんは『口は災いの元』を地で行ってて損してると思うよ。ちゃんとやることやってても上からの風当たりがキツイのは、やっぱその辺が原因じゃないかな。相手の戯言は聞き流して、黙って可愛くニコニコ表面的に話を合わせてれば、相手だってご満悦なんだからさ。鷹瀬さんみたいな人は、上手くやれば上の人から物凄く可愛がられるタイプだと思うよ。にこっと笑って『そうですね』って言ってごらん。女の武器は使わなきゃ」この言葉をくれたのは7歳年上(当時32歳)の女性で、派遣の時に知り合ったバリバリのキャリアウーマンだったのですが……。嬉しい反面、「ってコトは、このままじゃやることやってても風当たりはキツイし、可愛がられもしないのか……」と愕然としました。
腹に一物抱えて話すの苦手なんだよね……。たとえ「貴様が嫌いだ」というような内容でも、「ぶっちゃけた話」の方が大好き。私としては、その方が手っ取り早くて気持ちも爽やかで良いんだよ。表で味方みたいな顔しておきながら、裏でコソコソされる方が面倒だし精神的にもキツイな。
まぁ最近になってようやく、「そうは言っても大多数が嘘でも柔らかい物言いを望んでいるんだから、考えなあかんなぁ……」と反省するようになりましたが……。まともなこと言っても、キツイがために「怒ってる」なんて受け止められたら馬鹿みたいだしね。口調に勢いがあるもんだから「怒ってる」と勘違いされるらしいんだな。私的には「怒ってる」と言うよりむしろ「呆れてる」という感覚なんですけどね。
さて、話をH井君に戻すけど、彼もなんだか家庭で色々問題を抱えているらしくて苛々しててね……。結婚してまだ2年も経ってないのに「……離婚したい」とか言ってるし……。なんでも奥さんは1週間前から体調を崩して夕食も作ってくれず、帰ると家が真っ暗らしいんだな。「そりゃH井君が帰るの遅いからでしょ」っつったら、「9時に帰った時も真っ暗だったよ!」と返され、「体調悪いんだからしょうがないじゃん」と宥めてみても、「俺がこんなに働いてるのに、1週間も会社休みやがってっ! 誰の金で飯食ってんだっ!!」と憤慨していました……。
なんでしょう……世の中の哀しい縮図を見てしまった気がします。コレは見方を変えれば、奥さんが体調悪くて伏せっていることを腹立たしく思うほどH井君に余裕がないということではないでしょうか……。まぁ私は奥さんと面識がないので何とも言えませんが。
でも事態が険悪なのは、絶対に余裕のなさが関係していると思います。
27(月)の日記で書いた医者の卵Sの発言にしたってそうです。当初はイキイキとしていたSが、「遣り甲斐? 何それ」とまで言うに至った原因は、この余裕のなさではないでしょうか。物理的な疲労が精神にも悪影響を及ぼしているのは確実だと思うのです。最低線の休息がなければ精神的にも追い詰められて行くのは当然でしょう。
なんで皆こんなに追い立てられるようにガツガツ働かなきゃならんのでしょう。しかもそれがちっとも楽しそうじゃないと来てる。「休むこと」=「恥ずかしいこと」&「良くないこと」だという感覚は、どうしてこうも日本人に根付いているのでしょう……。
国際化が進んで様々な生き方があるってことが判り始めてるんだから、日本人が世界レベルで勤勉でセコセコしてるって気付いても良いんじゃない? アタシャそう思うよ。
以前からも勿論、「私みたいな人はきっと(多くはないだろうケド)いる筈だ!」と思っていましたが、Webサイトを開設してから、「いや〜本当に、いるトコロにはいるもんだな」ということがしみじみと判るようになりました。そして同時に、「そんでもってやっぱ少数派みたいね……」ということもしみじみと判るようになりました。
2000年3月31日(金) 思想の言語化 晴/残業 0:10
大体1世紀も前の夏目漱石の思想に思いを馳せている時点で、現代には思いを馳せる先がないのかい!という虚しい独り突っ込みを炸裂させたくもなる訳です。それこそ私の理想とする思想を持った人は「いるトコロにはいる」のでしょうが、そういった人が思想を言葉や文章にして明確な形で外界に発信してはじめて、私はその思想の存在を知ることが出来るので、思想が思想のまま存在していてもその価値は低いのです。思想は言語化され、全く見知らぬ第三者にまで伝わる形態をとってこそ、その価値が生まれるのではないでしょうか。
まぁ私の読書量や情報収拾量が少ないので、余り見付からないだけかもしれませんが、少なくとも今現在、こちらが黙っていても入ってくる情報の中に、「コレだ!」という思想は少ないのは確かです。
思想とまで行かなくとも、現代のこの歪みを明確に言葉に表すだけでもその功績は大きいと思います。と、言うことで、最近知った、今のこの淀んだ社会の空気を明快に言語化した橋本治氏の文章をここでご紹介しておきます。
よく考えると“現在”というものがなんにもなくなってしまうのが現代で、だからフツーの人達はなにも考えないようにしているのである。フツーの人達は、「うっかりものを考えると厄介なことになってしまいそうだから、“考える”という方向へ行かないようにしよう」と考えていて、カラオケとかパチンコとか飲み会とか、思考停止を図る方向で時間を浪費させるものが巨大産業として成り立っているのが、現代のニッポンなのである。前々からもやもやと思っていたことを非常にクリアな形で提示され、気分も爽快です。年度末に相応しい文章に出会うことが出来て良かった良かった。
現在は、「なんだってあなたは、“よく考えたらなんにも意味がない”なんていうゴールへ至るような選択をするの?」というところまで来ている。それは、世間のせいではなくて、それを選択したあなたのせいなのである。
はしもと・おさむ=1948年、東京都生まれ。東京大学文学部卒。イラストレーターから作家に。
著書に「桃尻語訳枕草子」「江戸にフランス革命を!」「宗教なんか恐くない!」など。
| 2000年3月の勤務表 | |||
| 出勤日数 22日(うち休出 0日)/勤務時間 176:30/ | 欠勤日数 0日/ | 有給休暇 0日/ | |
| 月残業時間 11:30/ | 日平均残業時間 0:31/ | 今月最高残業時間 1:05/6(月) | |
| 【一言】 なんだかんだ言って私も残業してないよなー。本人はめっちゃしてるつもりなのに……。 | |||