stay in IRELAND
愛蘭滞在記(3)〜Cork編A
慌しくも密度の濃い出発〜到着の1週間を経て、少々落ち着きの兆しが見え始めた5月後半戦。5月は5月で1ページにまとめようと思いましたが、余りに量が多くなりそうなので分割しました。
また、所々に友人知人クラスメイトの名前が出てきますが、すべて仮名です。
| 2002年5月22日(水)〜6月5日(水)の小見出し一覧 | ||
| A フランス嫌いのフランス人 | 5/23(木)@ 銀行口座開設成功 | A それぞれの勉強法 |
| 5/24(金) 雨+風=風邪 | 5/25(土) 疲労困憊 | 5/26(日)@ いまだアツアツ |
| A 晒された下着たち | B 初めてのハウスメイト | 5/27(月)@ リトルビット孤独 |
| A 4人でローカルパブへ | 5/28(火) フランス事情 | 5/29(水) ミドルトンに行く |
| 5/30(木) 初ドッグ・レース | 5/31(金)@ 留学生共通の悩み | A 真夜中の帰り道 |
| 6/1(土) 「若い」ではなく「幼い」 | 6/2(日) だんだん単独行動 | 6/3(月) コーヴに行く |
| 6/4(火)@ それぞれの心の内 | A 幸せの予感 | 6/5(水) 劇的マッチ |
いずれ時間が出来たときに書きます。
2002年5月22日(水)A フランス嫌いのフランス人
日本人がアイルランドに入国する際、事前のVISA取得などは必要ありませんが、3ヶ月以上の長期滞在を望む場合は必要書類を揃えた上で自ら入国管理事務所を訪れ、正規滞在許可を得なければなりません。この時に必要とされる書類はパスポート、入学許可証、領収書、財政能力証明などで、上記4点のうち問題になってくるのが4番目の「財政能力証明」に関する書類です。
2002年5月23日(木)@ 銀行口座開設成功
イギリスでの入国審査時に提示した日本で作成した残高証明書は「財政能力証明」として認められません。そのため、私たち日本人留学生は現地で銀行口座を開設するか、郵便局に口座を開いてそこに入金し、残高証明を発行してもらう必要があるのです。
数年前までは留学生が銀行口座を開設することはさほど難しいことではなかったようなのですが、最近になって不法労働者が増えたため今では留学生が銀行口座を開設できるケースは稀になってしまっているようです。その際の代替案として留学生たちは郵便局で口座を開設し、そこで残高証明を作成するらしいのですが、郵便局の口座には日本からの海外送金は出来ませんし、お金を引き落とす場合にも窓口オンリーでの取り扱いになるため、やはり出来ることなら銀行口座を開設したいものです。
ここで非常にラッキーだったことは、私が通う語学学校では特定の銀行と提携しており、留学生の滞在許可申請に必要な残高証明書類の作成を手伝う一環として、口座開設できるように手紙を書いてくれるのです。この手紙さえあれば特定の銀行であれば口座開設が可能になります。
そして取り敢えず銀行口座開設に合わせてキャッシュカードさえ作ってしまえば、今後はアイルランド国内どこでも他の銀行のATMを利用して24時間365日無料でお金を引き落とすことが出来るのです。
――と、言うことで本日7日目にして銀行口座開設成功。長期滞在の幕開けの都市にアバウトなコークを選んで本当に良かったっす。
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通帳はなく、ペラペラのカードが口座取得の証明になる。
もちろん裏面の口座番号などは手書き。
銀行口座を無事開設した後、同年代の日本人留学生とランチを取りました。パブやレストランでのランチは最も安い4ユーロ程度(約450円)のサンドイッチでさえ私が望む量の倍程度のボリュームの皿が来てしまうため、値段も量も半分こが出来る日本人は貴重なランチ友達でもあります。(他の国籍の子達は本音はどうか知りませんがペロリと食べます……)
2002年5月23日(木)A それぞれの勉強法
お互い最も低いコースにいる者同士、拙い英語で会話をする訳ですが、結構個人行動をしていそうな彼女に聞きたいことは「クラスメイトたちとパブとかに行ってる?」ということです。
どうしてこんなことに拘るのかと言うと、会話力を伸ばすためにはパブなどに足繁く通い友達を作った方が良いのでしょうが、それをすると机上の勉強をする時間がまるでなく、しかし机上の勉強だけなら日本でも出来るというジレンマに陥り、何となく「皆はどうしているのかな……」と気になっているからです。こんなことは「他人がどうであろうと関係ないわ、私は私の道を行く!」と強く思えれば良いのですが、なかなか小心者なもので、哀しいかなつい他人の動向が気になってしまうのです。
「パブ? 行ってないよ〜。だってもう家に帰って勉強したらくたくただもん。あの毎日パブに行ってるような韓国人の子たちは22だっけ? 23だっけな、とにかく若いしね。年が違うよ……。もっと語彙力とかあったらパブとかに行って会話を伸ばすのも手だけど、今はそんなレベルじゃないしね。最初に基本を勉強しないと」ああ、確かに……。
他にも
「日本人は比較的文法力はあるから、まずとにかくコミュニケーションを取って会話力を伸ばす方が上達への近道だと思う」という意見もあり、これも尤もだな、と。
それぞれやり方が違うのは当たり前ですが、単に私が色々迷っているので揺れているだけなのでしょう。しかし「留学するなら若い内が良い」というのは、記憶力もさることながら、体力面での話も加味されているのだと気付きました……。
アイルランドの天気がくるくると変わり易いというのは過去の2回の訪問で知っていましたが、ここまで風が強く、太陽が出ていても嵐に近い大雨が振るというのは今回初めて思い知りました。現在滞在しているコークが西南の海沿いということもあるのでしょう。
2002年5月24日(金) 雨+風=風邪
先日18日にも書きましたが、アイルランドの地元民が傘を差さないのは、「すぐに止む」ということに加え、風が半端でなく強いので雨は垂直に降らず傘を差しても無駄ということもありそうで、更には折りたたみ傘なんぞ差しても強風のため壊れるのがオチだからなのではないかと思うようになりました……。そのくらい風が強いのです。ですからびしょ濡れになっても皆さんそのまま平気で歩いています……。
私も好きでそうしている訳ではなく、単に物理的な強制力に従って傘を差さなくなりましたが、基本的には軟弱な都会っ子のため、1日の温度差が激しいこの現状に加え雨でずぶ濡れという毎日を繰り返した結果、風邪を引いてしまったようです。熱はありませんが喉の奥が痛くて鼻水が出ます……。
こんな体調だと言うのに、「人と関わらなくちゃ」的な強迫観念(?)が少々働いているため、今週末も休めず、明日の土曜日に郊外に観光に行く予定を組みました……。他の学校の留学生と。楽しみにしてるかと言えば、気分は半々です。出来れば家で寝ていたい……でも行かねば、という感じで行くのです……。そう、これこそまさしく一番いけないとされている「must」の精神。
日本だったら絶対に参加してない……というか、会社を休んでしまうレベルの体調の悪さですが、計らずも異国の地で日本での生活よりも無理をしています。
早く自分のペースを掴みたいなぁ……。
本日の1日観光バスツアーに備えて充分に睡眠を取ったつもりですが、駄目でした。朝起きても喉が痛いし、体調はますます悪くなっている気がします。――と、言うことで来週の授業に響いても困るので、今週末は大人しく家で寝ていることにします……。丁度日記もリアルタイムに追い付いたし、体調を整えることに専念しようと思います。
2002年5月25日(土) 疲労困憊
9日目にしてダウン。
教訓:無理をして乗り切れることもあるが、年々その可能性は低くなるということを念頭に置くべし。
【午後の追記】
風邪引いて37.5度の微熱あり。異国の地で風邪引くほど嫌なもんはないでしょう。(いや、こんな事態より嫌な事態はいくらでもあるな……) 日本にいれば「寝て過ごせばいいや」と思える程度の風邪に違いないのに、「……このまま肺炎に発展したらどうしよう……」などと過度に心配しながら、辞書で「肺炎」の単語調べたり、「耳の奥が痒い」「喉が痛い」とか調べてます、今。いざという時のために。ベッドの中で。
こんなことしていたら治るものも治らない気がする今日この頃……。ゴホゴホ……。
昨晩寝たのが22時、本日起きたのが8時。10時間の睡眠を経て、風邪は大事に至ることなく回復に向かっているようです。いつもの風邪の時の順当な症状、つまり、喉の痛みが痒みに変わり水っぽかった鼻水が粘っこくなるという経過を見せています。この調子なら明日には治るでしょう。
2002年5月26日(日)@ いまだアツアツ
しかし今回風邪を引いたことで覚えた単語は、この先も忘れたくないものです。「肺炎(pneumonia)」「痒い(itch)」「喉(throat)」――特に「喉」に関しては「おお! だからトローチって言うのかーっ!」と今まで何気なく接していた薬の名前に行き当たり、少々感動してしまいました。
さて、平日は朝食を7時半頃に1人で取り、夕食を18時に家族と取る、という感じですが、土日は家にいる場合13時頃にやはり家族と共に取ります。
本日の昼食はホストファーザーが作ってくださり、これがまた木目細やかな盛り付けだったため感激して激写。
この後に出てきたパンに付けるパテはホストファーザーの手作り、毎朝の朝食に出るジャムはホストマザーの手作り……。食べ物が美味しいということだけを言っているのではなく、この完成された夫婦の世界がまるで絵に描かれた天国のようで……。
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本日の昼食(左)とその拡大図(右)
トマトのスライスの上に小海老、その上からソース。
うう……余りに恵まれていると現実世界に戻るのが辛くなるよう……。
先日メールで友人に「余り早く家に帰る訳にもいかないし」というようなことを書いたら、
…でも、ホストファミリーの老夫妻がいまだアツアツだったりするの?という返事が来ました。家に居づらい理由は単に22日に書いた通り「友達がいないのかと心配されてしまうから」なのですが、それとは別に、「いまだアツアツだったりするの?」の問いには力強く「Yes!」と言うことができるでしょう。それが理由で家に居づらいということは全くありませんが、自分が今まで見てきた現実との余りのギャップに「……夫婦って何だろう」とか物思い耽ることはしばしばあります。
家に居たいのに居づらい場面って…。
今日は少々寒い日だったのですが、椅子に座って「ちょっと寒いわね……」と言うホストマザーを後ろからそっと抱き締め、「これでどう?」とか優しく問い掛けちゃうホストファーザー。んもうそれを目の前で見ている私の気持ちを何やら湧き上がる感情のままに言葉で表すならば、
「てはーーーっっ!!!」ってなもんです。僕も寒いよ暖めてくれよってなもんです。コレもちろん文化の違いということはあるのでしょうが、何だかそれだけではないような気がする今日この頃……。
遠い異国の地にいる余り羨ましくない伴侶を持つ母を想い、ちょっと目頭が熱くなってみたり……。まぁ母を想って目頭を熱くする前に、自分の現状を考えてから目頭を熱くする方が順当だとは思いますがね。ええ、ハイ。よーく分かってまんがな。
教訓:比べても仕方ないものは、いっそ一生比べない方が良い。
以前、某アイルランド留学サイトの体験談の中に、
2002年5月26日(日)A 晒された下着たち
「こちらの女性のデリカシーのなさには参った」という内容のものがありました。そしてダブリンの半年留学した友人からも、別の言葉で同内容の体験談を聞いたことがあります。
恐らく彼らに共通している体験で、私が過去の2回のショートステイでは体験していないことから、彼らは痛烈にこの事実を認識しているのですが、それが「洗濯」、それも主には「下着の洗濯」に関してです。私は過去に2回アイルランドに滞在していますが、そのどちらもホストファミリーに衣類すべての洗濯を頼んでいません。
そして今回。6週間お世話になるのに洗濯物を頼まない訳がなく、パンツなどの下着くらいは自分で洗いたかったのですが、これが文化の違いというヤツで、彼らは洗面所や風呂場(……と言うかシャワー場)で衣類(下着)を洗われるのを酷く嫌います。これは、私が過去にお世話になった家の洗面所で下着を洗っていた時に厳しく注意されたことや、他の日本人留学生が同様の体験をしていることから、恐らくアイリッシュ(もしかしたら欧米人全般)の文化に「女性は下着くらい自分の手で洗う」というものがないのに加え、「洗面所で衣類を洗うなんて!」という概念があるからなのだと思います。
下着まで洗って下さると言うのは非常にありがたいのですが――これは家にもよるようですが――ある日本人の女の子は同じ家に男の子の留学生もいるのに乾いた洗濯物が1ヶ所に山積みにされていて、「自分の洗濯物を勝手に取って行きなさい」と言われて結構ショックを受けていました。
また、日本と違って乾燥していて汗をかかず衣類も汚れにくいことからだと思うのですが、アイリッシュはちょっとやそっとでは洗濯をしません。
以前ダブリンでお世話になった家では同じバスタオルを1週間使っていました……。廊下の手すりに掛けてあるバスタオルを指差し、「もしバスタオルを持っていないんだったらあれを使って」と言われ、「使い終わったらどこに置けば……?」と聞くと、「元の場所に戻して置いて」とアッサリ言われ、恐る恐るその与えられたバスタオルを触ってみると、既にしっとりと湿っていた時には結構なカルチャーショックを受けたものです……。
そして今回の私のケースです。色々な前情報を聞いていたため、ちょっとやそっとのことではショックを受けないつもりでした。つもりでしたが……。
先日初めての洗濯物を出し、天気の悪いアイルランドでも本日辺りに戻ってくるかなぁ……などと呑気に構えて家に帰り、夕食に呼ばれてキッチンに降りて行き、いつも通りに私の席に着くと……何かこう視界の端に違和感が……。違和感の源である私の席の横にあるヒーターに目をやると……そこには私のパンツやらキャミソールやらがびっしりと並んで掛けられているではありませんかっ!
いや、覚悟はしていたつもりでしたが、家族全員の目に付く場所に自分の下着のオンパレードを発見した時にはさすがに飲んでいた水を噴き出しそうになりました……。慌てて回収させて貰いましたが、慌ててるのは私だけ。ホストファーザーなんか「ヒーターに掛けたから早く乾いただろう?」ってな感じで落ち着いたもんでした……。
ヒーターに掛けられる洗濯物のイメージ図
実際はタオルではなく下着だったという……しかも隙間なくビッチリ
デリカシー……デリカシーねぇ……。私も余り持ち合わせていないと思うけど、世界レベルで見たら持ち合わせている方なのかもな……。
教訓:パンツもTシャツも同じ衣類と思うこと。
本日から1週間、フランスから来る女性が私と同じ家にホームステイすることになっています。1年前のダブリンでのホームステイの時もイタリア人のハウスメイトがいましたが、彼女は私の到着と入れ替わりで出て行ってしまったため、事実上今回のフランス人の彼女が私にとって初めてのハウスメイトになります。そしてこの彼女は私と同じ学校に通うのです。
2002年5月26日(日)B 初めてのハウスメイト
同じバスに乗って一緒に学校に行ったりするんだろうか。共に週末を過ごすとか、休憩時間に顔を寄せ合って笑うとか……。(←ドリー夢突入中)何だか胸弾みます。だって今のところ学校に親しい友達いないし。ってーか、「友達」なんてのは言葉が通じる日本でも多くなかった私ですから、外人なんて「いわんや外人」レベルなんですが、それでも共に週末を過ごすとか、休憩時間に顔を寄せ合って笑うとか(←この2点に拘っているらしい)、そんなレベルの友達くらい欲しいのです……。
しかしこんな内容のことを友人にメールしたらアッサリと切り捨てられました。
「休憩時間に顔を寄せ合って笑う」ってあたりが夢入ってるね……。ごふ……っ。いいじゃないか……夢くらい見させて……。
すでにキャラクター違うから諦めなさい。
昨日の午後、ホームステイ先に新たに加わったフランス人女性ですが……英語ペラペラ、レベルが高すぎて話になりません。「話にならない」というのは「英語が上手いので友達になれない」ということではなく、英語が普通に話せる彼女がホームステイ先に加わったことでホストマザーもホストファーザーも彼女と普通の会話をしてしまい、私が口を挟む隙がなく、文字通り「話にならない」状況なのです。
2002年5月27日(月)@ リトルビット孤独
いや、もちろん私に会話力さえあれば口を挟む隙は多々あるのですが、少なくとも今の私の会話レベルですと、
「え? え? 今なんて……? あ、もしかしてこう言ったのかな? あ、じゃあこんなことを聞きたいな」などと思う頃にはもう次の次くらいの話題に移っている……という感じなのです。
突っ込み体質の私としては、リアルタイムで突っ込みを入れられないというのは隔靴掻痒たる思いに苛まれる結構な惨事なのであります。書くことの次に話すことが大好きにも関わらず英語が不自由なために無口にならざるを得ない身としては、10年ほど前からいつか日記の中で使ってみたいと思っていた4文字熟語を使うことでしか、この鬱憤を晴らせないのであります。(※隔靴掻痒……かっかそうよう。靴の外部から足の痒い所をかくように、歯がゆくもどかしいこと)
ハウスメイトがいるのはとても楽しいことですが、出来れば語学力は「自分よりちょっと上」というのが理想的ですね……。
そうそう、この「ちょっと」という言葉を最近むやみに使うようになりました。英語で「a little bit」――いかにも「ちょっと」という感じが語感に表れていて自然に使える言葉です。そんな自然に使える言葉を自然に使った結果出てくるのが「リトルビット孤独」じゃ、私の英会話マスターへの道はまだまだ遠く険しそうです……。
いずれ時間が出来たときに書きます。
2002年5月27日(月)A 4人でローカルパブへ
いずれ時間が出来たときに書きます。
2002年5月28日(火) フランス事情
ハウスメイトとウイスキー製造所&博物館のあるミドルトンへ行って参りました。お酒が飲めると人生もっと楽しいんだろうなぁ……としみじみ思ってしまった昼下がり。
2002年5月29日(水) ミドルトンへ行く
とりあえず簡易写真集(3)〜Cork編に写真をアップしました。
本日は学校の面々と競馬ならぬ競犬(ドッグ・レース)に行って参りました。
2002年5月30日(木) 初ドッグ・レース
アイルランドでは競馬に並ぶポピュラーなスポーツ(でもギャンブル)らしく、お金を賭けるのにも年齢制限はないそうで誰でも1ユーロ(約117円)から賭けることができ、それこそ小学生くらいの子供も参加していました。
入場料は学生で3ユーロ、大体20時頃から始まって、全10レースを経て22時過ぎに終了します。内容は1レース6頭の犬がトラックをひたすら走り、競馬同様その順位を当てるという仕組みです。1等を当てる「WIN」、1等または2等を当てる「PLACE」、1等と2等を共に当てる「FORECAST」など様々な賭け方がありますが、初心者に出来るのは「WIN」または「PLACE」が関の山です。(※注:恐らく競馬にも単勝とか色々賭け方の用語があるのでしょうが、私がそれを知らないため適切な説明ができず申し訳ありません)
場内の様子
レースに出場する犬の過去の履歴詳細が示された情報誌を入場時に配られ、人々はそれを参考にしつつ賭けるのですが……。
日本では競馬なんぞしたこともないけれど、まぁこれも経験ってことでもちろん賭けましたとも。10レース中7レース、3勝4敗、11ユーロ賭けて8.5ユーロ取り戻したので、結果は2.5ユーロの負け。最初に負けが続き、9レース目の大当たりの結果その負けを完全に取り返し、当然最終レースは賭けずに止めようと思っていたのですが、韓国人青年に
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馬券ならぬ犬券(?)と配布される情報誌
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犬券と情報誌の拡大図
「Why don't you go? It's just a game! You should try it! Because this is the last race!」と物凄い勢いでそそのかされ賭けた結果、足が出て終わることになりました。(そそのかした彼は大勝しました……)
いや、最終的に決断は自分で下したので全然OKなのですが、こういう賭け事を通して国民性……もしかしたら単なる個性が分かるのが非常に面白かったです。
皆初めは最低金額の1ユーロから始めるにも関わらす、慣れない内から大胆に大金(5ユーロとか)を賭け、大きく負けて中盤で早々に賭けるのを止めてしまうスペイン人。
普段はクールで余り表情豊かなタイプではないのに、勝負事になると力強く表情豊かになるブラジル人。
チームを組んで冷静に勝ちに行くフランス人。
とにかく熱く燃え上がる韓国人。
でも諦めている韓国人ももちろんいますし、同じスペイン人でも負けても勝っても楽しんでいる人もいたので、国民性によるものよりは個性による態度が強いのかもしれませんが、反応が色濃く様々でドッグ・レースもさることながら人間ウォッチングも面白かったです。
比較的どの国の人も負ければ「Oh my God!」という感じで分かり易く嘆くか、「ふぅ」と溜め息をついて暗い顔をするのですが、非常に興味深かったのはフランス人の態度です。20ユーロも勝ったフランス人に「負けちゃったよ〜」と報告して悔しがっていたら、
「どうして残念がるの? 私は結果的には勝ったけれど、負けても悔しくはないわよ? だって自分で決めて、自分で賭けたんですもの。すべて自分で決めたことなんだし、とっても楽しかったじゃない。トーコも楽しんだでしょう?」と、非常に美しい言葉で諭されてしまいました。ブリリアーント! エレガーント!
いやぁ……大人だねぇ……。ちょっぴり自分の態度を恥じ入りつつ、でもまぁ負けて悔しがるのも楽しいものさと思いつつ、総合的に良い経験をしたなぁ……としみじみ思ったのであります。
大人ついでに、ドッグ・レース会場に行くまでの間の車の中でのこんな遣り取りも印象的でした。
本日は学校の生徒のほとんどがこのドッグ・レースに参加したため、多くのクラスでは宿題が出なかったのですが、私のクラスでは一応出ることは出たのです。しかし先生が「今日はドッグ・レースだから、やってもやらなくてもOK」というようなことを授業中に言っていたのですが、私はそれを聞き逃しており、このことについて同じクラスのフランス在住の日本人に聞いたんですね。(※注:会話は英語でした)
鷹瀬 「今日の宿題って、やってもやらなくてもいいんだっけ?」やー、自分が骨の髄から日本人だと思い知らされた瞬間でした。本当に、「言われたからやる」んじゃないんですよね、宿題なんか。こんなもんは自分のためにやるのだから、先生がどう言っていようと関係ないんですよ、ハイ。念のために言っておきますが、何もすべての日本人が「言われたからやる、という姿勢でいる」と言っている訳ではありません。傾向の問題で言っているだけですから。そして一般的傾向の問題で言うのなら、やはり日本人は他国籍に比較してすべての面において受身の姿勢が強く、それが特徴と言わざるを得ません。
彼女 「宿題はいつでもやってもやらなくてもいいんだよ」
鷹瀬 「? 先生はなんて言ってた?」
彼女 「なんでそんなこと知りたがるの? 先生のために宿題をするんじゃなくて自分のためにするんでしょ?」
しかしこの一歩引いた受身ちっくな態度というのは、時として「奥ゆかしい」という美しい言葉で表現される美徳にも通づる面があり、一概に外人の「俺が! 俺が!」の姿勢が良いとも思いませんが、少なくとも宿題などに関して「先生は何て言ってただろう」などと気にしてしまう姿勢は改善すべきだと素直に思える一面だと思いました。
いやもう本当に、この1年でこういう思考回路を根本的に叩き直そうと心底思ったのでした。
教訓:自分の決定に責任と誇りを持て。
ご飯が美味しく、ホストファミリーがメチャメチャ親切なご家庭に滞在することになり、それはもう我が身の幸運を噛み締めていますが、どうやら現在私が通っている語学学校から紹介されるホームステイ先にはそもそも外れがないという事実を知り、「ああ、特に私がラッキーだった訳ではなく、この語学学校を選んだ時点でおおよその幸運は運命付けられていたのね」と認識しておりました。
2002年5月31日(金)@ 留学生共通の悩み
別に自分が特にラッキーかどうかに拘っている訳ではないので、どんな経緯であろうと6週間という短くない期間お世話になる家が当たりで良かった……としみじみ思っていたのですが、他の日本人留学生と情報交換をするようになって、私は自分のホームステイ先が「そもそも外れがない」とされている中で相対的に見ても本当に恵まれていることを知りました。
やはりそうなると単純に嬉しいものです。
とても良いご家庭だということは何かと比較しなくても充分に分かっていましたが、なにぶん1年前の初のホームステイ先での衝撃が余りに強く、どんなに酷い環境でもOKになってしまった代わりに、良い環境に置かれてもぼんやりしてしまっているのかもしれません。そしてやはり、少々の問題があるからなのです。
さて、今回はその「問題」について書いてみたいと思います。
ご飯が美味しく、家族が親切で、シャワーが熱くて、部屋に机があり、自由度が高い――このように非常に恵まれた環境にいることとはまた別の問題で、少なくない日本人留学生が抱える共通の問題というヤツも体感するに至っています。
第1点として挙げられるのが、振り当てられた部屋の大きさです。
ホームステイは1軒のご家庭に1人だけがお世話になるケースもありますが、少なくともアイルランドでは1軒のご家庭に複数人の(留)学生がお世話になっているケースが主流です。これは独立した子供たちの部屋を明け渡しているからで、アイルランドでは1人っ子が稀なため、ホームステイをしているご家庭ではMAX状態で子供部屋分だけの学生が滞在していると考えて良いでしょう。
私の家には滞在用の部屋が2つあり、私がこの家に来た時には他に学生がおらず私1人でした。そして第2週目(5/26)になってフランス人女性が1週間だけ滞在し、第3週目(6/2)からはドイツ人女性が4週間滞在します。私の滞在が6週間ですから、丁度このドイツ人女性と共に家を去ることになります。
ここで少々わだかまってしまうのが部屋の割り当てなのです。私の家の2部屋は明らかに大小異なり、ベッド、机、窓、スペース、どれを取っても倍程度の差があります。そして私に割り当てられたのは小さな部屋……。私の方が後から入った、私の方が滞在期間が短い、値段が違う、などの特別な理由があるならまったく問題ないのですが、これらの理由のどれもが当てはまりません。
ベッドの大きさはともかく、長期滞在する学生の机が小さいというのは何となく不満で、しかも私の部屋の窓は歩道に面しており着替える際にいちいちブラインドを下ろさねばならず、大きい方の部屋は裏庭に面しており景観も抜群なのです……。(詳細は写真参照)
まだフランス人女性が来る前に、何度か大きい部屋を覗きこれらの違いをじっくり堪能してしまった私は思いました。
………………………………換えて貰えないかなぁ……。こうなったら無邪気にレッツ・トライでしょう。何となく言い出す切っ掛けを窺って「夕食後の皿拭きの手伝い最中」という恐らく最も良いであろうタイミングでホストマザーに問い掛けてみます。
鷹瀬 「庭に面している部屋、とっても素敵ですね。窓からの眺めも最高だし……」会話終了ーっ! く……目的地に辿り着くには婉曲すぎたか……。再度チャレーンジっ!
HM 「あら、そう? そう言って貰えると嬉しいわ!」
鷹瀬 「今あの部屋は使ってないんですか?」……あ、そうなんですか。彼女が私が今使っている部屋を使うって選択肢は……ないですよね。ええ、ハイ、分かっています。
HM 「今週末フランスから来る子が使うわよ」
何でかなぁ……私が使っちゃ駄目かなぁ……と思いつつも、何か見えない確固たる壁を感じ、それ以上食い下がるのもせっかくの関係を壊しかねないので、そうかそうなんだと納得しました。いや、今の部屋でも充分満足なんです。ただ、空いている部屋が倍程度に広いと「いいなぁ、あの部屋のあの机で時々窓の外の庭を見つつ勉強したいなぁ……」なんて思ってしまうだけで……。
この話を日本人留学生に何となく話すと、彼女たちも同様のことを言うのです。
A 「ああでもウチもそうだよ。ウチの場合は大きな部屋が2つと小さな部屋が1つで、大きな部屋なんかベッドが2つあるの。もちろん小さい部屋が私の部屋ね。あ、もちろんベッドは1つね。私も換えてくれないかなーとか思ったけど、今ウチにいる学生って、私以外は男だからそれでかと思ってたんだけど……もしかしたら東洋人だからかもねぇ……。ウチのホストマザーは明らかに私よりフランス人の男の子の世話を焼いてるしね」これはもしかしたら差別とかそういう問題ではなく、単に「東洋人は西洋人より身体が小さい筈」と思われているからなのかもしれません。実際にそういうケースの方が圧倒的に多いですし。でもね、最近日本人も食べ物が欧米化したせいか発育良くてね……。それに私も結構身体大きくてね……半々の確率で西洋人よりも大きいんだよね……。それでも駄目かい……。
B 「ウチも全く同じだわ……。2つ部屋があって、後からきたスペインの子が大きな部屋を使ってる。ちなみにその子の方がショートステイ」
まぁ私が考えているようなことはまったく事実無根で、本当に何の気なしにそういう采配になっただけかもしれませんが……。
またこれは、もしかするとEU諸国がひとつにまとまろうとしている表れなのかもしれません。彼らにとってヨーロピアンは同国の仲間であり、私たち東洋人は外国人という位置付けをされている可能性は非常に高いと思います。
つい去年までオランダに建築を学びに留学していた友人が言っていた台詞が思い出されます。
「アイツらいよいよ本気でひとつになろうとしている感じがひしひしとするね。大学の編入手続きとか、EU諸国間では国内の手続きと同程度の手続きで済むように改定されたりとか。他にも色んな面で『EU諸国』っていう塊を感じる。そういう中に東洋人の自分が仕事を求めて切り込んで行くのは結構厳しいよ……」他にも、私がアイルランドに留学するに当たって必要とされる諸手続きも、EU諸国の連中は必要がなかったり、入国に当たってのパスポートチェックの場面ですらEU諸国は別の列でほとんどノーチェックです。携帯電話もEU諸国間で使えるようですし、考えてみれば彼らは国内旅行のノリで互いの国を行き来しています。
このような感覚から考えても、EU諸国の人と東洋人に対する親密さに明確な差があるのは当然なのかもしれません。
さて、これが第1番目の問題点で、第2番目は……これはもう仕方ないことだと思うのですが、会話の出来るもしくは出来なくてもとにかく喋り倒すヨーロピアンがハウスメイトになると、ホストファミリーがその子とばかり話してしまって口を挟む隙がなくなる、というケースですね。私も先日27日の日記に書いています。今では大分慣れて口も少々なら挟めますし、それ以前にこの事態に慣れて取り敢えず彼らが話している内容だけでも聞き取れないかと、聞き取りの訓練と思って在籍するだけの参加をしていますが。
この話をした時も、やはり日本人留学生から「Same, same!」という力強い返事が返ってきました……。(※注:基本的に日本人同士でも英語で会話しています)
しかしこの件に関しては逆の立場で考えて、もし自分の家に片言しか喋れない外人と普通に会話の出来る外人がいたら、最初のうちは気を使って「平等に」と心掛けるかもしれませんが、恐らく慣れてしまえば普通の会話の出来る人とばかり話してしまうことでしょう……。ですから全くと言えば嘘になりますが、今ではほとんど気にしていません。
英語の上手い子がハウスメイトになって、しかも常に共に行動するくらい仲良くなれれば、それはまさに最高の学習環境と言えるので、むしろこういう事態は歓迎しなければならないでしょう。私も実体験するまではハウスメイトがいる人を羨んでいましたし。そしてその人から「……そんなに良いことばかりでもないよ」と言われても、「えー、そうかなぁ」とか言っていましたし……。
………………頭では分かってるんだけどね……。人間ってそう簡単なものじゃないと思うの、ってダケの話。
取り敢えず、この先ホームステイをする予定のある方に、起こりうる問題のご紹介でした。
くれぐれも言っておきますが、私のホストファミリーは本当に良くして下さいますし親切です。私はラッキーだったと心底思っています。
また、大小2つの部屋があっても大きい方の部屋を割り当てられた日本人だっているかもしれませんし、ペラペラの子がハウスメイトで本当に良かった!と言っている人だって大勢います。
100%パーフェクトな家など恐らくなく、それはもう本人の気持ち次第で評価はどうとでも変わってくるのだと思います。実際に「日本人はすぐに家を替えたがる」という批難を聞いたことがあるところを見ると、日本人は割とナーバスにこういう細かいことを気にしてしまう人が多いのかもしれません。
ホームステイをするのなら大雑把に構えていた方がお互いのために良いと思います。日本人が多少大雑把になったところで、彼らの平均レベルに追い付くのがやっとですから……。
教訓:外人相手に細かいことを気にするな。
現在通っている学校は小規模なためか生徒間の結び付きが非常に強く、一部のクラスメイトたちなどは毎晩のようにパブに集まって深夜まで飲み明かしています。しかし28歳のワタクシとしては「元気な君らに付き合い切れるか……」という感じで、そういう集まりにはほとんど顔を出しません。
2002年5月31日(金)A 真夜中の帰り道
そんな中、今日は珍しく21時から始まる集まりに顔を出し、まぁたまにはこういうのもいいかもね、と思いながらそこそこ楽しんで参加しました。パブの場所が家から徒歩圏にあったため、遅くなってもバスを待たずに徒歩で帰ってこられるというのも参加しようと思った一因です。
方向音痴の私が徒歩で20分程度の道のりを覚えられるのかという一抹の不安はありましたが、一応ホストファーザーに地図などを貰い、行きにしっかりと道を覚えて行けば帰りはその逆を辿れば良いだけなので、まぁ大丈夫だろうとそんなふうに安易に考えていたのですが、ホストファーザーに「隣町の Barry's Pub に行きたいのですが……」と尋ねたことから悲劇の布石は打たれていたのかもしれません……。
HF 「ああ、今日は Barry's Pub に行くのかい? 集まりは何時から?」ホストファーザーったら忘れているのかしら……私が重度の方向音痴だということを……。今日だってちょっと違う経路で帰ってきたら早速道に迷って、挙句の果てには家の前を素通りしてしまい、家の窓から見ていたホストファーザーに「トーコ、どこに行くつもりだい?」と呼び止められたってのに……。
鷹瀬 「21時です。歩いて行ける距離だと聞いたので、地図があればそれを写させて貰いたいんですけど……」
HF 「先週末、ショッピングセンターに行っただろ? あそこにあるよ。21時だね? よし、じゃあ10分前に出よう。車で送ってあげるよ」
鷹瀬 「ええ? い、いいです、いいです。帰りの道も覚えたいし、地図を見ながら歩いていきます」
HF 「いやいや、道は真っ直ぐだから大丈夫だよ。行きに車の中から道を教えてあげるから。遠慮しないで」
しかし逆に言うなら、そういう私を見ていながら「大丈夫」と言うのだから、本当に簡単な道のりなのかもしれません。そか、大丈夫なのか。ならありがたく送って貰おうかしら……。
この骨髄から方向音痴の私がこんな恐ろしい決断を簡単に下すべきではなかったと気付いたのは、帰る段になってからでした。
確かに行きの車で送ってもらう最中に流れる風景は単調で、「この Well Road という道を真っ直ぐ行って、突き当たった交差点で左に曲がればショッピングセンターだからね」と説明して貰うと、あたかも1本道のようでした。途中途中で車を止めて標識を確認したり、キーロードとなる Well Road も始点と終点に「Well Road」と書かれた標識が壁に明示されており、これならまぁ大丈夫だろうと、そんなふうに呑気に構えていました。アイルランドの夏は日が長く、21時にもかかわらず日本の夏の夕方並みに明るく、周囲の景色だって覚えたつもりでした。
このように安心してパブでの時間を楽しみ、他の連中はまだまだ残る気配でしたが、さすがに23時を過ぎたので私は先に帰るね、ということで一歩表に出ると……当然のことながら周囲は真っ暗……。下手に明るい時に景色を覚えてしまったために、その景色の変わりようにまずビビりました。
で、でも大丈夫だよ。Well Road にさえ乗ってしまえば、あとは真っ直ぐ歩くだけじゃん……。――ねぇ?答えのない問いを自分自身にしてみて、それよりもこんなに暗くて人っ子独りいない道を1人で歩くのって危険じゃないの?という懸念に苛まれつつ、しかしタクシーを拾おうにも既にタクシーもなく、最終バスは当然逃しており、まさに一歩も引けない状態に計らずも陥っていました。2時頃まで飲み明かす他の連中は一体どうしているの?と少々疑問に思いましたが、考えてみればアイツら同じ家に住んでるんじゃ……という根本的な自分との違いを目の当たりにしたのです。
いくら安全な国アイルランドとは言え、ここは安全大国日本より安全なのでしょうか? こ……恐いよう……。
取り敢えずキーロードである Well Road にはすぐに乗ることができ、とにかくひたすらに1本道を歩きます。
以前田舎に住んでいる知人に「人っ子独りいない道を歩くのって恐くない?」と聞いた時に、「下手に人間がいる方がよっぽど恐い」という返事が返ってきましたが、このとき私は心底からこの言葉の深みを理解しました。暗くて誰もいない道を歩くのは確かに恐い、しかし前方から他人が歩いてくるともっと恐いのです。見渡す限り他の人が誰もおらず、ここで殺されても発見されるのは明日の朝?みたいな……。
恐いよー恐いよーもう2度と1人で深夜に閑静な道を歩くようなシチュエーションに陥らないようにするよー。
真剣に恐かったため、きょろきょろと周囲を確認しつつも途中から小走りで Well Road をひた走ります。そしてここで己の確認の甘さに歯噛みすることになります。
くっそう、パブへの道の終点間近は充分に確認していたけど、家から Well Road に乗るまでの始点間近の道の確認はほとんどしてなかった……っ!確かこの道をある程度まで行った所で左に曲がる筈なのですが、その左に曲がる脇道が分からないのです。カラフルな家が建ち並ぶため、行きの車の中で色に重点を置いた景色で覚えていたつもりでしたが、真っ暗になってしまったため家の色が確認できません……。バカバカ私のバカっ!
ここかと思って脇道に入ってしばらく歩いてみて「なんか違う……」と感じれば再び Well Road に戻る、という繰り返しを4回ほど行って、ようやく「あ、ここかも」という感覚の脇道に入ることができました。そしてその脇道をしばらく歩いたところで、ようやく見知った風景に辿り着いたのであります。
家に到着したのは0時少々前。走ったせいだけではない嫌な汗をしっとりかいた約30分のミッドナイトランナウェイ(←?)……めっちゃ恐くて、もう2度と夜遅くの飲み会には独りで参加するもんかと心に誓ったのであります。ハウスメイトの有り難味って、きっとこんなところでも発揮するんでしょうね……。
教訓:方向音痴は間違った自信を持たないこと。
よく「海外に行くと日本人は若く見られる」と言いますが、これは恐らく正確ではないと最近しみじみ思います。もちろん一部の人に関してはこの言葉も当てはまるのでしょうが、多くの日本人が実年齢よりも若く見られるのは、「若い」と思われているからではなく、その言動が「幼い」からに過ぎないのではないかと思うのです。
2002年6月1日(土) 「若い」ではなく「幼い」
28歳の私が25歳程度に見られるならば、「てへ、若く見られちゃった」ってなモンで嬉しがっていてもOKだと思いますが、「17歳?」などと桁外れに若く見られると、それはもう「若く」見られているのではなく単に子供に見られていると思って間違いないでしょう。
言葉が不自由なことが原因で幼く見られるというのもさることながら、私が見る限り言葉が通じない時の態度が他の国の人たちと著しく違います。先日英会話のレベルは私と同程度のフランス人女性と会ったときに決定的に思ったのですが、何と言いますか、落ち着きっぷりが全く違うのです。
ではこの落ち着きっぷりと評される違いの根本は一体何なのだろうと思って、会話レベルが同程度でも「大人に見える西洋人」と「幼く見えてしまう日本人(含む自分)」を客観的に見ていると、ああこれなのかなぁ……と思ういくつかのポイントがありました。
・無駄に笑う………………まぁ子供に見られても当然かもね……。もちろん笑顔を絶やさない外人もたくさんいるのですが、「てへ」とか「あは」とか「えへ」という曖昧な表情をする外人は少ないです。(ってか、私はまだ見たことないです) これが決め手かもしれません。
・会話中、手をばたばたと動かしたり小首を盛んに傾げたりする
・「てへ」とか「あは」とか「えへ」という表情をする
・態度が曖昧
・沈黙が基本姿勢
大まかに言って、これらの傾向は語学力に反比例していると個人的には思います。そう、要するに「だってもう言葉が解らなかったら笑うしかないじゃん」という訳です。しかしこの思考回路こそが正しくジャパニーズなようです……。
心底思ったのが、自分も含めて多くの日本人は、相手が言っていることが聞き取れない時や誤解していた時に思わず「Sorry...」(※注:語尾は下がる)と謝ってしまうのですが、外人は堂々としている人が多いのです……。たとえ「Sorry」と言ったとしても、語尾上がり気味、つまり「ごめんなさい、聞き取れなくて」の「Sorry」ではなく、「What?」と同義語「はぁ? 何?」という感じなのです。中には「どうかと思うよ、その態度」というくらい露骨に不愉快そうな顔をする人までいますし……。あの自信の根拠を知りたいと思う今日この頃。
余り根拠のない自信に満ち溢れている外人を見ていると、日本人の理由もなくどこか腰の引けた態度が微笑ましく映ったりもしますが、世界レベルで舐められている日本人を見ていると少々力んで「しっかり!」と思ってしまうのです。あ、いや、自分に対してもですが。
愛想笑いや一歩腰の引けた曖昧な態度はもしかしたら日本の風土や歴史やその他諸々のすべてに絡む「伝統的な文化」なのかもしれませんが、日本人特有の良さを残したまま大人の態度=舐められない態度を取ることだってできる筈です。
そんな訳で、愛想良く笑っていても大人に見える外人と、どうしても幼く見えてしまう日本人の違いを、これからもウォッチしていきたいと思います。
【追記】
こんなことを書いた直後ですが、奇しくも本日、なんだか堂々(と言うか、淡々)としている日本人留学生にお会いしました。こちらに来てまだ6週間と聞きましたが、態度や仕草が非常に落ち着いていて、この人なら若く見られてもそれは単純に見かけが若いからだろうな、と思える感じの方でした。
生まれ育った国から受ける性質は根深いものだと思いますが、留学やビジネスシーンで国際交流の場が広がるに従って、バランス感覚の優れた人が増えて行くのかもしれませんね。
国民性もさることながら、最終的には個性なのでしょう。
元から大して好きでもない人と行動するくらいなら単独行動に走ってしまうタイプではありますが、それでは会話の訓練にならん!ということで、日本であればまず間違いなく独りで行動するような場面でも、なるべく外国人とつるむように心掛けています。――すみません、文章を訂正します。正確には「心掛けていました」です。
2002年6月2日(日) だんだん単独行動
しかし、バスが定刻に来ないのが当たり前のアバウトな国にいる内にアバウトになってゆくからなのか、それとも元々アバウトなのかは知りませんが、とにかく計画がコロコロと変わるので、だんだん無理をしてまでそれに合わせるのが馬鹿らしくなってきます。
具体的に言うならば、先週の火曜日に「今週の金曜日に××に行こうよ」と誘われ、そのつもりで金曜日の予定を空けておくと、前日になって「明日は駄目になっちゃったから、来週の火曜日にしよう」と言われ、日曜日になると「火曜日はワールド・カップの対戦を観たいから、別の日にズラそう」――という感じです。
この一連のドタキャン劇を1回と数えるとして、こういうことが3回立て続けに起こり、せっかく無理をして他人に合わせるという大仕事を成し得る気でいたというのに、今週末を境にすっかり「もういいよ、別に独りで行くから」という素の感情が強くなってしまいました……。
くっそう、せっかく自分を変えようと思っていたのに……。
しかしやはり独りで行動していると会話は疎かになるので、これではマズイと思い、今は歩きながらブツブツと独り言を言う日々を送っています。もっと素直に生きたいんですけど……。
無理をしなくても一緒にいたいと思える友達が早く見付からないかなぁ……という毎日です。
本日はアイルランドはバンク・ホリデーという休日です。由来はよく分かりませんが、とにかく貰える休みは貰っとけ、ということで休日を満喫しようかと……。
2002年6月3日(月) コーヴに行く
しかし今日もまぁ色々あって本来の予定がなくなってしまったため、天気も良いことだしと思い立ち、コーク郊外のコーヴという港町に行って参りました。簡易写真集(3)〜Cork編に写真をアップしましたのでお暇な方はどうぞ。
この3連休、大きな旅行はしませんでしたが、結果的に毎日出歩いていました。コーヴはこじんまりとしていて良い所ではありましたが、本当は予定がないのなら家でゆっくりしたい気持ちが少々強かったのです。しかし土日祝日に1日中家にいるとホストファミリーから「予定はないのか?」と心配されてしまうため、半分は渋々と表に出ているという裏事情もあります……。
図書館は日曜祝日はしっかり休館、シティセンターにある店も大きな店以外は閉まっているため居場所がありません……。
居場所探しというのも留学生のひとつの大仕事なのかもしれませんね。
1週間滞在していたフランス人女性が昨日帰ってしまい、改めて気付いた事実は「私だけでは夕食時の会話が持たない」という少々情けないものでした……。例え会話に入って行けなくても、夕食の最中オール沈黙よりはヒアリングが出来る方が良いなぁと思う私を試すかのように、本日からドイツ人女性がこの家に加わります。
2002年6月4日(火)@ それぞれの心の内
今度の彼女は4週間と少々長く、私と共にこの家を去ることになるので、出来れば仲良くなりたいなぁと思いますが、こればかりは蓋を開けてみるまで何とも言えません。クラスに馴染むのにも一苦労という私ですから、既に高望みは諦めています。
さて。高望みはしていませんが、やはり努力はすべきかなぁという揺れる乙女心(←まだ言うか)を抱えているもので、2日前に単独行動に走りつつあった私ですが、いやいや何の!と本日は頑張ってみました。――何をか? 団体行動というヤツを、です。
ここで少々話を広げますが……。
現在アイルランドはワールド・カップで沸きに沸き、アイルランド戦がある日などは人々がシティセンターにあるパブに観戦しに集まるため、パブから人が溢れ出るほどの大賑わいです。車や家の窓にアイルランドの国旗を掲げる人も多く、子供からお年寄りまでアイルランドのカラー(緑・白・オレンジ)をベースにした帽子やユニフォームなどを着て、街中がワールド・カップ!という雰囲気に満ち満ちています。そしてその盛り上がりはパブを中心に広がっている、という感じです。「いつもは10食出るか出ないかの朝食が、この前の試合の日は100食出たよ」とパブの店員が言っていましたが、そのくらい国を揚げての一大イベントのようです。
パブとサッカーというアイルランドの2大文化が絡み合い、今年はそういう意味でアイルランドを満喫する良い年かもしれません。
そして話を戻しますが……。
このように、愛国心に燃えて自国のチームの応援に熱狂するのは何もアイリッシュだけではありません。本日の韓国対ポーランド戦では、我がクラスの3人の韓国人が自国のユニフォームの色(赤)のシャツを着てくる、旗を作るなどして、更には12時半から開始する試合を最初から観るために、授業を1時間早退して12時に切り上げ、学校近くのパブに向かうほどの熱の入れようでした。他の生徒たちも授業が終わり次第それに続くということで、ハイ。私も一緒に行きましたとも。
正直サッカーには余り興味がありませんが、やはり無理矢理パブで観ていたオープニング戦のフランス対セネガルでは、セネガルのゴールキーパーの凄さに興奮したことや、初心者セネガルが王者フランスに勝ったというドラマチックな展開、盛り上がるパブの雰囲気も相俟って、計らずもかなり楽しんで観戦することが出来ましたので、何事も食わず嫌いはいけないなと思ったものです。
そして本日の韓国対ポーランド戦では、2対0という素晴らしい結果に韓国人大喜びっ! いやもう彼らのパワーには圧倒されました。
しかしこの20代前半の彼らが繰り広げる凄まじい盛り上がりには、おばちゃんもう体力的について行くのがやっとでね……。一緒になって笑顔を見せつつも身体は動かず、つい「うわー……盛り上がってるなぁ……」とかどこか遠い目で彼らを見つつ写真撮っちゃうのが関の山なのです。
丁度2点目を入れた時の盛り上がり in a Pub
そんなふうにぼーっとしていると、やはり同じように落ち着いた雰囲気で彼らを見ている日本人留学生が……。
彼女 「……サッカー好き?」今の心境を綺麗に表すならば、渡りに船。日本語って良いよね……やっぱ好きだわぁ……。――じゃなくって。
鷹瀬 「ううん」
彼女 「この近くにあるウイスキー工場って知ってる? もう見学した?」
鷹瀬 「ううん、そんなのあるの知らなかった」
彼女 「もし良ければ今から行かない? もしこのまま試合観たいならいいんだけど……」
鷹瀬 「そこに行きたい。行こう」
彼女はこの学校に来て現在2ヶ月を終えており、帰国まで残り1ヶ月に差し掛かったところなのですが、私から見るとクラスの人たちと非常に上手く溶け込んでおり、色々な国籍の学生と仲良く話している姿を頻繁に見かけ、しかもいつも一緒にいるとても仲の良い外人の友達を持っており、私なんぞは以前から「いいなぁ……あんなふうになりたいなぁ」と思っていました。
そして道すがら「今だけちょっと日本語ね」と言うことで本音トークを開始して、外からは見えない心の内というヤツを知ったのです。
鷹瀬 「いやー、正直クラスに馴染むのにまだまだ時間が掛かりそうだよ……。本当はパブとか、別に行きたい訳じゃないんだよね……。単に『会話を伸ばすために行かなきゃ』って思ってるだけで……」……………………そうなんだ……。やっぱハウスメイトって良いことばかりではないんだね……。今日から来るドイツ人の女の子……気が合う子だといいなぁ。
彼女 「ああ……分かるよ、その気持ち。皆やっぱり同じようなことで揺れるよね。それに今週が3週間目だっけ? 丁度揺れる時期だよ。私も学校に馴染むのに1ヶ月くらい掛かったし、今でもまだ完全に馴染んでる訳じゃないし……。でもさぁ……さっきの韓国人の子とか、彼らって21歳とかでしょ? トーコは28歳だっけ? 私は29なんだけど……無理だよ、あのノリについて行くのは……」
鷹瀬 「え? そうなの? 凄く上手くやってるように見えるけど……」
彼女 「いやぁ……今でこそ、って感じで、最初の1ヶ月なんか帰りたくて仕方なかったよ。最初の内は友達もいないから、授業の後とか独りでシティセンターとかフラフラして凄く寂しかったし……。それに今だから言えるけど、先週帰っちゃったスペイン人のハウスメイトとも上手くやって行くのが大変でさ……。もう最後は何を言われても気にしない、って感じで受け流していたくらいだし」
しかしこの話は勇気付けられたと言いますか、皆それなりに苦労しているのねと思って安心したと言いますか……。
私の場合は依然として友達らしい友達も出来ていないし独りでいることも多いけれど、どうやらこの状態に対するストレスはメチャメチャ少ないらしいという事実を再確認しました。
――ですが、ストレスが少ないことを喜んでばかりもいられません。なぜなら「寂しい」と思うことが原動力となって人と関わろうと努力するのでしょうが、寂しくないので独りで行動し、他人と関わる努力をしないという嫌な状態に落ち着いてしまいそうだからです……。
ヤベェ、「独りで出来るもん」とか言ってる場合じゃないわ……。
何だかマズイんじゃないかなぁ……と思うのが、よく「1年滞在する予定です」と言うと、色々な人から「Do you miss Japan?」と聞かれるのですが、「全然」というのが今の私の正直な感想という点です。最低線恋しくなるだろうと予想されていた食べ物でさえ、「別に……。そりゃ美味しいものが食べられればそれに越したことはないけど、ジャガイモ好きだし、毎日残さず食べられるし、特に困ってない」という非常に淡々としたつまらない感情が強いというのは予定外でした。
何がマズイのかと言えば、こんなに淡々としているようでは私の求めている「劇的な変化」が訪れないかもしれないからです。
私の当初の計画では、
初めの1ヶ月くらいはホームシックに悩まされ、徐々に周囲に馴染んで行き、3ヶ月経つ頃には友達もでき毎日が楽しくなって行き、半年後くらいには何の不便もなく生活できるようになり、道で擦れ違う地元民と笑顔で挨拶を交わし、1年後には「帰りたくない」と泣く。という予定だったのですが、既に出足からしてコケ始めています。
「まだ1ヶ月経ってないし、ホームシックはこれからだ!」とか勢い込んでいるのですが、普通は最初の1ヶ月にこの感情が訪れるようです……。今、e-mail のお陰で友人や家族とコンスタントに通信できるので、変に満たされてるんだよねぇ……。「ホームシックを克服する」というのが私のメイン・プランのひとつだったのに……早くホームシックにならないかなぁ……と思いつつ、たった1年ではならないまま終わってしまうかもなぁ……と思っています。
また「道で擦れ違う地元民と笑顔で挨拶を交わ」すのは1年では無理そうです……。ってか、キャラ的に数年経っても難しそうです。
1年というと長いようですが、私の場合は既に「英語に伸び悩んで1年なんかあっと言う間なんだろうな」と思っているためか、時間が足りないと思う毎日で、今のところ長いと感じたことはありません。このサイトの更新もしなければならないため、「何もすることがない」という状態には恐らくずっとならないでしょうし、「それよか勉強しろよ」という独りツッコミも健在です。
そして、やはり会話の場を作る努力は続けよう……と決意も新たに3週間目の幕を開けるのでした。
アイルランドの国際線エアリンガス(Aer Lingus)の大規模なストライキのせいで、2日ほど遅れて我が家に来ることになったドイツ人女性が本日の夕方現れたのですが……何だかとっても良いカンジ。フレンドリーで笑顔が多く、会話レベルはもちろん私よりも全然上で話せば流暢ですが、だからと言ってお喋りというほどお喋りでもなく、非常に落ち着いた雰囲気を持った方で……ぽっ。
2002年6月4日(火)A 幸せの予感
僕もう期待はしないんだと心に誓っていたのに、それでも何だか両頬に渦巻きが浮かび上がってしまった夕刻の調べ。仄かな幸せの予感。
先日4日(火)も書きましたが、ワールド・カップに燃えるアイルランド。本日12時半から彼らにとっていよいよ大本命のアイルランド対ドイツです。昨日からウチに滞在しているハウスメイトがドイツ人ですので、我が家は朝から色んな意味で非常に盛り上がっております。
2002年6月5日(水) 劇的マッチ
正直サッカーには全く興味ありませんが、劇的なことにはジャンルを問わず弱いワタクシ……。特にどちらかを応援している訳でもないので、出来ればメチャメチャ接戦とか、逆転劇とか、そういったドラマチックな展開ならば何でもOKという姿勢で観戦に臨みます。もちろん観戦場所は学校近くのパブで、クラスメイトたちと共に、です。
私たちがパブに辿り着いたとき、1対0で勝負は既にドイツに傾きつつありました。本日利用したパブは小さなテレビしか置いていないためか、思いの他客が少なく、昨日の韓国戦と対照的にとても静かでした。しかし、ほとんどの客はそれでもテレビに釘付けでした。
私はサッカーに詳しくないのでよく知らないのですが、周囲に聞くところによると「アイルランドよりもドイツの方が強い」とのこと。なるほど現在の結果はその通りで、時計を確認すると残り時間は15分、アイルランドの攻めは素人目にも弱く、もうこのまま番狂わせはなさそうな雰囲気に見えました。
残り5分。ボールは無駄にあちこち飛び交いますが、得点に結びつくような動きは見られません。沈むパブ。これでアイルランドが点を入れたら面白いのになぁ……と思いつつ、残り3分を切ったため、劇的瞬間をフォーカスしようと構えていたカメラを鞄にしまいます。
まぁねぇ、いくらアイリッシュが自国の勝利を願っても他の国の人々も同様に祈っているんだろうし、神様は平等だしねぇ……。実力の差が点数の差なんだろうなぁ……。えーと、今日のトースト・スペシャルっていくらだっけ?
そんなふうに気もそぞろになり残り時間ほんの数分(恐らく2分か1分)になったとき、アイリッシュにとっての奇跡が起こったのであります。
よく分からないけど、ゴーーーーーーーールッ!! 1対1!!!この瞬間のパブの雰囲気たるや物凄かったです。どうしてカメラを最後の最後まで構えていなかったのかと後悔するほどの盛り上がりで、久々に胸熱くなる空気を体感しました。ドイツ人の彼女は苦笑しつつも、同点で終了というのは一番良い結果だったのではないかと。
ドラマチックな展開に興奮しつつパブを後にし、シティセンターに繰り出すと、車はクラクションで自国の応援歌のリズムを刻むわ、そこここで歓声が挙がるわ、フェイス・ペイントをした若者が旗に包まってパフォーマンスを繰り広げるわ、街中大騒ぎさ!という感じで非常に面白かったです。それに加え、フランス人の女の子の「なんでこんなに盛り上がってるの? 勝った訳じゃなくて引き分けなのに。理解できない」という冷静なツッコミも同様に面白かったです。
いやータイミング良いときにアイルランドに来たなぁ。日本にいたらワールド・カップなんて観ようとも思わなかっただろうし、何でもタイミングって大事ですね。
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国旗をモチーフにした帽子や衣服を身にまとう若者たち
本題からは逸れますが、試合終了は14時15分。パブから動かない人々を見て「君ら仕事は……?」とか心配している私は悲しいほどに日本人なのでしょう。