stay in IRELAND

愛蘭滞在記(6)〜Ennis編A


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 一連の返金請求劇を経て学校の校長と冷戦状態に突入しようと、クラスメイトと先生に恵まれて順調な滑り出しを見せている今回のエニス滞在。大家さんとも微妙な関係を築けて、これはこれで面白く、毎日楽しく生きています。ただ、今回は勉強に集中する期間の筈で、楽しいばかりではイカンのです。
2003年2月1日(土)〜2月28日(金)の小見出し一覧
 2/1(土) 独り食の祭典  2/2(日) 久方振りのサバ  2/3(月) 思い立ったらスペイン
 2/5(水) リビアという国  2/6(木) 持ちつ持たれつ  2/7(金) 愛蘭映画考
 2/8(土) 2人でインド映画  2/9(日) コリアン・パーティー  2/10(月) そろそろ勉強シーズン
 2/11(火) 嫌われる中国人  2/12(水) 29歳の学生証作成  2/13(木) 報道姿勢と国民性
 2/14(金) バレンタインデーから考察  2/17(月) 英語力と表現能力  2/18(火) たらい回しとその被害
 2/19(水) 被害の拡大  2/21(金) ベルギーの国民性  2/24(月) ベルギー人の破壊力
 2/25(火) 暴君校長とその被害  −  −


2003年2月1日(土) 独り食の祭典
 今回の留学を機に始まった独り暮らしに自炊生活ですが、これが想像以上に楽しんでおりまして。一生料理なんかしないんじゃないか……と自己分析をしていた私としては驚くばかりです。
 去年の6月末、ゴルウェイでの寮生活を切っ掛けに自炊生活に突入した訳ですが、あれから7ヶ月経過して料理の腕も随分上がりました。いえ、正確には「料理の腕」が上がったのではなく、単にレパートリーが増えただけ、というのが本当の所かもしれませんが、そういう物理面の成長だけでなく、何よりも私自身が料理を楽しんでいる、という精神面の成長がポイントなのであります。

 ともあれ、アイルランドという食材の乏しい環境で磨かれる料理スキルが正攻法のものであるはずもなく、私の「料理が好き」という言葉には胡散臭さが多分に篭められていることを正直に記録しておきましょう。
 そう、私は確かに「料理が好き」ですが、「料理が上手い」と言っているのではありません。己の状況を客観的に判断するならば、私の「料理が好き」はまさに「下手の横好き」に分類されるソレではないか、というのが最近の結論ではありますが、自分で食べて美味しいと思っているのだから、終始自己完結、幸せなのであります。

 恐らく私の「料理」とは繊細さを欠く「男の料理」で、科学が何たるものか全く分からずに、しかし実験は大好き、という子供と同じノリで毎日の料理を楽しんでいる、というのが一番現状を的確に表している気がしますが、男性特有の「料理は好きでも後片付けはしない」「こった食材を使った料理を作りたがる」「妙に調理器具を揃えたがる」「冷蔵庫の状況を考えずに料理を作る」ということは全くなく、常に常にスペシャル・オファーになっている安い食材と現在の在庫との兼ね合いを念頭に置き、物を腐らせないように食材を使い、後片付けも食事を食べ終わる前にしてしまう自分に、XXの染色体の存在をひしひしと感じるのでした。やったね!(←逆に可哀想……)
 留学生は料理にこり始める人とそうでない人とに完全に分かれますが、面白いのは、男の子は結構料理にはまる人が多いということです。しかし趣味で料理をする男の子と、現実地続きの生活習慣として料理をする女の子の違いでしょうか、(少なくとも日本人の)男性陣の料理は現実を踏まえていないというか、地に足が着いていないケースが多く、やはり家庭を切り盛りするのは女性が向いているんだな、と変なところで性別適性職業を省みてしまうのでした。中国人の男の子の料理の腕は現実を踏まえた上にプロ並みですけどね。

 料理を作ること自体ももちろん楽しんでいますが、料理を通して自分の変に規則正しい性格が垣間見えるので、これがまた自己分析としても楽しめます。料理を通して垣間見える規則正しさとは何なのか――自炊生活の初期、まだレパートリーが多くなかった頃、友人に宛てたメールの一部をそのまま転載しましょう。
 自炊すれば大人という訳ではないから。一人暮らししてもしない人はしないだろうし。私はというと、時間に余裕があるので結構ちゃんと作ってるのだ。毎日同じようなメニューだけど……。
 今は米も炊いて、三色ご飯とか作ってるよ。こっちの肉は臭みが強くて同じ味にならないけど、醤油とひき肉と卵があれば取り敢えず出来るから。味噌も手に入れて、今度味噌汁作ろうとか言ってるし。

 でも当初心配していた「栄養が偏るんじゃ……」というのは無用の心配だった。偏るどころか、めちゃ健康だよ。野菜を凄い食べてる。ってーか、ほとんど毎日野菜しか食べてないってーか、毎日ピーマン、人参、玉ねぎ、トマト、ズッキーニ、タナップ(アイルランドの特産品)、セロリ、ジャガイモのフルセット使って、スープかスパゲティのソースか、リゾットかを作っているので、恐らくメチャ健康!
 バラエティに富んでないけど、毎日同じような味でも取り敢えず飽きないで食べてる。こんな毎日を繰り返す中で、肉を食べたことはほんの数回しかないくらいだし。肉、高くてねぇ……。なかなか手が出ないよ……。

 私は料理は出来ない方なんだけど(こんな私より下はいるのだ)、几帳面な性格からか、こうと決まったレシピが出来ると、結構真面目に忠実に毎日キッチリ作ってるよー。「朝は栄養バランスのためにバナナ1本、ヨーグルト1個、ミルク1杯、シリアル1皿食べなくてはならない。夜は野菜スープ1杯、メイン1皿、ジャガイモ1個、リンゴ1個、オレンジ1個食べなくてはならない」って感じで、忠実に毎日そのメニューに従って食生活を送っている感じ……。いやー、自分の性格が面白いよ〜。

 本当に、こうと決まると一直線なの。単に料理の腕がないからなんだけど、ファジーなものは一切作れないんだわ。同居人のナツコが新しいレシピを教えてくれると、そのレシピがそれ以後均等に現れるの。最初A、Bというレシピしか知らなかった時は
   A、B、A、B、A、B……
ってメニューだったのが、Cを覚えると
   A、B、C、A、B、C、A……
になって、Dを覚えると……ってことを、面白いほど忠実に繰り返してる。性格だねぇ……。

 あと、買い物がやはり慣れてないせいか下手なので、何か買うと、それが無くなるまで同じようなメニューを繰り返す、ってことは結構ナチュラルにしてるねぇ……。でも面白いよ。
 時間に余裕のある生活を送れる環境下で自活を始めて本当に良かったと思う。これ、日本で始めたらもっとおざなりになりそう。下手に便利だし、レトルトに手を出しそうだし。こっちで定着させてからだったら、すんなりと習慣化できそう。基本的な食材だけでどうにか夕食を作る術を学んでいるので……。
 本当に、何もかもが良かったよ。自炊を始めると生活が桁違いに楽しくなるね。

 こんなふうにルンルン気分で幕を開けた自炊生活ですが、その後もこの桃色の気持ちが衰えることはなく、それどころか「巻き寿司」「肉じゃが」「親子丼」「野菜炒め」……などが徐々にレパートリーに加わって行き、買い物にも慣れ、このメールで言っているような「ファジーなもの」が作れるようになったところで、2002年10月にアミットからカレーの作り方を教わったことにより、私の食メニューはカレー一辺倒になって行くのです。
 とにもかくにも偏った性格なもので、カレーを作り始めるようになると「チキンカレー」「ほうれん草カレー」「ビーフカレー」「豆カレー」「ヨーグルトカレー」「芽キャベツカレー」とカレーばかりの繰り返しになり、そういうカレー期間が今年の1月中旬まで続きました。
 そして先月12日、リビア人の友人宅でクスクスを食べて開眼したことにより、その後10日間ほど毎日クスクスを食べ続け、そして先月末、韓国人の友達が作ったビビンバに感激し、早速作り方を教えてもらうと、その後毎日ビビンバを食べている、という状況に陥っています。
 このビビンバ熱は結構長く続きそうな予感がしますが、コチジャンが切れた時点で強制的に終了する食の祭典なので、たまには他のものを食べつつ、隔日でビビンバにしようかなぁ……などと悩みつつ、独り食の祭典に現を抜かす生活を送っているのでありました。

【追記1】
 去年の10月、カレーを習って以来、インド料理、リビア料理、韓国料理と辛いものばかり食べていますが、辛い食べ物というのは常習性があるらしく、一度ハマると習慣化され、普通に日本食を作った時でさえ「何か味が足りない……」と何にでも七味を振り掛けるようになってしまいました……。アイルランドに来て辛党になって帰るってなぁ……。

【追記2】
 大きな街にある中国食品店では日本、韓国、中国、タイなどのインスタントらーめんが購入できますが、どの韓国人も強烈に薦めるらーめんがあります。それが「辛らーめん」です。


激辛「辛らーめん」 アイルランドでは1.25ユーロ(約160円)

 私のような若輩者は素の辛さでも充分で、食べるだけで口が痛くなるのですが、辛いものが大好きな韓国人はこれに更にチリパウダーを加えて食していました……。日本で手に入るのか定かではありませんが、辛いものが好きな方にはオススメのらーめんです。

【追記3】
 その後、複数からの情報により、日本でも「辛らーめん」が売っていることが分かりました。まぁ食に関して後進国のこの国で手に入るものですから、日本で手に入らない訳がない、と考えて良さそうですね。しかも韓国からこんな僻地まで来ているものです、どうしてお隣の国に来ない訳がありましょう。日本では平均100円程度、激安店では58円で購入できるようです。いいなぁ……日本って……(食に関しては)。


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2003年2月2日(日) 久方振りのサバ
 本日立派な鯖を丸々2匹手に入れました。どう調理しようか悩みましたが、やはり魚は焼き魚が1番。しかし魚網がないこの国では、丸ごと1匹オーブンに突っ込む、という方法しかありません。
 久し振りの焼き魚にウキウキしながら鯖が焼き上がるのを待っていると、オーブンからもぅもぅと溢れ出る煙、そして……警報機が鳴り響き、この警報機を止めるのに数十分掛かってしまうわ、家中に魚の臭いが充満してしまうわ、フラットメイトたちからかなり顰蹙を買ってしまったのであります……。
 ま、美味しかったんですけどね……。翌朝台所に立ち寄ると、ぷーんと魚の臭いがして、かなり長いこと罪悪感に苛まれましたが……。残ったもう1匹の鯖は、煙が出ない方法で調理をしなければならないようです……。

【追記】
 後日、煮魚でどーよ、とのことで鯖を煮込んでみましたが、焼いた時ほどではないけれど、やはり臭いが立ち込めてしまい、もう魚は購入できないかも……という結論に落ち着きつつあります……。鮭とかなら臭いも許せるのかもしれないのですが、安い魚はもう買えないカモ……。


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2003年2月3日(月) 思い立ったらスペイン
 今回の10週間コースが終わると次のコースが始まるまでに2週間の休みが得られます。当然この期間を利用して国外旅行するつもりで、その目的地はインドと決めていたのですが、渡印先の道標、ソウルメイトのアミットの結婚式が3月に延期になり、丁度私が渡印する頃に新婚旅行に行ってしまうかもしれないということや、たった2週間でインドに行くのは厳しいカモという現実を踏まえた上で、渡印を延期することにしたのであります。
 渡印は諦めましたがそれに代わる代替案がある訳でもなく、積極的に旅行が好きという訳でもないために、例によって例の如く何も考えずに日々を過ごしていましたが、クラスメイトたちが「RYANAIRでバーゲンやってるよ! ロンドン・スタンステッドからフランクフルトまで1ユーロだって!」などと興奮気味にネット予約している状況が視界に映り、前回のフランス/パリ同様、さしたる目的意識も持たぬまま、ふらふらとネットの世界を彷徨います。
 そして前回のフランス/パリ旅行を決めた時(詳細2002年11月9日参照)と同様の過程を経て、自分の行きたい場所ではなく、単に様々な制約を乗り越えた結果絞りこまれた空港、スペイン/バルセロナ行きを急遽決定したのであります。

アイルランド/シャノン − イギリス/ロンドン・スタンステッド − スペイン/バルセロナ

という経由でスペインに乗り入れる訳ですが、シャノン−スタンステッド間が片道10ユーロ(約1300円)、スタンステッド−バルセロナ間が片道20ポンド(約3800円)という最低価格の網の目の潜るように日程を調整し、いざネット予約に進みます。大雑把に計算して、「10ユーロ×2+20ポンド×2≒100ユーロ(約13,000円)」かな……などと優雅に覚悟を決めながら着々と予約を確定して行くと、手元に残った請求書は以下の通りでした。
Total for 1 Passenger

* Shannon (SNN) − London Stansted (STN)
   Fare Price 20.00 EUR
   Taxes 34.15 EUR
   Eur Handling Fee 5.0 EUR
  Total Price 59.15 EUR

* London Stansted (STN) − Barcelona Girona (GRO)
   Fare Price 39.98 GBP
   Taxes 18.08 GBP
   Gbp Handling Fee 4.00 GBP
  Total Price 62.06 GBP

TOTAL 59.15 EUR + 62.06 GBP = 153.48 EUR = 20,000 yen

 表記価格が10ユーロでも、その裏で待ち受ける税金が商品価格よりも高いとは……くっ……やられた……。

 想定価格の1.5倍で旅行する羽目に陥ってしまいましたが、日本から行くよりは断然安いので、この機会を存分に利用してちょっくらスペインに飛んできます。

【追記】
 世界情勢が不穏な流れに乗る中、最も危険視されている3月中〜下旬に旅行をする予定を立ててしまいましたが……大丈夫なのかなぁ……。中止にするべきなのだろうか……。


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2003年2月4日(火) 小休憩
 最近徐々に暖かくなってきたかな〜……と油断していたら昨日今日とめっちゃ寒くなりました。明日は雪が降るのでは……ともっぱらの噂……。


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2003年2月5日(水) リビアという国
 世界(地図)に疎いもので、リビアと聞いてもどこにあるのかピンと来ませんでしたが、なぜか私が今通っている学校にはリビア人が多く、私のクラスにもリビア人が1人いることから、リビアという国の話をよく耳にするようになりました。
 ほとんどの方が知っていることかもしれませんが、私のような人のためにまずは基本情報から。北アフリカ、地中海に面しているエジプトとアルジェリアに挟まれた石油大国リビア――要してしまえばお金持ちの国です。私は「お金持ちの国」というものがどういうものなのか、その在り方を積極的に考えたことすらありませんでしたが、彼らを通してお金持ちの国の生活を窺い知る度に、これが国が根本的に豊かということなのか、と打ちのめされたような気持ちになります……。
 彼らは努力をして豊かになった訳でも、能力的に優れた何かを駆使して富を築いた訳でもなく、単に石油が採れる国であった、というだけの理由で豊かさを享受しているのです。

 学校に来ているリビア人は全員、国から助成金を貰って留学している人たちで、授業料は全額国が負担していると言います。そのため最も安い一般コースに加えて最も高い1対1のコースや午後の特訓コースなども自由自在に選択可能なようで、かなり贅沢な立場で留学をしている訳ですが、9ヶ月前にはアルファベットも知らず「Yes」「No」しか言えなかったレベルの人が、今では大学に申し込みが出来る程度に成長していたりと、単に優雅に遊学しているのではないことは確かです。

 授業中に何かの話でリビア人が国での生活を紹介したことがありましたが、これが結構私的に衝撃でした。彼は26歳長男で、政府関係の機関に勤めているのですが、おおよその生活スケジュールはこんな感じです。
「仕事は7時から始まって14時で終了、昼休みは1〜2時間ほど。14時以降は街で遊んだり家で寛いだりして0時前には就寝」
 ………………日本の小学生の方がよほど大変に違いない。
 私が日本のサラリーマンの生活スケジュールを大雑把に説明すると、彼は心底驚いて吐き捨てるように言っていました。
鷹瀬 「仕事の開始時刻は8〜9時だけど、大抵の人は仕事場から離れたところに住んでいるので、家を出るのは1時間前。昼休みは当然1時間、会社によっては45分。会社の規則では休憩を除いて8時間労働が平均的なので、17〜18時で終わることになっているけれど、大抵の人は定時で帰ることは出来ない。業界によっては月の残業が40〜60時間というのも珍しいことではないので、毎日平均2〜3時間残業していることになる。毎日のように深夜帰宅している人も多くはないけれど珍しくもない。少なくとも私がいた業界では休日出勤は当たり前、多い人は毎週レベル、1回も休日出勤をしたことがない人を見付けることは不可能」
リビア人 「僕は絶対に日本では働きたくない」
 ……ってか、無理だよね。

 石油が採れるということが、こんなにこんなに人生に影響してくるんですね……。今まで考えたこともなかったので、ちょっとカルチャーショックを受けました。日本のように資源に乏しい国では、人の命を燃やして行かないと富を築くことは出来ないのでしょうか……。
 人間の中にも生まれながらにハンサム、生まれながらに美人、生まれながらに美声の持ち主、生まれながらに……とポテンシャルの差があるのですから、まぁ当然国の間でも元来から石油が採れる、元来から働き者気質、元来から……とポテンシャルの差があるのでしょう……。そしてその差によるその後の人生は大きく変わってくるはずです。
 元来から働き者気質よりも、元来から石油が採れたら……日本は一体どんな国になっていたのでしょうかね……。しかし暑くて暑くて働く気が起きない場所で石油が採れるというのは、もしかすると神様の粋な計らいなのかもしれません。四季が豊かで微笑ましい環境の中ではヤレ働けソレ働け、ということなのでしょうか……。そういうことなの? 神様ッ!?!

 取り乱したところで別の話題です。
 リビアの刑法について。リビアは犯罪に対して非常に厳格な国だそうで、彼がこんなことを言っていたのが印象に残っています。
リビア人 「リビアの刑法は他の国に比べて厳しいと思うよ。例えば何かを盗んだとして、最初は刑務所に数年行くことになる。でも同じ人間が同じことを繰り返した場合、次は刑期が長くなって、数年〜数十年刑務所に行くことになる。そしてもしも同じ人間が再び犯罪を繰り返した場合、3度目は腕を切り落とす。だから街でもたまーに腕がない人を見掛けたりするよ」
鷹瀬 「国の人はその刑法をどう思っているの? 賛成しているの? それとも変えようという動きはあるの?」
リビア人 「みんな賛成していると思うよ。僕もこの刑法には賛成だし。お陰でリビアでは犯罪率が凄く低いんだ」
 こういう話は難しい上にデリケートなので簡単に言い切る訳にも行きませんが、私はこの「3度繰り返した場合は腕を切り落とす」というのは良いんじゃないかな〜とか仄かに思っています。いきなりではなく2回の猶予があるのですし。しかし、その場にいた韓国人もベルギー人もアイリッシュの先生も眉をしかめて「そんな!」と非難していたので、私のように賛成側に立つ人は少数派なのかもしれませんが、日本の動機なき犯罪と犯罪者への手厚すぎる保護、反省のないケースなどを見ていると、たとえ厳重な刑罰が根本的な解決にならないと分かっていても、被害者の報復感情のケアという意味で「殺さんでいいから腕ぐらい切り落とせ」とか思ってしまうのです。
 勿論、一番しなければならないことは腐りきった教育土壌の見直しと、荒み淀んだ社会の変革なのですが、応急処置という意味で……。

 ま、何にしてもリビアという国は非常に興味深く、日本からよりもアイルランドからの方が断然近いので、機会があれば行ってみたいなぁ……と思うのでした。

【おまけ】
 リビアは一夫多妻制、最大3人まで妻を娶ることが出来ます。妻を複数持つ基準はただ単に「金」、要するにお金持ちなら3人妻を娶るし、貧乏ならば1人、と……。しかし未婚者は滅多におらず、おおよそ20%程度の人が最大数である3人の妻を持っており、平均は2人だそうで。そこに愛はあるの?と聞いてみましたが、根深い文化の違いに「妻を複数持つことの何が悪いんだ?」と純粋に聞き返されてしまいました……。文化ってなぁ……。


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2003年2月6日(木) 持ちつ持たれつ
 1月21日の日記で紹介したように、大家さん一家は私のことが大好きです。それもその筈、私の位置付けはもはや「下宿人」ではなく「カスタマー・サービス」なのですから……。

 昨晩遅くに大家さんから「マウスが動かなくなってしまったので強制終了したら、その後PCが起動できなくなったので、見て貰えないだろうか。勿論お金は払う」との電話が入りました。大家さんからのヘルプコールは大抵の場合、深刻な問題ではないと学習済みだったので、最後の1文がなくとも遊びに行くがてらに気軽に見に行くつもりですが、「お金は払う」などと言われると「絶対に直さなければならない」というプレッシャーが掛かるので困る気持ち半分と、正直に言えば「やったね!」という素直な気持ちが半分です。
 基本的には貰えるものは貰っておきましょうというのが私の信条なので、無事直せた暁には遠慮なく受け取ってしまうのでしょうが、そこら辺はワタクシも礼節を知る日本人の端クレですから、取り敢えず確信犯で「お金なんて結構ですぅ」なんぞとしおらしく言ってみせ、翌日の都合を合わせます。
 そして本日、ひとつの企みを胸に隠し持ちつつ、授業後に学校に現れたお迎えの車に乗り込み、大家さん宅へ出張修理に赴いたのであります。

 胸に隠し持つ企みとは何か――。話は3日に予約したばかりのスペイン旅行の行きの飛行機搭乗時間にあるのです。
 日記にも書いた通り、ロンドンまで片道10ユーロという破格値でゲットしたチケットだけあって、時間は航空会社の思うがままです。前回の日記には時刻までは記載していませんでしたが、行きの飛行機の離陸時刻は朝7時、するとチェックインを6時20分頃までに済ませなければならず、空港までのバスの始発は7時なので、自動的にタクシーを使うことになってしまいます。空港までバスで30分ですからタクシー代は約30ユーロと予想され、この飛行機の次は60ユーロ、タクシー代金を込みにしてもこの10ユーロの飛行機が依然としてお得だったため、すべて了解の下にチケット予約をしたのですが……。
 実はチケットを予約した時から仄かに企んでいることがありました。そう、大家さんです。「困ったことがあったら何でも言っていいんだよ」と常日頃から言われていますが、実際に困った状況に陥るのはいつも大家さんの方であって、私は常に助ける立場です。しかし今度こそ私は困っています。お金さえ払えば難なく解決できることですが、出来れば空港まで送ってくれないかな……なんて。えへ。大家さんなら「いいよ」って言ってくれる気がするの。てへ。

 問題は切り出し方です。何か行動を起こす度に叩かれていたサラリーマン時代の経験と、私的最重要武器の言葉を奪われて戦いに臨んできた留学前半期の経験を経て、最近私は「世の中の解決していない問題、失敗した交渉の過半数は、単にタイミングや言い方が悪かったからではないか」という結論に到達しつつあります。そのくらい交渉事やお願い事をする上でタイミングや切り出し方は大事だと思うのです。
 今回のマウス修理は、タイミング的には最高の条件ではないでしょうか。大家さん宅を訪れて雑談をしなかったためしがありません。切っ掛けは雑談最中に探すが良シと思われます。出来ればあくまでも純朴を装って! 状況に柔軟に対応できるシナリオを用意し、頭の中で2〜3度シミュレーションをしてから、学校までお迎えに現れた大家さんの車に乗り込みます。

 不純な思いが交錯しつつも、私のお願い事はしょせん「マウスが直ったら」という条件下でしか訴えられないものなので、行きの車の中でマウスが動かなくなった時の状況を聞きながら、真剣に問題解決の糸口を検討します。この場合の問題解決とは、「マウスの修復」でもあり、「空港まで送って貰うこと」でもあります。
 大家さん宅に着くとお馴染みになった奥さんとお祖母さんの熱烈歓待を受け、早速PC室に向かい、大家さんと奥さんが見守る中、PCの前に座ります。マウスが動かなくなるなんてーのは、大抵物理的問題、つまりコネクタの接続が悪いとか、マウス内部にゴミが溜まっているとか、そんな理由の確率が高そうなので、取り敢えず電源を入れる前にコードの接続口をいじってみたり、マウス内部の掃除をしてみたりして、では……とばかりに電源を入れます。
 ああ前回不正な強制終了をしちゃったのね、ということが分かる初期画面が流れ、エンター、エンターと無造作に画面を進めて取り敢えず起動させました。……すると、予想通り、マウスは問題なく動いたのであります。
大家さん 「おお! 凄いなトーコは! 昨日1日かけても直らなかったのに、たった1分で直してしまうなんて!」
鷹瀬 「……いえ、私は何もしていません……」
 嘘偽り謙遜なく、心から出た言葉です……。
 もうちょっとてこずるとお金を頂いても素直に「ありがとうございます」と受け取れたのですが、さすがに電源を入れただけではお金なんぞ受け取れません。今度は礼節を知る日本人としてではなく、本心から「お金なんて結構です」と断り、取り敢えずお茶を頂くことになりました。

 今回のマウス修理はまぁなかったことにして、しかし私にはまだすべきことがあります。私は基本的に諦めが悪いのです。
 談話はマウスの修理の話から始まって、様々な経緯を経て、ついに待ち望んでいた展開に発展しました。シミュレーション通り、私がかなり慎重に構えている様と事の展開を合わせてご紹介しましょう。ここ一番大勝負の開始文言、ギアを入れた瞬間を太字にしておきます。
大家さん 「……ってことで、今度の5月にはスペインに行く予定なんだよ」
鷹瀬 「!! スペインですか! 奇遇ですね! 実は私も来月中旬、試験の後にスペインに行く予定なんですよ!」
大家さん 「そうなのかい? そいつは素晴らしい! 私たちは今度で4回目なんだけどね、スペインは素晴らしいよ。食べ物は美味しいし、物価は安いし」
鷹瀬 「バルセロナの空港に着く予定なんですけど、お勧めの場所とかあったら教えて頂けませんか?」
大家さん 「バルセロナか……そうだなぁ……略……。ところで、もうチケットは取ったのかい?」
鷹瀬 「ええ、RYANAIR でバーゲンをしていたのでつい」
大家さん 「いくらだって? 片道10ユーロ!? ――ん? ああ、税金が加わるからね。でも税金込みで150ユーロなら文句ないだろうね。この前のパリと言い、トーコは本当に行動が早いししっかりしているねぇ」
鷹瀬 「いえいえ。でも今度の格安チケットでは色々誤算がありまして。――あ、そう言えば、お伺いしたいことがあるんですけど、エニスのタクシーって朝の5時頃からでも利用できますか?」
大家さん 「タクシー? 多分24時間OKだと思うけど、何でだい?」
鷹瀬 「いやぁ、乗り継ぎの関係で行きのロンドンまでの飛行機が飛ぶの、朝の7時なんですよ。6時頃までにはチェックインしなくちゃならないし、バスの始発は7時なのでタクシーを使って空港まで行こうと思って……」
大家さん 「出発は何日だって?」
鷹瀬 「18日の火曜日です」
大家さん 「6時までにシャノン空港だね? よし、送ってあげるよ」 ……(★)
鷹瀬 「ええ!? そんな……朝早いですし、タクシーを使えば済むことですから、大丈夫ですよ」
大家さん 「何を言っているんだい。遠慮しないで。大したことじゃないんだし」
鷹瀬 「そうですか……? 本当にありがとうございます!」
 大家さん、ありがとうございます。神様、ありがとうございます。――あ、ちなみに上記会話中の「★」印は、私が心の中でガッツポーズをした瞬間です。
 正直に言いますと、このとき沸き起こった感情の中には「やった!」とか「ラッキー!」なんて失礼なものも幾分混じってはおりました。――が、それでもやはり80%くらいは純粋に「ありがとうございます」と感謝の念に満ち溢れるワタクシ、礼節を知る日本人でありながら合理的精神が強いものですから、感謝の気持ちをそのまま具体的に提案返しという手法で表してみます。
 上記談話以前に大家さんが話していた大家さんの仕事上の顧客リストに関する話題に対しての提案です。
鷹瀬 「本当にありがとうございます。本当に……もう、何か Excel の表作りの件で質問とかあったらいつでも連絡くださいね。もし宜しければ、先程仰っていた顧客リストのフォーマット、私が枠だけ作っても構いませんよ? 最初にテンプレートだけ作っておけば、後は情報を埋め込んで行くだけですから、大家さんがやりたいことも実現しやすくなると思いますけど……」
大家さん 「そうかい? 実はまさに同じようなことを考えていてね。最初のテンプレートだけ、トーコに作って貰えないだろうかって思っていたんだよ。今週末、時間はあるかな?」
 …………もしかしたら大家さんも昨晩シナリオを作ってシミュレーションしていたのかもしれません。(……アイリッシュがシミュレーションなんかする訳ナイって分かってるけどさ……)
 ま、Excel での表作りなんて訳ないので全然OKです。これぞまさしく「持ちつ持たれつ」ということなのかもしれませんし、そうなとるこの絶妙な均衡には感謝したいくらいです。
 ビバ! 便利な私!(……利害関係抜きで愛して貰いたいと思うのは贅沢なの……? めそめそ……)

【おまけ】
 結局、帰りは車で家まで送ってもらい、その車内で夕食に招待されるわ、別れ際にお金を握らされるわ、自分が親切な誰かにとって都合の良い面を持ち合わせた人間で良かったなぁ……としみじみ思うのでした。


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2003年2月7日(金) 愛蘭映画考
 本日リチャード・ギアと「ブリジット・ジョーンズの日記」の主演女優が主演の「CHICAGO」というミュージカル映画を観ましたが、これはオススメです。癖が強い映画なので好き嫌いがハッキリと分かれそうですが、「ムーラン・ルージュ」が好きな人ならば確実に楽しめるでしょう。
 そして後日、レオナルド・デュカプリオとトム・ハンクス主演、スピルバーグ監督の実話に基づいた映画「Catch me if you can.」を観ましたが、これもなかなかのオススメ。「based on the ture story」ではなく「inspired by」とあったので、どの程度実話に忠実なのか分かりませんが、取り敢えず実話と分かっている部分からでさえ「アメリカって大らかだよなぁ……」と思える結末で非常に興味深かったのであります。「CHICAGO」よりも一般ウケすることは間違いなさそうなので、上記2本からであればこちらの方がオススメ度は高そうです。真保裕一の「奪取」が好きな人なら必見でしょう。

 さて、他愛ないオススメから幕を開けたアイルランド映画考ですが、まず基本として、アイルランドでは映画館の入場料は大人4〜5ユーロ(約600円)です。アイルランドだけでなく、ほぼ世界各国で映画館の入場料は非常に安く設定されており、日本の「正規料金1800円」というのは正気の沙汰とは思えない価格設定なのであります。
 ただ日本の映画館の質を考えると一刀両断で「高い」と言えないのかもしれないのですが、それでも「じゃあ普通の映画館でいいから入場料を安く設定して」と言いたくもなります。

 アイルランドはその他ヨーロッパ諸国に比べて映画館が断然少ないそうです。全国の映画館のスケジュールが新聞の1面で事足りてしまうことに、映画の都から来たフランス人が驚愕していました。嘘か誠か分かりませんが、フランス人によると「アイルランド全土にある映画館の数よりも、パリにある映画館の数の方が多いと思う」とのことです。
 アイルランドの、しかも街ではなく町エニスにある映画館はたったの1軒で、この1軒の映画館の中には大小6つのスクリーンがあり、同時期に上映される映画は平均12本といった感じです。最も小さいスクリーンの部屋は座席が30席ほどでこじんまりとしており、私が「CHICAGO」を見たときは中くらいのスクリーンの部屋で観客は私を含めてたったの5人でした。

 上映スケジュールも何とも優雅で、平日の開始時刻は各映画とも17時から平均2回上映され、土日は14時頃から始まって各映画とも1〜3回の上映、最終回は23時からというのが通常です。共通の窓口でチケットを買って、その後指定されたスクリーンに向かう訳ですが、各スクリーンの入口に係員がいないため、元気さえあれば土日に初回14時頃から映画に臨み、2〜3本ハシゴして観てしまうことも可能です。すると入場料は各2.5ユーロ、やはりかなり安い。
 平日は17時以降にしか上映せず、土日ですら14時以降の上映で、しかも6つのスクリーンで12本を上映するため、マイナーな映画は「17時の回しか観られない」「金曜日の20時の回しかやっていない」など制約が厳しいのですが、それでも都合が付くんだろうな……と思わせるほど、エニスの人々はのんびりしている、というのが映画館のタイムスケジュールから窺い知れる現実です。日本で「17時の回しか観られない」「金曜日の20時の回しかやっていない」など制約があれば、その映画は多くの人にとって「有給でも使わない限り観るのは不可能」となってしまいますが、全体的に生活がのんびりしているからこそ、エニスに1軒しかない映画館はそれでも充分に機能しているのでしょう。


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2003年2月8日(土) 2人でインド映画
 追って書きます。




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2003年2月9日(日) コリアン・パーティー
 追って書きます。


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2003年2月10日(月) そろそろ勉強シーズン
 追って書きます。


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2003年2月11日(火) 嫌われる中国人
 追って書きます。


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2003年2月12日(水) 29歳の学生証作成
 追って書きます。
 先月20日の返金交渉を境に、学校の校長に嫌われています。もう私に向ける顔に笑顔はありません。


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2003年2月13日(木) 報道姿勢と国民性
 なんでも日本で「アルカイダが聖バレンタインデーにイギリスを攻撃する」という噂が結構真剣に流れたそうで、日本人留学生の友人がブリティッシュ・エアラインを利用して14日にこちらに来る予定だったところ、本日急遽キャンセルすることになったそうです。1週間休暇を取って旅行の計画を立てていた彼女には何とも気の毒ですが、私はこの1件を通してアイルランドの報道の在り方と国民性が日本とは全く違うということを改めて思い知りました。

 現在アイルランドの状況は決して穏やかなものではなく、私の住むエニスからバスで30分ほどの距離に位置するシャノン空港はアメリカのイラク攻撃への中継点として利用されることが決まっているため、いざ戦争が始まればアイルランドも充分攻撃対象になりうる緊迫状態にある訳ですが、そういう緊張をアイリッシュから感じることが出来ません。
 新聞など詳細を読んでいる訳ではないので詳しい雰囲気は分かりませんが、何か大きなアクションがある度に一面記事で報道されるものの、騒ぎ立てるような派手な印象はなく、住民からも緊張感が伝わってきません。今週末に首都ダブリンで大きな反戦デモが行われるそうなので、人が多く集まる都会ではそれなりに緊張感が高まっているのかもしれませんから、こののんびりした雰囲気がアイリッシュの国民性なのか、田舎特有のものなのかの判断が難しいところではありますが、国民性による緊張感の欠如というのはありえる可能性だなぁ……と思います。
 神経質に騒ぎ立てることで事態が悪化してしまうケースというのは意外に多く、日本は特にこの気質が強いと思いますが、だからと言って余り呑気に構えすぎてしまうのもどうかな……という感じです。

 何にしても、日本も年々荒んできているし、アイルランドも安全とは言い難く、インドもパキスタンとの情勢は緊迫しているし、世界中どこもかしこも危険信号が点滅しており、安住の地はどこなのかなぁ……と世界情勢に思いを馳せてしまうのでした。


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2003年2月14日(金) バレンタインデーから考察
 多くの方がご存知の通り、西洋で生まれたバレンタインデーは、本来男性が愛する女性に贈り物をする日であって、女性が男性にチョコレートを贈るというのは製菓業界の策略にまんまと嵌まった男性上位主義傾向の強い国(e.g.日本、韓国)だけでの話なのであります。
 別にどちらがどちらに何を贈ろうと、そこに愛があれば私は構わないと思うのですが、会社などで「義理チョコ」を配る半強制的な習慣のようなモノに出くわすと、ちょっぴり反吐が出る……というだけのことです。
 当然のことながら女性側の立場としては、花束や贈り物を持った男の子が町中に溢れ返っているのを見ると微笑ましい気持ちになるのですが……。

 さて。この話とは別に、本日先生がこんなことを言っていました。
先生 「私の姉妹が日系の会社で働いたことがあるんだけど、彼女が言っていたわ。日本の男性は、女性がお茶を用意したり雑用をすることを期待しているって。同等の立場で入社した筈なのに、周囲の男性社員が当然のように彼女にそういったサービスを求めるから、それが嫌で嫌で堪らないって。悪いことに、日本人男性がそういう態度を取ることで、アイリッシュの男性も日本人男性の真似をし始めているそうよ。結局彼女はどうしても肌が合わないってことで辞めたけれど」
 勿論こんな人たちばかりではないのでしょうが、依然としてこの傾向が強いことは経験済みですし、否定できない事実です。女性社員を「女の子」呼ばわりする男性社員の存在もさることながら、「女の子」呼ばわりされることに抵抗のない女の子や、「女の子」呼ばわりされてしまっても仕方のない女の子が多いことも事実だと思うので、この根深い問題を「日本の男ってなぁ……」とヒトコトで切り捨てるつもりはありません。
 ただ、決定的にこういう意識がまだまだ根強いんだな、と実感できる場面はいくらでもあって、それは前回の学校のクラスメイト(30代前半の日本人男性)の何気ない一言からでさえも伺えてしまうのでした。
「いや〜、やっぱりこっちでパブとかに行くと、しみじみと日本人の女の子はよく気が付くし、レベルが高いな、って思うよ。こっちの女の子はグラスが空になってたり、テーブルが汚れてたりしても絶対に何もしないもんね。こんな時、日本人の女の子だったら空になったグラスを片したり、テーブルを拭いたり、そういうことを自然にするもんね」
 女の子のレベルの高さの尺度が、そのままホステスの仕事と一致しているこの現実。日本人男性が女性に何を求めているのかがクリアに分かってしまったこの一言……。この人は凄く爽やかで感じの良い人で、いわゆるコテコテのオヤジ上司のような雰囲気の欠片さえも伺えない方なのですが、そんな人でさえこういうことをごくごく自然に言ってしまっているのを聞いて、日本に本当の意味での男女平等が訪れる日はまだまだ遠いな……と思ったものです。
 一昔前に比べれば男女平等問題は格段に進歩を遂げているのでしょうが、西欧諸国の基準で見る限り、「較べものにならない」というのが悲しい現実なのでした。

【おまけ】
 本日、特別に過ごす相手がいない学校の連中7人ほどでパブに行くと、店員さんから女性客全員にカーネーションのプレゼント。


パブで配られたカーネーション

 やはり女性の地位が高いというか、大事にされているな……というか……小粋な振る舞いがごく自然に行われているなと感じるのでした。


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2003年2月15日(土) 小休憩
 久し振りに家に篭ってお勉強。本来の在るべき姿……。いよいよ試験まで1ヶ月を切ったし。


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2003年2月16日(日) 小休憩
 久し振りに家に篭ってお勉強。本来の在るべき姿……なんだったら。


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2003年2月17日(月) 英語力と表現能力
 本日渡愛から9ヶ月が経過しました。9ヶ月も外国にいればさぞかし英語は上手くなっているだろう――普通はそんなふうに思うのかもしれませんが、恐らく留学経験のある方、もしくは留学経験者が身近にいる方は現実をよーく分かっていることでしょう。
海外に長くいたって、喋れない奴は喋れない。英語力は滞在期間と比例はしないのだよ……。
 ――これが現実です。
 留学することにより全く違った環境を得られる訳で、これは本当に大きな変化なのですが、同時に「その人本人」という要素も依然として大きく、すべきことをしなければどこにいようと同じなのです。海外に出ることで本来持っていた好奇心やチャレンジ精神が活性化され、膠着状態だった物事が良い方向に動き始めるというケースは多々ありますが、それも種を「本来持って」いなければ花は咲かないのです。そういう意味では、環境を変えても人間性はそう簡単に変わるものではありませんから、何もない状態では何も得られないというのが本当のところだと思います。
 ただ人間、本来持っているモノというものは意外に多く隠れており、日本のような型に嵌まったストレス社会では隠し持っている才能や個性を一生発揮することがないという可能性は充分に考えられるので、環境の変化は重要なファクターであるというのは依然として事実だと思います。

 そして話は自分自身に戻ります。
 現在の私の状況というのは、焦っている訳ではないけれど、思ったほど伸びない英語力にガックリ来ることがしばしばある、という感じです。下手な謙遜など抜きに正直に言うならば、頭はそれほど悪くない方ですし、しょせん生真面目な性格なので、壊滅的にダメということは全くありませんが、自分的に思い描いていたレベルには到達していないという状態です。そして伸び悩む英語力にガックリしながらも、一方でどうやら自分の伝達能力、物事の解決能力は平均以上らしいという事実も素直に認められるようになりました。

 今回の学校では初っ端から校長と一戦交えた訳ですが(詳細は1月20日参照)、その報告をした友人からこんなメールを貰いました。
人間、言語が変わってもスタイルは変わらないものだね。トーコは日本語だって英語だって自分が納得いくまで交渉するだろうけど、しない人は母国語使えてもしないだろうし。
 結局、そういうことなのです。私が今ここでやっていることは、「ここに来たからやっている」訳ではなく、今までやってきたことをここでもしている、というだけのことなのです。そしてそのための手段が日本語から英語になったと言うだけのことなのです。
 従弟とのメールの遣り取りで、丁度この件に関して触れていたので掲載しておきます。
> 自分の意思を伝えるのにエネルギー使ってるって感じだね。
> その分、日本に居るときみたいに変に気を使ったりしないから良いのかね。
> でも、やっぱり気を使うか? 日本人は特にそういうところがあるもんね。

 ううん、逆。私は自分の意見を言うのには余りエネルギーを使ってはいないというか、意見を言うことでストレスは発生しないタイプなので。こっちに来てから意見を言うようになった訳ではなくて、昔から言いたい事を言っては叩かれる、ということを繰り返してきているので、意見を言うこと自体には何の抵抗もストレスもないんだわ。
 日本にいたときに発生するストレスってのは、その意見を言った後に、「出る杭は打たれる」方式で跳ね返ってくる周囲からの反応に対してストレスを感じていただけなので、今は私が言ったりやったりすることで、周囲から「またそんな非常識なことを!」とか「輪を乱して!」とかいう反応が返ってこないので、全然楽〜。

 もう、要するに性格なのです。私の交渉劇を読んだ方から「もう英語力、ばっちりじゃないですか」というようなことを言われたことがありますが、私の英語力は話している内容に較べて多分かーなーりっ低いと思われます。私の交渉風景を実際に見聞きすれば、逆に「たったこれだけのボキャブラリーと文法能力でよくもまぁ……」と驚くのではないでしょうか……。
 例えば、日本語でも「分かってもらえませんか?」という簡単な文章ですら、
「分かってもらえませんかねぇ」
「分かってもらえません?」
「分かりませんか?」
「分かりませんっ!?」
「分かってくださいよ」
「は〜ん、分かりませんかぁ……」
「分かりますよねぇ?」

という具合で、勢いと言い方、表現ひとつで言い回しはこんなに豊かになるのです。人間の意思伝達は、言葉で伝えられる情報量は30%なのだそうです。つまり、言い方、声の調子、トーン、身振り手振りが残りの70%を占めているのです。そして恐らく私はこの70%をフル活用して生きているのでしょう。逆に言うと、言葉が完璧でも表現能力に乏しい人は、意志伝達は30%しか達成できないということなのです。
 よく海外に出た日本人の表現がいちいち大袈裟になるのは、そうしないと情報伝達に支障が出るからなのではないかと最近思うようになりました……。
 表現と言う点に関しては、私は元から友人から、「東洋のジム・キャリー」だとか「お笑い版・北島マヤ」だとか、どことなく馬鹿にされた銘を打たれるほど(嫌いな人以外には)表情豊かなので、それはもう物凄い勢いで伝わっているのでしょう……。韓国人の子にまで
「日本人は大人しい人が多いと思ってたけど、トーコってコメディアンみたい……。こんなのが普通じゃないよね? 平均的な日本人じゃないんじゃない? もしかしてオオサカ出身?」
と言われてビックリしたくらいですし……。言葉が不自由でも伝わってしまう何かがあるようです……。伝わってしまう何かが「コメディアン」というところがなんとも虚しい訳ですが……。言葉が100%通じる上に何年も連れ添った友人から同じようなことを言われたことはありますが、外人からもコメディアン扱いされるのかぁ……と少々物悲しくなったのはこの際忘れることにします。まぁ韓国人なので感覚が似ているのでしょう。
 この件を通じて、仄かに感じる物悲しさもさることながら、私は力技の表現という点でかなりのアドバンテージを有しているのだと実感しました。ですから英語力自体が低くても、総合して「英語力の割には伝わっている」という恵まれた状況が成立しているのだと思います。

 言葉が不自由なことを切っ掛けにキャラを変えてみようかと試みていたこともありましたが、持って生まれた性質はそうそう簡単に隠し果せるものではない、ということも同時に学んでおります。
 先日、授業で人の個性を表す形容詞の勉強をしていたときに、多くの質問をしてその人の性格を表す、という性格診断のようなゲームをしたのですが、仲良しの韓国人の子が表現した私像に度肝を抜かれました。
「トーコは凄く強い自分の意見を持っていて、他人から何か言われても自分を変えることはない。彼女はたとえ他人が何か言っても、まず自分が納得してからでないと、自分自身を変えない。好き嫌いもハッキリしていて、それを隠そうとしない」

原文 「She has her own very strong opinion, and never changes herself without her own agreement. Even if someone wants to change her, it's impossible before she agrees or understands. Also she has her taste clearly, and never pretends herself. She can show her feeling easily.」

 ……………………たった5週間の付き合いで、言葉も完全ではない上に、こんな話はしたこともないのに、どうしてこんなに詳細が分かるのでしょうかねぇ……不思議です……。
 まぁこの言い方は私を傷付けないように大分マイルドな言葉を選んで紡がれたものでしょうから、もうちょっと明け透けに言うと「She is stubborn.」とか「She doesn't care of others.」とかそういうことなのかな、と。せっかく性格を変える良い機会だと思ったのですが、なかなかどうして、三つ子の魂は百まで続いてしまうようで、良い点も悪い点もそのまま持ち越しているようです……。


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2003年2月18日(火) たらい回しとその被害
 追って書きます。


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2003年2月19日(水) 被害の拡大
 追って書きます。


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2003年2月20日(木) 小休憩
 特に変わったことはありませんでしたが、まぁ試験が近付いてきて本格的に忙しくなってきたかな、という感じです。


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2003年2月21日(金) ベルギーの国民性
 追って書きます。


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2003年2月22日(土) 小休憩
 特に変わったこともなく生きています。


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2003年2月23日(日) 小休憩
 特に変わったこともなく生きています。


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2003年2月24日(月) ベルギー人の破壊力
 追って書きます。


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2003年2月25日(火) 暴君校長とその被害
 先月20日今月12日に引き続き、驚くべき校長の態度についての報告です。端的に私の感想を表現するならば、こんな感じでしょうか。
「アナタが私を嫌いなのは分かったから、最低線、筋の通ったことをして頂けませんか……?」
 ――と、言うことで校長の傍若無人ぶりには少々目を瞠るものがあります。多分彼女は私の1年間のアイルランド滞在の中で the meanest person もしくは the hatest person と最上級表現で言い切ってしまっても良さそうです。「今後半年以内に彼女以上に嫌な人に出会う確率はナイ」と言い切ることが出来るほど、その嫌さが半端ではありません。
 そもそも私が嫌われる経緯からして、「嫌われるのは逆恨みなんじゃ……」という根本から始まっており、その後繰り広げられる一方的な攻撃は大概理不尽なものばかりなので、既に怒りを通して驚きの境地に達しています。毎度毎度繰り広げられる嫌がらせじみた攻撃が余りに理不尽で低レベルなので、私も「何なのッ?!」という反発よりも、「何なの……?」という戸惑いの感情の方が勝っているというのが現状です。

 そして本日の攻撃です。
 以前にも書きましたが、現在私は学校側の都合で1週間を2日間の試験対策コース+3日間の一般コースに分けて受講しています。本来5日宛がう筈の試験対策に2日しか宛がっていないため、当然自習しなくてはならない勉強量は多く、担当教師もそのことを気にかけています。そのため良い教材があると積極的に宿題を出すというやり方で、3日間の穴を埋めようとしている訳です。
 先週の試験コースの授業中、私の試験コース唯一の相棒であり2日間の試験コースのみを受講しているオーストリア人のクリスティナが、「良い教材が土曜日に手に入るかも。もし手に入ったら火曜日に学校に持って行くから、先生に自習に適した個所を選んでもらって宿題を出して貰おう」と言っており、先生も当然のように承諾していました。
 そして本日、休み時間中にクリスティナが教材を持って学校に現れたので、先生を呼んで「良さそうな個所を宿題として出してくれませんか?」と尋ねていると、それを聞き付けた校長が校長室からニコニコ笑顔で現れてこう言ったのであります。
校長 「アナタは週の2日分しかお金を払っていないんだから、それ以外の日に試験に関する質問するのはフェアじゃないわ。もしも試験に関する質問をするならお金を払って貰わないと」
 はぁ?! 何それっ?! ただ教材の中の宿題に適当な個所を選んで貰っていただけだし、私が2日間しか試験コースを受講できなかったのは学校側の都合じゃんっ!! 本当に、今までに長短合わせて6つの語学学校を見てきましたが、こんなに理不尽でみみっちい語学学校は初めてです。

 怒りを通り越して呆れてしまいました……。もう今までが今までのため、信じられないという思いよりも、「ついにここまで来たか……」という感じで、校長の留まることを知らないケチケチ精神、懐の狭さにビックリという感情に落ち着いてしまいます。当然教材をわざわざ学校まで運んでくれたクリスティナは
クリスティナ 「何アレ……じゃあ私は木・金以外は学校に来ちゃいけないってこと?!」
と憤慨し、この遣り取りを聞いていた他の生徒も「信じられないことを言うのでビックリした」とただただ驚くばかり。先生はこういう事態には慣れているようで、さらりと「木曜日に話しましょう」とその場を切り上げましたが、授業が終わった後にこっそりと私を呼んで精神的ケアに当たってくれました。
先生 「校長の言っていたことなら気にすることないわ。私はもう3〜4年付き合っているから慣れているけれど、時々ああいうことがあるのよ。一番良い方法は、ただ受け流すことよ」(原文「The best way is "Just ignore."」)
 私はこの先生の教え方、人格共に大好きで、その先生は私のことを気に掛けてくれているので、尊敬していない校長ごときに嫌われても痛くも痒くもないのですが、いかんせん彼女が学校の実権を握っており、彼女からのとんでもない嫌がらせは物理的に影響を及ぼすので何とかして欲しいというのが実情です。

 こんな校長もお気に入りの生徒には非常に親切なそうなので、気に入られさえすれば問題なく……どころか快適に過ごすことが出来るのかもしれませんが、私の場合はもう今後お気に入りにのし上がる可能性は百万にひとつもないでしょうから、取り敢えずアドバイス通り「Just ignore」を試みることにします。


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2003年2月26日(水) 小休憩
 勉強をしつつ1日が過ぎたと言うか……。


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2003年2月27日(木) 小休憩
 特に変わったこともなく……。


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2003年2月28日(金) 小休憩
 従姉からいかなごのくぎ煮が送られてきて、久し振りに和食ちっくな食事を楽しむことができました。


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