stay in IRELAND
愛蘭滞在記(5)〜Limerick編D
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いよいよ大の仲良しのアミットが帰国します。彼が帰った後は毎日の生活が恐らくかなりつまらなくなることでしょう……。しかし「つまらない」ばかりに浸っている訳にはいかないのです。伸び悩む英語力を磨かねばならんのです。場当たり的な解決能力ばかりが伸びている気がする今日この頃……本質的な英語力のスキルアップに力を入れる冬がやってきたと思わねばならんのでしょう。
今まで散々フラットのことを書き連ねていて、全くと言っていいほど学校については触れていませんが、それには様々な理由があります。
まず第1には、やはりどうやっても私の視点からすると、フラットで起こることの方が学校で起こることに較べて遥かに面白いというか、記録に値するというか、ネタ色が強いため、この話で持ちきりになるといった次第です。
そして第2に、アイルランドは狭いのです。その狭いアイルランドの第3の都市リムリックは、都市というよりも気持ち的には「街」なのです。ハッキリ言って、リムリックに滞在している日本人は、語学学校が少ない上に長期滞在者が多いためか、大半が顔見知りと言っても過言ではないほどで、日本人間の情報は驚くほど早く伝わっているようなのです。(恐らく他の国も同様に独自のネットワークがあると思われます。特に長期滞在者の多い中国や韓国の横の繋がりは、日本以上に強そうです)
私自身、「日本人とはつるまない」という確固たる信念を持って行動しているからではなく、単に「人とつるめない」という性格上の問題で、この辺りの事情には疎かったのですが、明後日に控える大学主催の「International
Food Fair」に「日本グループ」として参加したことから、この学校にいる日本人の面子を確認でき、その節に私が今いる環境が村社会であることを痛感しました。
今のところ何か実害があった訳ではないのですが、Aさんに何気なく言った話をBさんから「……って聞いたんですけど」と尋ねられたり、話していないことまで知られていたり、私も本人から聞いた訳でもないのに特定人物の詳細を知っていたり……と、そういう感じです。
恐らくこういうことはどこでも小さな世界になればなるほど起こりうることなんだろうなぁ……と思いつつ、それでも少々ビビってしまったのであります。
そして第3に、私が「語学学校に通う」ということに慣れてしまったため、「積極的にパブ通いをして友好関係を広げる」とか「なるべく皆と共に行動する」とか「社交場に顔を出す」という努力を一切しなくなり、外国人どころか家の外の人、つまり「外人」との付き合いがめっきりなくなったため、何をどうしても話題が生まれないのでありました。
そうは言っても今週末にはアミットが去り、そうなるとかなりつまらなくなるんだろうなぁ……と現実が透けて見え、そんな中折りしも大学主催のこのフード・フェアという企画は乗ってみるには非常に面白いカモという期待を煽ります。アミットとの最後の1週間なので余計なことに時間を割きたくないという思いと、徐々に輪に溶け込んでみるか……という思いと、思惑様々です。
【おまけ】
昨日からエンジェルが我がフラットに完全復帰しており、その存在自体の騒がしさも健在です。私にとっては「たった2日間だけの引越しだったんだ……たはは……」という程度のショックですが、ここに来た当初には子供などおらず、いきなり翌日から5歳児と共に暮らす羽目に陥った新人シュリは少々呆然としています。またアミットやナズから前情報が入っているのか、キャルに対して既に否定的で、キャルが洗濯機を回しているのを見ただけで
「……っるさいなぁ……」
と吐き捨てるように呟いています。「それはどうよ?」と思いますが、キャルは私の管轄外なのでどうでもイイです。私を巻き込まないトコロで住人同士どんな諍いが起きようと、もう首は突っ込まないと決めたのです。ただシュリはまだ完全にここに住むと決めたのかどうかが定かではないため、彼が溜息を吐く度にハラハラしている状態なのですが……。
しかしこの新人シュリ、悪い人ではなさそうなのですが、初期(教育以前)のアミットやナズを彷彿とさせる有り様……つまり、洗面所を使えば水浸し、台所を使った後は汚したまま、食器は辛うじて洗っても拭かずに棚に戻す、電気をこまめに消さないなど、共に生活をするに当たって苛つく面も多々あり、これから徐々に教育して行かないとなぁ……と気分の重いスタートを切っているのであります。
他人と暮らすというのは諦めにくい体質の私にとっては「いかに上手く穏便に要求を通すか」の訓練になって良いなぁ……と思うのでした。
500人規模だったか1000人規模だったか……とにかく結構な集客率……と囁かれている一大イベントである筈の国際フード・フェアですが……私はこのフード・フェアを通してアイリッシュの鷹揚さ、つまり裏を返せば杜撰さ、計画性のなさ、手際の悪さ、指揮能力の低さ、しかし実行力はあるようで、結果オーライでどうにかなっている摩訶不思議な事実を思い知りました。そして同時に日本人の細かさ、繊細さ、神経質さ、生真面目さ、どこか深刻になりがちな陰気さも思い知っています。
どちらが良いとも言えませんが、何となく「日本人って可哀想だな……」と自分を客観的に観察して思ってしまいました……。いや、一方的にアイリッシュの杜撰さに振り回されてキリキリ舞になっているような気がするので……。
10月24日に開催される国際フード・フェア、おおよその仕組みは以下の通りです。
@各チームそれぞれ各国の料理を80〜100人分ほど用意する
A食材などは必要なものをリストにして提出すればすべて委員会が準備する
B食材の受け渡しは開催日前日
C当日の18時から学食の台所を使用して料理を作る
D台所のスペースは提供するが、包丁、まな板、泡立て器、ボウルなどの調理器具は一切貸し出しを行わないので、各自用意すること
E学食にて20時から開始
F参加者は1枚1ユーロの食券を購入し、各国の料理とこの食券を交換する(※1皿が食券1枚とは限らない)
G売上は委員会のもの
H食券を最も多く取得したチームが優勝
さて、こんなにもシンプルな仕組みにも関わらず、この催しが24日に行われるということだけは毎週木曜日に開かれている「International
Society」で2週間前に告知されていましたが、その後毎週木曜日の集まりに参加しても上記情報の@、A以外何も知らされず、こちらから何度も質問しても「担当者がいないので分からない。後でメール連絡する」の繰り返しでした。勿論こういう場合、メールは来やしません。
詳細はともかく、開始時間や会場、調理場所、食材配給日時は最低レベルの基本情報だと思うのですが、それさえも本日知る有り様で、アイリッシュの「lazy」は今に始まったことではないので置いておいて、私は他の国の人がなぜに質問もなく悠長に構えているのか、それが不思議でなりませんでした。食材は購入してくれるとは言え、労働力を提供するのは私たちで、言わば学校の催し物のために無料奉仕をするのです。それなのに労働者に詳細を告知せず、なぜか悠々としているアイリッシュ……。あまりに放って置かれたせいで「これで私たちがやらないって言ったらどうするつもりなのかね……」などという懸念まで生まれてきてしまいます。
結局、明日に本番を控えた状態で上記情報のB以下を知るに至り、「何だかなぁ……」という少々やさぐれた気持ちのまま明日の本番を迎えることになったのであります。
さて、「もー本当に大丈夫なのかよー」という半ば疑心暗鬼な駆け出しで始まった……始まってしまったフード・フェアですが、途中何度も「なんでこんなことしなきゃならんのじゃ」という思いに苛まれつつも、最終的には「ま、楽しかったよね」という無難なキモチに落ち着いて無事終了することができました。
そんなフード・フェアの写真は少々重いので別ページにて。
ほぼどこの国も男性が女性と共に台所に立ち、男女共に料理をしているのに対し、日本は人数が多かったこともありますが、始まる前から「男は台所にいても仕方ないから机の配置とか、荷物運びとかするよ」と、当然台所に立たない姿勢で、正直な気持ちはココには書きませんが、まぁ色々思うところがありました。私の好みなんぞは何の価値にもなりませんが、私は料理が出来る人は女性に限らず素敵だと思います。ええ、そらもう。
また面白かったのは、どこの国もそんなに生真面目に物事を受け止めずに気楽〜な感じでスタートし、そして最終的にはきちんどどうにかさせていた、という事実でしょうか。
おフランスのように、優雅に構えながらも数種類のしっかりした料理を作っているチームもあれば、アメリカのようにパンとソーセージを用意してもらって、挟んで「ホットドック出来上がり!」とか言っているチームもありました。アメリカに至ってはそれ「cook」じゃなくて「put」だろッ!と面と向かって突っ込んでみましたが、「アハハ、楽チンでいいよ」なんぞという軽〜い返事が返ってきて、ますます日本チームだけが深刻に空回りしている様を思い知らされてしまったようで、少々痛かったっす。
他にもサーモンとウォッカなどという「切って並べるだけ」の出品もあり、ヒイフウ言いながらお好み焼きを作っている私たちが愛しく感じたり……。
アメリカを筆頭にした少数の国を除いて、どこの国もそれなりにしっかりしたものを作っており、お国柄は様々でしたが、日本以外のどこの国にも共通して言えることは、「日本ほどキリキリしていない」という重要かつ決定的な事実です。私は……いえ、私だけでなく、他の日本人留学生も言っていたことですが、私たち日本人は今回の国際フード・フェアを通して「日本人はセコセコ、くるくる、アワアワして、物事を楽しむのではなく深刻に捉え過ぎる」ということを目の当たりにし、そこから派生して「人生を楽しむのが下手」という国民性の欠点を痛感したのであります……。適度な「真面目」は大歓迎なんですがね……過ぎると少々哀しいものがあるのです。
何にしても、様々な国籍がミックスされて同じお題目の下に行動した今回の国際フード・フェア、「国民性の観察」という点で私的に非常に楽しめました。
まぁ日々の生活の中で色々ありまして、勝手な人ってのはトコトン勝手なのよね、と言いますか……。わざわざまとめ直すのも面倒なので、友人に宛てたメールからの転載です。
今日も凄いよ〜。昨日まで私が帰って来るといっつも洗濯機がキャルに使われてて洗濯できなくてさ。今日、ようやく空いてたから、白モノ、色モノと2度に分けて連続で洗濯したのさ。間を空けるとまたキャルに使われちゃうと思って。こっちの洗濯機って1回2〜3時間かかるんだよ……。だから余り使うと皆に悪いと思って、1週間に1回しか使ってないんだけどさ……。あ、もちろん彼女はほぼ毎日使ってるんだけどね。はは。旦那と子供の分もあるからね。
そしたらさー……白モノが終わって色モノをセッティングしたら
「あーら、1日に何回洗濯するつもりかしら」
だって……。ビックリした……。
あとねー、彼女は1日3回シャワー浴びるのね。朝、仕事帰り、寝る前と。そんで私は寝る前に1回なんだけど、2日に1回髪を洗ってて、髪を洗う日は少々時間がかかるのよ。
そしたらシャワーを浴びて出てきたら待ち構えたように扉の外で子供が待ってて、言った台詞がコレ。
「ママが言ってた。トーコはいっつもシャワーが長くって電気代が無駄だって」
……………………うう……強いなぁ……。
それとねー、まだあるぞー!! この前彼女洗濯機でシューズ靴洗って、その時凄い騒音でさ。「皆が衣類を洗う場所で靴を洗ってる」という事実自体もどうかと思うのに、その上ガランゴロンと騒音も凄くて……。うるっさいなぁ……と思っても直接言える訳もなく、まあ我慢するわな。
そして今日、彼女が夕飯を作っている時に、洗濯場の周囲が汚れていたので掃除機をかけたら、
「To-ko makes noise!」
だってさ……。
あなたの騒音はあなたのためだけに発生している騒音だけど、私の騒音は私が共有スペースを掃除することで生まれた騒音なんですけど………………。
あとねあとねあとねー! 今日、たった今! 洗濯してたら「ちょっと」とか呼ばれてさ。冷蔵庫の中を指差されて「ホラ」とか言われて、何がポイントか分からずにいたら、封の開いた残り少ないヨーグルトを突き付けられて、
「ホラ、ここにトーコの髪の毛が付いているわ!」(でも外に付いてただけ)
だって!!! 言ってから私の目の前でゴミ箱に投げ捨てたよ、ヨーグルトを! うわーうわー凄いよ、もう。か細い神経の人なら泣いちゃうよ、もう! 日本に帰りたくなっちゃうよ! 多分!!
第一逆のケース、私の食材にキャルの髪の毛が付いてたって、いちいち言わないよ。んな小さなこと、どーでもいーし。
凄い人だなぁ……つくづく……。もう自分以外はすべて間違っているらしいよ……。
こないだまで、ナズが友達を連れて来たりしたら散々文句言ってて、「常識がないのよ!」とか「馬鹿なのよ!」とか言い切っていたくせに、今、自分の子供がそこら中走り回ったり飛んだり跳ねたりしても注意もしないよ……。彼女の子供が来る前に私が文句言ったら、彼女
「私の子供を見たことも無いくせに! よくも煩いなんて言えるわね!」
とか
「私の子供は部屋から1歩も出さずに静かにさせるわ!」
とか言ってたくせになぁ……。もうもうもう凄いよ〜、本当に。
いやー、こっちがご飯を作ったり、文句を言わずに彼女の手伝いをしたり、時々贈り物なんか贈ったりしていれば、非常にニコヤカに接してくれるんですがねぇ……。
先日、アミットから餞別の品を贈られたからではなく、それ以前から、彼の結婚祝を兼ねて日本のろうけつ染の敷物2枚セットを用意していました。明日には私の友人が日本からデジカメを持ってくるので、そうなったらきっとデジカメの到来に喜んでしまって、こんな地味な贈り物は見向きもされないんだろうなぁ……という心配があったため、本日手紙を添えて「これ、結婚前祝ってことで」と手渡しました。
渡した時には少々バタバタしていたためアッサリと受け取られましたが、夜落ち着いた頃になって改めてお礼をされ、そのお礼が本当に誠実さを感じるお礼だったので非常に嬉しかったのであります。
さて一方で、ただいま彼は明々後日に控える帰国に向けて色々準備に忙しい日々を送っているのですが、その一環で現在のバイト先からの給料支払い後の貯金の振り替えなどにテンテコマイしている様子でした。
アミット 「来月中旬になったらA銀行の残高を全部B銀行に移したいんだけど、それをトーコに頼めるかな」
鷹瀬 「え? どうやって? それって暗証番号がないと出来ない手続きなんじゃないの?」
アミット 「勿論、暗証番号は教えるよ」
鷹瀬 「そんなに気軽に教えちゃってイイ程度の残高なの……?」
アミット 「まさか。1年間のバイトの給料分だからインドじゃ数年間分の給料に相当するよ。でもトーコにだったら残高がいくらだろうと暗証番号は教えられるよ」
鷹瀬 「……信用してもらって嬉しいけど、でもやっぱコトがお金になると……。私の英語が完璧なら、勿論私は人のお金なんか盗まないし、こんな手続き簡単に引き受けられるけど、ちょっと英語力の関係で何かあったらと思うと不安なんだけど……。ルシ(※注:現在ダブリンに滞在中のアミットの親友)とかに頼むのは無理なの? リムリックでないと手続きできないの?」
アミット 「あ、そっか。ルシを忘れてたよ。ごめんごめん、トーコの手を煩わせるほどのことじゃなかったね。トーコはいつも忙しいし、これを頼めば多少なりとも時間を割くことになるからね。ルシはいつも暇だし、ルシに頼むよ」
……感動しました。
お金にそれほど重きを置いている人ではないけれど、それでも親友ルシを差し置いて、こんな重要な頼み事を私にしてくれたこと自体かなり嬉しかったのです。信頼されているんだ知らなかった全然、ってな感じで。
ま、私も暗証番号を教えるとか、お金を貸すとか、そういうことに関してはかなり前からアミットを信用しています。人の物を盗むとか、詐欺のような真似をするとか、そういうズルイことは決してしない人だというのは充分に承知しているのです。彼が信頼できない点は単に
lazy というところに集約されます。「明日までにやってね」と言っても明日までにはやってくれなかったり、そういう意味で未だに信頼……そう、頼ることは出来ませんが、信じることは出来るのです。
と、言うことで、タイトルの「築かれた信頼」というのは「アミットが私を信頼してくれた」という一方通行の意味なのであります。私はアミットが大好きですし信用もしていますが――もうこれは国民性によるトコロなのかも、というのが最近の見解なのですが――余り頼ることは出来ない気がします……のんびりし過ぎているので……。
好きじゃなくても頼ることは出来る人もいれば、好きでも頼りにはならない人もいるということを、現在心の底から思い知っています。人に対する感情の種類が増えるのは良いことです。
いよいよ明日、アミットがこの家を去ります。
日本から私の友人がアミットのデジカメを運んで来てくれるので、歓待のためにインド料理を作りながら彼女を待ち受けていたのですが、料理を作っている間にアミットが言ってくれたこんな一言に、ちょっと感動してしまいました。
アミット 「アイルランドに1年いて、本当の友達が2人だけ出来たよ。***(バイト先が一緒のインド人青年)と、もう1人がトーコなんだ。僕の結婚式には是非おいで。いや、君は来るべきだよ」
本当に、今回のフラット滞在はトラブルに満ち満ちたものでしたが(いや、まだ続いているんですが)、アミットと出会えたメリットを考えれば多少のデメリットは問題ありません。以前から冗談交じりに「インドの結婚式に出席してみたい。アミットの時にもし休暇が重なるなら遊びに行くね」などと言っており、「You
can come」と言われた事はありましたが、「You should come」と言われたのは今日が初めてです。
ああ……なんか嬉しいよね、「友達間の気安さ」って言うの?みたいな。――なんていう傍らで、4ヶ月ほど前のティナとの遣り取りを思い出し、つい今の感情と比較してしまいます。
また、今日は何やら特別な日で、庭などで焚き火をするという慣わしがある、という話になりました。何時から始まるのか詳細は分かりませんが、窓から煙が見えるだろうとのことです。するとティナが言うのです。
ティナ 「So we should go to watch that after the dinner!」
……「we」=「私たち」……「should」=「〜すべき」……ふーん……。あ……何でしょう。せっかくの決意が崩れて行く音がします。
もしかしたら「should」というのは友人間で使う「行こうよ」的なニュアンスがある普通の言葉なのかもしれませんが、英語に不自由な私は思わずひらめく直訳に少々わだかまりを覚えます。英語できるのに「Would
you〜?」とか「Could you〜?」とか、少なくとも「Do you〜?」とか……取り敢えず疑問形でないことは確かなようで……。
上記日記から何が分かるかというと、「肝心なのは事実(言われた内容)ではなく、結局は本人の受け止め方」ということでしょうか。要するに、好きな人が何かすれば何でも好意的に捉えることができ、その逆はその逆の通りに受け止められる、という、人間の持つ根本的な身勝手さが浮き彫りになったというだけの話ですネ。ええ、ハイ。
ああ、例えば嫌いな人に「トーコさん」などと変に「さん」付けされると微妙に苛立つのですが、では「トーコ」と呼び捨てにされたらどうかと言うと恐らく更にムカツク訳で、もうぶっちゃけ、「要するに、嫌いな人は何をしても嫌いで、好きな人は何をしても好き」というあざとい差別意識が働いているだけなのかもしれません……。
さて、話を戻しまして。
本日は幸いにも夏時間から冬時間への切り替えで、深夜0時にEU諸国にて一斉に1時間時刻を戻すため、余分に時間を持つことができ、深夜1時頃までアミットにデジカメの基本操作を教えていました。
ただでさえこういった電子機器の取り扱い説明は煩雑だと言うのに、日本語のマニュアルを英訳して伝えなければならないのです。私の英語力ではそれはそれは大変で……。
「このデジカメはオートフォーカスだから、中央に来る対象物に焦点が合うように出来ているの。でも例えば人物に焦点を合わせたいけど、人物は端に配置させて、中央に景色を持って来る構図の写真を撮りたい時なんかは、まず人物を中央の焦点ポイントに合わせて、シャッターを半押しした状態で焦点だけを確定して、その半押し状態のまま焦点が合った人物を画面の端に配置させて、中央には景色を持って来て、構図を確定してからシャッターを全押しすれば、人物がボケずに綺麗な写真を撮ることが出来るんだよ」
………………こんな説明、身振り手振り実演なし、言葉のみでは伝えることなど出来ません……。撮っては見せ、確認させては実際にやらせてみ、時には図を描き事態を絵で説明し……を何度も繰り返し、漸く伝えたいことを理解して貰う。この繰り返しです。
基本的にアミットは頭が良い上に私の拙い英語に慣れているので事態を素早く察してくれるのですが、いかんせん、モノが彼にとって未知なる分野のデジタルカメラなだけに少々厄介なのです。
しかし今日を逃せば彼が日本語の説明書を理解する機会はない訳で、真剣に聞いておかねば困るのは彼の方だと言うのに、なぜか教えている私の方が必死で、ここでもまた国際フード・フェアで痛感した事態が再来です。
鷹瀬 「でね、えーっと、何て言ったらいいのかな……えっと、このボタンを押すと今まで撮った画像を確認できて、この操作でメニューが表れて、このメニューを……ちょっと……真剣に聞いてる? 何で笑ってンの……?」
アミット 「いやぁ、今トーコの頭の中は物凄い勢いで日本語と英語が行き交ってて、どれだけ大変(painful)なんだろう、って思ってさ」
鷹瀬 「…………」
いつだって真剣の空回り……。
取り敢えず簡単に全説明を終え、「分からないことがあったら、それこそデジカメで説明書を撮って送ってくれれば、そのページを英訳するよ」という乱暴な最終手段の解決方法を残して後は幸運を祈るのみですが、恐らく大丈夫でしょう。彼は神様から少々特別に愛されている気がするので……。
神様から特別に愛されている、とは――例えばこうです。夜、私の友人用にシングル・ベッドを私の部屋に運び入れたのですが、その際に動かしたベッドの下からアミットが1ヶ月前に無くした大事な指輪が偶然見付かり、ああもうなんだかすべてが彼に良いように流れているなぁ、と感じました。今度のデジカメにしても、日本から私の友人が来るからゲットすることが出来たのです。タイミングも素晴らしく、友人の来訪がアミットの出発前夜。指輪にしても私の友人が我がフラットに泊まりに来なければベッドを動かすことはなく、そうなれば彼は指輪を見付けることができなかったのです。
これは今回だけのことではなく、彼の話を聞く限り、私がこの目で見た限り、彼の周囲では頻繁にこのような「ちょっと小粋なタイミング」で物事が運んでおり、更には彼の人生の特異性も相俟って、これはもう神様に愛されているとしか思えないのであります。

彼女(婚約者)とのデートの時の合図に大活躍したという指輪
この指輪で彼女の家の扉をコツコツとノックしたそうな……
かぁ〜〜〜ッ!! くぅ〜〜〜っ!!
私は当初、彼を取り巻くなんとも不思議な雰囲気が「インド人だから」と理解していたのですが(勿論それも多分にあるのでしょうが)、アミットを通して他のインド人とも面識ができ、アミットのケースがインド人の中でも稀だということを知りました。本当に良い人と知り合えたものです。私も私の幸運に感謝しなくては……。
アミットは Best Friends にしか書いて貰っていないというアドレス帳を持っていて、昔まだそんなに親しくなかった頃に見せてもらったことがあったのですが、本日寝る前に
「これを書いてもらわずにサヨナラは出来ないよ」
と、そのアドレス帳をこっそり渡されたのであります。この嬉しさは並大抵ではありませんでした。2週間経った今でも、このことを思い出すと幸せになれます。
アイルランドに来て以来、常に楽しくて幸せという状態が基本的に続いているのですが、それらの多くは私の内部で発生し、誰と分かち合う訳でもない、つまり完全なる自家発電状態だった訳ですが、今回の嬉しさは私と他人との間に起こる相互作用の喜びです。やはり人との関わりって素晴らしい。
本当に、言葉が(一応名目上は)完全に通じる日本でさえ「本当の友達」が出来にくい性質(体質?)なもので、「いわんや外国をや」の方程式で当然のように「言葉が通じなくて友達なんか出来るかよ」と思っていましたが、出来る時には出来るものなんですね……。「言葉が通じなくても気持ちが通じる」などという臭い台詞を真正面から受け入れるだけの経験をしたことがなかったために、こう表現される状態をイマイチ信じきれずにいましたが、今ならば理解できます。
そして同時に思うのです。言葉が通じようと通じまいと、本当の友達というのはなかなか見付かるものではなく、見付かったならばそれは非常に幸運だったと……。また、それらの幸運を呼び寄せるには、ある程度のアクションがなければ不可能だということも思い知ったのであります。日本でずーっと同じ会社にいて朝から晩まで仕事をしていたら、こんな出会いは100%有り得ないですから。
本日、アミットが去りました。正確には本日ダブリンに行き、明日ダブリンから飛行機に乗るのですが、事実上の別れは本日でした。
私は日本から来た友達と本日の朝早くにバスで郊外まで出掛ける予定だったのですが、アミットの見送りをしたかったので、彼にダブリンに発つ時間を少々ズラしてもらい、共に中央バスステーションまで行くことになりました。
何せ相手は帰ることが嬉しくて仕方のない人なので、泣かないように感情をコントロールしていましたが、バスステーションでバスを待つ間にじんわり泣いてしまうと、それから後は涙を止めることが出来ませんでした。しかし現実はドラマのように双方平等にこのような感情が訪れる訳ではなく、帰るのが嬉しくて仕方のないアミットはちょっと困ったように笑いながら言うのです。
アミット 「ヘーイ、またすぐに会えるんだし、泣くことないよ。涙は貴重なんだよ。だから僕は彼女のためだけに涙を流すのさ。ああ……きっと今頃彼女も泣いているんだろうなぁ。(←夢見る調子で)
でも、前にも言ったけど、僕がインドを離れる時は村中の人が……100人くらい皆泣いてくれたけど、今は泣いてくれるのはトーコ1人だけだね。本当に最後の3ヶ月間楽しかったよ。僕の結婚式には絶対においで。まだ詳細は決まってないけど、決まり次第すぐに連絡するよ」
最後の最後までアミットはアミットで、社交辞令一切ナシ!みたいな。その一貫した見事な姿勢に涙ながらに笑ってしまい、「うんうん、彼女と幸せにね」という言葉を持ってサヨナラをしたのであります。
アミットも言うように、来年の3月にはインドを訪れる予定で、また会えると言えば会えるのですが、それでも特に外人との縁というのは言葉の壁もあるため双方がかなりの努力をしないと続かないものだと思うので、下手をするとアミットとはもう2度と会えないかもしれず、するとやはりこの別れは永遠のお別れの可能性を孕んだ別れであり、とても寂しく哀しく感じるのでした。(いや、たとえ私が縁を続けようと努力しても、彼が努力するとは限らないと言うか……婚約者と再会した時点でアイルランドの記憶をすべて消しそうな勢いなので……)
号泣という訳ではありませんが、思い出してはじんわりと瞳を濡らし、鼻をすすり、丸3日間ほどかなり哀しい気持ちを引き摺っていたのであります。
正直、2週間経った今でもアミットの不在を寂しく思うことがちょくちょくあります。我ながら、こんなに哀しくなるとは思ってもみませんでしたが、それだけ良い出会いだったのでしょう。
本日はバンク・ホリデー、アイルランドの祝日です。
アミットがいなくなってつまらないっす。本当につまらないっす。
さて、アミットが去って本格的に生活がつまらなくなった傍らで、コレではいかんとばかりに新たな情熱の注ぎ先を見出しています。諸事情により、すべてが終わってからでないと報告できないこの企画は、NM-Project
として先週土曜日から秘めやかに始動したのであります。ああ、上手く行くといいなぁ……。
一方で新入居者のシュリですが、平均的なインド人男性よろしく料理が全く出来ません。もちろんカレーの作り方だって知りません。しかし辛いものが大好きで、やはりカレーが食べたいのです。
――と言う事で、本日シュリにチキン・カレーの作り方を教えました。日本人がインド人にカレーを教えるなんて……ちょっとシュールで笑えます。
シュリ 「国では料理なんか作ったことはないし、掃除も洗濯も一切したことがないんだ」
鷹瀬 「ああ、アミットから聞いたけど、普通のインド人男性は家事なんか絶対にしないんだって? シュリには姉妹がいるの?」
シュリ 「姉妹はいるけど、母がすべてやっているよ」
鷹瀬 「……そか。でもここでは自分のことは自分でしないとね。じゃあ今から台所周りの掃除の仕方を教えるね。料理の仕方ももちろん大切だけど、掃除の仕方も同じくらい大切だから」
……………………気分は母です。
今さっき「食器は拭いてから棚にしまってね。もし拭かないんだったら、この食器置きに塗れたまま置いておけばいいから」と言ったにも関わらず、塗れたまま食器棚に皿をしまおうとするシュリに、前途多難なキモチを抱えつつ、取り敢えず表面上は良好な関係を築いています。
ああ、でもアミットって本当に特別だったんだなぁ……と、今はなきアミットに想いを馳せるのでした。
昨日あれだけ時間を割いてシュリに「料理の後は台所周りを綺麗にすること!」と教え込んだにも関わらず、本日私が家に戻ると、台所は惨憺たる有り様でした……。部屋まで行ってシュリを台所に来るように呼び、台所を指差して言いにくいことを言わねばなりません。
鷹瀬 「……シュリ……これはちょっと酷いよ……。塩も油も出しっ放しだし、コンロも掃除してないし、食器もそのままだし……」
シュリ 「後でやろうと思ってたんだ」
鷹瀬 「でもこれじゃ次の人が使えないよ。使い終わったらすぐ掃除してくれると有り難いなぁ……」
シュリ 「OK」
か、軽っ!
私が傍らで見守る中、ちゃっちゃと手早く「彼なりの掃除」をするシュリ。私の基準でまだ3合目、というレベルに達した時、おもむろに台拭きを置いて部屋に戻ってしまいました……。どうやら私の3合目は彼の頂上だったようです……。
…………うーん……調教までの道のりは長そうです。もうこうなりゃ彼が台所にいる時、彼が見ている前で黙々と掃除をして見せ、無抵抗主義よろしく無言のプレッシャーをかける「無償攻撃」に出るしかなさそうです。この方法は過去アミットとナズの時に試していますが、「基本的に掃除の仕方を知らないだけで根は悪い人ではない」というタイプの人には有効な方法なのです。
子供は親の背を見て育つと言うし、口で言っても伝わらないのなら、行動で示すしかなさそうです。はひゅ〜。
本日はハロウィンですが、日本人の私には関係ありません。「Trick or treat!(お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!)」とガキどもに迫られても「したきゃするがいいさ……」と心の中で呟いてしまうのが正直な気持ちです。しかしここはアイルランド。どうやらハロウィンはこの国を起源に持つ祝いらしく、街の至る所でオレンジと黒の装飾を見掛け、その本気を垣間見る度に「郷に入りては郷に従え」の精神を思い出し、近所の子供たちが来る度に手元にあるお菓子をそっと渡してやるのでした。私ではなく他の住人が。
生憎私はお菓子など用意しておらず、台所から玄関口で行われている可愛らしいトレードを見守っていたのであります。
さて、世の中はハロウィンの祝い事で湧いていましたが、我がフラットは別件で同じく湧いていました。キャルです。キャルがついに引越し宣言をしたのであります!
キャル 「私は今週末で引っ越すわ。実はここから車で40分くらいのところに丸々1軒の家を借りることが出来たのよ。月550ユーロで、大き目の部屋が2つに小さ目の部屋が1つだから、私と夫と娘で丁度良いでしょ。私の後には私の従妹が来るから。多分今週の土曜日に来ると思うわ。11月分の家賃は彼女が払うわ」
鷹瀬 「へー! 良かったねぇ!!」
正確には私の台詞は「Oh, it's nice!」と言ったのですが、コレ、日本語ならば危うく本音が滲み出るところでした。なぜなら、この場合の「It's
nice!」の訳文は「良かったねぇ!」ではなく「良かったぁ!」というコトですから。もういい加減私も正直なもので、「I
miss you.」などと言った取り敢えず無難な別れの言葉すらも口にせず、ニッコニコ笑顔でウンウン頷いていました。もーさっさと出て行ってくれ一刻も早く、というキモチで一杯です。
キャルの後に来る彼女の従妹というのも微妙な存在ではありますが、数回会った印象としてはキャルほどの迫力もなく、大丈夫ではないかと。とにかく子供を連れて来ない人であれば、今よりマシになるのはまず間違いないでしょう。
このキャルの引越し宣言を喜んだのは私だけではありません。ナズもシュリもガッツポーズで大喜びでした。ああ……もうこれで完全にキャル一家から解放されるようです。
泣きに泣いたアミットとの別れとは対照的に、笑顔でお別れが出来そうです。ぐふ。
詳しいことは書けませんが、個人的な記録のために。
本日、友人宅にて明日の NM-Project の下準備に16時〜22時まで6時間かけ、ヘロヘロになりながら家路に就いたのであります。
詳しいことは書けませんが、個人的な記録のために。
昨日用意したモノを用いていよいよ NM-Project 始動。しかし大雨のため、心身ともにボロボロに……。相方と共に「もう来週は止めようか……」とたそがれる結果に終わったのであります。
タイトル通り、今私は恐らく2度目の大波に乗っています……。あ、「乗っている」んじゃなくて「呑まれている」んですけどね、正直な描写としては。
第……何次に当たるのか既に定かではありませんが、第×次フラット問題勃発です。今日の午後2時になっていきなり大家が現れ、
「今日中に今月11月分の家賃1100ユーロが支払えないなら、3日以内に出て行ってもらうからな!」
との言葉を残して去って行きました……。はぁ……。私は私の分235ユーロは今すぐにだって払えるんだけどねー……。他の連中が……。
さぁて、この言葉が出るに至った経緯をご紹介しましょうか。
(1) 11月分家賃の支払い日、10月25日を過ぎてもなかなか大家が集金に現れず、皆それぞれに用意はしていたが集めていなかった。
↓
(2) 10月31日(木)、いきなりキャルが「私は来月新しい家に引っ越すから。私の後に従妹が来るから、11月分の家賃は彼女が払うわ」と言い出す。
↓
(3) 本日3日(日)午前中、我がフラットに入居する予定だったキャルの従妹が実は既に新しい部屋を見付けていたことが判明。キャルの後に入る入居者は見付かっておらず、キャルはもうすぐ引越しするため11月分の家賃を払うつもりはなく、にも関わらず荷物を置いて鍵を持ったまま(仕事の都合で?)ダブリンに1週間行くことに。帰ってくるのは9日(土)とのこと。
↓
(4) 同日午後2時、大家が来て「今日中に金を払わないなら3日以内に出て行ってもらう」と宣言。私が「私とナズとシュリの3人は自分たちの分はすぐにでも払えます。足りない分はアミットとザックの予約金を使って下さい」と訴えるも、「君たちの予約金は1年後にならないと返すことは出来ない。そういう契約なんだ」と高圧的に言われ、「とにかく今日中に1100ユーロ集められないなら出て行ってもらう!」で話をまとめられ、最後の最後には「I
told you ! I told you !!」と2度叫ばれる。
↓
(5) 同日午後8時、キャル以外のフラットメンバーが集まったところで家族会議。私とナズの各235ユーロ、シュリの160ユーロは集金できても、キャルとザックの各235ユーロが集められず。現在一時帰国しているザックの空白の2ヶ月間の家賃に関しては「ナズが払う」と事前に言っていたにも関わらず、今日になっていきなりナズが「ザックの連絡先が分からない。ザックの分は払えない」と言い出す。この時点で「ナズ殺してやりたい病」再発。
↓
(6) 同日午後9時、大家に上記事情を電話で話すも聞く耳を持って貰えず、「それは君たちの問題であって私の問題じゃない。とにかく3日以内に1100ユーロ払えないなら即刻出て行け」と再度言われる。
↓
(7) 同日午後9時半、ダブリンにいるキャルにシュリが電話をし、「キャルは引越しのことを告げたのもつい先日で、しかも10月26日から少なくとも帰ってくる11月9日までここに滞在するんだから、11月分の家賃を払うべきだ。このままでは今月分の家賃が払えない」と訴えるも、「冗談じゃないわ! そんなの貴方たちの問題でしょ! 下らないことで電話をして来ないで頂戴!」と一方的に怒鳴り散らされ電話を切られる。電話を終えたシュリの怒りに満ちた一言、「Son
of a bitch !!」
↓
(8) 次の入居者が見付かるまでの間、私とナズとシュリの3人でこの家の家賃残分470(=1100−(235×2+160))ユーロを立て替えて払うか、もしくは次の入居者は見付けずに、次の家を見付けることに専念して3日以内に出て行くか……。結局、「3日間の間に次の入居者を見付ける努力をして、その傍らで次の家も見付けよう」ということで意識合わせをする。同時に明日月曜日に各自が以下の役目を果たすことに。
●ナズ: 明日10時頃、ザックの部屋の家賃分を立て替えてもらうよう職場に掛け合い、その結果をシュリに伝える。
●シュリ: ナズの回答を元に、もしも職場が立て替えを拒否した場合には(3人で1100ユーロでは個人負担が大き過ぎるので)「新しい家」を探し、もしもザック分の家賃が得られたなら「新しい人」を探す準備をする。
●鷹瀬: 大学の宿泊関係相談所(Accommodation Office)に赴き、3日以内に出て行けと言うのは合法なのか、私たちの予約金を使って1ヶ月滞在することは出来ないのかの質問をし、現状を専門家に相談する。同時にシュリからの連絡を待ち、新しい人を探す場合には大至急チラシを作り大学構内やショッピングセンターの掲示板に貼る。
何度言っても迅速に動いてくれないナズとシュリと共にこの苦境を乗り越えて行くのは非常に心配ですが、他に頼る人もいないので仕方ありません。「これが貴方の役目ね」と紙に詳細を記して握らせ、「忘れちゃ駄目だよ」と何度も確認します。
事態自体もかなり厄介だと言うのに、この問題を共に解決して行くパートナーが限りなく頼りにならないと来ているこの状況……はぁ……。明日が心配です……。予約金も取り返せずに、たった2ヶ月間のために引越しすることになるのでしょうか……。
………………さすがにちゅかれたずら。
夜、アイリッシュの夫を持つ韓国人の友人(※人物詳細は9月7日参照)にアドバイスを求めると、こんな返事を頂きました。
「『3日以内に出て行け』っていうのはいくらなんでも酷すぎるよ。しかも予約金も返して貰えないなんて……。普通はこういう場合に備えて1ヶ月余分に滞在できるように予約金を払うんだから、予約金を使って数週間滞在するか、予約金を返して貰って即刻出て行くかなのに、どっち得られないのは変だよ。大学の相談所も良いけど、それよりもシティセンターにある市民センターに相談しに行ったらどうかな。私の夫(アイリッシュ)が一緒に付いて行ってあげるから安心して」
きゅーんきゅーん……地獄に仏な心境です……。困難に出会うと思い掛けない人情に触れることができ、人間関係から派生した問題を人間関係が解決する人生の仕組みが面白いなぁ……としみじみ思うのでした。
昨日からの続きです。
授業を終えた直後にシティセンターにある市民センターに駆け込むつもりでしたが、同伴予定の友人の旦那さん(アイリッシュ)の都合がつかず、代わりに彼女に付き添ってもらって大学構内にある学生組合(Student
Union)の宿泊関係の問題を取り扱う部署(Accommodation Office)を訪れることになりました。同時に、もうすぐで昼休みになるシュリに「友達と一緒に学生組合に行くから、間に合うようなら来て」と携帯メッセージを投げておきます。
この学生組合、日本でいう生徒会に当たるのでしょうが、そこは独立心旺盛な西洋諸国、まるで会社のように各担当部署に個室が与えられ、机に置かれた書類の山など堂に入ったものです。運営しているのは20代前半の学生たちだというのに、社会人顔負けの行動力、解決能力をもって事態を治めて行く様にはウットリさせられます。
今にも出掛けなくてはならないという忙しそうな雰囲気の中、「緊急事態なんですが……」ということで担当者の方(……学生)に特別に時間を作っていただき、手早く事情を説明すると、早速我がフラットの家主に電話をして「3日以内というのはいくらなんでも……」という交渉に乗り出してくれました。
「うわー……プロみたい……」と恐らく年下であろう彼女のテキパキとした言動を感嘆しながら見守りますが、端で聞いていても大家が聞く耳を持っていない様子が伺える遣り取りで、最終的には「真剣に新入居者を探すなら、数日待っても良い……かもしれない」という、結局何もかもが未解決のまま、話し合いは幕を閉じました。
彼女から話を聞くと、どうやら契約書には「1年以内に家を出る場合には予約金は返却しない」と明記されているようで、今回の件に関しては大家が悪いのではなく、この件に関して同居人に明らかにしていなかった代表者であるザックが悪い、ということが分かりました。そしてその問題のザックは帰国中……。どこまでもどこまでもヤッテクレル人です。目の前にいたら引っ叩いてやりたい心境です。
ザックに対する恨みを深める一方で、結局問題は解決できませんでしたが、こうして無償で問題解決の手助けをしてくれる学生運営の頼れる機関が構内にあることに、非常に感銘を受けました。
彼女は今日から2日間ほど別の場所に赴くそうで、「何かあったら連絡を頂戴ね」と携帯の番号を残していって下さいました。うう……年下だけど、お姉様……って感じ……。
――さて、ここから先は自力解決に全力を注ぐ他ありません。とにもかくにも急がねばならんということで、早速ルームメイト募集のビラを作ります。そして……やっぱりと言うべきか、とうに昼休みになっているというのに結局連絡を寄越さなかったシュリに、不本意ながらこちらから電話をします。
鷹瀬 「ちょっと……メッセージ読んだ?」
シュリ 「ああ、読んだよ」
鷹瀬 「じゃあなんで連絡くれなかったの? 私、学生組合に行って来たんだよ?」
シュリ 「丁度今、授業が終わってカフェに来たところなんだよ。それにナズからもまだ連絡ないよ」
……ったくもー、蕎麦屋の出前みたいなコト言っちゃって……。カフェに行く前に連絡よこせっての。大体カフェで寛いでる場合かっちゅーのー……。なんでそんなに優雅なのよ……。
ナズといい……本当に頼りにならない人たちです。
取り敢えず大至急、このたった今作ったばかりのチラシを取りに来てもらい、構内の掲示板に貼るのを手伝ってもらわないと、ということで「イイから来い」と図書館近くに呼び付けます。
ノコノコと現れたシュリに向かって「ったく分かってるの? これって私だけの問題じゃないんだよ?!」との捨て台詞と共に彼のノルマを押し付け、「ナズから連絡入ったら即刻教えてね」と釘を刺し、「じゃあ19時過ぎに家で」とその場で別れました。
シュリにだけ任せるのは不安なので、私も精力的に大学構内中の掲示板という掲示板にむやみやたらにチラシを貼り付け、入居希望者の到来を待ち望みます。
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Single/Double
ROOM RENT
- in LUXURIOUS NEW house
- within walking distance of UL
- ideal for shopping
next to *** Shopping Center
- all mod cons.
- mature student or professional only
- with other 3
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合計40枚の上記ビラを大学構内中に貼りまくり
連絡先は英語に不自由のないシュリの番号
掲示板を探し求めて構内をウロつく最中に、先ほど貼ったチラシの電話番号がちぎられていたりすると、それはそれは嬉しくて……。冷やかしじゃないとイイナ、とか。ガム捨てるためにちぎったんじゃないとイイナ、とか。
さて、こうして17時頃にショッピングセンターによってから家に帰ろうとすると、シュリからこんな携帯メッセージが舞い込みました。
「*company* has agreed to pay Zak's rent. can u give
me our owner's full name as *company* is paying through cheque. even one
person is coming to see the house at 8 pm. so don't worry abt anything
ok. send owner's full name to Naz.」
ヤタ! 盆と正月再来!(※詳細は10月19日参照)
勿論この家を見に来る人がウチに決めるかどうかはまだ分かりませんが、取り敢えずザック分の家賃は確保できたので、最悪、次の入居者が決まらなくても1人当たり60ユーロほど余分に支払えばどうにか1100ユーロを掻き集めることができます。予約金を失って更に引越し先を探すよりは、60ユーロ程度の上乗せで済むならそれに越したことはありません。新しい家を探すためにB&Bに1〜2泊するだけで飛んで行くお金ですから……。
様々な思惑が駆け巡る中、20時をかなり過ぎた頃にアイリッシュの学生マイケルが我がフラットの下見に来ました。我が家の静かさ、綺麗さ、新しさに感動した様子のマイケルは、1も2もなく即決! 本日中に入居することを決意したのであります。
本当はキャルの部屋への入居なのですが、キャルが鍵を持ったままダブリンに行っているため、空き部屋であるザックの部屋に一時的に入居してもらうことになりました。
こうしてレギュラーメンバーの私、ナズ、シュリに加えて、新人マイケル、一時帰国しているザックの家賃すべてが出揃い、合計1100ユーロ、耳を揃えて支払う準備が出来たのであります。
ふぃ〜!
【追記】
しかし依然としてキャルは鍵を持ったまま、荷物を置きっ放しで、しかも家賃を払っていない状態で留守……。早く出て行け……。
昨日から我が家に滞在しているアイリッシュ学生、マイケル(25)――なかなかどうして、アッサリちゃっかりのガイジンって感じがします。
鷹瀬 「毎週金曜日にゴミの回収が来るから、家の前にゴミ箱を出してね。正確に当番とか決まってないんだけど、まぁ気付いた人がやる、って感じで……」
マイケル 「ああ、あいにくだけど(Oh,
unfortunately)僕、金曜日の夜から実家に帰って日曜日に帰ってくるから、それは出来ないな」
鷹瀬 「……いや、ゴミ回収は金曜日の朝だし、木曜日の夜に出してもいいよ」
マイケル 「(肩を竦めて) あっそう。ま、1、2回くらいはやるかも(maybe)ね」
こういう態度を見ていると、同じ lazy でも東洋のソレと西洋のソレには大きな違いがあるように感じます。東洋のソレが生活習慣文化背景から来る無自覚根本的な態度であるのに対して、西洋のソレは競争社会に根付くある意味洗練された意識的計画的なモノであるような気がしてなりません。どちらが良いかというとこれはもう究極の選択で、どっちもイヤダというのが私の素直な気持ちです。
ちくしょう……よってたかって真面目な日本人のセコセコした手回しを踏みにじりやがって……っ! アタシャ独りでフロアの掃除をしてるんだ! ゴミ袋なんか絶対に替えるもんか! こうなりゃもうサドンデスだっ!!
もう数日前から気付いていることなのですが、シュリが台所の掃除をするようになっています。私の目論見通り、下記の作戦が上手く行ったのでしょうか……。
もうこうなりゃ彼が台所にいる時、彼が見ている前で黙々と掃除をして見せ、無抵抗主義よろしく無言のプレッシャーをかける「無償攻撃」に出るしかなさそうです。この方法は過去アミットとナズの時に試していますが、「基本的に掃除の仕方を知らないだけで根は悪い人ではない」というタイプの人には有効な方法なのです。
インド人を相手にした場合、やると言ったら徹底的にやらねば事態は解決しないと思い知った今日この頃……彼が料理をする傍らで、彼が汚した場所を片っ端から拭いて行き、5分待っても洗おうとしない食器をこれ見よがしに洗い、彼が食事をしている横で台所掃除を懇々と続け、料理後に出しっ放しにしてある塩や油を「ここにしまえばイイの?」とわざわざ本人に確認してから彼の戸棚にしまい、時には「シュリが見ていなければ絶対にやらない」というレベルで念入りに掃除をする……というアピールを1週間ほど続けた結果、徐々に見よう見真似でコンロ周りなどを拭くようになり、放置してある食器に私が手を伸ばそうとすると「あ……。そのままにしておいて。後でやるから」と自ら言うようになりました。
そして本日、私が家に帰ると丁度シュリが食事を終えて自室に戻るところでした。入れ違いで台所に直行した私が見たものは……まるで誰も使っていないかのようにすべての汚れを落としたコンロに鍋、整頓された食器置き、シンクの周りにも水溜りはなく、何と私が出掛けにフロアの片隅に寄せておいたゴミすらも無くなっているではありませんか!
こう素直に反応が返ってくると、ちょっと感動してしまいます。「子供は親の背を見て育つ」と言うのは本当なんだなぁ……と妙に心温まった出来事でした。(いや、シュリを産んだ覚えはありませんが……)
特に変わったことは何もなく恙無く1日を終えました。
現在の私の体重はどうなっているのか――? よく食べ、よく寝て、ストレスなど何もない今の生活で、自然の摂理として当然太った気がしています。自分のコトは自分が1番良く知っているとは言え、そこまで正確に知っている訳ではありません。お腹の肉を指で突付いては「……ヤバ」と感じるのが関の山で、「太ったにしても何キロ?」という疑問に答えてくれるモノはありません。
どうしてもどうしてもどうしても自分の正確な体重を知りたかったため、2ヶ月ほど前にシティセンターのショッピングセンターにあるエンターテイメント型の体重計で体重を計測しましたが、中途半端にゲーム機で己の体重を量ってしまったのがそもそもの間違いで、中途半端な結果を突き付けられて、ますます「正確な体重を知りたい」という欲求は強くなる一方でした。
そこで本日、大学構内にあるスポーツアリーナのジムに体重計があるとの情報を掴んだために、体重を量る以外に用もないのに入場料を払って念願の(恐らく正確な)体重計を探し当てたのであります。
そして念願の体重測定結果は……エンターテインメント型の体重計で量った結果と大体同じで、太っていませんでした……。日本出国時と同じ……。オカシイ……そんな筈はないのだけれど……。
もうこうなると、アイルランドにいる限り、嘘でも何でも太った表示を見るまでは体重計の表示を信じることが出来ないのかもしれません……。
現在のクラスメイトの大半が帰国組ですが、3分の1ほどはアイルランドに留まる滞在組で、そのどちらもが「国に帰る前に旅行を……」「新年明けの授業が始まる前に旅行を……」と旅行計画に乗り出し始めています。
「年末どうする?」「ああ、クリスマス前に1週間スイスに行って来ようかと……」
「年末どうする?」「クリスマス明けに10日間ほどドイツに行くの」
「年末どうする?」「クリスマスを挟んでスペインとイタリアに行って来る」
「年末どうする?」「ロンドンの友達を訪ねて来るよー」
「年末どうする?」「プラハに行こうかと思ってるんだ。その後ベルリンとブリュッセルを回って最後にパリに滞在してから国に帰る」
一見なんて豪華なんだと聞こえるこの会話も、アイルランドにいればそんなに特別なことではありません。何せヨーロッパ諸国の行き来ときたら飛行機で1〜3時間ほどで、通貨を替えないで済むという利点も相俟ってもはや国内旅行感覚ですから。
私自身としては元来から旅行が好きと言う訳でもなく、今のところインド以外「特にどうしても行きたい」という国もなく、去る8月の8泊9日ドイツ旅行で10万円近く出費したことから、もう今年は家で大人しくしていよう……と考えておりました。
しかし誰も彼もが旅行ガイドブックなどを学校に持参してあれやこれやと計画を立て、その合間合間に「早くしないと飛行機のチケット取れなくなっちゃうからさー」「安くて良いホテルから埋まって行くからねー」などという締め切り関係の情報が漏れ聞こえると、行くと決めていた訳でもないクセにインターネットで現在の飛行機の空席状況などを調べてしまったり、「そっか……早くしないと」などとソワソワと思い始めてしまいます。何分ココロが弱いもので。
旅行に対してイマイチ消極的な私ですが、行けば行ったで楽しめることは目に見えており、1度日本に帰ってしまえば恐らく金も時間も足りず「ああクソあの時無理してでも行っておけばっ!」と思うんだろうなぁ……という先読みまで加味され、更には新年明けから始まるコースに入れば再び3月までは長期休暇を取れない訳で、ちょっと真剣に計画を立ててみようか……というどこか及び腰の姿勢のままサーチに乗り出していたのであります。
まず、何はともあれ渡航先を決めなくてはなりませんが、薄らぼんやりと行ってみたい国を列挙して行くと「インド」「タイ」「バリ島」「オーストラリア」「ロシア」「エジプト」「フランス」「スペイン」「イタリア」「ギリシャ」「ポルトガル」「スイス」……一貫性のない選択肢を一気に絞る条件は以下のようなものでした。
アイルランドから行く方が日本から行くよりも近い国
→ヨーロッパ諸国
ユーロ通貨が使える国
→「フランス」「スペイン」「イタリア」「ギリシャ」「ポルトガル」
そしてこの5つの選択肢を一気に1つに絞ったのが、出費の要でもある交通機関、飛行機代金でした。
私は買い物や欧米諸国での食べ歩きには余り興味がなく、外国に行きたい理由は単にその国の文化をこの目で見たい、肌で感じたい、というだけなので、街をぶらついたり店に陳列されている物を見たり地元民と話が出来たりすればそれで大満足なのです。たったこれだけのことをするにも、海外旅行となるとそれなりにお金が出て行く訳で、その理由はほぼ宿泊費と交通費です。例えば前回の8泊のドイツ旅行に掛かった経費884ユーロ(106,000円)の2大内訳は、交通費350ユーロ(42,000円)、宿泊費377ユーロ(45,000円)という具合でした。
何をどのように節約するかが明白になったところで、「フランス」「スペイン」「イタリア」「ギリシャ」「ポルトガル」の選択肢から渡航先を1ヶ国に絞ります。この絞込みに一役買ってくれたのが、アイルランドで最も安いと言われている
RYANAIR という飛行機です。
RYANAIR のアイルランド国内の主な空港は2つ、首都にあるダブリン空港と、現在私が滞在しているリムリックから近いシャノン空港。シャノン空港から他のヨーロッパ諸国へ直行する飛行機の渡航先は「イギリス/ロンドン」「ドイツ/フランクフルト」「ベルギー/ブリュッセル」「フランス/パリ」の4ヶ所しかありません。
――と、言うことで安直にも渡航先を「フランス/パリ」に決定したのであります。
余談ですがこの RYANAIR、完全なる経費節減を心掛けている見事な航空会社で、下記のような特徴があります。
・予約はすべてネット経由(店舗窓口はおろか、電話やFAXなども一切使用していない)
・チケットレス(チェックインカウンターにて、ネットで予約した際に提示される予約番号とパスポートのみでチェックされる)
・カスタマーサポート・説明・保証一切なし
・全席自由席(早い者勝ちで席について行く)
・機内食サービス一切なし(飲食物の機内販売あり)
・空港はメインの空港ではなくローカル空港で市内地までバスで1〜2時間ほど掛かるケースがある
・機体が無事着地すると乗客から拍手が起こる
・預けた荷物がよく紛失するらしい
・機体がかなり揺れるらしい
そして、かなり安いのです。
例えば前回のドイツ旅行の際もこの RYANAIR を利用し、「アイルランド/シャノン⇔ドイツ/フランクフルト」は往復146ユーロ(17,500円)というリーズナブルな価格でした。しかしこの価格ですら、夏の混雑時だったため
RYANAIR にしては少々高めで、今なら最安で往復50ユーロ以下です。(※間近になっても空席があると叩き売りのような価格になることもあり、本日15日の新聞には何やら一部の航空券が「無料(※空港使用税は別途)」という広告が掲載されていました……)
まぁこの RYANAIR のドイツの空港は「Frankfurt」ではなく「Frankfurt Hahn」であり、地球の歩き方などのガイドブックに載っているような「電車で10分で市内地に到着」するメイン空港とは全くの別物で、市内地に出るためにバスで1時間45分(11ユーロ)掛けなくてはならないというオチ付きだったのですが、これも最初から知っていれば「騙された」と思うこともなくすんなりと受け入れることができます。たとえバス代往復22ユーロが余分に掛かったとしても、他の航空会社を使うより安いことには変わりないので……。
――と、言うことで、今回の「Paris」も当然メインのシャルル・ド・ゴール空港でもオルリー空港でもなく「Paris
Beauvais」空港なのでした。
話を戻します。渡航先が決まれば、後は日程です。
これは RYANAIR の航空券が安くなる曜日狙いで組みたいところなのですが、私の冬休みは12月14日〜1月5日で、この間に引越しもしなければならないため、スケジュールにはかなり制約が付きます。
更に気を付けなくてはならないのが、ヨーロッパ諸国におけるクリスマスの扱いです。少なくともアイルランドでは12月25日は国中の機能が完全に停止するそうで、店はおろか交通機関も休業するとのことです。当然この前後日も祝日並みのタイムスケジュールとなり、このクリスマス期間には移動不可能です。ですから24〜26日を完全にアイルランドで過ごすか、海外で過ごすか、その辺りに着目しつつスケジュールを組んで行きます。
1週間ほどの日程を予定している私としては、旅行前に引越し先のフラットを探したいためクリスマス前の旅行は無理で、次のコースの開始日が1月6日のためクリスマス後の旅行は厳しく、そうなるともう「クリスマスを挟んで」という選択肢しか残されていません。
そんな経緯で12月18日(水) or 19日(木)〜27日(金)という日程を組んだのでした。
18(水) Ireland/Shannon → France/Paris 19.99ユーロ(約2,400円)
19(木) Ireland/Shannon → France/Paris 39.99ユーロ(約4,800円)
27(金) France/Paris → Ireland/Shannon 64.99ユーロ(約7,800円)
※結局19日出発に決めました。上記の通り18日出発の方が安いのですが、宿泊代も馬鹿にならず、26日にはアイルランド国内の交通機関がクリスマスの影響で完全にストップするので、27日に戻ってくるしか道がなく、そうなると1週間滞在で19日出発を選ぶ他ありませんでした。
安い上に近いし(2時間ほど)……嫌になります……。もっと高ければ諦めもついたのに……。
この時点では「航空券は押さえられる」という確認をしただけで、まだ行くか行かないかで悩み続けていました。
でも次に入るコースがどうやらめちゃめちゃ忙しいらしいので、やっぱり行ける時に行っておこうか……でも1人だし億劫だなぁ……1人だと宿代が高く付くからなぁ……大人数部屋のユースホステルはドイツで懲りたし……。
こんなふうにうだうだ悩み、それでもインターネットでパリのホテル情報などをサーチし続け、「もしも安い宿が確保できたら行こうかな……」という自主性に乏しい成り行き任せ風任せちっくな状況に身を委ねておりました。
パリには宿泊施設が多くあり、拘らなければ最低ラインのユースホステルで1泊13ユーロから選べるのですが、PC持参のため荷物管理に気を遣うドミトリーは避けたいトコロ。参考にと思って、2人でパリ旅行するクラスメイトにホテルの価格を聞くと1泊70ユーロ、1人35ユーロ。しかし大抵のホテルはシングルとダブルで価格に大差はなく、そうなると1人者の私は1泊70ユーロを覚悟しなくてはなりません。
中には「台所が付いている(=自炊で食費を抑える)」という利点に着目し、週単位で借りることが出来るアパートに長期滞在する、などという知恵者もいて、私もそれに倣ってアパートなどを探してみましたが、やはり1人で泊まるにはちと高い。アパルトマン形式の場合、最低でも1週間300ユーロ(1泊43ユーロ)ほどで、しかも最低価格で紹介されていた部屋にはベッドなし。「ソファで寝たことあるけど結構辛いよ……」との友人からの忠告により、せめてベッドがあるアパルトマンを……と思ってもう1ランク上の物件に目をやるといきなり価格は400ユーロ(1泊57ユーロ)に跳ね上がります。……くぅ。
2人旅をする人たちはともかく、やはり1人旅でしかもユースに泊まらない人たちは1泊に70〜90ユーロほど出費する覚悟が決まっており、サクサクと決めて行くのですが、何とか安くて良い部屋は……とサーチに乗り出してしまう私は、恐らく単にサーチが趣味なのでしょう。
英語さえままなっていないと言うのに、フランス語のサイトに迷い込んで尻尾を巻いて逃げる……などの情けないアクションを挟みつつ、それでもどうにかネットの世界を彷徨い続けて漸く見付けたお手頃価格帯の台所付きホテル、立地条件もまぁまぁです。このホテルに取り敢えず2泊ほどして、現地で安い宿を探すというのも手かなぁ……でもまだ空室あるのかなぁ……と散々迷い、取り敢えず電話をして空室状況と正確な価格を問い合わせることにしました。
1泊 50ユーロ(約6,000円)
…………台所付き、ダブルベッド、この立地条件でこの価格ならイイかもしんない……。ということで、何だか勢い余ってその場で2泊分を予約してしまいました。
予約してしまったことに呆然としつつも、ふと気付いた意外な事実。アラ、私ってば電話したんじゃない。
――そう、こういう時にビビらずに国際電話をすることが出来るようになった、というのは「英語嫌い。顔の見えない電話が1番恐い」と言っていた私にしてみれば画期的な進歩なのです。………………6ヶ月滞在の成果にしてはショボイものがありますが……。
このように勢いで押さえてしまったホテルの都合上、私のパリ旅行は確定してしまい、それに準じて飛行機の予約も行います。
取り敢えず2泊は押さえたものの、残りの6泊は未定で、現地で決めるということに対する危険性もさることながら、せっかく台所付きの部屋に泊まってもたった2泊では意味がないことに気付きました。しかしだからと言ってこの部屋に8泊するとなると計400ユーロ……これは少々痛い。
そんなことに思いを巡らしつつ、先ほどのホテルから連絡用に教えられたメールアドレスから、どうやらこのホテルがWebサイトを開設しているらしいことが分かり、早速詳細をチェックしてみると、こんな情報が得られました。
●38〜75ユーロのアパートメント形式部屋
●全室
・1式揃った台所
・シングルベッド・ダブルベッド・ロフト等のいずれか
・浴室(浴槽 or シャワー)
・トイレ
・直通外線の「各部屋専用電話番号」付き電話機、インターネット接続可能
・テレビ
……………………ふむ、全室に台所とベッドと浴室が付いているなら、狭かろうが設備がショボかろうが最低価格の部屋でイイな。でもこれは2人で泊まるならこの価格、という意味なのかな?
聞きたい……詳しいことを聞きたい……。そして「連続滞在してあげるから安くして」という具合に話を持って行きたい……。しかしこの交渉はシドロモドロの英語で話さなければならない電話より、こちらの取引条件を的確に伝えられるメールの方が何かと良いかもしれません。
そうと決まればレッツ・トライです。エレガントな(←偏見)フランス人相手にこの手の値切り交渉がどこまで通用するのか分かりませんが、やってみる価値はあるでしょう。
※アイルランドとフランスの時差は+1時間。メール送信時間はアイルランド時間。
※日本語と違って誤字脱字文法が気になるし、人様にお見せできるレベルの文章ではありませんが、それでも現在のありのままの記録と言うことで……。
----- Original Message -----
From: To-ko Takase
To: Hotel ** *****
Sent: Saturday, November 09, 2002 4:27 PM
Subject: About booking
To. Hotel ** *****
I'm To-ko Takase who booked a single room 2 nights
(18th & 19th December) by the telephon just now.
(9th November about 5 p.m.)
I checked your website on the internet.
So the price of a room is from 38 euro to 75 euro.
My room is 50 euro, isn't it?
If I stay more long (for example from 18th to 26th, 8 days)
and I choose a room without a bathtub, can I book cheaper room?
Please tell me.
Anyway I'll book 2 nights at least.
And after I get your answer, I'll apply to you a formal extended offer.
Sincerely,
To-ko Takase
----- Original Message -----
From: To-ko Takase
To: Hotel ** *****
Sent: Saturday, November 09, 2002 4:56 PM
Subject: About booking - make a correstion!
To. Hotel ** *****
It's To-ko Takase who booked 2 nights, 18th & 19th.
I'm so sorry, I mistook the booking date!
Can I change the date from "18th & 19th" to "19th &
20th"?
I'm really sorry...
Thank you very much. I look forward to hearing from you.
Sincerely,
To-ko Takase
1泊40ユーロ程度になるならこのホテルに連泊し、50ユーロのままであれば現地で安宿を探そう……などと企みつつ、上記2通のメールを投げ、取り敢えず事の成り行きを見守るのでした。
昨日パリのホテルに送ったメールの返事が来るかと思いきや、メールの受信箱は無反応。相手はおフランスですし、休日まで働かそうと思っちゃイケナイようです。例え相手がホテルでも。
さて、私の優雅な旅行計画にも既に少々厄介な事態の陰りが見え隠れしていますが、正式ブッチギリに厄介を極めている我がフラット問題も、いよいよ終結に近付いて来たようです。この場合の「終結」と言うのが「問題の解決」を指すのではなく、単に私の「現フラット滞在の終了」を示しそうな気配もあってトホホな気分なのですが、たとえ最後の1ヶ月でも落ち着いて暮らしたいなぁ……という願いは健在です。
――早く子供連れて出て行ってくれ。
サブリミナル効果を狙うにしては余りにもビビットな心情吐露を1行挟んだことですし、行きますか、本日のバトル報告。
そう、残る問題点、今月分家賃未払いのキャルが昨晩遅くにダブリンからノコノコと戻ってきたのであります。戻って来た時間が1時を過ぎていたので、さすがに昨夜話し合いをするのは無理でした。私たちのヤキモキする気持ちを知ってか知らずか、彼女は依然として部屋を我が物顔で使っています。
キャル対策については事前にシュリと打ち合わせており、「日曜日の朝」、つまり本日の朝に「金を払っていないんだから、即刻出て行け!」と申し立てるということになっていました。勝手な彼女のことですから、新人マイケルが来たことを告げれば「じゃあ次の人が見付かったんだから私の予約金を返して頂戴」と言いかねないため、マイケルの存在に気付く前に速やかに出て行ってもらおう、と言うのが私たち側の理想的な解決策でした。マイケルは毎週末実家に戻るため、このフラットに帰って来るのは今晩です。出来ればその前にキャルに出て行って欲しい。
たとえマイケルとキャルが鉢合ってしまっても、マイケルは現在ザックの部屋に滞在しているのだから、次の人を探せなかったキャルは予約金を取り戻す権利は無い――とまぁこういう筋書きで攻めようかと。
そして本日朝、私がキャルに鉢合わないようにと思って早い時間に朝食を採っていると、待ち構えていたかのように台所に現れるキャル。
キャル 「ちょっとトーコに確認したいことがあるんだけど」
鷹瀬 「……何?」
キャル 「今月の家賃は誰がどう払ったの? 私の分は誰が払ったの?」
鷹瀬 「……皆でシェアして1100ユーロを掻き集めたんだよ」
キャル 「新しい人が来たんでしょう?」
鷹瀬 「……ああ、うん」
キャル 「じゃあ私の予約金は返って来るのね?」
鷹瀬 「それは無理でしょう。今はもう11月で、キャルは今月分を払ってないのにここにいるんだし、言うなれば予約金を使って今ここに滞在していることになるんだよ」
キャル 「じゃあ私が今月分を払えば今月26日までここに滞在できて、予約金は返って来るのね?」
鷹瀬 「そういうことはナズと話してよ」
キャル 「ナズじゃ話にならないからトーコに聞いてるのよ! 大体……〜以下略〜」
しまった、自ら網に掛かってしまったようです。
しかもなぜ新人が来たことをキャルが知っているのでしょう……。今月分など要らないからさっさと出て行って欲しい、というのが私とシュリの共通した願いなのですが……。しかし彼女は職場の関係で今月一杯はこの家にいたいのです。ああ、どうせまたキャルの思い通りの展開になるんだろうなぁ……。
私では埒が明かないということで一旦その場を逃れ、シュリに助けを求めます。
鷹瀬 「キャル、今月分は払うから26日までココにいて、新人が来たんだから予約金は返せ、って言ってるんだけど……」
シュリ 「なんでマイケルが来たことを言っちゃったんだよ! 内緒にしておこうって言ったじゃないか!」
鷹瀬 「私は言ってないよ。彼女、最初からマイケルが来たこと知ってたよ」
シュリ 「誰が言ったの?」
鷹瀬 「知らない。靴とか食料品とかから分かったのかなぁ……。とにかく今月分は払うって」
シュリ 「今月分なんか要らないからさっさと出て行け、っての。なんで今日中に出て行かないんだよ……。今月末までいるなんて冗談じゃないよ」
鷹瀬 「私に言わないでよ。ってか、シュリ喋ってよ。私だとワーッって捲くし立てられて結局彼女の都合の良いように話が展開しちゃうから……」
シュリ 「キャルとは話したくない……」
鷹瀬 「私だって嫌だよ! でももう話しちゃったんだから、早く解決しようよ」
嫌がるシュリを引き摺ってキャルの部屋をノックし、事態をクリアにするために急遽話し合い開始です。
シュリ 「キャル、君は今月分の家賃を支払っていないんだから今すぐ出て行くべきだよ」
キャル 「怒鳴らないで頂戴。私は騒音が大嫌いなのよ(原文:I
hate noise.)」
……誰も怒鳴ってなんかいません。普段のキャルの声の方が余程煩いし、私だって貴女と貴女の娘がたてる騒音が大っ嫌いです。
しかしそうは思っても日本語と違ってこの微妙な言い回しを素早く言えるだけの英語力がないため、口に出来た台詞はこんなシンプルなものでした……。
鷹瀬 「Shri isn't making noise.」
私の頭の悪そうな合いの手は黙殺され、シュリとキャルの平行線ちっくな話し合いは続きます。
キャル 「とにかく新人が来たなら私の予約金は返ってくるんでしょ?」
シュリ 「彼はザックの部屋に入ったのであって、君の部屋に入った訳じゃないから」
キャル 「ああ、もうそう喧嘩腰にならないで頂戴!(※シュリの口調は至って穏やかだった……) 同じことでしょ。昨日、大家からすべてを聞いたのよ。ザックの分の家賃は職場が立て替えるそうじゃない。それにザックは来年に帰ってくるんだし、そうなったら新人は私の部屋を使うんでしょ? 私は卑怯者じゃないわ。今月分は払うし、逃げも隠れもしないわよ。私は私のスケジュールを全うしたいだけ。26日まではこの家にいて、その後に予約金を返して貰ってから出て行くわ。いいわね?」
シュリが何か言おうとする度に頭ごなしに「怒鳴らないで」とか「どうして喧嘩腰なの?」などと話を遮り、結局は思うが侭に自分の言いたい事だけを矢継ぎ早に捲くし立てるキャル……。大家も余計なことを言ってくれたものです。
所詮、理性的でない上に根性が座っているキャルに、坊っちゃん育ちのシュリや言葉が不自由な私が敵うはずも無く、「キャルは26日までこの家に滞在し、出て行く時には予約金をゲットする」という彼女の望み通りの展開で、今回の一連のフラット問題は幕を閉じたのであります。
さて、アミットが去って家も随分寂しくなりました。しかしこのフラットも未だ捨てたものじゃありません。あっさりチャッカリのマイケルとはなかなか顔を合わす機会がありませんが、台所などで鉢合えば適度に会話は生まれますし、無口でシャイだったシュリも少しずつ私に慣れて来たようで、徐々に話すようになって来ています。
そしてたまたまなのかも知れませんが思うのです。
やっぱインド人、好きだわ……。雰囲気が。
私が知っているインド人は、アイルランドに留学に来ている人たちばかりなので、恐らく本国ではかなり金持ちで教育・教養もあり、基本的に上品に育った部類というフィルタリングがなされていることを念頭に置かねばなりませんが……。
アミットとシュリはこれまた見事な好対照、180度違った性格なのですが、何と言いますか基本姿勢が素朴で純情なところは非常に似ているのです。擦れてないと言うか……。
シュリに関して言うならば、最初は全く料理が出来なかったのですが、現在、ナズや私に教わりながら徐々にカレーを作れるようになってきており、本日チキンカレーを完全に独りで作ったのです。すると私に「味見する?」と聞いてきたので、勿論とばかりに味見をさせてもらうと、ナズやアミットの作るカレーに比べればまだまだですが、さすがインド人と言うべきか、初めてにしてはかなりそれらしい味に近付いてきているではありませんか。
ちょっと感動して「美味しいよ! ありがとう」と言うと、その時のシュリの反応たるや……。……こう……もじもじってちょっと照れて、はにかんで笑いながら……
シュリ 「No! No! You don't need to say thank you. I
can't believe someone ate my curry and said good.」
……………………カワイイんです、とっても……。こんな息子が欲しい……。
最近では完全に独りで台所を綺麗にするし……。
来月末には引越しで再びシュリともお別れです。もう次からのフラット生活ではインド人との同居などという幸運はあり得ないでしょうから、今の同居生活を存分に楽しんでおこうと思います。
1年間の留学を「waste of time」と言い切り、その理由の100%が「婚約者と離れて生きるなんてトンデモナイ」と嘆いていたアミットですが、念願の帰国を果たして12年間ほど熱愛中の婚約者と再会し、そらもうブッチギリで幸せそうです。
同居している頃から毎日のように「彼女が……」とか「彼女は……」とか思うままにその話題に持って行き、ふとした拍子に遠い目をするような奴でしたが、現在彼女に再会し、これぞ彼の人生の本領と言わんばかりの勢いでイキイキした毎日を送っています。
「男なんか浮気するもんだよ」とか「愛なんて一生は続かないよ」とか、そんな訳知りの台詞で満ち溢れている昨今、彼と彼女の愛は一生熱烈に続くと真剣に信じることが出来ます。既に10年以上ご近所で暮らしていて、毎日時間が許す限りデートしていて、留学中でも彼も彼女も毎日手紙を書き(お互いに投函するのは週1〜2回)、週に2回の定刻の電話もバイト中であっても欠かすことなく、未だにラブラブ。もう一生涯続くがな。
時々中途半端にアミットの話を周囲の人にすると、「えー、それって作ってるんじゃないの?」とか「結婚と恋愛は別だし、結婚したら冷めるんじゃん?」とか、まぁ日本平均の返答が返って来て、私自身が非常に嫌な思いをしたため、彼の話は中途半端には出来ないと思い知ったものです。
何せ彼(彼女も)の人生自体がある意味極端に偏っており、半端ではないのです。私も3ヶ月一緒に暮らして毎日のように彼らの文化や背景や考え方などを知った上で、「ああこれは本物だ」「こういう生き方って(私は出来ないけれど)いいなぁ」と思うに至ったので、掻い摘んだ説明で理解するには余りにも掛け離れた世界なのでしょう。
アミットの恋愛話はインド人すらも「彼のケースは稀だよ」と言っているくらいですし、私もアミット本人を知らずに話だけ又聞きしていたら「ウソォ、マジ?」と疑って掛かっていたと思います。
とにかくアミットはもう彼女と結婚したくてしたくてしたくしてしたくて仕方ないのですが、そんな彼を見るにつけ、こんな気持ちで結婚できたらめちゃ幸せだろなぁ……そして彼と彼女の幸せは一生揺るがないんだろうなぁ……いいなぁ……と、「アミット」と言うよりも「アミットと彼女の人生」に思いを馳せるのでした。
さて、そんなアミットのラブラブ幸せ大放出メールの一部をご紹介しましょう。
※「cos」は「because」の略語。
■2002年11月4日に届いたメールの一部抜粋
・ thanks and very sorry cos i couldn't mail you
but you know that i am in india so little bit busy with her.
・ right now i am with my love she is very happy and of course
myself. daily i am going out with her right now from
morning to night. i am really really happy.
・ my journey was a bit troublesome cos it was long but i am happy.
・ sometimes i am feeling stressed but she is with me so it's gonna
be allright.
■2002年11月7日に届いたメールの一部抜粋
・ rest everything is fine, daily i am going
out with her and very soon i want to marry that's all upto
myself and her
・ i am having a good time here. you know well.
■2002年11月11日に届いたメールの一部抜粋
・ how are you getting on???? with new house mates???
and without me????? hey i am just kidding i know you will be missing me
i am also missing you. but for me it's allright cos i am with my love.
・ now she doesn't want me to leave her even for a while. and i
am not happy to leave her even for few days. simply we can't.
注目の文章を太文字にしようと思ったらほぼ全文を太文字にする羽目に陥りそうになり、かなり絞って強調させてみましたが……。
「君が僕がいないのを寂しく思ってるのは知ってるよ。僕も君がいなくて寂しいよ。でも、僕の場合は大丈夫。だって最愛の彼女と一緒だもん!」
…………………………こういうことを堂々と書いちゃうステキな人間性………………かなり覚悟していたつもりでしたが、それでも改めてビックリします。ったくねぇ、もう……。
さすがに個人旅行で行くには勇気が要るインドも、「アミットを頼って行けば……」という前提で渡印の覚悟を決めたと言うのに、こういうメールを見るとインドに行っても相手にしてもらえなさそうで恐いっス……。なんてったって、
「今、彼女は僕に一時だって離れて欲しくないんだよ。それに僕も彼女とほんの数日離れるのだって望んじゃいないしね。単に、僕達は離れられないんだ」
ですから……。アミットに会いに行くのも旅行の目的のひとつではありますが、元からインドには行きたいと思っており、アミットが1番の目的ではないので、最悪会えなくても構いませんし、何もアミットの家に泊まらせてくれとは言いませんから、困った時にちょっと助けてくれるという保証が得られると安心して渡印できるんですがね……。今のところ全然安心できません。
私がインドに行く2週間の内の1日くらい時間を割いてくれるといいんだけどなぁ……。余り期待は出来ない気がする今日この頃でした……。
9(土)に質問を兼ねた予約メールを投げたパリのホテルですが、3日過ぎても返事が無かったため、昨日「重要度:高」のマークを付けて下記の催促メールを送信していました。
※日本語と違って誤字脱字文法が気になるし、人様にお見せできるレベルの文章ではありませんが、それでも現在のありのままの記録と言うことで……。
----- Original Message -----
From: To-ko Takase
To: Hotel ** *****
Sent: Tuesday, November 12, 2002 1:37 PM
Subject: About booking - Please respond ASAP
To. Hotel ** *****
I'm To-ko Takase who booked a single room 2 nights.
I sent the following 2 e-mails on 9th Nov., but still now I didn't get
your answer.
I want to change the booking date from "18th & 19th Dec."
to "19th & 20th Dec."
Can I book a single room 2 nights (19th & 20th December)?
I would like to know your answer as soon as possible.
And also I asked,
If I stay more long (for example from 19th to 27th, 8 days)
and I choose a room without a bathtub, can I book more cheap room?
I just wanted to make sure you received my recent messages.
I would appreciate it if you responded as soon as possible.
Sincerely,
To-ko Takase
重要度設定をしてメールを送ったことが功を奏したのか、本日になって漸くこんな返事が返ってきました。
----- Original Message -----
From: Hotel ** *****
To: To-ko Takase
Sent: Wednesday, November 13, 2002 8:19 AM
Subject: 19.12-21.12-TAKASE
CHECK IN :19 december
RESERVATION
CHECK OUT :21 december
NUMBER OF PERSON:2? (2 beds?)
PRICE FOR ONE NIGHT :50 euros
_________
if you want to stay from december 21th to 26 or 27th, you have to confirm
it
immediatly (we have one room with toilets on the floor from 21 to
27th at 38
euros by night)
To valid this booking please send to us, by return, the confirmation of
the
dates (19 to 21 and 21 to 26 or 7), your credit CARD number and its scratch
date.
敵もさるもの、「とにかく最安の部屋に連泊したい」という私の願いを躱わすかのように、「最初に確認した19、20日の2日間は50ユーロの部屋で、その後の21日から最終日までは38ユーロの部屋があるよ」という微妙な提案をして来ました。
ちょっと願いが叶うと図々しくなるのが人間(単に「私」?)というもので、当初合計が320ユーロ程度になるならこのホテルに連泊して良いと思っていたというのに、合計が328ユーロになった今、「どうせなら最初から最後までこの安い部屋に泊まりたいなぁ」といつの間にか欲深な願いを抱いているではありませんか。
言語は違えど人間考えることは同じ、彼らは少しでも高い部屋に私を泊まらせたい、私は少しでも安い部屋に泊まりたい。
やはり言語は違えど、こういう時の私の手口だって同じです。「最安の部屋に8連泊できないなら、今回の予約自体を取り消そうかなぁ」という態度をチラ付かせ、ホテル側に「下手に高い部屋を提示して手頃に稼げる長期客を逃すよりは、素直に最安の部屋を譲って、その代わり長く滞在してもらった方が得!」と思わせることです。
未だに電話での込み入った遣り取りに憂鬱になってしまう英語力なので、出来ればメールで交渉したいところですが、リアルタイムが売りのメールを用いてさえ3日間も返信がなかったクセに、催促した挙げ句に返ってきた返事に「immediatly(ただちに)」などと使うような相手に再びメールを出すほどギャンブラーにはなれません。仕方がない、再度フランスへの国際電話に挑戦です。
苦手意識は未だに根強く残っていても、現実問題として慣れては来ているので、相手が出ると同時に、「既に2日間分の予約をしており、本日メールで返信を受けたけれど、その内容について質問がある」との旨を簡単に伝えます。
電話を取ったのは前回話した男性ではなく、女性でした。パリジェンヌです……緊張します。
鷹瀬 「まず、この『one room with toilets on the
floor』っていうのはどういう意味なんですか?」
受付嬢 「この部屋にはトイレがなくて、同じフロアだけれど部屋の外にあるのよ」
鷹瀬 「あ……外ですか……。えと……シャワーと台所は室内にあるんですか?」
受付嬢 「ええ、トイレだけが外にあるの。他のものはすべて室内にあるわ。でもトイレも貴女だけのトイレよ」
パリジェンヌはツンケンしているに違いない、という予想と覚悟を裏切って、何となく親しみやすい声音に加えて、妙に色っぽい声で「It's
only for you.」とか言われてヘドモドしてしまうジャパニーズ鷹瀬。上記の和訳も、本当はホテルの受付ですから気持ち的には丁寧語で話しているのかもしれませんが、声の調子や雰囲気から、どうにもお姉サマ言葉が連想されてしまうのです。
「確認させてください」という意味で、私がたどたどしい英語で何度も「I'd
like to make sure.」と言うと、好感を与える優しい感じの「うふふ」という和み系の笑いを挟んで下さり、それがまた妙に艶っぽいものだから、私も何だか強気に出られず、やはり最終的に落ち着く態度は――そう、「ヘドモド」してしまうのです。
しかし怯んで(?)ばかりもいられません。上手く話を運んで最安の部屋を連泊でゲットしなければ。50ユーロの部屋になんぞ用はないのです。どぎまぎしつつも主題に切り込みます。
鷹瀬 「あの、もう1点確認したいんですけど……。メールには最初の2日間が50ユーロの部屋で、その後連泊するなら38ユーロの部屋、というふうに書かれていたんですが、到着日19日からずっと38ユーロの部屋に連泊することは出来ませんか? 出来れば部屋を換わりたくないので……」
受付嬢 「あら? なぁぜ?」(←囁くように、妙に色っぽい声)
鷹瀬 「え……(ちょっとヘドモドしつつ)……あの、色々食べ物とか買って冷蔵庫を使いたいなぁ……って思ってるんです。フランスは食品が美味しそうだし楽しみにしてて……。(←動揺していたため何だか変なコトを言い始めるバカモノ) そうなると冷蔵庫の中身とか移すのってちょっと面倒そうじゃないですか。チェックアウトとかチェックインとか気にするのも避けたいし……」
受付嬢 「うふふ、それもそうね。分かったわ」(←やっぱり何だか物凄く色っぽい声だった……)
鷹瀬 「え……と、この38ユーロの部屋に8連泊できるんですか?」
受付嬢 「ふふ、大丈夫よ」
ヤタ! 50ユーロ8泊で合計400ユーロ覚悟していたのが、ちょっと頑張って50ユーロ2泊+38ユーロ6泊で合計328ユーロ、更にちょっと頑張って38ユーロ8泊で合計304ユーロにまで削ることが出来た! 96ユーロ経費節減! ああっ……これぞサーチと努力の充実感ッ!
最低ラインのユース・ホステルに泊まれば1泊15ユーロ程度で済むけれど、やはり荷物管理に気を張らないで済む1人部屋に泊まりたいし、パリ市内(11区)で台所付きでネット接続も可能なホテルで38ユーロは画期的でしょう。
こうして、取り敢えず8日間分の宿の確保は完了したのであります。後はスケジュールを組むだけです。
【おまけ】
このくらい真剣に英語の勉強を頑張っていればなぁ……。もっと話せるようになっているんでしょうに……。
アイルランドに来てそろそろ半年。素直な心情吐露、アホ丸出し、ぶっちゃけの本心を書いておきましょうかね。
英語は嫌いじゃないけど、勉強なんか大っ嫌い。しんどいコトはなるべく避けて通りたい。英語なんか覚えるだけじゃん。アタシャ記憶力が悪いっちゅーの。人の顔と名前も覚えられないっちゅーの。
あーあ、楽して喋れるようになりたいなぁ。どっかに英語が話せるようになる薬、売ってないかなぁ……。1回飲んだら死ぬまで効くってんなら、200万円……いや、300万円まで出しちゃうよ。英語の勉強じゃなくて金を稼ぐことで頑張っちゃうよ。
大体さぁ……
以下、延々と続くようです。
<<- Limerick編C Limerick編E
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