1999年10月の就職日記&コラム

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 さぁ、出向の始まりです。今月末には、私は何を思って生きているのでしょう……。我ながら想像もつきません……。
日記の小見出し一覧
◆注目の日記にはセルに水色を付けています◆日付を押すとジャンプ出来ます◆
 01(金) 続・東海村臨界事故  04(月) どこに行ってもエスパニオ  05(火) 出向の概要
 06(水) 生き様論議  07(木) デブ連  08(金) 生活残業の実態
 12(火) なぜ会社を辞めるのか  13(水) ちょっと報告  14(木) 仕事と誇り
 15(金) リストラ無法  18(月) 向き不向き  19(火) 秋風と兄の活躍
 20(水) 寒い話  21(木) 「坊っちゃん」似……?  22(金) 「辛さ」の分析
 25(月) 蔓延する風邪……  26(火) そろそろ残業シーズン  27(水) ビジネス禁句
 28(木) 脅しなの?  29(金) 想像残業  −




 1999年10月1日(金) 続・東海村臨界事故  晴/残業 0:01 
 出向は昨日(9月30日)から始まってますが、東海村臨界事故のことをどうしても言いたかったので、昨日の日記はテーマである就職からちょっと離れてしまいました。そして今日も……。まぁ私の心情としては、今回の事故(企業の対応などを含む全ての状態)は、決してこのホームページのテーマと無関係な話ではないと思ってるけどね。
 ──ちょっと暇な人は是非一度じっくり考えてみて欲しい。どうしてこんなことが起こったのか。

 事故そのものも充分衝撃的なことだけど、それ以外にすごく気になっていたのが、事故現場に作業員の救助に当たった3人の消防隊員……。どういう出動命令を受けてあの事故現場に駆けつけたんだろう、と疑問に思ってたら案の定、真実(放射能漏れの事故があったこと)は知らされないまま、現場に向かわされたんだってね……。
 この人が被爆したら(と言うか、確実に被爆はしていると思うので、命に別状があったら)、会社はどういう責任を取ってくれるんだろう……。って言うか、そもそもこういうことは人道的に許されるの?? あの事故現場に事実を伝えずに、騙すような形で(と言うより、確実に騙して)出動させるって言うのは……。防護服も持たせなかったんだって? これって殺人とどう違うの? 本人に知らせずに死刑場に送り込むようなもんじゃん。こんなに簡単に人の命を扱って良いの?
 もちろん消防隊員には職務場の責任とかあるんだろうけど、それでも今回の事態はそういうレベルを遥かに超越した、あまりに酷い出動命令だと思う……。そんでもって、やっぱり命を削るのは下っ端……。上司は命令するだけなんだね。何のための上司だよ。下っ端より給料良い分、こういう時の責任は果たすべきでしょ? 権利ばっかり利用して旨みを吸い尽くして、こんな時だけ知らん顔かい。
※注:すみません、私は消防署の上層部は事故の事実を知っていたのかと勘違いしていました。下記が訂正です。
 10月3(日)の朝日新聞によると、119番の通報の段階でJCO側から放射線の事故と知らされなかった、とのこと。「人が倒れました。救急車をお願いします」という通報をJCOから受け、「どうしましたか?」と消防員が尋ねても、「呼ぶように言われただけれ、詳しいことは分かりません」という返事があったそうな……。「事故という言葉すらなかった」と消防署長は言っている。

 それにもっと基本を言うなら、今回の事故(私は事件だと思ってるけど)で作業員の救出に行くのは消防隊員じゃなくて、当のJCO(ウラン加工施設)の上層部であるべきなんじゃない? ウランをバケツで汲むような素敵な教育しちゃってさ。もうこれは社員に荒唐無稽で命知らずな荒くれ者になって欲しかった(他人を巻き込んでも可)ってのと同義語なんじゃないの? ならそういう教育をした上層部は、こんな絶好の大事件が起こったら自らの命を省みずにお手本ヨロシク真っ先に事故現場に駆けつけるべきなんじゃないの? 私、ウランがバケツで汲めるモノだって、今回の事件で初めて知ったよ。ウランってもっとすごく危険なモノだと思ってたんだけど、私の勘違いだった訳?!

 それに咄嗟に出したのであろう「10キロ」という危険区域の制限範囲。「事故現場の状況は判らない」と自ら言っているくせに、どういう計算の元に「10キロ」って数字を弾き出したんだか。「キリが良いから10にしよう!」って店じまいセールみたいなノリなんじゃないだろうな……。今回の一連の杜撰な対応を見ていると、なんかそんな気がしてならんのだよ……。
 好意的に考えれば「まさかそんな……」って普通の常識人は思うだろうけどさ、「事故が起きるとは思わなかった」ってな戯言を真面目な顔して言っちゃうような人たちが牛耳ってる会社だよ? 何仕出かすか分かったもんじゃないよ。
 あの人たち、近日中に事故現場に視察に行くべき。自分たちが仕出かしたことの現実を、もっと真摯に受け止めて欲しい。

 今回の一連の事故を通して改めて思い知らされたのが、世界唯一の被爆国である私たち日本人が、余りにも核(放射能)について無知だということ。私、未だに放射能とは何か、どういうものか、って分からないんだ……。連日報道されるニュースを観ているだけで矛盾点が続出してるし。「雨が降れば空気中に舞っている放射能が地面に落ちるから、ひとまず安心」って……。じゃあ土に染み込んだ放射能は考慮に入れなくて大丈夫なの?! 「住民の身体に付着してないか検査をしたところ……」って、放射能を塵やホコリと勘違いしてない? 身体に付いてないからって安心だと本気で言ってる訳? 番組の前半で「放射能は30年経って漸く半減する」とか言っておきながら、後半では「広範囲に広がれば放射能が薄まる」って……。被害が拡大してるだけだろうが。まぁ政府としては1ヶ所で100人の被害者(遺伝子障害や癌など)が出るより、100ヶ所で1人ずつ被害者が出た方が、因果関係が誤魔化せて都合が良いんだろうけどさ。
 とにかく、私は放射能とかに詳しい方ではないので、何を信じて良いのか良く分からないけど、東京だって茨城からそんなに離れている訳ではないし、もしかしたら私も被爆しているかもしれないんだよね。

 そしてこんな大惨事がすぐ近隣で起きていても、私は今日も会社に行っていつもと変わらない日常を過ごしているんだよね。そんな自分も、東海村のことなど話題にもしない周りの人たちも、なんだかとても不快だった。飛躍しすぎかもしれないけど、「人が生きるって、なんだろう……」って思った。

 今、私たちに何が出来るかと言えば、「とにかく事実を把握して、今後同じような惨事を起こさないように世の中の動向に注意を払うこと」だと思うんだよね。「私たちがいくら騒いだって、事態は何も変わらない」って思って、何もしない(というか諦めている)人は多いと思うけど、どんな変革だって最小単位は個人なんだよ。でも「これじゃいけない」って思う個人が集まって集団になって、組織になって、社会に影響を及ぼせるほどの団体になるんだと思う。これだけ試されるように色んなことが起こってるんだから、やはりぼーっとしてたらマズイよね。何かあったら声を大にして責任を追及するとか、一度起こった事件を根強く忘れないとか、そういうことを個人個人が心掛ければ、世の中かなり良くなると思うんだ……。

 みんな黙りすぎ。我慢しすぎ。今日友人からきたメールに書いてあった言葉を借りれば、「近くのコミュニティ施設に避難(言葉本来の語義でいえば、救われてるのは気持ちだけだけど)した地元の人たちは、不安がるだけで怒らないし」──まったくだよ。
 まぁ今は混乱している渦中だから、当面の事態が収まったらどうなるか分からないけど。冷静になってからでも怒り狂って欲しい。だって外からきた奴に、地元に毒を撒かれたのだから。私なんか当事者からはズレる立場だけど、今回の人災は腸が煮え繰り返るほど怒りを覚えている。個人的に出来ることと言えば署名などのささやかな行動になるかもしれないけど、それが無駄だとは思わない。

 青森の六ヶ所村──あそこにも世界的な規模の核廃棄物処理場があるんだよね。活断層の上に。地震が来て大惨事が起こったら、今度は「地震が来るとは思わなかった」って言う気かね。それとも「地震による被害が出るとは思わなかった」かな。日本が地震国だという一般常識を知らないような奴が責任者なんだから、猿がブルドーザー操ってるようなもんだよ……。
 本当に無知で「絶対安全です」って言ってるとはいくらなんでも考えられないんだよね……。容易に考えられるのはやはり裏で金が動いているんだろうな、ということなんだけど、どんなに利権が絡んでいたとしても、自分たちの国を汚染することになるのに、平気なのかなぁ……。もう自分さえ逃げ切れればOKって考えなんだろうか……。

 なんにしても大分情報化社会になって、胡散臭い怪情報も飛び交ってるけど、中には今まで市民レベルが知らなかったような情報まで簡単に引き出せる時代になってきたんだから、ちゃんとアンテナを張り巡らして、自分がどう行動すべきかを常に念頭において生きていきたいものだよ。

 ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。来週からはまた通常どおり、就職日記を書きます。もう書くべきことはかなり溜まっているの……。月曜日の日記は既にタイトルまで決まってるし……。では。
 あ、追記ですが、この週末でPCを新しくしたのは良かったのですが、トラブル続出……。9月に届いたメールは全てオシャカになってしまいました……。どうにか復旧に励みますが、駄目だったらお返事書けないかもしれません。本当にすみません。


※今回の事故に関してのトピックスを日記とは別に開設しましたので、お暇な方は【1999年9月30日東海村臨界事故】へどうぞ。


 1999年10月4日(月) どこに行ってもエスパニオ  晴/残業 0:01 
 今日は本当は「生活残業の実態」について語りたかったが、時間がないのでこの件に関しては後日、じっくりと。端的に結論だけ言うとだね、大企業は確かに多くの人がアリのように働いてるよ。でも、その人たちの働きを吸い尽くすかのように、まったく働いていない奴も確実にいる。本当に、日がな一日驚くほど働いていない人が存在している……。ま、このことはいずれ詳しく……。

 もう眠いので、大事(?)なことだけにしておく。
 出向して休み時間の外出もままならなくなり、エスパニオ(人物詳細は9月17日参照)の間食が物理的に不可能になることを喜んでいた私。出向先にはお気に入りのペプシコーラもデカビタCも、プリンもアイスクリーム「爽」もない。良かった……。これで少しはエスパニオの間食に歯止めが掛かるかもしれない。私は一瞬そう思った。
 だが、甘かった……。出向先の10数階建てのビルの地下1階には社員食堂があるのだかが、その脇に売店がある……。エスパニオは手弁当なので、社員食堂を利用しない。初日に社員食堂を利用した私は、食堂横に売店があることは知っていたが、エスパニオには絶対に教えなかった。──が、先日、エスパニオの方から「このビル内に売店ってありますかね……?」と聞いてきたのである。もちろん私は「さぁ……。ないんじゃないですか?」と惚けたが、近くにいた親切な社員が懇切丁寧に「地下1階の社食の横にありますよ」と教えちゃったのである……。

 それからやや暫くの間、エスパニオは見当たらず、その数十分後、妙に満足げな顔をしたエスパニオがポッキーを片手に帰ってきた……。ポッキーを見て「今日のおやつはとりあえずコレだけか……」と安心する私にトドメを刺すように、エスパニオは腹を摩りながら言った。
「いや〜。ここの売店、良いですよ〜。お湯も分けてもらえるんですねぇ。小腹が減ってたから、カップ麺、食って来ちゃいましたよ〜(14時頃の発言)
 ──エスパニオはどこに行っても痩せる気配がない……。


 1999年10月5日(火) 出向の概要  晴/残業 0:01 
 本日いよいよプロジェクトの紹介と、担当範囲の振り分けが実施された。私は無事エスパニオの配下に治められた。エスパニオはなるべく残業をしないようにしようというタイプの人なのである。良かった……。
 落ち着いたところで、今の私の状況説明をしよう。

 出向が始まったのは先週9月30日(木)、出向先は大手通信社N**社の関連会社である。(……私も伏字を使う気がまったくないらしい……) 今後の日記の中では面倒なのでうっかり「N社」とするかもしれないが、私が新卒時に就職したN社ではないのでご注意を。なるべく「過去に勤めたN社」と、「現在の出向先のN**社」は使い分ける。

 さて、私が過去に勤めていたN社もそうだったが、大手企業と言うのはどこもそうなのだろうか。ビルは綺麗で入り口には警備員が常時配置されており、入館証明書がないと入れない。社員や出入りを許可されている出向社員はIDカードを提示して初めて、ビルへの入館を許可される……。大企業のタワービルのフロアを颯爽と歩けば一見華やかだが、ふと周囲を見渡せば、従業員の顔には強い感情の色はなく、無感動な感じがする……。忙しそうなフロアを覗けば、人はまるでマシンのようにセコセコと働いている。

 初日は社員食堂を利用したが、芋の洗い場のように人でごった返し、食事も不味い。なんだか洋画で見る囚人たちの食事風景のように忙しなく、ガツガツしていて殺伐とした雰囲気が漂っていた……。
「豚小屋で餌を食べてるみたいだね……」
 私がそう呟いたのを切っ掛けに、その場にたった数十分いただけの私とH井君は気分が悪くなってしまい、食事を残してさっさと出てきてしまったほどだ……。こういう光景は初めてではない。N社で体験済みのはずだったが、暫く離れていた世界だったため、我慢できないほどの息苦しさを感じた……。しかし、恐いことに翌日にはそういう息苦しさが大分弱まっていた。そして4日目の今日、私が当初感じていた圧迫感や息苦しさはほとんど消えているのである。精神衛生は良いのだろうが、これは私にしてみれば大変ショックなことだ。人は慣れる動物である。こういう所で何年も過ごせは確実に感性は麻痺してゆくのだろう、としみじみ思った……。

 今はまだ仕事は本格始動していないので、残業もなく、定時で帰ってきている。これがいつまで通用するのかは分からないが、なるべく定時内に仕事を済ませる、という姿勢は崩さずに行こうと思う。

 生活残業の実態を書きたいと思っているのに、時間が……。今週末にでも詳しくまとめる。


 1999年10月6日(水) 生き様論議  晴/残業 0:01 
 26歳にもなると、段々その人の生き様というのがぼんやりと見え始めてくる。
 もちろん中には35歳になって普通のOLから転身し、まったく別の道を歩む、という人もいるだろうが、20代後半、つまり勤め初めて3〜5年が経つ頃合というのは、偶発に頼らない大体の指標と言うか、今後どのように人生を展開していこうかと深く考える丁度良い時期という気がするのだ。とりあえず仕事に慣れ始めて、精神的にも物理的にも余裕が出てくるからかもしれない。そして何よりも、精力的に何かを始める最後のチャンス、という焦りが生じるからではないだろうか。

 年を取ればそれだけ体力も落ちるし、体力の低下は気力の低下にも繋がる。よく年上の人に「30代は20代に比べてあっと言う間に過ぎて行くんだよ。そして40代は更に加速度的に時が過ぎるのが早くて、50代は……(以下繰り返し)」と忠告されるが、最近になってこの言葉の重圧を感じるようになってきた。
 加えて、「何かを始めるなら若いうちが良い」という言葉には、社会の対応が若者には甘いという事実も含まれているように思う。年を取ってから何かに失敗すれば「馬鹿」呼ばわりされることが、若者の失敗は「若気の至り」の一言で済まされ、下手をすれば「勢いがある」「見所がある」に摩り替えられることだってあるだろう。
 ──とにかく、何をするにも若さは武器なんだなと、若さを失いつつある今、しみじみと思う。

 ただ「若さ」とはいつだって相対的で、40代の人は「30歳のうちに〜をしておけば……」と後悔し、30代の人は「20代の間に〜しておけば……」と歯噛みする、という具合に常に「数年前に行動しなかった自分」を「若さの欠如」のせいにして嘆くのではないか、とも考えられる。
 このように、毎度毎度「数年前に〜しておけば……」という事態に陥っている自分を冷静に判断した結果、私は「行動を起こすのに遅すぎることはない」という大変無難な正論にたどり着いた。よく耳にする言葉だが、この言葉が自分で導き出した結論となった今、覚悟が決まったような気がする。
 ──と、言うか、「私もさっさと覚悟を決めろ」という感じだ。いや、「まだ決まってなかったのかっ?!」という感じか……。
 覚悟が決まったり、揺らいだり、それを繰り返しつつ、決心は固まって行くのかもしれない。

 大変抽象的な決着を無理やりつけたところで、おやすみなさい。


 1999年10月7日(木) デブ連  曇/残業 0:08 
 今日はもう更新せずに寝ようかと思ったが、本日の朝日新聞の夕刊1面に、インパクトのある記事が掲載されていたので、思わずワープロに向かった……。見出しが視野に入っただけで仰け反った……。紙面から溢れ出すこの何とも言えない強い衝撃を、皆様にも是非お裾分けしたい……。
「デブで悪いか」30年  米の団体「全米最後の被差別者」
 なんと言うのだろう……盛り上がって良いのか盛り下がって良いのかよく分からないこの感情は……。一番近い感情は強いて言うなら脱力感なんじゃなかろうか……。ここまで自分がどう感じているのか見失う記事も珍しい……。
 「世の中が荒んできた」とか「殺伐としている」とか「生きる喜びが」とか「残業が多い」とか「仕事がキツイ」とか、そういう世(私)の中にある不満を一瞬忘れ去ってしまうほど、社会にはびこる問題の本質を見失いそうになる記事である。

 いや、この記事がくだらないとか、そういうことではなく、なんと言うか、腹の底から
「……………………いつだって真剣なのは当事者だけなんだよね……」
と、思ったのだった……。

 ついでなので、この記事の書き出しだけでも紹介しておこう。
 健康食品やダイエットがブームを呼び、病的なまでに健康にこだわる人が増えている米国で、太り過ぎの人の「人権擁護」を訴えてきた団体が結成三十周年を迎えた。「体格が違っても機会は均等に」「ファット(デブ)は美しい」。彼らの呼び掛けは、人種差別や性差別を表面的には克服してきたように見える米国で、「デブ」という最後の少数派差別への闘いでもある。
 ──うん……。うんうん。頑張れ。主張すべきことは人それぞれだよね……。以上。


 1999年10月8日(金) 生活残業の実態  晴/残業 0:01 
 今日、9月分の初任給を貰った。試用期間中で基本給2割減ってコトと、9月6日から勤め始めているので勤務日数が3日分少ないってコトはあらかじめ承知していたけど、それにしても手取りの月給が5桁って事実には腰抜かしそうになった……。前職の半分以下……。
 私なんかは独身だし、実家で生活しているからまだ良いけど、同期のH井君(24)なんか妻子持ちだよ? 生きて行けないでしょ……。10万円以下じゃ……。彼、前職では月給40万円稼いでたっつーから、4分の1以下か……。シュールすぎ。

 もーねー……なんつーのかなー……色々ガックリ来ちゃうことが多いんだよね。働いていると。
 またこんなことをウッカリ(私にとって)性質の悪い人の前で零すと、したり顔で「生きて行くってそういうもんだよ」とか言われちゃうんだろーけどさー……。オランダとかではチューリップに水やって1日が始まって、夜になれば家族で食卓を囲んで団欒込みの夕食会かぁ……とか思うと(凄い偏った思い込みデスガ、当たらずしも遠からずな事実……)、なんだか虚しくなっちゃうんだよねぇ。セコセコ働いてて、しかも幸せじゃないってコトが。物理的にも精神的にも貧しいってのは、切ないねぇ……。

 給与明細見ながらH井君が疲れたように言ったんだよね。
「……こんなんじゃ食ってけないっスよね。今月は残業して稼がねーと……
 ──今まで無駄に残業してる奴見ると殺してやりたくなってたけどさ、アタシャ、H井君を責められないよ……。「これが世に言う生活残業ってヤツか……」ってしみじみ思った。もうこうなると良いとか悪いとか、そんなレベルの話じゃないんだね……。生活残業自体は間違っている、と確実に思うけど、だからと言ってこの手段を用いることが良いか悪いかは明言できない……。だって、悪いって言ってもその代替案が見付けられないし……。

 でもこういう生活残業をしてる人が、残業してない人に比べて仕事量は多いのか、って言ったら大して変わらなかったりするんだよねぇ。結局8時間で出来る仕事を、だらだらと12時間かけてやって、4時間分の残業手当を貰うだけだからさ。(※注:全員がそうとは言わないけど、割合の問題ではこう言えると思う) コレってなぁ……。
 会社がちゃんとした基準を設けていれば、「この仕事をしたら報酬はこれだけ」って明言して、あとは社員の裁量で速くやろうが遅くやろうが報酬は同等、って具合になって無駄もなくなるのに。

 日本でも裁量労働制度を採用している企業はあるけど、日本の裁量労働制度は中途半端だからね。実際10の仕事量を与えられて3の時間で終わったからっつって、あとの7は家に帰って寝てて良いかって言ったら駄目なんだよね。そのクセ、10の仕事量を13の時間をかけてやろうものなら、「超過分の3は、アナタの力不足ですから」っつって、企業は残業代は払わないんだもん。
 要するに会社側に都合の良いように制度の本質を歪めてるんだよね。日本での裁量労働制度なんて、サービス残業を横行させただけじゃん。ホント、日本は表面上の制度は一丁前に欧米諸国の真似をするんだけど、結局精神が追い付いていないから、ますます悲惨な結果になっちゃうんだよねぇ。

 フレックスタイム制度もそうだよね。あれは本来、自分の働きやすい時間に自由に効率良く働けばいいじゃないか、って主旨から生まれた制度のはずなのに、日本で採用された結果、業務時間の時ズレを引き起こしただけだったもんね。
 朝7時から働き始めたからって、雰囲気的に16時に帰れる訳ないし。どうせ遅くまで残業しなきゃならないんだから、ぎりぎり遅くに出社する、ってな結果に落ち着いちゃった訳よ。
 なんだかなぁ。どこを取っても馬鹿馬鹿しいったらないよ……。

 生活残業に話を戻そう。

 一般的にSE(システムエンジニア)の仕事というのは残業が憑き物……おっと、付きものとされている。実際にこの世界を覗いてみて、それは半分は正しいことだと分かった。要するに、SEに限らず、締め切りや納期がある仕事は残業がつきものになる、というだけの話だ。編集や営業、経理など、すべて基本は一緒だと思う。そしてこれも同じと思われるが、仕事にムラがある。仕事が来ないときは本当に暇なのだ。やることが何もない……。しかし、会社にいなくちゃ駄目。
 ──だーかーらー.……。そういうの、止めよーや。納期間際になったら嫌でも深夜近くまで働かなきゃなんないんだから、暇なときには帰してやれよ。1ヶ月で160時間働けばいいじゃん。そういうふうにした方が、会社だって無駄な残業代払わなくていいんだから、効率良いじゃん。
 まったくなぁ。改善しようって気が全然ないんだよなぁ。

 まぁね、仕事にムラが出来るのは、上に立つ人間のスケジュールの組み方がマズイからなんだけどね。有能な人が指揮するプロジェクトとかは、実際、残業をしないでいいようなスケジュールの組み方がされてるんだけどね。こういう有能な人は若い人に多い。今の世代の人はなるべく残業をしないように、っていう方向に力を入れているようだけど、40代、50代の古い体質の人たちはちょっと手に負えないタイプが多いよ……。
 もちろんこれも全員とは言わない。が、結構な数の人に言えることだと思うんだけど……アイツら、どれだけ長く会社にいることが出来るか、って、誰かと勝負してるんじゃない? アイツらの残業は、「納期が……!」とか「仕事量が多い!」とかそういうのとなんか違うよ……。

 少なくとも、私が働いているフロア(5階)にいる40代、50代のオヤジたち30名余り、勤務時間中、恐ろしいくらい働いてないのよ……。
 1日中ぼーっとしてる人、寝てる人、雑誌読んでる人、雑談してる人、地図広げて社員旅行の計画立ててる人……。まだ1週間しか観察してないけど、少なくともこの1週間は、本当に恐ろしいくらい、端で見ていてハラハラするほどアイツら揃いも揃って働いていないね。

 しかもこの人たち、正社員なのかと思ってたら出向社員なの
 N**社も正社員をリストラする一方でこんな出向社員飼っておくよな……。大企業で無駄に金が余ってるならともかく、7階とかにいる正社員はゴリゴリ働いてるんだよ……? そりゃもうマシンのごとく……。もちろん残業も当たり前のようにしてる。
 なんなの、この妙な絵は。逆なら(許せないけど)まだ解かるんだけど、なんで無能な出向社員に給料払うために、正社員がゴリゴリ働いてンだ?! どうかしてるんじゃないの?

 んで、この勤務時間中はまったく仕事をしないオヤジたち、17時頃になるとおもむろに動き出して、会議とか始めるのよ〜……。コレってまさしく生活残業だよねぇ……。残業代稼ぐためだけにダラダラと会社に居座る人たち……。ここは都庁かっ!
 腐るね。こんな所にずっといたら。彼らがどういう経緯であんな腐った人間になったのかは判らないけど、想像ならできるぞ。きっと彼らも若い頃、理不尽にゴリゴリ働いていたんだと思うんだな。彼らをこんなふうに腐りきったサラリーマンにしてしまったのは会社の責任だよ。社員の働きに正当な報酬を与えないから、こんな歪みが生じるんだよ。

 ──ま、こう言うことを延々言っても、「またそんなこと言って」とか「今更こういう体質は変わらないよ」とか、変に諦めきっちゃった人たちが力強く言うんだよねぇ。
 こんな間違った台詞を力強く言う暇があったら、無駄と判っていても「オカシイよ!」「改善しようよ!」ってなことを微弱な勢いで良いから言い続けてくれ、と思うよ。1人1人の力が微弱でも、そういう人たちが増えれば少しはマシになると思うからさ。ちょっと昔までは週休1日だったのが、今じゃ週休2日は比較的常識になったように、遅々たる歩みではあるけど、過剰労働から離れる方向には一応進んでいるんだから。

 実際問題として、今の日本の会社の体質(社会の体質とも言える)が変わるためには、根本からすべてを作り直さなきゃいけないくらいの勢いが必要だと思うので、容易じゃないのは明らかだけどね。改善しようと頑張る人たちの足を引っ張る保守派も根強いだろうし。努力もしないうちから「そんなの無理だよ」とか「そういうものなんだから、君も従えよ」とか、悪い方向に足並み揃えるの、好きな人多いみたいだし。
 嫌だねぇ。精神衛生悪いねぇ。なんでこんなに幼稚なんだろう。もっと大人な態度で働けないもんかね。

 熱く語ってしまって申し訳ありません……。いい加減、出向先の会社で繰り広げられている理不尽な光景にうんざりしているので、その思いをまとめてみようと思ったのでした。


 1999年10月12日(火) なぜ会社を辞めるのか  晴/残業 0:01 
 最近、入社3年以内に会社を辞めてしまう若者が増えているという。その煽りを受けてか、事態が思いの外深刻だからなのか、この若者の離職をテーマにした特番がNHKで組まれている。
 まず序章となったのが、先週8(金)の1ch(NHK総合)で放送されていた「NHKスペシャル〜なぜ会社を辞めたのですか・3年以内離職者3分の1の現実」で、その続編的な特集として、今度は3ch(NHK教育22:00〜22:45)のETV特集「会社を辞める若者たち」として数回の連載で昨日から始まったようだ。毎日放送されるようなので、興味のある方は是非観て欲しい。

 さて、口調(文体)も改めまして。
 この番組についての感想などは一通り観てから後日まとめようと思います。
 とりあえず今の段階で言えることは、「今の日本の企業のあり方(もしくはサラリーマンという生き方)に対して、多くの若者が疑問を抱き始めているんだなぁ……」ということ。無責任な言い方をすれば、「いいぞいいぞ〜〜!」という感じです。
 なんでも、いつでも、「自分にしか出来ないことってなんだろう」「自分は何をすべきなんだろう」という模索は、どんな結果に終わろうとも人に満足感と達成感を与えると思うのです。

 このホームページを開設してから1ヶ月が経ちましたが、メールなどで多くの同志がいることを知りました。
 「私も会社の残業慣行の体質にはうんざりしています」とか「今度会社を辞めて起業することになりました」とか「今は会社を辞めることは出来ないけど、勉強して3年以内に留学するつもりです」とか、メールの内容は会社に対する不満や今後の指標など様々で、色々と刺激を受けます。
 明確な夢や目標を持っている方は勿論、私は愚痴っぽいメールも好きです。私の考えでは、企業に属してなんの不満もないということは、余程良い会社に所属しているか、人として大切な感覚が既に麻痺してしまっているかのどちらかだと思うのです。そして更に言うなら、良い会社なんてそんなに在る訳ない、という独断から、泣き言を言うということは、まだ人としての感性(感覚器官)が生きており、そのために辛いんだろうなぁ……と思うのです。
 不満を抱えている人がいなければ、どんな環境も良くなりません。時代や慣習を変えて行くのは、いつだって強い不満や疑問からなのです。
 ──と、言うことで、現在不満や疑問を抱えている人は、どうやったらそれらが解消されるのか考えて、もし行動できるようなことや実現可能なことがあれば頑張ってみてください。小さな第一歩は絶対に必要なのです。

 最近「仲間が欲しい。掲示板とか設置しないのですか?」というリクエストがちらほら来ています。仲間が欲しいという希望は私も抱いているモノなのでよーく解かります。そろそろ設置しようかと思っているのですが、実は掲示板の設置の仕方がよく判らないのです……。設置したい掲示板の仕様とかも詳細な希望があるので、それをどう実現していいのか……。ちょっとまとまった時間がないと面倒そう……と、言うことで、掲示板は年末〜年始の間に設置する予定です。今暫しお待ち下さい。
 では、今日はこの辺で。


 1999年10月13日(水) ちょっと報告  晴/残業 0:01 
 仕事らしい仕事が始まりました。が、今のところ始まったばかりなので全然楽です。残業時間を見ていただいても分かるように、素直に「残業なし」と言いきってしまった方が早そうな状態です……。
 そう言えば、昨日、9月の日記の末尾に【勤務表】を追加しました。出勤日数や月の総残業時間、1日平均の残業時間などを表にしています。これは月末に毎回アップしていく予定です。見て頂ければ分かるのですが、先月の1日平均残業時間は4分……。舐めてますね……。最近ではワタクシ、同僚や先輩から「定時の女王」「18時の女帝」と呼ばれております。ほほ。でも与えられた仕事はやってますよ。手取り月給9万5千円分の仕事はね。はは。(さぶっ)
 まぁ今月の給料はこの1.7倍くらいになる予定なので、働きも同程度に増やしますが……。

 でもって報告です。
 トップページを見て頂ければ分かると思いますが、ヤケクソのようにランキング系のWebサイトに参加してみました。時間のある内にPR活動(?)をしておこうかと思って……。ランキングに参加したからと言って、それがどれだけのPR効果があるのかは分かりませんが、サーチエンジンよりは幾分期待できるんじゃないかなーって。実際このページ、サーチエンジンとかで偶然引っかかることはまず無いと思うんですよね。だってなぁ……このページが引っ掛かるためのキーワードって「脱サラ」……? 無理がありますよね……。

 何はともあれ、あのゴチャゴチャした投票バナーを押して下さっている方、本当にありがとうございます。よく分からずにウッカリ押してしまっている方も、その大雑把さが誰かを救っています。なーむー……いえいえ、ありがとうございます。

 最近【日常エッセイ】などに手を加えていないので、今週末にでもアップするよう頑張ります。あ、それに失業中の話も先に進めなくては……! 失業か……懐かしいな……。今度はいつしようかな。(←?!) 現在失業中の方も、沈みがちな気分を吹き飛ばして、失業中の贅沢なほどの自由な時間を満喫してください。こんなにまとまった休日は、長い人生の中でそう何度もやって来る訳ではないのですから。(やって来たら問題)
 ではでは。


 1999年10月14日(木) 仕事と誇り  曇後雨/残業 0:01 
 出向が始まって早2週間。気分的にはもう数ヶ月以上勤めているような気がするけど、まだたったの2週間なんだなぁ……。延べ日数にして10日か……。長いなぁ……。

 出向先のN**社(の関連会社)に出社すると、毎朝のように思うことがある。受付と入り口に立ちはだかる警備員のオジサンたちの態度……素晴らしく悪いのである。
 N**社は多くの出向社員が出入りする大会社だけあって、入館チェックは比較的厳しい。正社員や長期に渡っての出向社員たちは顔写真入りのIDカードを提示してゲートを潜らせていただく訳だが、短期出向社員やIDカードを申請中の出向社員は、毎朝受付窓口にある入館申請表に「入館時間・氏名・所属会社・電話番号・目的・階・プロジェクトリーダー名・バッチNo.」を記入し、渡されたバッチを付けて初めて入館が許される。
 この表は2つしか置いていないので、始業時間間際には受付前に入館申請をする人たちの長蛇の列が出来る。このラッシュを避けるためには必要以上に早く出勤しなくてはならないし、単に面倒ということも加えて不満はあるが、この申請書を書くこと自体は大企業ゆえ仕方ないか、とも思う。だが、この申請書を管理して、バッチを配っている警備員のおじさんの態度がエラく悪いのが腹立たしいのである。

 警備員は全員60歳以上(だと思う)で計3名。態度が悪いのはこの内2名である。では残りの1名は態度が良いのかと言うと、別に「良い」と言うほどではなく、多分普通レベルなのだが、スペシャルにふてぶてしい2名の同僚に囲まれて、彼だけが天使に見えるという錯覚のマジックが成立してしまっている……。相対評価って素晴らしい……。
 少なくとも私の中で、この残りの1名の評価はうなぎ上りだ。最近では密かに「うな重」というあだ名をつけて勝手に親しんでいるほどに……。朝の受付にうな重がいると、「あ! 今日はラッキーデーだ(ハートマーク)」などと、浮かれることもある。
 …………………………要するに、私もN**社での仕事がつまらないのだろう。

 さて、この2名の警備員、どんなふうに態度が悪いかというと、まず横柄、加えて偉そう、そして意地悪話し方は食って掛かるようで、いつも眉間にしわを寄せている感じ。(実際寄せていることが多い) 記入ミスや記入方法が分からずにもたつく人がいると、容赦なく「何やってンだよっ! ちゃんと書かなきゃ駄目だろっ!!」と吐き捨てるように言う。「ここ、記入ミスですよ」って普通に言えば良いのに……。
 他にも、事情が分からずバッチを付けずに入館しようとした人のことを、わざわざ事務室から出てきて追いかけ、凄い勢いで腕を掴んで引き戻し、「何やってんだよっ!!」と怒鳴りつけた挙げ句、胸を小突いたこともあった。(軽く、だが) 普通の日常生活で、いい年した大人がまったくの他人を小突くって凄いことだと思うんですけど……。
 ──だから、なんでアンタたちはそんなに偉いの?

 この警備員たちはN**社の社員ではなくて、警備会社からの派遣とかで雇われている身だと思うんだよねぇ……。あんまり態度が悪いので、N**社に苦情申告してやろうかと思うほどなんだよねぇ……。でも「こんな嫌なオヤジにも家庭があって、職を失ったら大変なんだろうな」とか、「この人もどこかから酷い扱いを受けていて、それがストレスとなってこんなところで発散しちゃうのかな」とか、色々考えて結局こっちが我慢することになるんだけどさ……。ま、毎朝の数分間の出来事なので、我慢と言うほどのものでもないけどね。

 私の我慢は別にして。

 正直、警備員の仕事って(私にとっては)面白そうだとは思わないけど、もうちょっと誇りを持ってやってもいいと思うぞ……。なんだか彼らを見ていると、警備の仕事が嫌で嫌で仕方がない、というふうにさえ見えるんだよね。実際は単に態度が悪いだけで、そういう訳ではないと思うんだけどさ。でも結構警備員のオジサンって態度が悪い人(と言うか偉そうな人?)、多いような気がするんだよね……。あんな態度を取り続けていたら、普通に考えても警備員に対する評価は落ちると思う。
 どんな仕事でも、周囲から一般的にどんなふうに思われていても、その仕事をしている本人が誇りを持っている限り、とても気持ちよく物事は運んでいくと思うんだよね。

 関係なくもない話をしよう。
 今年の6月、まだ失業していた時期に、友人Zと指輪を買いに西武百貨店に行ったんだ。ここで出会った販売員の女性(45歳前後)が、今でも心に残っているほど素晴らしい店員さんだったんだわ。
 私が指輪を選んでいって、残った候補が2種類あったのね。1つは3万8千円の(ショーケースに並ぶ中では)安物で、もう1つは7万円くらいの指輪。どっちも気に入っていて、でもどっちかっていうと安物の方が気に入っていて、でもこの時はちゃんとした指輪を買おうと意気込んでいたので散々悩んでいたら、この販売員の女性は非常に丁寧に「あなたは比較的手が大きくて、指も長いからこっちの方がしっくり来ると思いますよ」と、安い方の指輪を指し示しながら言ってくれたのよ。

 営業やっていた経験上分かるんだけど、会社の方針として「とにかく売りつけろ! 出来れば高い商品を!!」っていうのは営業(販売員)の鉄則なんだな。まぁここまで露骨ではなくても、多かれ少なかれ企業にはそういう面があって、社員もそのように教育されるんだな。販売の仕事になんの誇りも持っていないような人は、営業成績伸ばすためにそういう方針をしっかり守るんだろうけど、時々この女性のように、何かを売ることに誇りを持っている人っていうのがいるんだよね。
 彼女は最初から最後まで値段で勧めることはしなかったんだ。いかに似合うか、ということを重点に勧めていた。そういう心意気が伝わってくるのだ。

 結局私が安物の方を買う決心をして、「安い方ですが……」みたいなことを言うと、その女性は心からその指輪を誉めて、こう言ったのよ。
「千円の指輪だろうが1千万円の指輪だろうが、本人が気に入っていればいいんですよ。
 私もアクセサリーとか大好きなんだけど、ホラ、このネックレスなんか、主人に高いネックレスを買ってもらった時のおまけで付いてきたヤツなのよ。でもそのとき買ってもらった高い方のネックレスはあんまり好きじゃなくて全然使ってないんだけど、こっちのおまけの方が凄く気に入っていつも付けてるの。
 良いとされているのもを買っても、本人が好きで買ったものじゃないと、結局は使わなくなっちゃうのよね。アクセサリーは好きになってあげなくちゃ可哀想よね」

 ──アタシャ感動したね。失業中で次の職に迷っていたこともあって、この女性の働く姿が眩しかったね。

 彼女の態度全編に「アクセサリーが好き!」という感じが滲み出ていて、選んでるこっちまでウキウキしてくるんだ。「この仕事、好きなんですね」と半ば感心したように言うと、「そうなのっ! ウチの会社は毛皮とかスカーフも扱ってるんだけど、どうしてもアクセサリー売り場に行きたい!って上の人に頼んだよ〜」と嬉しそうに言っていた。

 その後、指輪のサイズを合わせる段になると、同じタイプの指輪を在庫ケースから取り出して、「同じ形の指輪でも、職人さんが作っているから微妙に違うんですよ。石が違えば雰囲気も変わるし、是非じっくり選んで下さいね」と同じタイプの2つの指輪を比べさせてくれたんだ。
 見事だと思ったね。この女性はただ指輪を売っているんじゃなくて、自分の取り扱っている指輪と、それを欲しいと思う人のコーディネートをしているんだと思った。自分の売るものに誇りと愛情を持っているからこそ、買っていく客には是非その中でもその人に合った最高のものを提示して、そしてずっと大事にしてもらいたい、と思ってるんだろうなぁ……と感じた。

 私が好きな方を選ぶと、今度はサイズの調整だ。11号が右手の薬指に入ったが、私は中指に嵌めたかった。13号だと心持ち余裕がある。12号だと入るもののキツイ。すると、「この時間は丁度指がむくむ時間だし、夏だから汗で滑りが悪くなってるの。ちょっとキツメで丁度いいのよ」と教えてくれた。それでも12号は少々きつい感じがするので迷っていると、「12.25、12.5、12.75なんて微妙な中間サイズも出来るわよ」とアドバイスしてくれた。

 もうねー……私の感動、伝わるかなぁ……。こう言っちゃなんだけど、販売員という職種は誇りも何にもなければ誰でも出来るつまらない仕事だと思うんだよね。客が買いたい、と言ったものを売るだけだから。
 でもさぁ、ただ売りつけるだけじゃなくて、ふとしたトコロにその人の持つ知識とか、販売することへの誇りとか、取扱商品への愛情とか、そういうものが現れるってのは、もう職人の域だと思うんだよねぇ。
 これってきっと、どんな職業でもそうなんだよね。素敵だなぁ〜ってしみじみ思ったもん。
 私自身は販売員の仕事には興味ないけど、自分の好きなことをやっている人っていうのは輝いている。これは本当にそうなのだと思った。

 で、だ。話を態度の悪い警備員に戻そう。
 彼らはきっと、自分たちの仕事に誇りを持ってないんだと思うんだよね。もしくは「俺たちは偉いんだ」という間違った誇りを持っているのか……。
 どんな仕事でも、他人が見て「あの人は凄く楽しそうに仕事をしているな」って思われるのが、仕事をしていく上で一番幸せな姿なんだろうなぁ。そんなふうに仕事をしている人、なかなかいないんだよね。少なくともN**社で見かける会社員の中で(私も含めて)輝いている人は今だ見たことないよ。

 「あの人、楽しそうに仕事をしているな」と思われる側の人間になりたい。そして、そういう人が増えるといいなぁ。そういう人って、見てるだけでもこっちも幸せになってくるからね。


 1999年10月15日(金) リストラ無法  曇/残業 0:01 
 起き抜けに新聞を見て、とにかくたまげた。住友とさくらまで合併するだと?! 富士と第一勧銀と興銀の合併にも充分驚いてたのに、「ここは安全でしょう」と思っていた住友までが合併に乗り出しちゃったよ……。長銀も外資に吸収されるし、銀行業界も荒みきってるみたいだねぇ……。

 この2銀行の合併自体はともかく、やはりどうしても胸が痛むのは約9400人、従業員3割を2002年4月の合併までにリストラするという無茶苦茶な決め事だ。しかも一応対等の立場の大手銀行が合併するとなれば、システムの統合や行員同士が互いを把握するに当たって、ただでさえ仕事量が増えることは必須なのに、そんな中、3割の人間を切ると言うのだから、これは残る行員にも相当の地獄が待ち受けているのは想像に難くない……。仕事は減らないのに(むしろ増えるのに)、人間だけが確実に減る訳だからね……。以前何かの雑誌かTVで、「リストラされて退職するのも地獄、リストラされずに会社に残るのも地獄」ということを言っていて、心底寒くなったことがあったっけ……。まさしくこの状況を指すんだろうな。

 なんだか今、大企業はリストラすることへの躊躇とか、人道的な対応とか、まるでなくなっちゃったみたいだね。解き放たれちゃったってヤツ? 加えてリストラの仕方も「文句も出てないみたいだし、ウチも便乗して勢いに任せてやっちゃえ!」ってな感じがあるよね……。本当に能力を見ながら人を切り捨てているのか甚だ疑問。
 給料を払う対象を少なくして(つまり社員のクビを切って)、一時的に経営状態が良くなるのは良いけどさ、これって本当に一時的だろう……。残った社員一人一人に掛かる負荷は限りなく大きくなっていって、しかもこれだけ簡単にクビを切られることが明白になれば、「会社のために身を粉にして働こう!」ってな忠誠心の厚い社員なんか育たないでしょう……。こんなことを繰り返すだけ、社員は会社に不信感を抱くようになるし、優秀な人ほど「こんなトコロでゴリゴリ働くなんて馬鹿みたい」ってことに気付いて、さっさと出ていってしまうと思うんだよね……。

 今企業が躍起になって行っているリストラが、まったくもって根本の解決に結びついていないということに企業側は気付いているのかな……。いるよねぇ、いくらなんでも……。私みたいな素人が気付いているんだから……。気付いていても、それでも社員はどうせ逆らいやしないさ、ってタカ括ってるのかな……。まぁ括られても文句言えないほど、世のサラリーマンの多くは奴隷のごとく無抵抗に働いているけどねぇ……。

 先週末に夜の「ザ・スクープ」ってニュース番組で理不尽なリストラに遭い、会社と闘っている中高年のサラリーマンの特集をやっていたけど、なんか陰惨だったよ……。確か「リストラ無法/サラリーマンよどう生きる」ってなタイトルだった……。詳しい内容を説明しよう。

 東京都内の雑居ビルにある外資系コンピュータ会社の分室。入り口にはゴミが溢れ、床にはしみが残る狭い分室に23人が押し込められた。電話もない、エアコンも効かない、身動きにも窮屈な1室だった。この部屋は社内座敷牢と呼ばれている。仕事は月に1〜2回程度だという。
 この会社では6年前からリストラが進められ、4300人の社員を2400人に削減。この一環として会社側は45歳以上の社員約320人に関連会社への転籍を求め、拒否した69人を新しい部署に配属。その中で23人が配属された先がこの社内座敷牢、東京分室だった。
 労働安全衛生規則によれば、労働者に与えられる面積は「1人につき10立方メートル以上としなければならない」とされているが、この座敷牢では1人あたり約4立方メートルの面積しか与えられていなかった。分室隔離の目的は明らかで、本社は関連会社に「分室と接触するな」という指示までしていたという。
 この座敷牢に閉じ込められた社員数人が立ち上がって裁判を起こしているが、未だに決着はついていない。

 社内座敷牢を設けている会社は何もここだけではない。大手証券会社に勤める45歳の男性。リストラの一環で職務開発室に転属。1室に100人分の机が並べられた部屋に押し込めらた。この部屋はガードマンに監視されているという。
 この男性はパリ大学の大学院を卒業後、語学力を買われこの会社に中途採用される。海外部門で朝7時から深夜2時まで働くエリートで、家庭を顧みない夫に妻は去っていった。その後の不況により会社は海外部門を縮小し、2000人をリストラ。彼を含む10数人が社内座敷牢への島流しに遭った。会社側の主張はあくまでも「リストラ部屋ではなく、技能を磨くための待機部屋」という白々しいもの。仕事もロクに与えられずに毎日を過ごしていれば、辞めざるを得ない気持ちになるのは当然のことで、ただいるだけで精神的に苦痛だと、この男性は言っていた。

 医薬品メーカー勤務の元営業部長54歳。 会社は去年からリストラを進め、100人いた社員は半数近くに減った。この人は上司と営業上での意見の対立がしばしばあった。人員削減を機会に退職を迫られるが、それを拒否。すると営業部長から社長室付きへと降格。新しい職場として、3畳ほどの狭い部屋を宛がわれた。机一つ、電話一つ。精神的にも追い詰められていった。
 約20年それなりに会社に貢献してきたプライドがあった分、新しい仕事は苦痛以外の何物でもなかった。彼に与えられた仕事は、タウンページに掲載されている医療関係の会社の住所や電話番号などを紙に書き写してリストを作る、と言うものだった。来る日も来る日もこの単純作業の繰り返し。意味の見えない仕事内容に、悶々とした日々が続いた。こんな仕事を毎日毎日1年間続け、結局彼は退職を決意した。彼が作成したリストは2万件にものぼった。当然のことながら、このリストが仕事上で使用されることはなかった。

 退職金を少なくするために、イジメまがいのやり方で社員を自主退職に追い込む。それが会社側の狙いだ。その一つが、それまでの経歴に釣り合わない仕事を宛がい、自ら辞めるように仕向ける遣り口である。「自尊心をズタズタに切り裂こうという魂胆が見える」と、実際に嫌がらせを受けた社員は言う。

 国内最大手外資系コンピューターメーカーに38年間勤めた56歳の男性。彼は総務部の専門職だった。それまでずっと総務畑一本だった彼に振られた新しい仕事は、社内の各部署に郵便物を届けるメール業務だった。顔見知りが多くいる各フロアを回る。「これは市中引き回し……さらし者にしようという意図でしょう」と彼は言った。
 この会社はリストラの一環として総務・人事業務に携わる55歳以上の社員を子会社に転籍することを勧めた。それは同時に給料45%ダウンを意味することだった。転籍を拒否した社員には出向を命じ、その出向先で待っていたのはそれまでの経歴に無関係な単純作業だった。

 気の毒に思うのは、このリストラの対象になっている人たちは、それなりに実績もあり、会社のために働いてきた人たちだということ。現在、不当な出向を撤回するようにと会社と闘っている男性はこう言っていた。
「今まで働いてきて、自分が会社にとって不必要な人間だとは思わなかった。それなりに貢献してきたという誇りもあった。なのに、この扱いは酷すぎる。働いている会社と闘うことは、自分で決めたこととは言え思いの外辛い。これはどんどん増えつづける癌と一緒だ。思い出を壊していく癌なのだ
 この番組、前半はすべてこんな感じだった。驚いたのはこのリストラされた人たちの態度である。ここまでされていながら、「望むことは?」という問いへのほとんどの答えが、「以前のように仕事を与えて欲しい」と言うものだった……。
 気分的には、
「………………あーのーなー……グッタリするようなことを言わんでくれ。もう、ホンットに踏みつけられるのが好きみたいね……。自分たちをここまでボロボロにした会社に、まだ仕事を求めるかっっ!! いい加減、目を覚ませっっっ!!! 何十年も会社に飼われてるうちに、自立の精神が磨り減ってしまったのは分かる。が、ここまでされてまだその会社で働こうというのは、どういうことっ?! 中には裁判を起こしている人もいるだろうが、圧倒的に大人しく踏みつけられる人が多いと言う事実に腹が立つ。被害に遭っている人たちが全然怒ってないなんて……。いや、「全然」ってのは大袈裟かな……。でもまぁ穏やかなもんだよ……。会社にしてみれば、やりやすいったらないだろうね。当の被害者がこんなだから会社は付け上がって、非人間的な解雇とかが横行しちゃうんだよ。こういう事態を招いているのは自分たちだって、気付いてるかな……? 気付いたところでどうにもならないだけなの? とにかく、あんまり絶望させないで欲しいよ……。イジメに遭ったら精神的人権侵害賠償とか求めて、会社から金ふんだくって自営業でも始めるくらい のことをしてみろ!」
と思う気持ちが強いが、これは一概には言えないことだと分かっている。

 実際に裁判に持っていっても、どうせ正当な判決、もしくは正当な支払いが可能になるとは思えないし、給料が半分になれば現在の生活は維持できないだろう。仕事を辞めるのは簡単だが、では次があるのかとなれば、やはり厳しい現実しか見えてこない。
 こんなとき、仕事の他に生きがいがない人間は絶望的だと思う。が、サラリーマンであった時から自分を持ち続けている人間は、はやり強い。その良い例が後半に紹介されていた。

 この暗く重い現実にも、少しばかりの希望の光が用意されていたのである。番組の後半は、「会社にしがみ付くだけが人生じゃない」と言うことで、自らサラリーマン人生に疑問を持ち、会社を去って行った人たちに焦点を当てていた。

 まず1人目。サラリーマン漫談を生業としているイリア藤沢さん、47歳。会社のリストラが切っ掛けでこの道を目指す決意をする。藤沢さんは大手靴店に24年間勤務していたが、徐々に将来に疑問を感じ、丁度会社が希望退職者を募っていたのでこれに乗り、会社を辞めた。会社に勤めている頃に接待などで披露していた漫談を生業にしようと挑戦したのである。サラリーマン時代から漫談が大好きで、新しいネタを考え付く度に同僚に披露していたと言う。
 「安定を取って夢を捨てるか、不安定だけど夢の大きさを選ぶか」
 ──藤沢さんは夢を選んだ。収入は半分になったが、夢に向って進んでいるという手応えがあると、輝いていた。「第2の人生を選ぶことが出来たのは幸せだった」と藤沢さんは言っている。

 2人目は、ゼネコンに24年間勤めていた53歳の男性。自主退職の後、山梨県で農業を始めた。
 この転機の切っ掛けは、自然と共生する都市作りを目指す中、4年前に訪れたスイスのセルマットという街だった。この街の素晴らしさに仰天し、「やはり、人間が生きて行く空間というのはこうでなくてはいけない」という思いに鉄槌を食らった。しかし会社は不況により需要の少ない環境関連の予算を削減、このままでは自分の夢に未来はないと思ったこの男性は、会社がリストラを始めたことを切っ掛けに早期退職、会社時代の夢を有機農法に託した。
 彼には5歳と3歳の子供が2人いる。農業を選んだもう一つの理由が、子供たちのためにも定年がなく働ける仕事、ということだった。妻は彼の選択すべてに反対した。会社を辞めることに反対、家を売ることに反対、農業をやることに反対。結局妻とは価値観の違いから別居中だが、子供は彼が育てている。
 子供たちは都会にいる時とは変わった。遊ぶ場所がたっぷりある田舎暮らしを気に入り、もう都会には戻りたくないと言っているという。今年の年収は100万円、会社時代のおよそ10分の1に減ったが、ここでは食べて行くのにこれで充分だと言う。
 この男性の言葉が心に残っている。
「会社時代には子供と過ごす時間などなかった。今は子供と四六時中一緒で、それこそ保育園の送り迎えまでしているから、子供たちも自分の父親が何をしているか良く見えると思う。いちいち自分がこうしている、ああしていると言うのではなく、私の姿を見て、見させて、子供たちが何かを感じ取ってくれればいいな、と思う。子供たちのためにも夢の実現に向けて頑張りたい」
 この自主退職して自分の道を自分で決めた人たちを見てもらっても分かると思うが、こういう転機に差し掛かった時に新しい道を切り開くためには、それまでに自分の中で何かが熟されていないと駄目なのだと思う。サラリーマン漫談の道に進んだ藤沢さんは、会社員の時からずっと「自分にしか出来ない営業を!」ということで、ネタの創作に余念がなかった訳だし、ゼネコンに勤めていた人も、会社に与えられた仕事をこなすだけではなく、自分の中に「自然と人間の共生できる都市作りをしたい!」という夢と理想を持ち続けていた結果、リストラという転機に差し掛かった時に、新しい道を切り開くことが出来たのだと思う。会社に飼い慣らされて、自分というものがなくなってしまっていたら、こういう選択は出来なかったと思うのだ。

 余程の夢や理想がない限り、何も自分から会社を捨てる必要はないが、会社に捨てられた時に自分に何もないことに気付くのでは遅いと思う。いつ、何があるか分からない。たとえ今、会社から追い出される心配がなくても、与えられた仕事だけを黙々とこなし、それが自分の生きがいなのだと勘違いしているようでは、先行きは暗い。これはある方とのメール交換で言っていたことなのだが、「遣り甲斐のある仕事をしたい」というのは誰でも同じで、自分の生きがいを会社に与えてもらおうと思うこと自体、間違っているのである。生きがいは与えられるものではない。自分で見つけるものなのだ。

 もちろん、仕事が生きがいになれば良いが、そんなに運良く「自分に合った仕事」もしくは「自分にしか出来ない仕事」は舞い込んでこないだろうし、企業という枠の中でそういう仕事を見つけようというのは虫が良すぎるとも思う。企業と一個人の思惑が合致するケースなんて、普通に考えてもそう簡単には成立しないだろう。そんなに「何か夢中になれる仕事を……!」と言うなら、それこそ起業するくらいの勢いがないと、求めるだけ求めても叶わない現実だと私は思うのである。
 なぜ、そんなに仕事にすがるのか。こういう人たちは仕事以外に自己実現の場を持っていないのではなかろうか。私はそんな気がしてならないのだ。

 「自分が何をしたいのかよく分からない」という人は若者にも多いようだが、積極的に動かなければ自分の生きがいは見付からない。焦る必要はないが、努力する必要はあると思う。「生きがい」と言うと大層に聞こえて、なかなかピンと来なくなってしまうかもしれないが、要は「これが好き!」と言えるべきものがあれば、とりあえずそれで充分だと思う。そしてそういうものは、必ず誰にでもあると思う。
「私はこれがやりたいんだ!」と胸を張って言えるものを、皆が持っていたら素敵だなぁ〜と、単純に思うのだった。

 長くなったので、今回はこの辺で……。日記(って言うのかな……コレ……)に力を入れすぎて、今週もエッセイまで手が回らなかった……。来週こそ頑張りたい……。


 1999年10月18日(月) 向き不向き  晴/残業 0:01 
 そろそろ、っつーか、ようやく本格的な仕事が始まった。……なんだかこの台詞も何度目だ?って感じもするが、今度こそ本当に(じゃあ今までは……?)仕事が振られた。
 ──で、素早い結論。私にプログラミングは向いてない。転職だ、転職!(←ちゃぶ台ひっくり返してます) 以上っ!!

 ……………………ってな具合に終わらせてしまいたいよ……今、目の前で繰り広げられている現実を……。だってさ〜〜正直、私、本当にPGには向いてないと思うんだよね〜〜。まぁ「じゃあ貴様に向いてる職業ってなんじゃい!」と突っ込まれれば、「無職……なーんちゃって。えへ」ってなふざけた答えしか出てこないんだけどぉ……。それに私、確か無職の時は無職の時で、無職を満喫できずにビクビクおどおどしながら毎日を過ごしていたっけ……。
 じゃあ一体私に向いている職業って……。営業のときは残業が付き物だからメソメソしていたけど、職種的には一番向いていたなぁ……。会社の上の人間とはバトルばっかしてたけど、客先では調子よくやってたし楽しかったし……。残業のない営業したい……。(←「黒い白馬に乗りたい」と言っているのと同義語)
 あ、でも私、納得の行かない物はどうやっても売れなかったや、確か。(←結局この程度) 営業成績が悪くなろうと「コレは止めといた方が良いですよ〜。会社が目玉にしているのはこちらです。これはもう赤字覚悟で客寄せ的に始めたサービスなんです。ですからこれだけ契約すると、お客様には大変お得かと……」とか、客に有利な情報しか流さなかったし。(←もう雇われの身で仕事をする姿勢ではない) いや、だから私に向いているのは物書きなんだってば!(←と、自分で思い込んでいるだけ)

 はぁ〜〜冷静な突っ込みを入れつつ状況の打破を試みようとすると、思い通りに収拾がつかないものだね。ちょっと利口になった。この手法はもう止めておく。(←これでも色々悩んでいるらしい)

 さて、仕事内容が本格になってきてヘコんでいますが、この仕事が嫌いかって言ったら嫌いではない、という微妙な状況なんだよねぇ……。っつーか、私1人で入社して今のプロジェクトに新人ただ1人として配属されていたら、比べる対象もなくてそんなに焦らなかったと思うんだけど、今一緒に配属されてるH井君、凄いんだもん。「ああ、こういう人がPGとかSEとかになるんだー……」ってしみじみ思っちゃうほど、本当にこの仕事が向いてる人なんだわ。H井君を見ていると、相対評価で「ああ、自分は全然PGに向いてない……」って落ち込んじゃうんだよね……。

 なんかねぇ、各仕事場で尊敬する人って必ず一人はいるもんだけど、T社で尊敬しているのはH井君だな。単に向いている向いていないということ以前に、このH井君って、凄い勉強家なんだよね。一応彼もプログラミングとかはまったくの初心者なんだけど、もともと趣味でPCが好きで、ハード的な面での知識とかは豊富だったんだわ。で、今回のT社の「PG・SE未経験者OK」の応募を見て、今後言語を扱えるようになっておいた方が色々有利かな、ってんで応募したらしい。T社が大したことない会社だと知って、今では転職のために短期間で知識を身に付けられるだけ身に付けよう!ってんで、ちょっと時間が空くとすぐに勉強に取り掛かってる。短期間で色んな知識を吸収しようっていう凄まじい意気込みがオーラで見えるほど。私なんか暇さえあれば空想ごっこ(?)とかしてるのに……エライ違いやな……。

 そうそう。友人やらメールやらで「エスパニオは最近どうしてる?」という質問が相次いでます……。こんなトコロで自分が大人気(……)だと知ったら、エスパニオもさぞかし喜ぶでしょう……。
 端的に行こうかね。エスパニオは最近も食ってます。(文章的にオカシイのに、主語が主語だけに、文章の不自然さをカバーしてしまっている恐ろしい構文……) でもねぇ、冬になったせいか、最近ではジュース類は減ったし、プリンもアイスも食べてないんだ。本社にいた時は15時から15分間の中休みが用意されていたんだけど、出向先ではそうはいかないので、単におやつを買いに行く暇がなくなったせいなのかもしれない……。でもやっぱり16時頃になるといつの間にかポッキーとかスナック系のおかしが手元にあるんだけどね。
 私が「また食っちゃってるよ……」という思いでポッキーの箱をじーっと見てたら、誤解したらしく「鷹瀬さんもいかがですか?」って1本譲って貰っちゃっただよ……。いい人なんだよ……。いい人なんだけどねぇ……。
 結論として、現在のエスパニオのお気に入りは、飲み物は「ナタデココドリンク」と「アロエヨーグルト」、菓子系では「Men's ポッキー」。一緒に食べるのが通らしい……。私は死んでも真似しないが、勇気ある人はこの食い合わせに挑戦してみるのも一興かもしれない……。


 1999年10月19日(火) 秋風と兄の活躍  晴/残業0:01 
 なんだかこの就職日記……日記っていうよりコラム化しているような気が……。そんな訳でタイトルを微妙に改めました。ただそれだけ。

 急に寒くなりましたねぇ……。秋風が身に染みます。心に染みます。でもこんな時期に近しい人が活躍しているのを聞くと、自分も頑張らなくちゃなぁ……って思いますね。っつーことで、私にとってタイムリーな話題です。

 今日は朝から我が家にとって良い知らせがあったんだよね。現在アメリカに留学している兄(28)から「無事大学院に残れることになりそうだ」という電話があったのさ。まぁ身内の話で恐縮ですが、これって別に「お兄ちゃん自慢」ってヤツではないです。私はそんなに兄に甘い妹ではないし、彼と仲良くなったのも最近だしね(←どんな兄妹だ、って感じですね……まぁ色々あったんですよ。色々……) 冷静にちゃんと周囲を見渡して、今一番明確に、端から見てても着実に大きな目標に向かって頑張っているのがたまたま兄だっただけで……。私の公平さ加減は、まぁ親しい友人なら分かってもらえると思うんだけど……。

 もともと兄はコンピュータ系(情報処理系っていうのかな?)の専門大学卒で、20歳のときから約5年間SEとして働いてて、去年6月にアメリカに留学したのね。最初は高校への語学留学って形だったのかな? でもあれよあれよと言う間に人的ネットワークを築いて、システム開発かなんかのバイトも始めてかなり稼いで、本分である勉強も頑張って、最終的には大学をすっ飛ばして大学院に今年の夏に入学したのよ。
 最初の形は語学留学だったけど、まぁ本人筋金入りのコンピュータ好きだからさ。彼の目的は「語学」ではなく「コンピュータの勉強」だった訳よ。目的もなく「とりあえず留学」する人が多い中で、最初から「コンピュータの勉強」という確固たる目的があるってことは強いと思う。
 そもそもSEとして働いているときから、ちゃんと一目置かれる程度の実力はあったらしいんだよね。出向先の大会社の社員に「君、こんな会社じゃ勿体無いよ」とか言われたこともあったらしいし。でも専門校卒ってことで大卒の人より基本給が低かったりとか色々あったらしくて、やっぱ日本ではしょせん学歴がモノを言うんだなとしみじみ思ったのかどうかは知らないけど、とにかく留学を決意した訳よ。

 最終学歴によって給料が変わるって話のついでに。
 今の私の会社だけど、同僚のH井君は高卒なんだ。私は大卒。でもハッキリ言って私なんかPGとしては使い物にならないし(そこまで酷くないかもしれないけど、積極的でないのは確か)、H井君は明らかにPGの才能があると思うんだよね。しかもよく働くし。なのに、給料は私の方が2万弱ほど高いの。3歳年上ってことも勿論あるけど、それ以前に、私の給料が高いのはただ単に大卒だから。余計に貰っていて何をゴチャゴチャ、って思うかも知れないけど、こういうのって最低だと思うんだよね。だからと言って2万円を「いりません。H井君にあげてください」とは言えないけどさぁ……。でも会社って馬鹿だなぁ……ってつくづく思うよ。

 実際、私の正直な気持ちとしては、私の方が給料低くても文句はないよ。っつーか、働き見てたら当たり前かな……って気がするし。今はそんなに私の方が極度に働きが少ない、って事はないけど、H井君、勉強家な上に、働くの苦痛じゃないみたいだし……。前の会社で有給1日も使わなかったんだって……。信じられん……。私なんか半年しかいなかったN社でさえ有給は10日ほど使ってから辞めたのに……。加えて彼、朝は20分前に来て、絶対に定時には帰らないし……。サラリーマンの鏡だよ……。彼が今後あの会社にとって有益な人物になるのは目に見えてるんだよねぇ……。どうして履歴書だけを見て、そういうことを見ないのかねぇ。(まぁ半年経つ頃には彼の給料の方が断然良くなってるかもしれないけど)

 仕事の給料なんて、働きへの報酬じゃん。どこの学校出てようと、それは数年前の学力の証明、もしくは大学受験できる状況(経済力も含む)だったという証明にしかならない訳で、会社での評価と学歴はイコールじゃないのにねぇ。(それに純粋に頭を使う仕事なんて、そんなにないじゃんねぇ。まぁどの仕事にも要領の良さは要求されるけど)
 会社側も初めて使う人間の評価を何で下したらいいのか分からないから、最初の基準は学歴にしているのかもしれないけど、でも実際に実力のある高卒の人で、馬鹿な大卒に使われているケースは決して少なくないと思う。勿論その逆で、大会社のバリバリのエリートの中には「さすが東大出身!」ってな人も多いんだろうけどさ。(今のところ、実際に見たことないけど) 最初の基本給を学歴でランク分けしようとなんだろうと、事実に気付いた時にさっさと修正が施されるようになっていれば問題はないんだよね。そうなっていないから問題なだけで。
 こういうことを踏まえた上で、日本にいる限り、それはそれは学歴っちゅーモンがかなりしつこく最後までついて回るという現実がある訳ね。

 で、話を兄に戻すよ。
 彼は留学することによって、この日本の学歴地獄から抜け出しちゃった訳ね。今では英語とコンピュータなんて、今後の人生で一番役に立ちそうな2大武器を手に入れて……羨ましいったらないよ……。もちろん何もせずに手に入れたのではなくて、ちゃんとそれ相当の努力の賜物なんだろうけど。それに本人いわく、彼のやりたい分野はコンピュータという学問の中でもビジネスには結びつき難い分野で、そういう点でも色々あるらしいんだけどね。でも少なくとも英語の方はバッチリと見た。先日母が兄に電話を掛けたとき留守電になっていて、その時のメッセージが前半英語、後半日本語だったんだけど、私も聞かされたよ……。前半の英語、凄い流暢だったよ。私が英語が出来ないってこともあるけど、「ナーウ(now)」しか聞き取れなかったよ……(←私の英語力にもかなりの問題がある)
 実際、勉強は本当に大変みたいだよ。大学院の入学試験に合格して一安心したのも束の間、「アメリカの大学は入るよりも出るのが難しい」ってのは本当みたいで、レポートやら試験やらで凄い量の勉強をさせられるらしい。今は学内の図書館と自宅の往復が生活のほとんどとか……。これが正しい大学の姿だよね。勉強するために大学に行ってる筈なんだから。それに比べて日本は……。ま、敢えて多くを語るまい。

 そんでもって、単位を取らなきゃならない教科の平均がB以下になると、即キックアウト(退学)なんだって……。厳しいよねー……。どれかの教科でCを取ると、その他の教科でその穴を埋め合わせるためにAを取らないと合格にならない。でもAはクラスで数人しか取れないらしいので、1個でもCを取るとほぼ自動的にキックアウトらしいんだな。それで、彼は一番ヤバイ教科が勉強したのに全然出来なかったので、「Cを取っちゃいそうだ」=「退学になりそうだ」と言っていたらしいのね。(←母経由の情報なので曖昧) そしたらその一番心配だった教科……Aだったんだって……。33人(前後)中2番だとさ……。
 ──そして今日の日記の冒頭の、うちの家族にとっての嬉しい報告に繋がるんだな。

 なんつーかさぁ……身内だからって言うのではなくて、客観的に見て「凄いなぁ……」って思うんだよね。これは成績がどうこうということだけではなくて(勿論それもあるけど)、ちょっと前に兄と電話で話した時に、彼の仕事に対するビジョンが非常に明確だったってことが、凄いと思った直接の原因なんだけど。この人はサラリーマンじゃないな、って思ったんだ。
 まず、自分に何が出来て、その能力を活かせる仕事は何か、ってことを凄くクリアに考えてたんだよね。何気ない一文だけど、よく考えて欲しい。「自分の能力を活かせる会社に入社したい」って思いを馳せる人は多いと思うんだよ。自分が生き生き出来る場はどこだろう、とか。あとは、自分に合った仕事はなんだろう、と漠然と思っているとか。私も「物書きの道に進むんだ」と決心するまではずっとそう思ってた。でも、これって結局自分の能力開発を自分の力でしようというのではなく、外的環境からの圧力に頼っているんだよね。

 兄と電話で話したときに「ああ、この人はもうどこでもやって行けるんだろうな」って思ったのは、「自分に出来ることは××で、世の中を見渡してそういうプロジェクトをやっている面白そうな研究チームがあったら『俺にはこれが出来るから、どう? 雇ってみない?』って感じに仕事をして行くことが可能なレベルに達している」って感じたからなんだ。もう彼にとって仕事は「与えてもらうもの」ではなくて、「自分で見つけるもの」になっている、というのが凄いと思ったんだよ。彼はきっとこの先、会社に勤めるんじゃないんだよね。仕事をするんだよ。

 今後アメリカに残るのか、日本に帰ってくるのか、ってな話になって、「ベンチャーするならアメリカの方が面白そうなんだよね」とか言っていたけど、このベンチャーに対する話でもひたすら感心するのみだったよ。詳しいことは本題ではないので書かないけど、もうね、なんて言うのかいちいち具体的なんだよ。話の内容が。今まで私も「人に使われるのが嫌だから、起業したーい!」なんて幼稚なことを考えたこともあったけど、兄の仕事に対する考え方を聞いて、「ああ、ベンチャーってのは起業したいと思って始めるんじゃなくて、最初に売りたい物とかやりたいことがハッキリとあって、それを実現するために起業するんだなぁ……」って思った。今更かもしれないけど、実感として「なるほどなぁ……」って思ったんだ……。
 うーん……この感動、伝えるのが難しいな……。

 とにかく、いいなぁ……って思った。努力してこういう結果になってるんだから、「いいなぁ」なんて言う方が馬鹿なんだけどさ。それは分かってるんだけどさ。いや、どうしてこんな一見良いこと尽くめの話をしたのかって言うとだね、兄もここに来るまでに色々あったんだよ。決して最初から順風満帆だった訳ではないのよ。それどころか、客観的に見て、言葉は悪いけど「うだつが上がらない」って部類にちゃんと属されるような感じだった訳よ。それを、努力と根気とチャンスを逃さずに掴んだこととで、自ら輝かしい人生に持って行ったんだよ。(本人がどこまで意識的にそうしたのかは分からないけど)

 こんなふうに20代の後半から人生が上り調子になるってのは素晴らしいことだよね。夢とか希望なんていうのはどんどん磨り減って行って、年を重ねる毎に「輝かしい人生」なんて加速度的に遠い世界の話になっちゃうもんだからね。そんな中、「先が楽しみ」という人生を送ってるってのは凄いと思うんだ。だって、周りを見て普通の会社員で「先が楽しみ」な人生送ってる人って、そんなにいないよねぇ? 特に会社の言いなりになってゴリゴリ働いて、自分の時間を持っていないような人なんか……。どこに楽しみを見い出しているのやら。
 何も「会社を辞めて留学しよう!」などと短絡的なことを言っているのではなくてね。どんな環境にいようとも、どんな手段であろうとも、常に自分のために人生に磨きをかけようという心構えは必要だと思うってことを言いたいだけなの。時間は自分のために使ってなんぼだと思うよ。

 で、結論だけど。
 今はこんなに輝いている兄だけど、これも本当に小さな切っ掛けから始まったことなんだよね。もしも兄が1年半前に「26歳になって留学なんて無理だよ」とチャンスを逃していたら、今の彼はいない訳なのよ。実際私も「留学したからってそんなに簡単に上手く行くかねぇ」って思ってたし。(←鬼か) 
 留学をするかしないかとか、そんな表面的な話ではなく、何かのチャンスがあった時に自分がその波に乗れるかどうかというのは、本当に重要なポイントだと思うのね。で、こういうチャンスはぼんやりしてたら気付かずに通り過ぎて行ってしまうかもしれないんだよね。例えば安定した会社に勤めていて、趣味的に活動していたことで芽が出そうになった時に、会社を捨てることが出来ずにチャンスを逃した、なんて話は現実にたくさんありそうだよね。もしかしたらこの選択は良かったのかもしれないし、もしかしたら大きな夢を叶えるチャンスをみすみすフイにしたのかもしれないし。自分の選択に本人が納得してたらどっちでもいいんだよ。でも後悔するようなことになったら最悪だよね。
 ──で、私なんかは思うのね。何かのチャンスが与えられて、全力でやってみて駄目だったら諦めもつくんじゃないかなーって。私の場合は性格的に、やることやって実力不足で駄目だったら後悔はしなさそう。一番後悔しそうなのは、保身に回ってチャンスを逃した時じゃないかなーって。幸い(?)、今の私には捨てるものがないので、何かチャンスがあったらさっさと飛びつくけど、捨てるものが多い(もしくは大きい)人は色々迷うんだろうなぁ。チャンスが巡ってくる人にとっては、「安定」って言うのは一番の障害なのかもね。

 自分がどうしたら精神的に健やかに、満足して毎日を過ごせるか。私としては、この点に焦点を当てて人生選択をして欲しいです。以上。


 1999年10月20日(水) 寒い話  小雨後曇/残業0:08 
 寒いですねぇ……。季節もそうですが、現実も……。
 いやぁ、先週我が社に入社して、私と同じN**社に出向していた人が、本日辞職しました……。なんでも「C言語が出来る」ということで入社したのに、全然出来なかったから、というのが理由らしいです……。本人の希望で辞めたのか、それとも会社の希望で辞めたのか、よく分かりませんが、寒い話であることだけが明確に分かっております……。
 さてと。職探しか……。(不吉なまま終わる)


 1999年10月21日(木) 「坊っちゃん」似……?  曇/残業0:01 
 昨日、友人Zから面白いメールを貰った。
 ところでさ、今さら「坊っちゃん」読んでるんだけど。感想も今更なんだけど。傑作だね。しかも今読んでるからこそわかる傑作だね。坊ちゃんの1人称で話は進むから、主人公を好きにならないと読んでてもツライじゃん? でもその心配はナシ。主張することは共感できるし、周囲の人物にあだ名をつけつつツッコミを入れるところはおもしろい上にもっともだし、本人天然ボケだし。
 しかもね、こんな文章があったよ。坊っちゃんが松山の学校に赴任して初めて授業した日のこと。


「授業はひと通り済んだが、まだ帰れない、三時までぽつ然として待ってなくてはならん。三時になると、受持級の生徒が自分の教室を掃除して報知に来るから検分をするんだそうだ。それから、出席簿を一応調べてようやくお暇が出る。いくら月給で買われた身体だって、あいた時間まで学校へ縛りつけて机と睨めっくらをさせるなんて法があるものか。しかしほかの連中はみんな大人しくご規則通りやってるから新参のおればかり、だだを捏ねるのもよろしくないと思って我慢していた。」(筑摩書房発行 ちくま日本文学全集『夏目漱石』より

 ……こういう疑問はいつの時代にもあったのかもしれない。ただいつの時代も疑問に思う人は少数派だったんだろうね。そして解決しないで今まで来たから現代の私たちも疑問に思うんだよ。そう、でね、わかってくれたと思うけど、坊っちゃんとタカセって似てるよ〜。
 森鴎外を読んだ時は素晴らしさがよくわからないところもあったから森鴎外の評論を読みたいなあと思ったけど、夏目漱石はその必要ないね。作品そのものだけで充分楽しい。

 いや〜思わず「坊っちゃん」を読んでみたくなるようなメールだよね。本の推薦とかでこんなふうに紹介されていたら読む気もするのに。読みたい心をくすぐるのが上手いよなぁ……。そう思うのは私だけじゃないよね?

 ──で、「坊っちゃん」だよ。有名な作品であるにもかかわらず、ちゃんと読んだことがない……。高校だか中学だかの課題で「こころ」だかを読まされたような記憶があるけど、それ以外に夏目漱石の作品はちゃんと読んだことは1度もない。これを機会に是非読んでみよう。特に「坊っちゃん」は是非とも。だってもう、私、この一文だけで坊っちゃんに共感しまくりだもんなぁ。坊ちゃんの考えは私がこのホームページで叫んでいることと同義語だし、坊っちゃんも私が言うところの「脱サラ」してる人種だよなぁ。屈原(【過去の職場&就職体験記】(1)大企業での地獄/第6話「日記7月7日」参照)の漢文を教えてもらった時と同じ感動……。本当に、こういう考えは時代を超えてあるんだなぁ。そしていつまで経っても解決しないんだねぇ。どういうことなんでしょ……。でもこの作品が長い間読み継がれているというのは、いつの時代にも「坊っちゃん」に共感する人がいて、普遍的な感情だから……なのかな?? どうなんだろう。

 何にしても、あまり誰かに似てるとか言われた記憶ってないけど、言われたと思ったら坊っちゃんか……。はたして「『坊っちゃん』に似ている」と言われることが良いのか悪いのか作品読んでないしよく分からないけど、私的には悪い気しないような……。しかし、一生の内で1回でも「坊っちゃんに似てる」って言われる人って、世の中にどれだけいるんだろう……。謎……。
 そう言えば今気付いたけど、全然別の意味で共感した「星の王子さま」の作者、サンテグジュペリも「地方貴族の家に生まれた坊ちゃん育ちの若者」だったな……。(※詳細は【日常エッセイ】No.20「星の王子さま」参照) 私ってもしかして「坊っちゃん」の考えに共感する「坊っちゃん」気質なのっ?!? 納得行くんだか行かないんだか……。訳の分からん展開になったので、もう辞め……おっと、「止める」だった。いかんいかん。止めておく。


 1999年10月22日(金) 「辛さ」の分析  晴/残業0:01 
 いやぁ、書きたいことは色々あるような、ないような……。例によって例のごとく、仕事が段々辛くなってきた今日この頃……。が、今のPGという仕事の辛さは、今までの仕事の辛さとはちょっと違う気がする。今までの辛さは人間関係とか会社側の方針に納得できないとか、そういうことに対して「辛い」って感じていたけど、今回の「辛い」は今までとはなんだか趣が違うぞ……。

 今までやった仕事は、大手電気メーカーN社でのルート営業(※飛び込み等はなく、既存の顧客に新しいシステムなどを売りこむような営業)、弱小Q社での企画・広報、急成長ベンチャーI社での飛び込み営業……と言うような感じで、どの仕事も社内的にも社外的にも「対人間」だった訳だが、これらの仕事は「対人間」だけあって嬉しい時や楽しい時は本当に「仕事が楽しい!」という状態になれるのだ。と、同時に辛い時は「本当に辛い!!」という状態にもなるのだが……。つまり、仕事上での感情の起伏が非常に激しくなる可能性の強い職種と言える。
 客観的に見ても、私にはそういう職種が向いているとは思うが、今回の職探しに当たって、「もう対人関係の仕事は嫌」ということが1番にあったので、ついついそれと正反対の職……そして、今後のスキルアップに繋がりそうな職……と言うことで、私はPGの道を選んでみた訳だが……。この職種はねぇ……ちょっと特殊だよ。「誰でも出来る職」ではないね。精神的にも技術的にも。感情の起伏も少ない。対人で辛い思いをすることが少ない反面、湿った辛さがあるかもしれない……。

 精神的な面では、私なんかは放っておかれた方が気が楽なタイプなので、この業界の希薄な対人関係は結構好きかも知れないということが分かった……分かったがしかし……。それ以前の技術的な向き不向きで、比較的ハッキリとこの業界で生き残れるかどうかが分かってしまう職種じゃないかなぁ。
 18日の日記にもちょっと書いたけど、この業界に舞い込んでくる人ってなんだか本当にPCを愛してるんだよね。普段の会話の中でもコンピュータ業界の動向だとかごく自然に溶け込んでるし、私生活でも勿論コンピュータ漬けの人も多いみたいだし……。1人暮らしのクセに家にPCが4台あってLANで繋げてるとかいう先輩もいるよ。画面はやたら大きいのが好き、とかいう先輩もいる。私なんか15インチで充分だと思うのに、17インチ以上に異常に拘ってるし。15インチを横に2台繋げて画面を広げている人もいるし……。ま、簡単に言うとオタクが多い……。いや、これは別に悪い意味ではなく……。でもちょっと人間として「……………………そういう態度はマズイんじゃないの?」という人の生息割合が高い業界かも……。態度という点で色々問題を抱えた私にそう思われるんだから、相当なモンだと思うぞ。

 まぁそういう人間的欠陥を補うかのように、専門性は非常に高い職種なのかもしれないけど……。要するに社会ってのは「人間性に欠けるなら専門性を持て。専門性に欠けるなら人間性で補え」って場なんだろうね。私みたいにどっちも持ってない奴はちょっとツライかも……。えへ。
 あ、ソフトウェア業界で働く方、怒らないで下さいね。あくまでも割合の問題を言っているだけで、皆が皆そうだとは言っていませんよ。ただ特殊な世界だということは素直に頷いて頂けますよね?? 何をもって「普通」と言うかの定義は難しいですが、それでもソフトウェア業界には独特の雰囲気があります。これは営業には営業の独特な雰囲気がある、というのと同じことですけどね。

 で、「今の仕事が辛い」という話に戻りますが、今の仕事が辛いのは、単に私が落ち零れだから……。いやぁ、今まで仕事的な面では比較的何をやっても努力もせずに平均以上のレベルを保てていたもので、今回の「周囲の人が普通にこなしていることが出来ない」という辛さを初めて味わっています……。劣等生の気持ちがよく分かるこの頃……。
 仕事上で人に聞かないと仕事が進まなくて、あまり聞いてばかりいると段々嫌がられて、果てには「ふぅ……今度は何が分からないんですか?」って言われるのって、キツイもんだね……。今までどっちかってーと、こういう事を言う方の立場だったからさ……。(←最低……) 自分が分かることを人が分からないと「なんでこんな簡単なことが?」ってついつい不思議に思っちゃったりするもんだよね。でもこう言う態度こそが相手を傷つけてるんだね……。深く深く反省したよ、アタシャ。

「何が分からない」って、自分が何が分かっていないか分かれば、それはかなり分かっている状態ってコトなんだよね。「何が分からないかも分からない」って混沌状態が一番精神的にキツイんであって……。良い経験してるよ、まったく。こんなことは経験せずとも分かれって感じだけど、やっぱりどんなことでも頭で想像するだけじゃ心は動かされないんだよね。経験して初めて血となり肉となり……。──私、もしかして自己弁護に走ってる??

 ウチの父親はソフトウェアの世界には精通している立場の、更にはエリートに属される人間なんですが、嫌ですね、こういう人って。出来ない人の気持ちがまったく解からないんだから……。私が「今さぁ、プログラムが全然分からなくて、会社で落ち零れてるんだー……」って零したら、心底驚いた顔して吐き捨てるように一言、
「お前、馬鹿か?」
だって……。鬼か……。なんだよ、この台詞は……。私の方がびっくりしたぞ。我が父ながら「この人本当に、家族がいなかったら誰にも愛されないぞ……」ってちょっと思っちゃったよ……。まぁ(屈折してはいるけど)良いトコロも(歪んではいるけど)可愛いトコロもある人なんだけどね……。ただ人が落ち込んでいる時とかに励ます方向には絶対に持っていかない人なんだよ……。傷口に塩を塗りこむタイプ。それが「可愛い子には旅させろ」って根拠から生まれる行為ではなく、単に人間的な粗雑さから発生する行為だ、ってトコロが非常に娘心を複雑にする要因なんだけどさ……。いや、総合評価としては敬愛する父なんだけど……。なんてゆーか……ごにょごにょ……。

 何にしても、先日友人Zと遊んだ時に、それはそれは朝から晩まで食べまくって、その時に彼女に言われたんだよね……。
「タカセ、今はストレスないんだね」
って。それまでの会話にまったく関係ない、いきなりのこの台詞の意味が分からなくて、「なんで??」って訊いたら、彼女の答えが秀逸だったよ……。
「だってN社にいた時、一緒にご飯食べに行ったら、タカセってばお好み焼き半分も食べない内から『お腹一杯……』とか言ってたじゃん。ホント、分っかりやすいよね〜〜」
 言われて初めて自分の現在のストレスの少なさに気付いた……。自分を理解してくれる友人がいるって大切だよね……。
 彼女の言う通り、N社で辛かった時や失業中の不安定な時期、私の食は凄く細くなって、全然食べられない状態が続いたことがあったんだけど、今は「辛い」と思っていても食欲が旺盛なところを見ると、私ってば「この辛さは時期的なもので永続的なものじゃないな」と深層意識で思っているらしいんだよね。私もね……精神的に弱っちくて自分でもちゃんちゃら可笑しいんだけど、もうこういう自分にもいい加減慣れてきた。浮き沈みの激しい自分と付き合うのも結構大変だけど、コツを掴むとコントロールは出来るようになってくるんだ……はは。

 っつーことで、私が「落ち零れてて辛いよー」ってなコトを書いたら、週末に届いた友人Zの返信メール。
 そうかー。今までタカセ、会社の悩みって人間関係や仕事の仕方とかで、周囲に納得できない、というパターンだったから外に発散できたもんねえ。自分が原因の場合って、発散しにくいよなあ。
 ところでね、昨日初めてカウンセラー養成講座に行ってきたのさ。コミュニケーション論の話から、
「コミュニケーションすることで人間はストレス発散もできる。誰かと話すという方法だけでなく、日記に書くとかね。何かを書くということも自分自身とのコミュニケーションなのです。だからね、ある編集者の人に聞いたんですけど、作家というのはひどく傷ついた人も多いんですって。それを発散させる方法としてモノを書くという形を取ってるのね云々……」
 ──聴きながら思わず誰かを彷彿としてしまったよ。

 何も解決はされてないし、下手な励ましも一切ないけど、不思議と辛さから解放されるのはナゼ……? まぁ友人Zがどこまで考えてこのメールをくれたのか分からんが、状況を客観的に遠い目で分析されると、落ち込む気持ちが冷めて行くってのは私の特徴みたいでね……。その特徴を非常に的確に突いたメールだったんだな、コレが。
 ホント、私、友人には恵まれてるよ……。金曜日の昼は大学時代の友人とランチして元気出たし、土曜日には高校時代の友人に会って元気出たし。皆それぞれにクセがあるので、なんかこう……「私も頑張ろう」って気になるんだよねぇ……。こういうことから考えれば、会社でちょっと上手く行ってないなんてのは小さなコトかもね。就職という意味ではからきし上手く行っていない気がするけど、友人に恵まれている事実を考えると、神様もそこら辺の采配は振るってくれてるのかもね。感謝しておこうっと。


 1999年10月25日(月) 蔓延する風邪……  晴/残業0:04 
 最近、風邪はやってませんか……? 私も先週末から喉の調子がおかしくなり、今朝、完全に風邪と判るほどに喉の痛みが酷くなっておりました……。頭も痛いし、熱が出てるのかも……。熱を計ると休みたくなるので、敢えて計りませんでした……。何にしても会社に行くのが嫌な理由は増える一方ですね……。くそぅ……。
 第一、狭い部屋にぎゅうぎゅう押し込められて、そこら中でゴホゴホやってるんだもん……。今まで伝染しなかった私の抵抗力に万歳!って感じだよ……。隣に座ってるH井君なんか、先週からずっと「熱ある……」とか言いながら休まないんだもん……。そんでもって「死ぬんちゃうか……?」ってくらい激しい咳をガンガンしてるし……。休んでくれよ……。
 周りに熱が出社している人が大勢いるので、喉が痛いなんて可愛らしい理由では100年経っても休めそうにありません……。これでまた実力があれば良いけど……落ちこぼれってあらゆる面において辛いものだね……。
 っつーことで、今日は養生のため早く寝ます。


 1999年10月26日(火) そろそろ残業  晴/残業1:34 
 風邪、完璧です。そして残業……本格的に始まった模様です。詳しいことは週末に書きます。


 1999年10月27日(水) ビジネス禁句  曇後大雨/残業0:15 
 誰が知りたい訳でなくても、私の記録のために……まずは風邪の経過から。喉の痛みは無事通過し、鼻を抜け、本日は目に来た。哀しい気持ちも相俟って、涙が出る。(←私も相当疲れているらしい……) 毎度お馴染みの風邪巡礼一式を無事経過しているみたいなので、明日か明後日にはほぼ終了しているでしょう。

 そして業務報告……。
 今日は昼休みもろくに取らずにフル活動して、どうにか残業せずに帰ってきた。とりあえず、私が落ち零れなのはもう基本知識としてOKってことで。(いや、全然OKじゃないんだけど……) でも私は今の自分と先輩の関係を客観視して、昔私が家庭教師してた頃の出来の悪い教え子K子ちゃん(はっ! 伏字にならんっ!!)のことを思い出しちゃったよ……。
 当時小学4年のK子ちゃんはねぇ、そりゃもう出来が悪くて悪くて……。(詳細は【日常エッセイ】No.1「植木算の受難」参照) 何を教えても理解しない、何回教えても判らない……という彼女に、青かった私は何度キレそうになったことか……。私が「解かった?」って訊くと、K子ちゃんは必ず「解かりました」って答えるんだけど、ちょっと説明させると彼女が解かっていないことが直ぐに判るんだよねぇ……。

 ──で、だ。多分、今私に教えている先輩も、私に向かって「解かった?」って訊いて、私が「多分、理解しているかと……」って答えても、その後の私の言っている事から判断して、「ああ、コイツは何も理解していないな」って判っちゃってるんだろうなぁ……って思うんだよね。
 私の推測がただの当て推量でないことを裏付けるかのように、先輩ったらその度ごとに深く溜息なんか吐いてるし……。そんなに演出しなくても、先輩が呆れてることは私だって解かってるってば。加えて言うなら溜息吐かれても私の理解度は上がらんのだよ……。と、ちょっぴり思っちゃったりもするけど、基本的に馬鹿は黙っているより他に許される道は用意されてなかったりするんだよねぇ。
 きっとK子ちゃんも、私に溜息なんか吐かれちゃったりして辛かっただろうな……。毎週木曜日が憂鬱だったに違いない……。こんなトコロで謝っても何も始まらないけど、ごめんよ、K子ちゃん。若かりし頃の私の暴挙を許して……。

 と、まぁ、出来の悪い者の気持ちを十二分に理解している今日この頃。私は今後どんなにお得意の職についてブイブイ言わせようとも、その周囲に出来の悪いお馬鹿さんがいて、その人に何か教えなきゃならない立場になろうとも、絶対に口にすべきではないビジネス禁句を体得したよ。
 私も大概、自分が調子良くなるとこういう辛い時期の気持ちを忘れがちな人間だけど、今回ばかりは学習した。っつーか、いい加減学習すべき……。ってな訳で、ビジネス禁句、まとめておく。以下の禁句を日常業務の中でうっかり使っている方、気を付けましょう。職を変えれば明日は我が身です……。
(1) 「ふぅ……。何が分からないんですか?」
【解説】 後半のみではただの親切な先輩からの一言ですが、前置詞「ふぅ……」が付加することで印象は大きく変わります。この「何が分からないんですか?」の前に「一体」ってな言葉を飾っても同等以上の効果が現れてしまう恐れあり。要注意。教える側の親切心が見え隠れする分、ダメージポイント50ってとこでしょうか。ちなみに、何度も言いますが、何が解からないか判る人は結構解かっているのです。本当に解からない人は、自分が何を解かっていないのかすら判らないのです。そこんトコ、ヨロシク。

(2) 「これ……以前にも教えましたよね?」
【解説】 一見ただの疑問形ですが、その裏には「何度も同じコトを言わせるなよ」という意味が隠されていることを簡単に相手に悟らせます。この言葉を使う大体の人が、相手にプレッシャーを与えたいがために使用しているのでしょうから、それはそれで成功と言えますが、慇懃無礼な分、使われた方もちょっと頭に来ます。でもダメージポイント70。言われる側が素直な人ならこんな容赦ない言葉に傷付くだけでコトは済みますが、ちょっとヒネた相手に使ってしまうと、心の中で「1回聞いて解かれば世話はねーんだよっ。さっさともう一度教えやがれ!」とか罵られちゃいますよ。まぁ言う側の方が圧倒的に優位なので、お馬鹿さんに心の中で罵られようが、痛くも痒くもないでしょうけど……。

(3) 「えぇっ?! これはもう解かっていて欲しいトコロなんだけど……」
【解説】 段々直接的になってきましたね……。最初に驚きを入れてアッパーカットを食らわし、その後しんみりとボディブローで責める……ダメージ大きいっス。こうなるともう、相手もこちらのことを考えて言っている、というより、その場の苛立ちをとにかく言葉にしてみた、って感覚がグンと強まりますね。大丈夫、そういう苛立ちはしっかりお馬鹿さんに伝わってます……。痛いっス……。ダメージポイント90。

(4) 「……自分で考えてください」
【解説】 この言葉から判断するに、どうやら教える側は何かを超えちゃったみたいですね……。この台詞を吐かれて初めて、お馬鹿さんは気付く訳です。「どんなにキツイ言い方をされようと、教えて貰えただけマシだったのかも……」と。それまで心の中で「教え方が悪いんじゃい」とか「解からないもんは解からないんだよっ!」とか、密かに強気の姿勢を取っていたお馬鹿さんも、この言葉にはお手上げです。だって、もう救いの道が残されていないんですもん。生意気なお馬鹿さんには有効な言葉でしょうが、生真面目なお馬鹿さんに使ってしまうと、本当に傷付くかと思われます。もしかしたら明日から会社に来なくなっちゃうかも。使い方一つで凶器になる恐れあり。要注意。ダメージポイント50〜100。受け止め方一つで大分ダメージは違ってくるかと思われます。

(5) 「大丈夫大丈夫。いずれ解かるようになりますよ」
【解説】 微妙な言葉です……。本心なのか、もう目の前の馬鹿と付き合いたくないから咄嗟に吐き出した言葉なのか……。言い方、言葉のキレ、表情、声音、状況、トーン……すべての要素を綿密に計算して初めてその真意が明かされるので、一概に評価することは出来ません。もしかしたら言っている本人も、自分が何を考えているか解かっていないかもしれません。ダメージポイント不明。

 とりあえず、以上です。また何かあったら追加してゆきます……。そういや今日の夕方、雨が横から降ってたね……。ちょっと驚いた……。


 1999年10月28日(木) 脅しなの?  晴/残業0:05 
 いや〜PGの仕事って、本当にムラがあるねぇ。あんなに暇だった1ヶ月ほど前の面影は、現在まったくないよ。今9:30〜18:00まで一時も休まずに仕事してるよ……少なくとも私は。それなのに今日、先輩に「残業が出来ないならそれ相当に、休日出勤とかしてもらわないと……」と言われた。これはやっぱり脅しなのかな?? 私があんまり定時にスタコラサッサと帰るのでムカついてるの? そんなこと言われても、私、一応ギリギリ自分の持ち分の仕事はかろうじてこなしてるし、休み時間もなく働いてるんですけど……。皆が雑談してるときもセッセコ働いてるのに……。でもこんなふうにガツガツ働くと、「休みを取らないと効率良く仕事できませんよ」とか言われちゃうし……。じゃあ残業して休日出勤すると効率良く働けんのかよ。まったく。
 11月1日締め切りの修正プログラムが5本……現在3本までテスト済み。2本は完全に手付かず状態。さぁ、私に週末はあるのか? でも今更なんと言われようと、今週末は友人Zと富士五湖に紅葉観に行く計画を立てちゃってるんだってば……。
 ──マジな話、私がいつまで持つのか……段々賭けたくなってきたよ。今のところ最低線1年は勤める予定なんだけどさ……。(当初2年と言っていたのに、いつの間にか半分に短縮されてるし) どうなることやら。


 1999年10月29日(金) 想像残業  晴/残業1:05 
 なんだか今月はどっと疲れました。時間内休憩なしでびっちり働いているので、残業時間こそ少なくても、家に帰ってくるとヘトヘトで何もせずに寝る日が続きます……。それにしたって、今月の勤務表をまとめてみたけど、残業時間が4時間行ってないということに私は腰抜かしそうになったよ……。こんなにズビズバ働いてる気がしているのに、残業はたった3時間半……。残業が40時間とかいう人の人生ってどんなんよ……。100時間とかに至ってはもう想像すらできんわ。
 なんだか自分の想像の世界で残業をしすぎて、現実では余りしていないにも関わらず、苦しんでいるみたい、ってな事実はありますね……。だってねぇ……私、最近じゃ夢の中でもプログラミングしてるもんなぁ。修正加えた箇所とか、夢の中で間違いに気付いて切羽詰った感情に急かされて、朝、ゼィゼィ言いながら目が覚めるんだ……。ハッキリ言って馬鹿モノですが、疲れるんです……。

 っつーことで、今週末は富士五湖の紅葉で心を洗ってきます……。




1999年10月の勤務表
 出勤日数 20日(うち休出 0日)/勤務時間 153:32  欠勤日数 0  有給休暇 0
 月残業時間 03:32  日平均残業時間 0:11  今月最高残業時間 1:34/26(火)
 【一言】 徐々に何かが始まっているような予感がしますね。気のせいじゃなくて……。


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